アトリビューション関連の記事は今後Unyoo.jpに引き継がれます

unyoo-jp takes over the role of attribution-jp

2009年からアトリビューション関連の記事を専門にお伝えしてきた Attribution.jp は、「アトリビューション?なにそれ?」と言われていた当時から約6年が経ち、現在ではデジタルキャンペーンの評価に当然のように組み込まれることとなりました。テクノロジーの進化に伴って、以前よりスピーディかつかんたんに分析できる環境が整ってきた一方で、オフラインデータを始めとして組み込まれる変数は増え、マーケティングの基本的な概念の一つとして認知されるようになってきました。

アトリビューションは、分析だけでは価値を生みません。そこから実施を伴うアトリビューションマネジメントによって成果を臨むものです。そして、アトリビューションマネジメントとは単なる予算の再配分ではなく、データドリブンな最適化を適切に回していく「運用」が伴ってはじめて実現するものだと考えています。

業界のトップランナーとの対談でも、アトリビューションという枠を前提としながらも、それを飛び越えてキャンペーンマネジメントの実務と事例に言及することが増えてきました。アトリビューションが机上の空論ではなく、分析や施策の現場で、当たり前のように扱われてきていることを実感しています。
 
そこで、アトリビューションの概念をお伝えするという Attribution.jp が初期に設定していたメディアとしての役割は達成したと考え、より実践的な内容を扱う Unyoo.jp にその役割を移管させて頂きます。

Unyoo.jp では、ニュース記事や「コラムの分析・アトリビューション」カテゴリで引き続きアトリビューション関連の記事を扱っていくほか、トップランナーのみなさんとの対談もこれまで以上に増やしていきたいと考えておりますので、Attribution.jp 同様、ご愛読願えますと幸いです。

過去記事はアーカイブとして残し、これまでリンクして頂いた記事がリンク切れ等にならないようメンテナンスしていく予定です。今後ともどうぞ宜しくお願い致します!

リンク:Unyoo.jp

思慮深いアトリくんありがとうございました!

Sizmek、abakusと連携し高度な統合アトリビューションサービスの提供開始を発表

リンク:Sizmek and Abakus Announce Integrated Advanced Attribution

 

2014年11月20日、第三者配信などのデジタルキャペーン統合プラットフォームを手がけるSizmekは、アトリビューションベンダーのAbakusとの提携を発表しました。

 

これにより、Abakusのアトリビューション機能がSizmekの MDX Platform(デジタル広告配信マネジメントプラットフォーム)」に組み込まれ、直感的に操作できるメディアや施策の最適化が可能なダッシュボードが2014年12月から利用開始となるようです。

 

AbakusのCEOであるAlex Saldanhaは、「Sizmekとの連携により、広告主は瞬時にキャンペーンパフォーマンスを最大化し、様々なレベルで、メディアの粒度を把握・測定できるようになるだろう。」とコメントしています。

 

今回Sizmekに統合アトリビューションサービスを提供したAbakusは、先日発表されたForrester Researchのアトリビューション評価レポート『The Forrester Wave™: Cross-Channel Attribution Providers, Q4 2014』で、クロスチャネル・アトリビューションの8強として選出されています。

 

関連記事はこちら:

Forresterレポートから見る、アトリビューションベンダーの勢力図の変動 | Unyoo.jp – 広告運用の情報サイト

 

 

はちまきアトリくん
【アトリくんの視点】オンラインでのアトリビューション分析を行う上で第三者配信サービスとの接続はほぼ必須ですが、3PAS側のダッシュボードにアトリビューション機能が組み込まれることで、広告サーバーによる横断計測のみならず、キャンペーンの最適化というアクションに繋がるようになったのは大きな一歩だと思います!

【海外ニュース】日本ランズエンド、EC売上高が20%増加~アトリビューション分析による新規獲得が奏功

リンク:日本ランズエンド、アトリビューション分析による新規獲得が奏功し、EC売上高が20%増加日経デジタルマーケティング

 

上質カジュアル・ファッション通販会社である日本ランズエンドは、消費者が同社のEC(電子商取引)サイトで商品購入に至るまでのコンバージョンパスを、デジタルマーケティング支援会社ビービットが提供する広告効果測定機能「WebAntenna」を主に活用しながら把握しており、今回の結果につながったようです。

 

ネット広告を出稿している各メディアのパフォーマンスを間接効果も含めて月次で評価し、効果の最大化につなげているとのことです。

 

 

*この記事は、日経デジタルマーケティングの定期購読者向けの記事です。

 

アトリビューション特別対談:デジタルでも電通は真のリーダーになる 〜1年で急成長したネクステッジ電通に迫る

attribution.jpNextage1

 
ネクステッジ電通とは

有園:株式会社ネクステッジ電通の代表取締役社長COO、杉浦友彦さんをお招きして、お話を伺います。さっそくですが、ネクステッジ電通の設立は、2013年の5月ですよね。

杉浦:設立は5月ですが、本格的な営業開始は10月です。会社登記は2013年5月23日で、それと同時にプレスリリースを発表しました。そこから四か月は採用などの準備期間にあてて、大きく動きだしたのが10月からです。

有園:単刀直入に伺いますが、ちょうど1年ほど経過して、どうですか?

杉浦:駆け抜けている、突っ走っている感じですかね。

有園:きっと、すごく忙しいんだろうなって思っているんですが。

杉浦:ほどほどです(笑)

有園:御社のことを、まだ詳しくは、ご存じない方もいらっしゃると思うので、何をされているのか、簡単にご説明いただけますか。

杉浦:キーワードとしては、パフォーマンスマーケティングの会社と定義をしています。欧米で、そのまま直訳すると、業績マーケティングとか言われることもありますが、基本的には成果を出すための、成果に直結するためのマーケティングを行っている会社です。これって、いままでのダイレクトマーケティングが進化した形になっているかと思うのですが、明確なKPI、成果を定めて、そこに対してPDCAを回し、KPIを改善していくところに立脚したエージェンシーです。当り前のように聞こえるかもしれませんが、数値の明確な目標や、売り上げをいくら上げるのか、何件獲得するのかといったことに対して、あらゆる手段を尽くして数字を追いかけることを生業にしています。欧米だと、パフォーマンスエージェンシーと言えば、それだけで一つの業態があります。でも、日本だと、まだ、そこまで一般的に言われる言葉ではありません。いまは、デジタルパフォーマンスエージェンシーという言葉をつかうことが多いです。手段としてデジタルを使っています。そのほうが、改善のサイクルも回しやすいですし、成果も可視化しやすいので、まずはデジタルに軸足を置いています。広義な意味でいくと、あらゆる手段を講じて成果を上げていくところに立脚した事業を展開しています。

有園:そうすると、パフォーマンスメディアとよく呼ばれる分野を主に扱っていらっしゃるということで、よろしいでしょうか。

杉浦:はい。手段として、運用型のデジタル広告と呼ばれるような、リスティング広告、ディスプレイ広告、Facebook広告などが主になります。その周辺にある、バナーやランディングページなどのクリエイティブ、SEO、テクノロジーの導入や実装などが、どんどんくっついている感じです。

 
広告とテクノロジー

有園:いま、テクノロジーの導入が話に出ましたが、ここ2年、3年の業界の動きとして、たとえば、サイバーエージェントでは、アドテク本部を設立しました。アドテク本部で、テクノロジーや社内ツールなどの開発をしていると思われます。ネクステッジ電通でも、アドテクといった部分は、エンジニアを抱えて自社開発しているのでしょうか?

