メディアマインド | アタラ 対談

*第1部で触れた「Dwell」という指標のホワイトペーパーはこちらでダウンロードできます。

第2部/全2部(2012年1月24日公開分)

DSPと第三者配信エンジンの違いとは?

有園:DSPと第三者配信エンジンの最大の違いは何ですか?

渡邉:レイヤーですね。対象媒体のレイヤーです。DSPの場合はノンプレミアムに限られます。第三者配信エンジンはその上の階層にくるものであり、前述の通りサイト解析ツールと両壁をなすツールだと思います。基本的にDSPはバイイングツールが始点ですので、全媒体の一元管理ができるハブにはなり得ません。プレミアム媒体も全てDSP経由でバイイングできれば別ですが、近い将来に実現できる可能性はまだ低いと考えています。

有園:バイイングツールはDSPであるということですね。それ以外の枠、アドネットワークやDSPで買い付けが出来るノンプレミアム枠以外も含めたキャンペーンのマネジメントをしようと思ったら、第三者配信エンジンが必要になる訳ですね。クリエイティブの出し分けについてはいかがですか?

渡邉:部分的にクリエイティブの出し分けができるDSPもありますが、DSPを複数併用するような場合にデータが孤立してしまいます。小さい分断データは広告主さんにとってあまりよくないことだと思いますので、すべてを大きく繋げるという意味では第三者配信エンジン側の機能を使っていただく方が良いケースがあるでしょう。

布施:すべてにおいてメディアマインドのクッキーを付与して管理することがポイントであり、DSPがそれをできるのであれば我々と同等のポジショニングになると思います。しかし、基本的にはDSP単体で考えたときに複数のDSPが存在しています。やはり、全体をつなげる必要があると思います。それが無い限り、全部クッキーが分断しています。一元的にワンクッキーで管理できるのがメディアマインドです。DSPとの違いは、そこにあります。

有園:そうすると、メディアマインドを使うと、ひとつのユーザに対してのシークエンスコントロールというところを、ネットワークや純広告の違いをまたいだ形で配信できるということになりますよね。利用状況はいかがですか? 

布施:これからですね。そこを肝だと思っている方はいらっしゃいますが、正直まだ少ないです。ただ、我々もすべての用途を把握しているわけではありません。我々の理解としては、第三者配信とDSPが混乱している方が多いようです。当社のお客様は、その辺りは理解されています。

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メディアマインドの特徴

有園:他にも御社のメリットがあれば教えてください。

布施:実は、日本ではサービスにしていませんが、グローバルではメディアマインドの方にDSP機能を持ち、バイイングをしているケースもあります。

有園:日本ではリリースしていないが、メディアマインドにDSP機能があると。

布施:グローバルでは日本に先駆けてアドエクスチェンジ市場が大きくなり、DSPが乱立している状況です。当社としても、メディアマインド独自のDSP機能を持って、そこからバイイングをして、逆にプレミアムで配信したリッチクリエイティブに接触した人に対して、ビッティングをかけるなどしております。プレミアムとノンプレミアムを意識した形でのキャンペーンプランを組み、その中でROIを最大化するということを、代理店が先駆けておこなっています。

有園:日本に御社のDSPが入ってくる可能性はありますか?

布施:可能性はゼロではありませんが、我々が考えているメディアマインドの価値まで到達していません。北米市場と日本市場で第三者配信の成長の仕方が明らかに違う軌跡をたどっています。メディアマインドのDSPをサービスとして提供することが、果たして日本市場を活性化することになるかどうかは確信がありません。我々が優先的にやらなければいけないのは、DSPのインターフェイスをもつことよりもデータを一元的に管理するというカルチャーを作っていくことだと思っています。いま、それが根本的に必要です。我々がDSPで参入したとすると、別のDSPを使っているお客様からすれば、どちらを使えばいいのか迷いが生じます。両方を使えば、データが分断されます。そういったことを繰り返しているうちは、デジタルマーケティングの問題解決のスタートラインには立てないと思います。我々は、アクセス解析ツールと両壁をなすツールとして市民権を得ることが、まずはミッションでありフォーカスでもあります。そのためには、アクセス解析ツールとの連携ですね。インプレッションデータを取ることは、さほど難しくはありません。それをとった後、どのように役立てるかといったPDCAサイクルをしっかりまわせるようなプラットフォームとして、データの出し入れが柔軟にできないといけません。今後パフォーマンスをあげていくために、取得したデータをエンジンの力でどうしていくか。我々が得意とするのは、クリエイティブの配信機能、ローテーション機能と一言でくくりますが、色々あります。

渡邉:機能面でのメリットについて補足ですが、何を出すかは細かく設定が可能です。Aという原稿を1~3回出して、Bという原稿を4~6回出して、Cという原稿を7回目以降に出すといったこともできます。また、時間ベースで朝昼晩を出して、それ以外の人にはデフォルトバナーを出すということもできます。リターゲティングタグを活用して「商品の詳細ページにきたけれど、購入ページにはきていない人、なおかつ、東京からアクセスしている人はターゲットX」としてコミュニケーションを分けることもできます。より具体的な設定について知りたい方には是非お問い合わせをいただければと思いますが、様々な機能を細かく設定していくことによって、バナーでOne to Oneマーケティングに近い形を実現していきます。サイトの閲覧履歴だけでなく、CRM情報や、在庫情報とも連携できます。

布施:我々はオープン戦略をとっており、外からのデータをもとに配信するロジックを組み立てることも可能です。たとえば、媒体社がもっている会員情報であれば、男性女性でセグメントをきった情報をパラメーターとしてもらって、我々がその情報を元にロジックを組み立てることもできます。配信の柔軟性という部分では、特に自信を持っています。