杉浦:自社開発しており、強化しているところでもあります。我々の場合、プロダクトセールスではなく、個々のクライアント向けに、オーダーメイドでカスタマイズすることが前提でテクノロジーを導入することが多いです。

有園:ソリューションを提供しているということでしょうか。

杉浦:完全にそうです。特に大型のお客さまの場合、既存のツールだけだと、痒いところに手が届かないような場合が多いので、そこを自社開発で補完します。レポーティングや入稿、定型の入札等、運用者のルーチン業務を自動化するようなこともありますし、タグのカスタマイズ、AdWords Scriptを活用した運用の高度化なども含まれますね。テクノロジー活用の目的の1つは、コンサルタントの負担となっているルーチン業務を合理化し、考える仕事、より付加価値の高い仕事にパワーを割けるようにすること。加えて、人では不可能な大量かつリアルタイムの処理をテクノロジーによって代替し、運用自体を高度化することです。

有園:私の印象では、業界内でのネクステッジ電通の存在感が急激に高まっている。いろいろなところで名前を聞くようになりましたので、社員数も売り上げもかなり伸びていっているということですよね。

杉浦:そうですね。お陰さまで。

有園:じつは、ここ1年ぐらいの間ですが、電通のイメージが変わったという話を何度か耳にしたことがあります。マス広告の会社だと思っていたのですがデジタル広告でも真のリーダーになりつつあるのではないか、というような話を聞きました。電通というか、そこで指しているのは、ネクステッジ電通なのです。それで今回はお話しをさせて頂きたいと思ってお伺いしました。
さて、売り上げもかなり伸びているということですが、ほとんどがリスティング広告ですか。

杉浦:今はリスティング広告の比重は大きいですね。売り上げでいうと、SEMとDSPを含むディスプレイ広告が中心になります。それ以外にも、フィーベースのコンサルティング仕事や、コンテンツ制作やSEOの受注も増えています。

有園:1年で急成長されたわけですね。

 
ネクステッジ電通の強み

杉浦:会社設立の背景にも関わるのですが、ネクステッジ電通は、まったく新しい会社というわけではありません。もともと、電通のなかで5年から6年くらい、この領域を深掘りしてやっていたチームが母体となっています。そういった意味で、営業面でも、ノウハウ面でも、過去の蓄積がかなりありました。そこを別会社の形にして、もっと機動的に拡大していこう、もっとスピーディに経営していこうという主旨がありました。そういう意味では、ゼロからスタートかというと、そうではありません。

 
ネクステッジ電通の設立経緯

有園:電通のなかで「ネクステッジ電通が必要だよね」って話になったのだと思いますが、なにがきっかけで、どういう経緯があったのでしょうか。

杉浦:お客さまのマーケティング環境がデジタル化していくなかで、KPIをきちんと追いかけてPDCAを回して成果を上げることに対して、お客さまの需要が、ものすごく高まっていました。でも、総合代理店のような大きな組織には、細かい運用や、リアルタイムで、デイリー、ウィークリー、マンスリーでレポートを出してチューニングしていくといった文化が馴染みにくい部分が、どうしてもあって。

有園:デイリーで運用するとか、ウィークリーでお客さまのところへ行って報告するとかが馴染みにくいというのは、重要なポイントですね。

杉浦:いままでの、いわゆるマス広告主体のキャンペーンのサイクルとは違います。総合代理店の過去50年、100年の歴史から考えると、見るデータも違います。パネルベースの調査があって、そこからターゲット分析をして、渾身のクリエイティブをつくって、三か月間回してキャンペーンを検証してといったのが、通常の広告コミュニケーションのサイクルです。一方、デジタルの運用型広告だと、デイリーのオペレーションは当り前です。でも、それを、いままでの総合代理店の社内に抱えて急拡大することは、人材確保の問題や、文化の浸透といったところで、なかなか競合他社のスピードにはついていけない面がある。それで、外に出して、もっとスピードを上げていく、体制を拡大していくという選択肢をとったわけです。

有園:僕が外から見ていると「かなり尖がっていたんだろうな、杉浦さん」というイメージなんですよ。

杉浦:尖がっていたかは分かりませんが(笑)異質ではあったと思います。17年間ずっとデジタルを追いかけている、デジタルネイティブなんで。

nextage1

 
1クリック10円なんて仕事ができるかよ!

有園:僕自身の経験を少し話しますと、10年ほど前の2004年頃はオーバーチュアという会社にいて、総合代理店さんの担当でした。当時、電通とも調査の仕事で関わったことがあり、一緒に仕事をすることもありました。総合広告代理店さんに対して「リスティング広告を拡販してください」というのが僕の仕事でしたが、総合広告代理店の人に説明してもなかなか理解してもらえない状況が続きました。あるとき、打ち合わせに行くと会議室に通されて、当時は社内で煙草を吸うことができた時代なのですが、担当者がいてスパーっと煙草を吸いながら「お前ら何しにきたんだっけ?」という雰囲気に包まれたことがあって。決して口ではそんなヒドイことは言わないですけど、そんな雰囲気があって(笑)で、実際に言われた言葉でいまでも覚えていることがあります。それを言った人が、いまどこで何をしているかは知りませんが「え?1クリック10円?そんな仕事できるかよ」と。どこの総合広告代理店さんだったかは伏せておきますけど。

杉浦:すごい発言ですね。

有園:ちょっと事情があって口論になった打ち合わせだったのです。「え?1クリック10円?そんな仕事できるかよ。俺たちが年間いくら売っているのか知っているか?」と言われました。それくらい、リスティング広告は相手にしてもらえない時代がありました。そんな時代なので、よくケンカみたいことをしていたのです。こっちもリスティング広告を売るために必死でしたから。もちろん、そういう本気のやり取りを通して、総合広告代理店さん、とくに、電通と博報堂にはたくさんのことを教えてもらい、苦労もしたけどその分だけ感謝もしています。

それが変わったんですよね。5年くらい前からですかね、状況がコロッと変わったというか、時代が変わったのか、僕の話を聞いてもらえるようになりました。電通や博報堂に呼ばれて、勉強会をおこなったりセミナーで話したりすることも増えて、総合広告代理店さんも、だいぶ状況が変わったなって有り難く思っています。

 
電通が運用型広告をやる

有園:実は僕、ネクステッジ電通には勝手に期待しているんです。

杉浦:ありがとうございます。

有園:「電通の中で運用型広告をやるんだ!」と意思表明した感じですよね。社内でやるのは難しいけれど、別会社でやるんだと。それって、僕が総合広告代理店さんにリスティング広告を苦労して売っていたころに比べると、隔世の感があります。理解してくれる人が増えることは、個人的にも嬉しいです。今後あらゆる広告が運用型広告になっていく流れからいくと、アメリカで最近でてきたプログラマティックTVで、AudienceXpress(http://www.audiencexpress.com/)という会社があります。AudienceXpressが、プログラマティックTVのプラットフォームを提供し始めていて、DSP/DMPを提供しているTURN社(http://turn-jp.com/)もAudienceXpressとパートナーシップを結んだという発表がありました。ちなみに、TURN社は電通ともパートナーシップを結んだと発表されたばかりですね。このAudienceXpressやTURN社のように、徐々に、テレビのバイイングにも運用型広告に近い仕組みが入り始めているようです。あくまでアメリカの話でまだまだ初期段階ですし、RTB(real-time bidding)ではないようですけど。

杉浦:なるほど。当然、そういう流れになるでしょうね。

 
メディアの環境や電通の今後

有園:このようなことが起きているなかで、杉浦さんは、どういう風に、この先を見ていますか?電通の第四代、代表取締役社長に吉田秀雄という方がいます。たしか、43歳で代表取締役社長に就任しています。

杉浦:そっかあ。4つしか変わらないじゃないですか。

有園:代表取締役社長に就任したのが1947年(昭和22年)で、戦後の混乱の時期でもあり、その頃のテレビの市場は新興で、吉田秀雄が作ったようなものだと思うんです。彼一人ではないと思いますが、市場を自分で作ったので、電通がリードして作ったことで、テレビの市場を圧倒的に押さえることになったんだろうな、と思います。そうすると、これからの次の時代のルールも主導して作る人がマーケットの主導権を握っていくという考え方もあるだろうと。そういう意味では、吉田秀雄は40代で社長になり、いまの時代に電通本体で40代の社長が誕生することは難しいと思いますが、40代という世代がアクティブに次のマーケットを作っていくべきだと思っています。そういったアナロジーで、ネクステッジ電通の社長である杉浦さんは、だいたい40代ですし、今後を、どのように見ているのかなと思いまして。

杉浦:それは、メディアの環境の話ですか?

有園:メディアの環境や電通は今後どう、ビジネスをしていくべきかを伺えれば。立場的に話せないこともたくさんあるとは思うのですが、あえて、聞いてみたいと思っています。

杉浦:メディア環境については、電通の広告ビジネス全体でいくと、テレビがいつの段階で、どういうスピードで、どう変わっていくのかは、生活者の視聴態度に大きく依存するというか、左右されると思います。テレビというビジネスについて、そこまで勉強もしていないので、僕に語る資格はないのですが、マスメディアとウェブサイトの統合分析や、最終的には売り上げに、どのくらい寄与できるかといったことに携わる機会が多いなかで言うと、いまだにテレビは圧倒的なパワーをもったメディアであることは事実です。現状、多くの企業にとって、テレビは外せないメディアであり、広告手段でもあります。それが、テレビを見ない世代、YouTubeなどの動画を見ている世代が消費の中心になっていくなかで、当然、世代が変わればジワジワと、いまよりもテレビのパワーは相対的に落ちていくリスクに晒されているとは思います。ただ、日本の場合、アメリカとは環境が大きく違い、アメリカは、多チャンネルで、ケーブルテレビで、コンテンツとチャネル、ディストリビューションが分断されているなかで、コンテンツのコングロマリットが、比較的メディアニュートラル、チャネルニュートラルなスタンスを取っているのかと思います。コンテンツを配信していく、ケーブルテレビにも出す、YouTubeにも出すと、しがらみのない環境で進化しています。チャネルの多様化は、アメリカの方がはるかに進みやすいです。一方、日本の場合、地上波のテレビ局が圧倒的なコンテンツプロバイダーであり、有限な電波を利用する権利も持っており、多チャンネル化が進むスピードは非常に遅いです。過去10年、20年を見ても、地上波のパワーが圧倒的です。マスコンテンツ、マスメディアのパワーが圧倒的という流れが続いています。いまだに、最高益を出しているキー局もあります。5年、10年で、業界が崩れるといったスピード感ではないと思っています。私は、意外とテレビの未来についてはポジティブです。いまも見逃し視聴の話や、ネットにもコンテンツを出していくといったところには、着々と手を打ち始めていますし。

有園:見逃し視聴って、この前、民放連の会長が発表された、見逃したテレビ番組をインターネット上で、無料で視聴できるという話でしょうか。

杉浦:そうです。CMモデルをバンドルした形で。そういった流れなど、ジワジワと新しい視聴スタイルが提唱されています。テレビは、リビングで見るものとは限らず、スマホやタブレットでも見るなど、ユーザのコンテンツの視聴スタイルにアジャストしていけば、コンテンツのパワーは、そんな簡単には崩れないと思っています。ただ、そこに差し込まれる広告が、どう差し込まれていくのか、プログラマティックなのか、ターゲティングなのか、アドレサブルでターゲティングが可能なのか、枠でしか買えないのかといったビジネスモデルは、これから作っていくことではあります。いまの運用型広告の世界に代表されるような、ターゲティングが可能で、運用が可能で、成果が見える化されていて、それを基にチューニングを繰り返していくところの、データドリブンな、広告の配信、出稿の流れは、不可逆的なもの、止められないものだと思います。ある日、突然、今日から広告がクリックできない、出稿できない、ターゲティングができなくなってマスの枠でしか買えないということにはなりません。そこが逆行することは考えづらいです。メディア環境がデジタルでITである限りは、そこをブレークスルーするプレイヤーは出てくると思うので。そこが不可逆的な流れである限りは、それに備えるスタンスです。別に、それが3年後なのか10年後なのか20年後なのかは分かりませんが、主従が逆転するというか、電通のような会社、少なくともお客さまの期待に応え続ける会社は、あらゆる手段を使ってやっていくので、避けては通れません。トップレベルの知見とやり方を磨いておかないとダメですよね。そこの競争力は担保するってことには、こだわっています。

okay3

 
データドリブンなマーケティングの方向へ進む

有園:不可逆的にデータドリブンなマーケティングの方向に進み、テレビも見逃し視聴に対応するような形で、ネットにコンテンツが出ていきます。徐々に、スマートテレビになっていくと思います。いま、スマートテレビとしてインターネットにつないでいるのが20パーセントくらいと聞いています。私見ですが、2020年の東京オリンピックのときにはテレビを新しく買う人も増え、そのときにはスマートテレビしか売っていないような状況になるので、スマートテレビが日本の50パーセントくらいの家庭に入っているのではないかと思っています。そうなると、テレビというものが、これまでの放送波表示用端末ではなく、ディスプレイとしての役割を担うようになります。YouTubeを見たり、Huluを見たり、ついでに地上波も見ることができるってことになると、キー局を中心にコンテンツのパワーが強いといっても分散しますよね。

杉浦:はい、そうなるかと思います。

有園:結局、いままでテレビが強かった理由は、独占的にリーチを稼げるメディアだったからではないかと考えています。いまもそうですが、それが崩れる瞬間がくるかもしれないとしたら、スマートテレビ化されてチャネルが分散化したときでしょうか。テレビを見ながらアプリも使えるしゲームで遊べるってことが普通になってしまうとどうなるんだろうか、と。アテンションエコノミーという話が昔ありました。御社だと秋山隆平さんの『情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか』とか。「情報化時代」から「情報過剰時代」になって情報の価値が暴落し始めている、という話。

杉浦:はいはい。

有園:『情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか』にも書いてありますが、アテンションがとれるから価値があったというところが崩れ始めるような気もしていて。次のビジネスモデルとしてテレビ番組の見逃し視聴をネットでやると、どうなるのかなと。リニアなテレビ放送時と同じCMを流すのか、それとも異なる広告主のCMをネットの見逃し視聴では流すのか、タイムの番組はどうなるのでしょうか、とか、考えなければならないことがたくさんありそうですよね。きっと、いまの40代前後の方々がそのビジネスを作っていくことになるんだろうなと思っています。

杉浦:そうですね。

有園:杉浦さんの答えは、そのような変化に備えていくスタンスなのかなと思ったのですが。

 
手段では領域をきらない、普遍的なパフォーマンスマーケティング

杉浦:そこの流れは当然あるなかで、ネクステッジ電通が追いかけている領域は普遍的で、手段はどうなっても対応できる、どちらかというとメンタリティに近いようなものです。データを可視化し、分析し、新しい手段を常にキャッチアップしながら、トライして、改善して、マーケティングの精度を高めていく姿勢。そんなメンタリティをコアにしています。どうなっても良い部分しか追いかけていません。その意味で、今は、その手段との1つとして、リスティング広告がもっとも効果的、効率的で、シャープにチューニングができる、ということです。そこでのターゲティングや施策改善のノウハウは今後、スマートテレビに配信される広告、デジタルサイネージ、アプリ、オウンドメディアなどの領域にも応用可能です。手段では領域をきっていないのが、我々のスタンスです。なにより、そこで鍛えられた人材こそが、次の広告・マーケティング業界における主役になっていくと信じています。