有園:誰に出すかというところでは、御社以外のCRMのデータや媒体社の持っている会員情報などと連携して配信できるんですね。

渡邉:お天気のニュースサイトから情報がもらえるとします。地域情報と一緒に地域ごとの情報をもらったら、アパレルなら「この地域は雨なのでレインコートを出そう」とか、飲食店であれば「雨なのでドリンク一杯サービスというキャンペーンを出そう」ということが可能です。

有園:ほぼリアルタイムで実施できるわけですね。

布施:やはりOne to Oneコミュニケーションは理想的なコミュニケーションの在り方ですが、その際の課題としては、そこに対するメッセージが乗るクリエイティブのパターンを多く用意する必要があります。個別のバナーを用意すると非常にコストがかかりますので、One to Oneを突き詰めるほどコストがかかる仕組みです。しかし、我々はダイナッミックにクリエイティブの中身を変えられる機能を用意しております。スマートバージョニングという機能で、One to Oneコミュニケージョンをしていく上で課題を解決するソリューションだと思います。

有園:この機能はデフォルトでついているのですか?

渡邉:デフォルトの値段より少し配信費用が高くなります。

布施:実は、まだまだ認知されてないものです。これをやっていく上で、クリエイティブプランニングが重要になってきました。ただ単に安いだけでは響きません。

有園:グルーピングは自動ですか?

渡邉:グルーピングは人もしくはData Management Platform(DMP)等が必要です。

布施:ロジック作りは人ですね。それをパラメーターという魔法のキーワードの中に入れて、何を出すかというのは事前に配信設計されたものなので、数が多ければ数多く設定しますが、そこまで事細かくやるとなると自動化が必要になります。グルーピングの自動化ができてしまえば、設計したものに対してデータ連携をしてリアルタイムで動いていくという感じですね。

有園:DMPでグルーピングした際に100グループあったら、それに対する設計は人がしないといけないんですよね?メディアマインドを使う人のクリエイティブのセンスが問われそうです。間違った設定をしたら効果が出ませんし、うまく設定すれば効果が出るということでしょうか。

渡邉:広告の基本はコミュニケーションですから、クリエイティブの重要性が再認識されるところかと思います。もちろん、数多く検証したい、という場合は1グループに100パターンというパターンを作ってしまって、その中からいいものを優先するという設定などもあります。そうすると、後から一番よかったバナーなどを検出できます。最初からシナリオを組んで設計する方法とどちらが良いのか商材によるかもしれませんが、設計の仕方により結果は変わりますし、多くの方が知見を欲しているところでもあるので、今後はもっと国内事例を増やしていければと思います。協力していただけるパートナーを随時大募集中です。

有園:好きな人にとっては、とても楽しい世界ですね。ここで、アトリビューションについて伺います。第三者配信エンジンは自由な配信設計が出来るようですが、DSPとかだけでは全てのクッキーを繋ぎこんでいません。そうなると、アトリビューションのデータ、いわゆるビュースルーからのデータもとれないということになりますが、御社のメディアマインドを使うとアトリビューションの貢献度の数字も出せるということですよね?

渡邉:アドバンスレポートというものがあります。有償のサービスですが、個々のコンバージョンパスデータの詳細が分かります。例えば、コンバージョンまでに5回アドに接触している場合、3回はインプレッションのみで、どのバナーであったか、1回はクリックをしていて、どのバナーであったか、もう1回はリスティング広告のクリックでどのキーワードか等です。このデータにクライアントごとに定義された重み付けを行うことで、アトリビューション分析をしていただいています。

有園:デフォルトの費用以外にかかるのですか?

布施:そうです。モデルの考え方については3種類あります。「全てのデータを評価する」「クリックを常に評価する」「後はクリックのみ」です。アトリビューションもクリックベースでやりたいというニーズもあると思いますので、その場合はそれを選択していただければインプレッションを排除してクリックデータのみで評価します。インプレッションもクリックも同等に評価したいということであれば、フラットに両方取得して評価対象にします。インプレッションがあってもクリックがあればクリックを評価します。また、クリックがなかった場合はインプレッションを評価する。

有園:それが御社のカスタムレポートと書いてあるところで選択できるのですか?

布施:配信のタイミングで選択しているとできます。

有園:どの形でデータを取るかを決めて、初めてデータを取得するんですね。

布施:キャンペーン前に設計します。アトリビューションをやっていく上では事前設計が重要です。結果的にダイレクトレスポンスのキャンペーンなのか、ブランド重視のキャンペーンなのか。ブランド重視のキャンペーンでインプレッションを評価しないのは言語道断です。

有園:メディアマインドでは、キャンペーンする前に設定を決めてからスタートすると。御社のアトリビューション分析機能を使うのではなくて、いわゆるコンバージョンのパスデータを御社のメディアマインドから出力させて独自に分析も可能ということですね。

布施:もちろんです。その場合はフラットにイコールで取得します。

有園:インプレッションデータも出てきて、クリックのデータも出てくる形で取得をして、分析をすると。以前は、自然検索には対応していないのでデータはでてこないと聞きましたが、近い将来対応するのですか?