有園:ネクステッジ電通は、どこに向かっていくのでしょうか。たとえば、ネット専業代理店に対抗していくのでしょうか。

杉浦:もちろん、期待される部分としては、あると思っています。ただ、ネット専業代理店に比べると、長期目線で成果を上げる方法を研究開発しながら磨いていくところが、我々の特徴的なスタンスです。いまのデジタルの運用型広告だけで解決できるとは思っていないので、いかに電通がもっている資産や強み、専門性を掛け算していくかにこだわっています。長期目線と掛け算が、専業代理店とのポジションの違いかなと。真剣に次のデジタルのマーケティングを追求しているお客さまと、ガッチリご一緒するような仕事のやり方です。お客さまと同じ目線で次のマーケティングを作り上げた結果に数字がついきますので。売上の規模は、求めるものではなくて物差しみたいなものですかね。

okay1

 
電通が抱える問題

有園:話せないかもしれませんが、これまで「電通に問題がある」という思いもあったはずだと思うのですが、そのあたりはいかがですか。

杉浦:過去の成功体験や守るものがあるぶん、大きく舵は取りづらくなります。それは、電通に限らず大会社のジレンマだと思います。その中で日々、変化して、ビジネス自体のパラダイムや価値観も変わろうとしていて電通本体では速やかに動かせないようなビジネスについて、外に出してやることは理にかなっているので、そこに着実に対応していくのは電通の凄い部分かなと。以前、EvernoteのCEOが100年続く会社を分析したら、80パーセントが日本企業だったと言っていましたが、100年続く会社というのはなんだかんだで浄化作用が働いていて、正しい方向に向かおうとする力だったり、そういう信念を持っている人間だったり、それを応援する人や組織が存在すると思うんです。そうじゃないと続かないので。だから、そこはあまり悲観していません。逆に、いまの電通のエネルギーの良い部分を、どう巻き込んで、デジタルネイティブの視点で変えていくかですね。仕事自体は、やりがいがありますし、お客さまのためにも、広告業界のためにも大きな意味があると思っています。

有園:電通に問題がありますか?というのも意地悪な聞き方でした。ところで、私がいつもスゴイなって思うことがあります。電通も博報堂も懐が深いですよね。たとえば、クリエイターと呼ばれる方の中には、けっこう変な人もいますよね。突拍子もないことを言い出したり、尖がったことを言ったり。そうした、いろいろな意見を吸収できるだけの包容力があるというか。新卒が生意気なことを言っても、筋が通ったよい意見は尊重されるじゃないですか。でも、他の会社では、部長が意見を言うと周りの人は何も言わなくなるような打ち合わせを見かけることもあります。上の人が何か言って、下の人から反対意見が普通にでる。それが、普通なのが広告業界というか。電通や博報堂のフラットなとてもよい文化だと思っています。

杉浦:そうだと思います。

有園:その辺は、他の業界や会社とだいぶ違うところもある。いろいろな人を許容できるっていうなかで、電通はネクステッジ電通を作って次に備えています。これも、懐の深い会社だからできることなのかなと。

杉浦:普通はやらせてもらえないですよね。

 
「日本の広告業界をどうするべきか」という視点で物を考える

有園:電通の人と仕事をしていて、他の代理店と一番違うなって感じるところがあります。競合他社の動きを気にするのは普通のことなので、博報堂やサイバーエージェントは「電通どうしているんだろう」と気にして、電通も「博報堂はどうしているだろう」「サイバーエージェントはどうしているだろう」と気にされていると思います。ただ、電通には、他社を気にする一方で、「日本の広告業界って、どうあるべきなんだろう」あるいは「日本はどうあるべきか」と考えている人がいます。そうしたことを考えているのは、圧倒的に電通の方に多いんです。他社で「日本の広告業界をどうするべきか」という視点で発想されている方はあまり多くないと思っています。

 
日本の広告業界における課題

有園:比較的、電通の方は、そうした意識があって。運用型広告とマス広告を、どうマージして、よりレベルの高い広告を日本でどのように提供していくかといった視点をお持ちである、電通の杉浦さんへ最後に伺います。今後、日本の広告業界における課題とは、なんだと思われますか?デジタルに立脚している杉浦さんの視点では、どう見えているのでしょうか?

杉浦:いろいろなところで分断が起きていることが課題です。私がやっている、デジタルのパフォーマンス領域と、電通がメインでやってきたマス寄りのマーケティングの世界が分断されているがゆえに、お客さまの課題解決に結び付かないことが多いのです。マスは電通だけど、デジタルはネット専業ってことになっていたり。クリエイティブひとつとっても、プロフェッショナルな人間がデジタルな世界に流れ込んでいるとも言えませんし、分析に関しては近づき始めたかもしれませんが、世界が分断されていて融合されていないのは、お客さまのためになりません。主従みたいな関係になっているのも課題です。主が広告主の広告宣伝部で、デジタルは運用に求められれば子会社がやればいいみたいな話になることも。そこには、対応面の違いが存在して、川上、川下という区分けで語られたり。細部に習熟した、データドリブンなマーケティングを極めている人間が、もっと業界の主役になっていく、少なくとも、それだけが偉いわけではありませんが、マスメディアのビックアイディアを作れるクリエイターと並び立つくらいの、精度を担保できるマーケッターが活躍して主役にならないと、日本のマーケティングは進化しないと思います。ざっくりしたマーケティングの域をでないと。欧米は、もっと進んでいます。デジタルマーケッターの地位の高さ、経営トップからの注目度も違います。日本も、それを是正しないと遅れをとりますね。

有園:これまで、ビックアイディアを作るのをクリエイターやマーケッターが主導してきたところに、データに基づいてマーケティングをする機能が、もっと強くならないといけないということでしょうか?

杉浦:そうですね。

有園:それって、そっくりそのまま電通の中で起こっていることでしょうか?

杉浦:けっこうなスピードで起こっていると思います。

有園:電通に、コミュニケーションデザインセンター(CDC)というのがありますよね。外から見ていると、そこにいる人たちって、すごそうなんですよ。そこで有名なCMをつくったりしているんですよね?あと、統合データ・ソリューションセンター(IDSC)ができましたよね。そこにいる人たちも、すごそうです。CDCとIDSCって、電通のクリエイティブ側の頭脳とデータ側の頭脳の両輪なんじゃないかと勝手に思っています。IDSCの流れをくむ形でネクステッジ電通があるのかなと。

杉浦:そうですね。一緒に仕事をすることはドンドン増えてきた感じです。

 
日本の広告業界で求められるのは「コンサルティング力」

有園:ちなみに、僕が考える日本の広告業界の課題は、あるいは、広告代理店の課題ですが、コンサルティング力だと思っています。運用型広告が出てくると、効果が下がった理由(上がった理由)を説明しなくてはならなくなります。ロジカルに説明しなくてはならない。改善案を提案する必要があります。でも、マス広告は、そういうことを日常的には要求されてこなかったと思います。コンサルティングを、きちっとする必要がありませんでした。マス広告ってそういう商品だから。でも、運用型広告が出てきて、テレビも含めて仮にスマート広告になって、テレビCMがオーディエンスターゲティングできることになったら、コンサルティング力を高めないと対応できなくなってくるかと。

杉浦:はい、その流れはあるかと思います。

有園:これから5年から6年は、コンサルティング力の有無が問題になると思います。これは、ネット専業の広告代理店においても同様です。単なるバナー広告のメニューを売っているだけでは通用しなくなりつつある。DSP/SSP/RTBの時代になり、かつ、DMPも登場し、Facebookの広告などもそうですが、運用型広告になっていく。また、デバイスもPC、スマホ、タブレット、スマートテレビ、ウエアラブルデバイス、自動運転車などと広がっていく。そのことで、必要になるのが、コンサルティング能力だと思っています。たとえば、DMPを真面目に導入しようと思うと、最低限の技術的な理解とコンサルティング能力が必須になりますしね。

杉浦:欧米に比べると、広告主と代理店の関係は違うかもしれませんが、コンサルティング能力が今にも増して必要になるのは確かだと思います。マーケティング環境も複雑化しているので、いままでどおり、CMと良いクリエイティブを用意して、ウェブはこのセオリーでSEMとSEOをといった話では通用しなくなっています。複雑化するメディア環境のなかでも、いかに芯の部分を抜き出して最適に組み合わせることができるか、ちゃんとしたコース料理にして出さないと、お客さまも納得しない。単品売りでメニューを売って稼げる時代は終わりに近づきつつある印象です

有園:そうなんですよね。

杉浦:僕らにとっては、そこは逆にチャンスだと思っています。実際に運用するのはリスティング広告だったとしても、我々のPDCAのやり方は多くの専業代理店とは似て非なるものと自負しています。リスティング広告の細かい各論の話だけではなく、全体の大きな戦略とブリッジした形で的確に説明して、そっちに、お客さまと一緒に向かっていく、発展させていく方向で、施策を細かくやるっていうよりは全体の大きな戦略に向かっていけるかどうかが、すごく重要だと思っています。ネクステッジ電通のやり方は、その違いが外から分かりにくいかもしれませんが、コンサルティング能力を高めることはポイントだと思います。なぜなら、環境が複雑化しているからです。お客さまからも、明解な説明や方向付けが求められています。いままでだと、インプレション、CTR、CVR、CPAみたいな。「コンバージョンが下がりました、なぜならCVRが下がったからです」みたいな話が、よくあったじゃないですか(笑)

有園:いまでもありますよ(笑)

杉浦:「CPAが高騰したのは、CVRが下がったからです」とかって、結局、何も言っていないのに等しいです。コンサルティングのできる人を何人育てることができるのか。それが勝負ですね。

有園:ありがとうございました。

 

okay0

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

対談者プロフィール

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

株式会社ネクステッジ電通

代表取締役社長 COO

杉浦 友彦  Sugiura Tomohiko

 

慶応義塾大学経済学部卒業後、1998年電通入社。2009年コロンビア大学ビジネススクール通信情報研究所(CITI)客員研究員。デジタル・マーケティング経験15年。電通フューズ、電通イーマーケティングワンなど専門会社の立ち上げに参画し、Webコンサルティングおよび、オンライン広告のROIマネジメント業務を担当。主にEコマース
、金融・保険サービスの顧客獲得支援や、IT、自動車業界向けのeマーケティング戦略立案・PDCA運用業務に携わる。併せて、マス広告×Web統合分析のメソッド開発や、オンライン広告プランニング最適化、アトリビューション分析等、独自のデジタル・マーケティング最適化ツール開発を主導。電通のデジタル・ビジネス局、ダイレクトマーケティング・ビジネス局を経て、2013年パフォーマンスマーケティング専門会社「(株)ネクステッジ電通」を立ち上げ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

バンザイするアトリくん
【アトリくんの視点】

常にナンバーワンを求められる電通という企業の挟持を垣間見ることができ、思わずアトリの背筋もピンと伸びました!
スマートテレビに代表されるような環境の変化によってすべての広告が運用型に変わりつつある時代に合わせ、日本の運用型広告を牽引する存在としてのネクステッジ電通のみなさんの視点の高さを感じました!杉浦さん、貴重なお話ありがとうございました!

【海外ニュース】Forresterがクロスチャネル・アトリビューション評価レポートの最新版をリリース

2014年11月7日、約2年ぶりに発表されたForrester Researchのアトリビューション最新レポート『The Forrester Wave™: Cross-Channel Attribution Providers, Q4 2014』によってクロスチャネル・アトリビューション業界の企業8強が発表されました。

 

【元記事】Forrester Wave: Platforms, Commerce Companies Vie For Top Attribution Vendor Title ~AdExchanger

http://www.adexchanger.com/platforms/forrester-wave-platforms-commerce-companies-vie-for-top-attribution-vendor-title/

 

今年5月に立て続けにGoogle, AOLがそれぞれアトリビューション技術会社のAdometryとConvertroを買収しているなど、変化が進んでいますので、2年前のレポートとは違った評価になっているようです。今回のレポートでは、Abakus, AOL/Convertro, eBay Enterprise, Google/Adometry, Marketing Evolution, MarketShare, Rakuten DC Storm, Visual IQの8つの企業が、高度なアルゴリズミックモデルを提供し、クロスチャネル・アトリビューション業界を牽引する企業として選出されました。

 

その中でも、Google、AOL/Convertro、Visual IQ の3社が最も評価の高い“Leader”として選出されています。

 

 

はちまきアトリくん
【アトリくんの視点】GoogleやAOLに限らず、eBay Enterprise(2011年にClearSaleing 買収)、Rakuten(今年5月にDC Storm買収)など高度なアトリビューション技術が大手IT企業に取り込まれるといった、アトリビューション業界におけるM&Aの波が加速しています。2年前のレポートでは最下位だったGoogleが今回はトップ選出であることからも、変化の波が今回のForresterのレポートにも顕著に表れていることが伺えます!

【海外ニュース】Ensightenが統合アトリビューション機能を発表~タグマネジメント最大化とオムニチャネルデータのアクティブ化を狙う~

 

10月28日、オムニチャネルデータとタグマネジメントの技術会社であるEnsighten (San Jose, CEO; Josh Manion)がEnsighten Attributionの導入を発表しました。

 

Ensighten Launches Integrated Attribution to Optimize Tag Management and Activate Omni-Channel Data

https://www.ensighten.com/company/newsroom/cat/press-release/ensighten-launches-integrated-attribution-optimize-tag-management#.VFZrP_l_vUX

 

Ensightenの提供しているプラットフォームであるEnsighten ManageとAgile Marketing Platformに新しく統合アトリビューション機能を組み込んだことで、マーケターはより容易なオムニチャネル広告キャンペーンの把握が可能になり、メディアに費やす余分な時間を減らすことが出来るようになるとのことです。

 

CEOであるJosh Manionは、「今回の統合アトリビューションとタグマネジメント機能によって、マーケターは広告費やカスタマー・エクスペリエンスを容易に最大化出来る。オフサイトやオフラインソースを加えたEnsighten Manageのデータは、Ensighten Attributionに統合化され、包括的なデータセットを基にしてより頑強な分析やモデリングが可能になる。」とコメントしています。

 

 

アトリちゃん
【アトリちゃんの視点】Ensightenは今年3月にタグマネジメント大手技術会社TagManを買収、続いて10月のマルチチャネル・マーケティング分析会社Anametrixを買収したことにより、高度なアトリビューション技術の導入やマルチチャネルなデータセットを通したマーケティング・アクションの最大化を実現しました。この両社の技術を組み込んだことが、今回の新しい統合アトリビューション機能、Ensighten Attributionの導入発表に大きく貢献したことが伺えます!