布施:2012年中には追加していく予定ですし、アナリティクスの部分を刷新していく予定です。チャンネルごとのグルーピングを可視化しやすいような形でレポーティング出来るような、インターフェイスにしていく予定です。それに伴い、ダッシュボードも正式にリリースする予定です。リアルタイムにキャンペーンの効果データがどのように変わっているのかという部分を、データとして出せるようになってきています。やはり、リアルタイム性というところがデジタルマーケティングの肝だと思っています。そこを、我々がより見やすくダッシュボードに出すことによって、プランナーの方は迅速な対応が出来るようになります。そこが、2012年のプランニングの目玉になるのではないかと思っています。

有園:メディアマインドさえ入れておけば大丈夫ということですね。

布施:はい。

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メディアマインドが描く未来

有園:最後に、今後の方向性と可能性についてお聞きします。

布施:今年の6月にメディアマインドがDGに買収されまして、我々はDGの広告部門の会社として存在しています。DGという会社は北米を中心に活動しているテクノロジーベンダーでして、衛星技術とインターネット技術を使ってコンテンツを配信するプラットフォーマーです。実は、90パーセント以上の北米のデジタルコンテンツがDGから配信されています。そこの広告配信部門の傘下に我々が納まることによって、今後テレビとクロスチャンネルを実現していきます。リッチメディアの第三者配信技術の中で、ポイントロール、アイワンダー、ユニキャスト、メディアマインドの4社が世界の中でトップ4だと言われていますが、ポイントロール以外の3社はDGの傘下に入っています。2011年8月に、アイワンダーの買収が発表されました。メディアマインドのプラットフォームにユニキャストとアイワンダーのリッチメディア技術が統合されます。それによって、よりリッチな物を配信していく部分が強化されます。

有園:近い将来、テレビの配信も自由度が出てきそうですね。そうは言っても、インターネットのクッキーとデジタルテレビの端末情報は繋がらないのではといった部分が懸念ではあります。

布施:アメリカの場合はボックスがついています。そのボックスを経由して出来るシステムになっているのですが、日本の場合はまた違う形でデジタルテレビが進化を遂げていくと思います。アプローチの仕方は違ってくるでしょう。やはり、テレビというスクリーンがインターネットとテレビの垣根を超えてしまっています。インターネットとテレビというコンソールは、ひとつになっていこうとしています。それを活用していく形になると思います。

有園:布施さん、渡邉さん、ありがとうございました。

布施・渡邉:ありがとうございました。

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(END)

アトリくん アトリビューションの観点や本質から考えるとビュースルーを含め、配信先を越えたデータの一元管理ができ、その結果全体を視覚化できる点は大きく、このグローバルなレイヤーにある第三者配信は今後も重要なポジションを担っていくのだと思われます。ディスプレイ広告市場の変化から、日本でもようやく注目されるようになりましたが、正しく理解するための情報がまだ少ないのが事実なので今回の解説はとても役立ちました!メディアマインドのデータを活用したアトリビューション分析は今後も増えるでしょう。また、元々強みを持つリッチメディア配信、今後のアナティックス機能の充実、TV等への対応、目が離せませんね。
布施さんと渡邉さん、熱いお話をありがとうございました。

第1部(2012年1月17日公開)
第2部(2012年1月24日公開)

アカデミックなアトリくん 特別対談です!今回は、第三者配信アドサーバーの提供を行うMediaMind Technologies株式会社の、日本支社長である布施一樹さんと渡邉桂子さんをお迎えしました。独自のアトリビューション・メソッドを編み出すアタラ合同会社COO有園雄一が、第三者配信サーバーの視点から見たアトリビューションの取り組みについて伺っていきます。全2回の1回目です。

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第1部/全2部(2012年1月17日公開分)

第三者配信アドサーバーとの出会い

有園:本日は、世界標準の第三者配信アドサーバーを提供するメディアマインドの日本支社長である布施一樹さんと渡邉桂子さんにお話をうかがいます。まずは、自己紹介をお願いします。

布施:メディアマインドの布施です。当社はさかのぼること1999年、アイブラスターという社名で事業をスタートしました。当時は、リッチメディアに特化した第三者配信ベンダーとして、主に媒体社や広告会社にサービスを提供していました。日本では、2001年よりサービスを開始しており、現在は、クロスチャネルのキャンペーンを管理する第三者配信アドサバーベンダーとして64カ国でサービスを展開するまでに成長しています。

有園:布施さんは、いつから関わっていたのですか?

布施:私は2004年から関わっています。日本人社員第一号として採用されまして、当時、DACと共に国内事業の基盤作り、主に媒体社に対する事業開発をしていました。

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有園:なるほど。それでは渡邉さん、自己紹介お願いします。

渡邉:はじめまして、渡邉と申します。営業を担当しています。以前は、媒体社と代理店で勤務しておりました。媒体社に勤務していた2004年頃は第三者配信というと、その実体はよく分からないもの、ちょっとアレルギー反応がありました。でも、2006年頃からマイクロソフトやIBMなどのグローバルアドバータイザーが使い始めているのを目の当たりにし、少しずつ印象は変わってきて興味を持つようになりました。代理店に移ったときには、実際に第三者配信を提案する立場になりました。

有園:第三者配信に興味を持ったからメディアマインドに転職されたのだと思いますが、そのきっかけや理由は何ですか?

渡邉:媒体社で広告営業をしておりましたが、タイアップ記事広告さえ、ページビューではなく、コンバージョン数や関連リンクのクリック数だけを評価対象とされることがありました。記事が閲覧された事実が十分に評価されていないと感じました。閲覧という行為を評価するための物差しがなかったので仕方がないのですが、実際はポストインプレッションコンバージョンというものがあって、それは第三者配信技術で測定可能だと分かりました。その経緯で代理店に転職、次はベンダーに来たという流れです。

有園:今後、ポストインプレッションの効果を図ることはニーズが高まると思われたのですか?

渡邉:データでの裏付けといった部分に、特に重要性を感じました。

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有園:ちなみに、布施さんはカントリーマネージャーとして代表をされていますが、社員第一号として入ったきっかけを教えていただけますか?