【海外記事】AOLが新しいアトリビューション有効化DMP , “ONE by AOL”を発表

 

Business Wireにて、米国大手インターネットサービス会社AOLが、アトリビューション機能を有効化した新しいデータマネジメントプラットフォーム(DMP)、 “ONE by AOL“を発表したことが紹介されています。

 

AOL Announces Attribution-Enabled Data Management Platform – A Milestone for ONE by AOL

http://www.businesswire.com/news/home/20140929006253/en/AOL-Announces-Attribution-Enabled-Data-Management-Platform—#.VDqkMPl_vUV

 

AOLの会長兼CEOであるTim Armstrongは、「広告市場はこれまでのラストクリック、サーチ重視の業界からマルチチャネルマーケティング業界へと移行しつつある。」とコメントし、アトリビューションの重要性を語っています。

 

ONE by AOLのシステム機能は以下の通りです。

 

クロスチャネル分析  広告主に対して統合化された、オーディエンスターゲティング向けのキャンペーンパフォーマンスを提供

プランニング  高度な予測とシナリオ分析でデータインサイトやオーディエンスのセグメント化が可能

アクティベーション  AOLのDSP、第三者配信(3PAS)によるDSPや直接的なパブリッシャーの購入か否かに関わらず、アドテク・エコシステムにおけるあらゆるメディアパートナーやプラットフォームを有効化

マルチタッチ・アトリビューション  広告主はオフライン、オンライン横断でのマーケティング施策の効果測定が可能

 

 

ハロウィンアトリくん
【アトリくんの視点】今年5月に、AOLがマルチタッチ・アトリビューション技術会社であるConvertroを買収したことにより、今回の”ONE by AOL”という新しいプラットフォームの発表が実現できたと言えます。AOLがマルチタッチの間接効果を測定可能なアトリビューション機能をうまく応用・拡大していることが伺えます!

アトリビューション特別対談:DMP最新動向~「AudienceOne」の魅力に迫る - モデューロ重原氏×アタラ有園

banner_img_modulo

有園:株式会社モデューロの代表取締役社長、重原洋祐さんをお招きして、データマネジメント事業「AudienceOne」の特徴や将来性、今後の展望などについてお話を伺います。

株式会社モデューロの成り立ち

重原:モデューロは2013年7月に立ち上がった会社で、株式会社アイメディアドライブが前身です。

アイメディアドライブは、DACグループのなかでは、アドネットワーク事業に従事していた会社です。もともとは、アメリカのオーディエンス・サイエンス社のサービスを、日本で独占販売する契約をDACグループが結び、行動ターゲティングと呼ばれているターゲット広告をいち早く導入しました。

有園:impActネットワーク自体は古くからありますよね?

重原:1998年からでしょうか。2006年頃に株式会社アイメディアドライブという会社を立ち上げたタイミングで、impActネットワークとしてリブランディングし、行動ターゲティング商品を販売する事で、オーディエンスデータの運用ノウハウを身につけていきました。

そのような中、ここ数年でDSP市場が拡大。オーディエンスデータの利用が期待できる市場が整った事で、データ領域への対応を2012年頃から協議していました。

従来、最新のアドテクノロジーと呼ばれるものは、海外から輸入して使うケースが多かったのですが、データというものは、それぞれの国の市場というか考え方というか、傾向があらわれるんですよね。あとは使い方が、国によって違うのではないかなと思ったりもして。海外だと、クレジットカード会社がデータを管理して、使える状態にして販売するケースがあります。でも、日本だと、データを販売することや提供する事に対して非常に高いハードルが有ります。

そのように、海外と日本ではデータの使い方が違うだろうから、海外のものを、そのまま利用しても、利用方法が異なる事が想定される日本では、ビジネスにはまらないのではないかと思っていました。

ずっと研究してきたなかで、自分たちで構築したほうがよいのではないかということで、DACグループでDMPを構築することになりました。僕は、アイメディアドライブでデータを扱っていたので、そのプロジェクトに参加して、ビジネスモデルの構築を担当。その後、1年くらいかけて準備し、2013年4月1日にローンチを行いました。

img_modulo_shigehara

社名の「モデューロ」に込められた意味

有園:以前は、株式会社アイメディアドライブにいらしたけれど、いまは株式会社モデューロにいらっしゃるわけですね。ちなみに、ずっと聞きたかったんですが、「モデューロ」ってどういう意味ですか?

重原:AudienceOneの事業を行う事で、アドネットワーク単体の会社からリブランディングを行う必要があるかなと思い「モデューロ」を設立致しました。ちなみに「モデューロ」は造語なんです。意味としては「物事をシンプルにする」という。

有園:「モジュール」からきているんですか?

重原:そうです。「モジュール」の部分が、意味としては込められています。

有園:いろいろなデータを集めてきて、ソリューションにするときのハブになる「モジュール」になろうよってことですか?

重原:そういう意味です。さらには、僕らのビジネスのなかには、媒体社と広告主とユーザがいて、その三者を、うまくつなげていくという意味も込めています。いろいろな捉え方ができますが、僕らが関わるところを複雑ではなくシンプルにつなげていこうという意味を込めたのが、株式会社モデューロという会社名です。

株式会社モデューロの位置関係

有園:なるほど。資本関係としては、親会社が株式会社アイメディアドライブで、その子会社ということですね。株式会社アイメディアドライブの親会社がデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社なので、御社はDACグループの一つになると。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の親会社には博報堂がいるので、業界のなかでは博報堂系とくくられるわけですね。

重原:はい、博報堂DYさんとも様々な取り組みは今進めさせていただいております。

同じ日にリリースされた「AudienceOne」と「Xrost DMP」

有園:単刀直入に聞きます。AudienceOneを2013年4月1日にリリースされたわけですが、同じ日に、御社の競合にあたる株式会社オプトの子会社、株式会社Platform IDからXrost DMPのリリースが発表されました。同じ日にリリースが発表されたので、僕は「これ、エイプルフールなのかな?」って思ったくらいです。

重原:あれはすごい偶然で(笑)。我々はAudienceOneをAOneと社内で呼んでいます。そのためAOneであれば、April Oneだろうという事で4/1にリリースしました。

有園:いまや、御社のAudienceOneやPlatform IDのXrost DMPの登場を皮切りに、株式会社フリークアウトのDMPなど、日本国内でも、いろいろとDMPが立ち上がっています。ヤフーのDMPもでてくるなど動きがありますが、そんななかで、御社のAudienceOneは、どんな特徴があり、他とはなにが違うとお考えですか。

「AudienceOne」はデータを保有するDMP

重原:我々の特徴は大量のデータを保有しているDMPです。呼び方はさまざまで、いろいろなケースがあります。AudiencOneでは直接的なデータ販売は行っておりませんが、お客様の保有するデータ以外の、外部データを利用できる事でパブリック、データセラー、アウトバウンドのDMPと呼ばれることもあります。

今の我々のフィールドにあるDMPは、CRMに寄っているか、広告に寄っているかで二分化されます。AudienceOneは、お客様が持つ自社のデータ(1stParty)を基に我々が持つ外部のデータ(3rdParty)を掛け合わせ、既存顧客の分析や、見込み顧客の発見、分析したデータを様々なチャネルと連携し活用する事で顧客との最適なコミュニケーションを行う事の出来るDMPです。一方、株式会社ALBERTさんのsmarticA!DMPや、株式会社ブレインパッドさんのRtoasterAdsは、どちらかというと、お客様の保有する顧客データの分析や管理、データを元にしたレコメンドアルゴリズムの開発等に特化した領域だと考えております。

modulo_1

有園:広告主から「DMPってなにができるの?」「DMPってなんでもできるんだっけ?」「DMPって、いくつかあって違いが分からない」と相談されることがあるので先の質問をしたわけですが、インターネットのなかの行動履歴としての、オーディエンスデータとかを集めているか、いないかの違いですよね。

DMPは外部データをもっているか、もっていないかで分かれる

有園:株式会社ALBERTがsmarticA!DMPと呼ぶようになったのは最近のことで、それまではDMPとは呼んでいませんでした。インターネット上の行動履歴データはもっていないと思います。株式会社ブレインパッドのRtoasterAdsも、基本的には外部データをもっていません。外部データをもっていないDMPと、もっているDMPがあり、ここで大きくわかれるわけですね。この違いって、広告主が導入するにあたって、「どっちを入れたらいいですか?」と相談を受けたら、どのように説明しているのですか?