布施:アイブラスターに転職する前は、オラクルに勤めておりました。当時のデータベース市場は非常に変革期を迎えていました。私自身、ビジネスのスタートアップ期に携わりたいという思いがありまして、新しい市場で仕事をしてみたいと考え、アイブラスターの求人を見つけました。それがきっかけです。

有園:もとから、第三者配信エンジンやリッチメディアなどに造詣が深かったわけではなくて、どちらかと言うとベンチャーマインドに惹かれて伸びそうだなということで入ったわけですね。布施さんの感性は当たっていたということで、現在、第三者配信エンジンは伸びてきていると思うのですが、アメリカでは第三者配信エンジンはどのくらい普及しているのですか?

布施:私の知る限りでは、デジタルマーケティングのキャンペーンマネジメントでは100%に近い形で代理店さんが使っています。100%というのは言いすぎだと思いますので、あくまでベンダー内の情報だと思いますが、逆に海外の広告主が日本の(あまり第三者配信が使われていない)状況を見て大丈夫かと心配する位です。

有園:現時点ではほぼ100%ということで、アメリカでは普及してきていると理解してよいと思うのですが、日本ではまだまだと思うんですね。ここ数年、第三者配信という言葉を聞いたり、使ったりしているお客様の存在を耳にするようになったのですが、いまの日本の状況をお二人はどのようにお考えですか?

布施:第三者配信という概念はアメリカからきていますので、アメリカでデジタルマーケティングに携わっている方は少なからず接触したことがある概念だと思います。しかし、日本においてはいまだに馴染みの浅い概念だと思います。もともと、日本ではリッチメディアの第三者配信エンジンとして入ってきた経緯がありますので、ごく一部の方々が知るものだったと思います。特に、アイブラスターという社名をご存じの方は、リッチメディアのキャンペーンで関わられていたことでしょう。まだ、メディアマインドって、リッチのアイブラスターのことだったんですか?と言われます。いまは、アトリビューションという概念が注目されはじめており、その状況下で第三者配信技術を活用したDSP、アドネットワークというものが注目されています。日本での第三者配信普及の歴史は欧米と異なるのではないでしょうか。どう進化するとしても、広告のパフォーマンスデータやそれに関連するデータを一元的に管理していないことの多い現状は、引き続き問題視しております。もう少し根底の部分で、この第三者配信をとらえていただきたいと思います。

有園:そうですね。

布施:第三者配信と言っても、いろいろな種類があることを整理したいと思っています。

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第三者配信エンジンを使うメリット

有園:第三者配信エンジンを使わないとビュースルーのコンバージョンがとれないということで、ここ数年、私もかなり第三者配信エンジンという言葉を耳にするようになりました。第三者配信エンジンを使うメリットは、ビュースルーのコンバージョンをとれる以外にもあると思います。そもそも、第三者配信エンジンとは、どのような物なのでしょうか?第三者配信エンジンを使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか?

渡邉:第三者配信エンジンという言葉には、広い意味と狭い意味があります。それゆえに混乱を招いている印象を受けます。お問い合わせをいただく際に、第三者配信エンジンについてご存知の方もいらっしゃいますが、「アドネットワークのことでしょ?」とか「DSPと何が違うの?」や「そもそも第三者配信って何?」といった質問を受けます。広い意味では、当事者である自社のアドサーバー以外のサーバから配信していることが第三者配信になります。つまり、アドネットワークやDSPも第三者配信の技術の上に成立します。狭い意味での第三者配信のベンダーというのが、我々メディアマインドのような存在です。それは何かと言うと、広告主側で管理するアドサーバーであり、デジタルマーケティングのOSとしてデジタルマーケティングの機軸となる存在です。海外ではキャンペーンマネジメントプラットフォームと呼ばれています。

有園:広い意味では、第三者配信エンジンもアドネットワークと同じと言える。しかし、狭い意味ではメディアマインドさんのようなキャンペーンマネジメントができるもの、という位置付けであると。

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渡邉:キャンペーンマネジメントプラットフォームとは何かというと、アクセス解析ツールと両壁を成す広告主さんの武器です。たとえば、図のように広告主がいて自分達のデータベースを持ち、自分たちのウェブサイトを運営しているとします。メディアマインドというキャンペーンマネジメントプラットフォームは、広告主側に属し、外部施策(主に全ペイドメディア)の情報を集約します。一旦サイトを訪問してからの情報はアクセス解析ツールでマネジメントします。この両輪を上手く連結してデータを活用することが「PDCAサイクルを回す」ということになると考えています。ペイドメディアとしては、リスティング広告の媒体社だったり、ソーシャルメディアの媒体社だったり。あとはプレミアム枠と呼んでいますが、純広告枠を持つ媒体社、さらにノンプレミアム枠といわれるアドネットワークやアドエクスチェンジがあります。モバイルスマートフォン広告などもあります。これら全てに配信し、クロスチャネルのデータを一元管理します。ちなみに、よく混乱を招くDSPとの違いは、ここにあります。DSPはノンプレミアム枠をバイイングできますが、プレミアム枠についてはその対象範囲外です。確かに、DSPを活用してリターゲティングの在庫だけ購入することは効率的なのですが、リスティング広告で効率性を追求していくと母数が増やせなくなるように、ノンプレミアム枠だけで追求しても母数を増やすことに限界が訪れます。そこで役立つのが、純広告・プレミアム枠だったりします。繰り返しになりますが、重要なのは、第三者配信のアドサーバーがハブとなって、リスティング広告やソーシャルメディア、純広告、ノンプレミアム枠など、すべてをブリッジして配信し、そのパフォーマンスデータを集約することです。その結果を、広告主に戻すタイミングで、彼らのデータ(例えばアクセス解析ツール側で取れる情報)とマージをして、データをためていきます。そのデータをセグメント化し(例えば実際にウェブサイトにきて買った人=グループX、買ってない人=グループYのように定義化)セグメント別に再度配信をします。すべての媒体をつなげてネットワークを築くためのツールが、この第三者配信プラットフォームです。細かく媒体を区切って小さくPDCAを回すのではなく、広告主としての一大オリジナルネットワークを作ってダイナミックにまわす。変化する状況に応じて、施策を変えていくことが重要であって、そのためのツールが我々の提供するソリューションです。

有園:技術に詳しい方なら分かると思いますが、御社の第三者配信エンジンを使うことによって、すべての媒体、すべての枠に配信されたものが、ひとつのクッキーでつながるということですね。リスティング広告は配信するのではなく、データを連携するということですが、どのようなやり方をするのですか?

渡邉:API連携をしているので、システム側にリスティング広告のIDやパスワードを入れていただくことで、裏側でURLの書き換えラッピングをおこないます。リスティング広告側の運用に一切影響を及ぼすことがなく、データのトラッキングができる仕組みです。クリックトラッキング用のリダイレクトURLを発行するなどの苦労なく、何千というキーワードをトラックできます。

有園:ソーシャルメディアはどうですか?

渡邉:ソーシャルメディアも対象です。Facebookは配信タグ自体を受け入れていませんが、トラッキングタグは受け入れています。広告そのものは配信しないけれど、データは収集できる。すなわち、投資がすべてデータに換えられるので無駄がありません。配信を受け入れてないプレミアム媒体(Yahoo!など)もクリックトラッキングをすることで、パフォーマンスデータの中に組み込んでいくという仕組みになっています。

布施:媒体側でも広告効果促進のためにリッチ化を戦略的に進めています。たとえば、ブランディングキャンペーンの中でリッチバナーのみを配信するのではなく、リッチバナーとスタンダードバナーをミックスすることでROIの向上を目指します。ファイナンス系クライアントさんの事例では、ブランディング目的のリッチバナークリエイティブを1回目と2回目のインプレッションで出したところ、もっともコンバージョンが上がりました。スタンダードバナーで配信するよりも、初回はリッチバナークリエイティブでリーチして、その後にスタンダードバナーで刈り取る。このような異なるフォーマットを織り交ぜることによって、コンバージョンをあげていく施策がありました。通常媒体側で用意しているリッチバナーの仕様に関しては、基本的に媒体側のテクノロジーに依存します。ただ、当社側がリッチメディアソリューションを持っていることによって、媒体側の負荷を軽減しながら、かつ、一定の標準化されたものを実装できます。当社ならではの特徴は、リッチメディアではないかと思います。

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メディアマインドの測定指標「Dwell」とは?

有園:リッチメディアの話は非常に面白いと思いました。初回でリッチメディアを出したほうがもっともコンバージョンが増加したということは、それだけ効果があったということだと思います。リッチメディアを見せることの効果測定には、御社は特別な指標があると伺っています。

渡邉:Dwell という指標があります。Dwellとは、ユーザが広告と関係を持っている時間やレートのことを指します。インタラクションに近いですがDwellでは接触時間も評価対象となる点が異なります。たとえば、ビデオが入ったバナーでは、3分間再生していてもその長さをインタラクションとして評価できませんが、Dwellの場合は1秒以上のオンマウスを含む広告に滞留している時間をDwell Timeとしてカウントします。また、配信インプレッション中にユーザがエンゲージした割合をDwell Rateとし、Dwell Time とDwell Rateを掛け合わせてDwell値を算出します。マイクロソフトさんとコムスコアさんと、アメリカで実際に行ったリサーチがあるのですが、Dwell値が高ければ高いほど、ブランディングに寄与するという結果がでました。具体的には、Dwell値が高いほどブランド系のキーワード検索の比率が高まり、ウェブサイトの閲覧数が増える、コンバージョンレートが向上するなどの傾向が立証されています。

有園:Dwellというのは日本では耳にしない指標だと思いますが、御社独自の指標と考えた場合、アメリカでは結構使われているのですか?

布施:Dwellは、メディアマインド独自の指標です。前述のマイクロソフトさんとコムスコアさんとのリサーチは三社で共同のホワイトペーパーも出しています。最近ようやく、ポストインプレッションが日本で市民権を得てきたと思います。これまでは、技術面での制限からクリック依存型の評価が中心になってきましたが、リッチメディアクリエイティブですと、接触のみで(クリックしてキャンペーンページに飛ばずに)エンゲージメントが完了しています。クリックされなかったからといって、評価しなくて良いのでしょうか。デジタルのクリエイティブを評価するうえで、CTRインタラクションという指標がありますが、インタラクションはマウスの動きをベースとしたしたものですので、マウスのアクションが多いほどインタラクションが上がる仕組みになっています。その場合、クローズボタンを押したこともインタラクションとして評価されてしまうという穴があります。そこでポジティブのアクティビティーだけを評価することを、第三者配信ベンダーが共通してやり始めましたが、動画が増えてきて、動画は視聴率なのでインタラクションが交わらなくなってきました。ですから、動画と実際のマウスエンゲージメントを総括して測る指標が必要だと。それを我々はDwellと呼んでいます。

有園:メディアマインドを使うと、アトリビューション分析がビュースルー含めた形で出来ます。なおかつ、リッチメディアを配信した場合には、Dwell値とコンバージョンがどうなっているか。Dwellスルーコンバージョンみたいな感じでしょうか?調査によるとDwell値が高ければブランド系キーワードの検索ボリュームが増えていると。私の知る限り、他のツールでできるところがないという理解で大丈夫ですか?