重原:最近は、お客様も詳しくて、その違いを理解されています。そのため、弊社を指名していただくことも増えてきたのですが、はじめたばかりの2013年頃は、ブレインパッドさんなどと比較されることが多くありました。でも、いまは少なくなってきました。

僕らのお付き合いしているお客様は、いままで、CRMの分析はやってきた、自社データで見られる部分はけっこう見てきたから、自社データで見られないことを、外のデータを使って見たいというケースが多いです。その場合は、弊社のサービスが適していると思います。一方で、これまで自社データをあまり見ていなくて、まずは、いまきているお客様のリピート率を向上したいといった場合には、弊社のDMPではなく他社さんのDMPを紹介することもあります。

僕らは、ALBERTさんやブレインパッドさんのDMPは、お客様の1stPartyデータを管理している企業と認識していて、競合ではないんです。DMPという言葉は広く、DMPがついているからといって競合にはならないこともあります。お互いに補完しあう関係でビジネスをしています。ALBERTさんを紹介したり、ALBERTさんから紹介されたりすることは、よくありますよ。

DMPってなにができるの?

有園:僕が広告主から聞かれた際に説明している例えがあります。広告主のサイトにインターネット上で1回も訪れたことがない人がいたとします。そういう人であっても、AudienceOneは約4億のユニークブラウザをトラッキングできているので、たいがいの人は、その4億のなかに入っています。だから、AudienceOneであれば、その人が20代の女性であるというデモグラフィック分析が終わっている可能性が高いので、一回も来たことがない人であっても、その人が20代の女性であるという推定はできている。推定精度はよくて80パーセントくらいだと思いますが。

ということは、一回も来たことがなくても、20代の女性にバナー広告を出すことができるのが、外部データをもっているDMPの特徴だと。一方、株式会社ALBERTのsmarticA!DMPなどは、自社サイトに訪れた人が、どのような行動をとったといった履歴に基づいてDSPを使い、リターゲティングしてバナー広告を打つことはできるけれど、一回も訪れたことがない人には、それができない。もちろん、ノンターゲティングで、オールリーチでバナー広告を打つことはできますが。そんな理解で大丈夫ですか?

重原:厳密にいうと、冒頭にもお話しした通り僕らもデータ単体での販売は現状しておりませんので、お客様のサイトにきたユーザを軸に考えてはいます。

たとえば、消費財メーカーがDMPを導入したケースでは、その消費財メーカーのオウンドメディアに来た人を起点に、外部のサイトでどのような行動を取っているのか、どのようなサイトに類似ユーザが多いのかをドメイン単位で分析し、拡張を含めたオーディエンスのプランニングを行っております。拡張の際には弊社が持つオーディエンスデータに基づいて広告配信をしますので、その際にはお客様のサイトにはまだ来ていない人へも広告を配信することになります。

有園:一回サイトにきた人が20代女性、アウトドア派で山に行く人といった行動履歴がとれていたら、同じような属性の人を集めてくることができるわけですね。そこにバナーを配信することもできると。

重原:「リターゲティングの細分化になるだけでは?」と聞かれることもあるのですが、そうするとマーケットが縮小するだけなので、外部データをもっているDMP会社としては、既存顧客との関係を深めることを前提としつつも、見込み客との接点をもつために広告をあてていけます。

modulo_2

「AudienceOne」や他社のDMPとどっちがよい?

有園:外部データをもっているところと、もっていないところの違いは分かりました。競合他社とどっちがよいですか?と聞かれたら、どう答えていますか?

「AudienceOne」と競合他社との違い

重原:最近はIntimateMergerさんと比較されるケースが多いかなと。ただビジネスモデルが少し違う印象でIMさんは最近データ販売に力を入れられているかなというイメージです。先日リリースされたセグメントギャラリーなんかはまさにそうですし。ただ、目指している所は近いかなと思っていたりします。違うとすれば僕らは保有するデータを販売するということではなく、お客様のデータを軸に、制限なく、データを幅広くマーケティングに活用してもらう、という事に注力をしています。そのために、データ解析に特化したデータサイエンティストチームを構築しておりデータの解析に力を入れる事で、デモグラフィックの推計等の機能を提供したり、ユーザのサイコグラフィック分析を行う機能など様々なものを開発中です。また、オフラインデータ等を保有する企業等、様々なデータを保有する企業とアライアンスも行っております。
その中でデータの量がよく比較されますが、我々も莫大なデータを保有しています。実は自社発表の4億ユーザより、もっともっとデータはあります。きちんと使えると判断したクッキーだけに絞っていて、絞った上で4億にしています。データを保有している事で、拡張するユーザの幅を広げ多くのターゲットにリーチする事が出来ますし、精度の向上を行う事が出来ます。

また、親会社のDACはメディアレップですので媒体社様にアドサーバー等のテクノロジーや広告販売支援を行っています。どちらかというとDMPはまだ広告主様側での利用が多いですが、媒体社様に対して、我々の保有するデータを活用した広告商品の開発や、サイト価値向上や収益向上のため様々な分析や支援を行っている事も特徴です。広告主様は媒体社のデータをみられる環境が整いつつありますが、一方で媒体社様は広告主様のデータをみる事がまだまだ出来ていない。もちろんお客様の許諾を得る事が前提ですが、両サイドがデータを活用できるような環境にする事で市場は拡大できると思っています。そのため媒体社様への支援という面においても非常に力を入れています。

今媒体社様向けのアドサーバーの話しがありましたが、幅広く広告配信システムと連携している事も特徴です。広告配信システムとの連携はデータの精度を高めるためにも有効的だと考えています。AudienceOneで分析し、仮説に基づきセグメントを作成。そのデータを広告配信で利用し、配信結果のデータをきちんと“見る“事で、実際にクリック等の反応するオーディエンスはどのようなオーディエンスなのか等、仮説検証を行う事が出来ます。DSPとの連携は他社もできていますが、グループとしてEffectiveOneという、第三者配信ソリューションと連携をしており、DSP以外の広告配信の結果を分析する事が出来ます。この連携は非常に我々の強みかと思っています。

DSPでは出せない詳細レポートが「AudienceOne」では手に入る

有園:オーディエンスごとに、属性が分かっている状態で、どんな人がクリックしてくれていて、その人にどういう趣味があり、どのような行動をとっているのかが分かる状態でレポートがでると思っていいですかね。

通常のDSPはそんなレポートでてこないので、ここが決定的な違いであり、付加価値でもあると思います。レポートが戻ってくるというと、簡単なことのように聞こえますが。

重原:クリックした人の傾向値が分かります。クリックしただけの人と、コンバージョンした人でオンライン上での行動パターンが異なったりします、その情報をもとに、広告を配信するターゲットを変えたりできます。

広告ターゲットに使うだけでなく、顧客データベースと連携することでメール配信などにも活用する事が可能です。クリックしたけれどコンバージョンしない人には、クリックした製品について、もう少し機能を説明したメールを配信しようとかできるわけですよ。これが、結果をレポートで戻すことの利点です。

MarketOne(DSP)とEffectiveOneでは、これがすでにできます。通常のディスプレイ広告では一定期間で配信して、終わったらレポートを出して、CTRなど、よしあしを見るのが一般的なケースです。でも、EffectiveOneを使うと、お客様が広告を出稿した結果を、お客様のDMPのなかに戻すことができるので、広告に反応した人、クリックした人がどういう人だったのか分かり、そういう人にメールなど、他のチャネルを活用してアプローチを行える事が大きいかなと思います。

DSPだけでなく、第三者配信プラットフォームとつながることによって、DSPに網羅できないところでも対応できるようになります。DSPでは買えないプレミアムなバナー広告や、リスティング広告をクリックしたユーザをDMPに蓄積して、次のキャンペーンを考えてもらうこともできるし、恒常的にユーザのデータを蓄積してもらうこともできます。

「EffectiveOne」とデフォルトで連携

有園:EffectiveOneとデフォルトで連携しているのがAudienceOneってことですね。これは大きいですね。

重原:僕らも、AudienceOneを提供しながら、アドネットワーク事業も行っております。最近ではDSPを活用した配信も行っておりますが、多くのケースで、EffectiveOneを活用しています。

もし、花王のキュレルが50~60代の男性にうけていたら?