布施:Dwellはメディアマインド独自のKPIです。もちろん、他のツールが採用したいということであれば、我々も業界標準にすべく動いていますので、ウェルカムです。

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データ一元管理への道

有園:先ほど、第三者配信のメリットとしてデータを一元管理できるという話があったのですが、そうするとGoogleディスプレイネットワークのリマーケティングとか、それ以外のサービスを使わずに、御社の第三者配信エンジンだけでとったクッキーでリターゲティングの設定をしたほうが効率的のように思います。たとえば、Googleのリマーケティングを使うと同時に、御社のリターゲティングの設定をするのはちょっとナンセンスですか?

布施:併用は可能です。KPIとキャンペーン設計次第ですね。例えば、最初は媒体側のリマーケティングを利用して、ある程度のターゲットを分類したあとで、そこからキャンペーンマネジメントという概念でクリエイティブ評価も含めてコンバージョンを高めていくということになります。そうなると、リアルタイムなプランニングが必要です。媒体側のリマーケティングメニューだとリアルタイム性や媒体横断の観点から見ると自由度が下がってしまいます。そこを、フロントでメディアマインドをキャンペーンマネージメントツールとして置くことによって、活用範囲を広げます。アドエクスチェンジの世界でも同様です。DSP自体は第三者配信ですが、そこにキャンペーンマネジメントの機能が十分で無いのです。買ったものを出すという第三者配信であり、そこをどのように出していくのか。実際に出すものをどう変えていくのか。そこはリッチメディア の出番です。恐らく、将来的にはDSPでのリッチメディア対応もあると思います。しかし現時点では、その役割は純広告だと思います。


2/2に続く

昨年10月に開催されたCSS Nite LP, Disk 19「アクセス解析:事例紹介とGoogleアナリティクスの新機能」のフォローアップとして、小川 卓さん(リクルート)の『「なでしこJAPAN」に見るアトリビューションの重要性と最新動向〜Googleアナリティクスの新機能「マルチチャネル」活用術〜』のスライド、音声が公開されています。

http://cssnite.jp/archives/post_2252.html

リスティング広告に関する実際の運用の考え方、事例、将来展望などをまとめた書籍ですが、第3章でアトリビューションの背景、リスティング広告への影響などにも言及しています。

佐藤康夫、 杉原剛、 有園雄一、 岡田吉弘、 高崎青史、来田貴弘、 西原元一 著
定価:2,310円 (本体2,200円)
発売日:2011/12/09
形態:A5 (192ページ) /2色刷
ISBN:978-4-04-870360-4
発行:アスキー・メディアワークス
発売:角川グループパブリッシング

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リスティング広告 プロの思考回路

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2011年10月4日に開催されたAttribution Night 2011でのパネルディスカッションをテキストにしました。

パネラーは、以下の3人です。
アタラ合同会社 有園雄一
株式会社クロスリスティング 治田耕太郎
Fringe81株式会社 田中弦

Attribution Night


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有園:まず最初に、今日これだけお客様に来ていただき、アトリビューションは非常に盛り上がっている印象です。今日は3名のプレゼンもあり、アトリビューションに対して前向きな話をしてきました。アトリビューションがこれから普及していくにあたって、それぞれ課題に感じている点もるかと思います。パネルディスカッションでは、その辺のところを聞いていこうかと思います。田中さん、治田さん、よろしくお願いします。

田中:さっそくですが、新しいことをやっているので色々と課題はあります。まず、第三者配信。つまり、ビューデータを取るための課題があります。それは、メディアの受け入れ度合いという所かと思っています。

有園:メディアの受け入れ度合いですか?

田中:メディアが第三者配信で「配信しても良い」と言っていただけるかどうかというところは、「まだちょっとポリシーが固まってないんだよね」という方もいらっしゃいます。反対に「ぜんぜん大丈夫ですよ」というメディアさんもいらっしゃいます。そのあたりの足並みは、今後そろってくればなぁと思います。

有園:そこに関しては以前、「メディアは9割がた、第三者配信を受け入れOK」と聞きました。あってますか?

田中:それはあっていますが、やはり受け入れてないところもありますので。。。

有園:分かりました。各社さんでポリシーがあり、難しいところもあると思います。おおむね、ほとんどのメディアが受け入れてい状況ではあると?

田中:そうですね。ほとんどのメディアさんで受け入れは進んでいます。やっぱりビューの力は偉大です。今後はデータとしてきっちり主張できるようになります。なので、メディアにとってもこれはポジティブな話しだと思います。クリックがどの位あるという話しに加えて、「ビューをこれだけ見せたら、このぐらいサーチがありましたよ」というのは、メディアさんにとっても、主張すべきポイントだと思います。

有園:アトリビューションの視点から言うと、第三者配信エンジンを入れることは重要ですし、広告主側も第三者配信エンジンを使っての配信は必要だということですね?

田中:はい。

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有園:他に課題というと、どんなことが考えられますか?治田さんいかがでしょう?

治田:今日はネット専業に限らず、広告代理店の方もいらっしゃると思います。まず、大きく弊社の視点で言うと二点問題があります。一点目が、いわゆるリスティング広告とかディスプレイ広告というところで、いわゆるメディアごとの営業ファンクションや提案ファンクションが分かれているという所です。結局、アトリビューションをやる上で、横のつながりをきちんと視覚化しなければなりません。そこへのアプローチが、はたしてできているのかという点は、個人的に気がかりに思っています。二点目は、結局のところ「アトリビューション」と言うと聞こえはいいのですが、分かりやすく言うと、「消費者の行動をどれだけストーキングするか」という話と一歩間違えれば同じです。そうなってくると、プライバシーの議論であるとか、クッキーの整理だとか、そいった部分を業界を挙げて整備する必要性があると思っています。

有園:今の話は、クッキーが入ってる限りは、ずっとユーザーの動きが取れるようになっているということで、それがストーカーのようだということですね。このあたりの話って、アメリカの方ではどうなっているのですか?

治田:実際にアメリカの方では、NAI(http://www.networkadvertising.org/)やDAA(http://www.aboutads.info/)といった業界団体が一括してクッキーをオプトアウトするといったことが、標準としてやられています。しかし、残念ながら日本では、クッキーを共通でオプトアウトしてユーザーのプライバシーを守っていこうなどといったところは、出遅れているのが現状だと思います。

有園:NAIとかは、ポリシーや基準を作っているのですか?

治田:厳密に言うと、ポリシー自体は、いわゆる業界各社あります。消費者に対してクッキーを無効に出来る機能を提供している場所が、日本にはないというのが最大の問題かなと思います。

有園:いつも同じ広告が出てきて、ストーカーみたいな感じを与えて、ユーザーから嫌われる。そういう部分の整理が必要ということですね?

治田:そうですね。

有園:アトリビューションが盛り上がっていく上で、他に課題として感じている点はありますか?

田中:アトリビューションに対する適切な日本語の訳語がありません。これも普及の課題としてはあるのかなと思っています。

有園:言葉の問題はありますね。私も「アトリビューションスコア」と呼んだりしてますが、アトリビューションの訳語はあんまり考えていませんでした。いい翻訳があったら教えてほしいですね。

田中:「コンバージョン」は「成果」って訳しやすいです。しかし、「アトリビューション」を「属性」とは訳しません。

有園:「アトリビューション」は「貢献度」でいかがですか?ちなみにアルクの「英辞郎」という辞書があるのですが、あそこで「Attribution Analysis」と調べると、「要因分析」と出てきます。もともとは、ネット業界ではなく金融業界で「アトリビューション分析」という言葉が存在するようです。どの要因で、何が、どれだけリターンがあったかという点を分析するという話です。インターネット広告業界では、Conversion Attribution などという言葉がありますが、私は「コンバージョンへの貢献度」と呼んだりしているのですが、私自身は「アトリビューション」を翻訳せずに「アトリビューション」で広めちゃえばいいと思っています。

田中:未来について話をしましょうか?

有園:未来の話と言えば、アトリビューション分析をやる際、データ量がすごく多いので大変です。分析するのにサーバーなどを用意しなければなりません。そうやって分析をするとお金がかかるのです。アトリビューションが普及するためには、もっと安くできるかどうかが非常に大きな問題かと思います。

田中:弊社では現在、第三者配信エンジンの提供自体は多分一般的な値段の三分の一くらいの値段でご提供しています。コンバージョンパス分析も、どういう所から来ているのか、しかもそれをちゃんと五分類に類型化して、シンプルな意思決定が簡単に出来るようなツールも開発しています。いろいろな広告主さんに使っていただけるよう、まずは普及を前提に安い値段を設定したいと思っています。

有園:そうすると近い将来、御社の第三者配信エンジンを使うとコンバージョンパスデータが安く手に入るようになるということですか?

田中:そうです!

有園:ありがとうございます。実は、私はデータを受け取って分析する側なので、必要なデータが安く手に入らない限り、アトリビューションは普及しないと思っています。治田さんに質問です。先ほど、プレゼンされた態度変容についての検索データは、趣味でなさっていることだと伺いましたが、その趣味は今後ビジネス化していくのですか?

治田:今回も弊社スタッフを駆り出しているので、そろそろ趣味の域を卒業しますという意思表示として受け止めていただいて構いません。先ほど言ったプライバシーの話ですとか、いろいろな調整が済めば、弊社としては先ほど見せたデータを外部にご提供するということは検討しております。実際、弊社のレモーラリスティングに掲載していただいていれば、大概のクライアントであのデータを取ることは出来ると思います。そういう意味では、特にコンバージョンパスが長い広告主様あたりは、いまのうちにレモーラリスティングを出稿しておいた方が、今後何かと良いのではないかと思います。

有園:なるほど。レモーラリスティングを出稿していないと、そのデータは得られないのですよね?

治田:当然、弊社のコンバージョンタグが入ってないと追えないので。ただ、データの提供方法はいろいろあると思っています。最終的には、出来るだけカジュアルに提供するというのは方針として考えています。それで暴利をむさぼるということは基本無いです。

有園:いずれビジネスに繋がっていくということですね。態度変容とかがある程度見えるようになって、第三者配信エンジンが入っていればビュースルーでのコンバージョンに至る過程も見えてくる。これが、来年には一般化するかも、と考えておけばいいですか?

田中:弊社のデータを見る限りでは、明らかに80%くらいはブルーオーシャンです。結構なインパクトがあると思っています。弊社は、一般的な効果測定ツールと同じような値段でやっています。相当カジュアルに、この価値が上手く提供できて、成功事例が出てくれば一気に広まるのではと思っています。

有園:アトリビューション分析、あるいはアトリビューションのマネージメントをやることによって、どんな効果があるものでしょうか?例えば、コンバージョンが増えるとか。メディアや広告主、そして広告代理店のそれぞれに対して、どんなメリットがあると考えていらっしゃいますか?

田中:個別最適の時代は終わったと思います。ディスプレイとサーチと、変な話メールもアフィリエイトも、全部が顧客接点です。その顧客接点をどうやって組み合わせていくか。テレビや雑誌も同じだと思うんですよ。データを全部かき集めて、すべて最適化していく時代になっていくと思っています。それぞれ良いところ、悪いところ、得意なところ、不得意なところがあります。それぞれをパーツとしてシンクロしていくことになるでしょう。すべての人が関係しているし、関係ない人はいないと思います。

有園:関係ない人はいないということは、上手くいけばすべての人に対してメリットがあるということですか?

田中:個別最適でも、やるべきことはまだまだあります。が、組み合わせて初めて見える世界もありますし、実際に効果も出てきています。

治田:最終的に、インターネット広告はダイレクトレスポンスに偏りがちじゃないですか。有園さんのプレゼンでもあったように、結局はアトリビューション分析することで、コンバージョンの母数が上がってきますよと。コンバージョン母数が上がってくるということは、ダイレクトレスポンス系の広告である以上は、市場の拡大を意味するはずなんです。そうなってくれば、媒体ですとか代理店だとか広告主の三者三様のメリットは絶対にある訳ですし、結局それにかかるコストとそれに対するリターンがどれ位のバランスで均衡するかは正直やってみなければ分からないと思います。少なくとも、先ほどの田中さんの説明にもありましたように、80パーセントはブルーオーシャンで手付かずの領域である以上は、ちょっと頑張るだけでまだまだ開拓する余地はあるということは間違いないかと思っています。

有園:アトリビューション分析をすると、広告主も媒体社も両方ハッピーになれる可能性がある。もちろん、そこの間に入っている広告代理店にもメリットがあるということですね。上手くやれば、すべてのプレイヤーにある程度メリットあるものが提供できますね。分析していて分かることですが、媒体社または媒体の枠によっては、出稿を増やした方がいいと評価されるものもあります。その一方で、ここはコンバージョン率があまり上がっていない、初回、中間を見ても、あるいはビュースルーを見ても繋がっていないので、ここの出稿は止めようというふうになる所も出てきます。なので媒体社によっては、お金という部分で経済的なメリットがあるところもあれば、全然効果が出ないというところもあります。そういうところは、どんどん使われなくなっていく可能性も、アトリビューション分析によってさらに出てくるのかなと。媒体がきちんとメリットが出せるように考えていかないといけないだろうなと感じています。

治田:そう思いますよ。

有園:他に第三者配信エンジンというところでアトリビューションに関わっているのですが、なぜ田中さんはアジテートするのですか?

田中:面白いじゃないですか。市場を変革することってワクワクします。だからやってます。

有園:田中さんは革命だと仰っていますが、革命のポイントを教えてください。

田中:やっぱり個別最適から、組み合わせ最適へ、これにつきますよね。結局、個別最適はタレントをいかに一生懸命そろえるか、巨人軍みたいなやり方だと思います。でも、組み合わせ最適はチームプレーなのでそのチームプレーをいかに上手くやれるかというと、市場は変わりやすいのかなと思ってます。

有園:第三者配信をやろうと思ったきっかけと、アトリビューションに注目したきっかけって違うような気もするのですが。もともと、第三者配信をやろうと思った時からアトリビューション分析に注目してたのですか?

田中:僕はどちらかというと検索の人ではなくてバナーの人なので、バナーが完全に貶められてるという部分が許せん、というのがありまして。それがきっかけです。

有園:バナーの価値をより上げるためにですか?

田中:それもありますね。やっぱり媒体社にとってバナーって売上を上げる主力だったりするので、そこの価値を再構築するっていうのはテーマとして非常に面白いなと思っています。

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有園:同じ視点ですが、治田さんは、クロスリスティングさんにいて、どうしてアトリビューションに注目されたのですか?

治田:もともとはオーバーチェア時代に提供していた「アシスト」という機能というか数字から、いわゆる直接コンバージョンに至らなかった広告接触をどう評価するかという部分を趣味としてずっと考えていたわけです。それで、先ほどの態度変容の話というのは、別にリスティングの話ではなくて、検索ログから消費者の悩みって見えるよね、というのを明示しただけであって、そこにリスティング広告を介在する必要性は無いわけです。ただ、最終的に消費者の行動をきちんと見ることをしないで、アトリビューションがその後広がるかと言ったら多分広がらないと思います。その上では、あのデータは皆さんにとっては使い勝手があろう物なので、我々としてはそれを適切な形で提供して、適切な形で我々が収益するという流れに持って行きたいです。

有園:オーバーチェアの頃からというと、4、5年前からですか?

治田:厳密に結うと、2005年からですね。2005年から日々寝る前の30分、どうやって間接的な効果を測定しようか悩んでました。

有園:「アシスト」という言葉が出たので、ここは確認しておきましょう。「アシスト」とか「間接効果」と「アトリビューション」はちょっと違うという話も出ますが、治田さんどうお考えですか?

治田:間接効果という言葉自体は、正直もう終わりにした方がいいと思います。インターネット広告をやる以上は、絶対に何かしら目的があるはずです。その目的に対して、それぞれのタッチポイントがどう貢献したのかという部分を、統合的に分析しなければ意味が無い。これは間接的に貢献しましたよ、これは直接的に貢献しましたよ、という話ではなくて。先ほどの有園さんの話ではないのですが、それぞれがそれぞれの役割を演じた結果の目的達成であって、役割を果たしたのであれば全部効果でいいじゃん、という話です。

有園:間接とか直接とか言わなくても良いのでは、ということですね。

治田:「アトリビューション」を「間接効果」って言う人は、ちょっと観点が違うと個人的には思っています。

有園:なるほど。ちょっと時間がなくなってきましたので、それではここで、質疑応答に入らせていただきましょう。せっかくなのでこの3人に聞いてみたい事がある方は挙手をお願いします。

【以上】

*録音音声の関係で、この後の質疑応答セッションは割愛させていただきます。何卒ご了承願います。

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