有園:私の仮説があります。たとえば、花王にキュレルって商品があります。これは、たぶん、敏感肌の女性向けスキンケア商品だと思います。女性向けにターゲットされた雑誌に、女性を使った広告を載せたりしていると思うのです。でも、もし、DMPを入れて属性を分析したら、全体の10パーセントくらいは50代から60代の男性がきていることが分かったとしたら。年を取ると男性も肌が荒れたり、敏感肌のような症状がおきたりするかもしれません。そういう人たちは、キュレルの商品を使うとよいのではないかと考えられる。こういったことが分かるわけですね。そうすると、女性誌に広告を出すだけではなく、50代から60代の男性が読んでいそうな、媒体社にEffectiveOneを活用し、反応ユーザの分析を行う事が可能なわけですね。

これは、私の仮説なので、花王の担当者が、どうしているか分かりませんが、この仮説があたれば、そもそも、50代から60代の男性向けにサイトを作って、ランディングページも用意して、クッキーにあわせて切り替えたほうがよいかもしれません。

さらには、キュレルメンズって商品を作って、50代から60代向けの雑誌に広告を出すのがよいかもしれない。もしかしたら、すでにキュレルメンズってあるかもですけど。まぁ、あくまでも仮説ですが、そうなると、ユーザの属性を知ることって商品開発にもつながるし、マス広告のターゲティングの仕方にも影響を与えてくるって話ですよね。

img_modulo_arizono

重原:おっしゃるとおりです。我々の特徴でもありますが外部データの活用はそのような点が非常に有効的です。お客様だけでは発見できない、想像もつかなかったけども実際に顧客になっているオーディエンスを知る事が出来ます。
AudienceOneでは、リサーチ会社との連携もしています。リサーチパネルとAudienceOneのクッキーが紐づいている状態です。もちろんリサーチパネルに登録をしている個人が特定されないように処理されている状態ですが、生成したクラスター単位で直接アンケートを送ることができます。従来できなかったマーケティングの使い方ができるようになっています。

アサヒビールのサイト「CAMPANELLA」のケース

有園:最近、アサヒビールがCAMPANELLA(カンパネラ)というサイトをもっています。日経BPにつくってもらっているようですが、オウンドメディアの拡張版、あるいは、テレビのタイムを買うような感じかなと思っています。みた感じでは、30代から40代のビジネスパーソンに向けたサイトです。たとえば、このサイトで、二年間に500万人のユニークユーザを集めて囲い込みたいとします。継続してコミュニケーションをとっていきたいということで、会員制にしていくとします。仮にですよ。

CAMPANELLA[カンパネラ]ビジネスパーソンにひらめきの鐘を
http://business.nikkeibp.co.jp/campanella/

会員登録してもらえれば、もちろんメールも送れるようになります。だから、アサヒビールの工場見学を告知するときも、CAMPANELLAを訪れた人にメールを送付する、あるいは、リターゲティングすることも可能になります。似たような話が他のクライアントでもあったりするのですが、このようなケースで、AudienceOneではどのようなことができるのでしょうか。

CAMPANELLAを訪れる人が、よく飲むビールは、アサヒのアサヒスーパードライなのか、キリンの一番搾りなのか、サントリーのザ・プレミアム・モルツなのかといった情報がとれるのでしょうか。ちょっとハードルあげてみました。

重原:最近ではお客様自信が実施したアンケートの回答情報をAudienceOneに格納するという事も実施して行っております。また、先ほどもお話をした通り、リサーチ会社と連携しているので、CAMPANELLAのサイトに訪れていない人に対しても、普段どんなビールを飲んでいるかアンケートを行い、その回答結果を蓄積する事も可能です。そのように蓄積したオーディエンスデータを用いて、例えば既に自社の顧客であれば、自社アンケートから購買頻度が低い人と高い人を分類。それぞれの外部のメディア接触状況から嗜好性に違いが有るのかを分析し、そのオーディエンスに最適なクリエイティブを用いてメールやディスプレイ広告でアプローチを行う事も可能です。また、自社の顧客ではない場合は、リサーチから回収したオーディエンスデータを基に、類似するオーディエンスへ拡張を行い、新規の顧客を呼び込むという施策を打つ事も可能です。

有園:CAMPANELLAはビジネスパーソン向けにつくっているように見えるので、訪れている人もビジネスパーソンだと想定されます。読んでいる人のクッキーがたまり、コンビニやクレジットカード会社などのポイントカードと連携できたらどうでしょう。

たとえば、Xrost DMPをやっているPlatform ID社はCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)とオプト社の合弁なので、TSUTAYAのTカードとつながっているのではないかと業界では想定されています。Tカードの提携店などで買っているビールが、アサヒのアサヒスーパードライなのか、キリンの一番搾りなのか、サントリーのザ・プレミアム・モルツなのかといったデータがとれる可能性がある。そうすると、詳しい仕組みは割愛するとして、CAMPANELLAを訪れた人が、どんなビールを飲んでいるかが分かる可能性があるってことですよね。

いま、これと同じようなことが他でも起きています。そして、これはXrost DMPに限らず、AudienceOneなどのDMPを入れておけば、購買履歴に紐づく形でデータがとれるようになるかもしれないってことですよね。

重原:単一の広告主で考えると、アサヒビールのサイトとスーパードライを買ったことを紐づけて、購買情報をAudienceOneへ蓄積していくことは、実現できるかなって思っています。実際にとあるお客様と連携をして、リアルの店舗で購買した履歴をAudienceOneと連携、その情報を基にオンライン上でキャンペーンを行うという事は今まさにテスト的に実施をしております。今はオンラインのディスプレイ広告のみの活用ですが、メールマガジンへの利用や、ソーシャルメディア情報との連携等幅広い活用をご提案しております。

しかし、これは購買履歴のデータと我々のデータが、どれだけ重複しているか、というところが重要で、システム的に連携していても、重複が少なければ活用の幅は限定されてしまいます。

100パーセント、オフラインでのユーザの動きを見ることは、しばらくは難しいと思います。そこは、リサーチやキャンペーン施策で補っていくしかありません。だから、我々も、広く、様々なデータを保有する企業と連携するようにしています。いろいろな企業と連携することで可視化できるデータを増やしていきたいなって思っています。

有園:ということは、CAMPANELLAを訪れる人が、よく飲むビールがなんであるか、ゆくゆくはデータがとれるようになるわけですね。サントリーのザ・プレミアム・モルツをよく飲んでいる人だけに向けて、DSPでバナーを配信することもできるわけですね。

重原:競合さんのオーディエンスデータを直接活用する事は物理的にも出来ないですが、アンケートデータやリサーチデータを有効活用する事で可能になりますね。img_modulo_conversation

フェイスブック広告とDMP

有園:フェイスブックだと、たしか、メニューで競合を選べますよね。アサヒビール側が、サントリーのフェイスブックページに「いいね!」をしている人をターゲットすることができるときいたことがあります。これは、「ガチで競合指定できるじゃん」と盛り上がっていたのですが。

広告主としては競合を指定してキャンペーンをやりたいわけですよね。テレビも、番組を見ている人が飲んでいるのは、アサヒのアサヒスーパードライ、キリンの一番搾り、サントリーのザ・プレミアム・モルツといろいろなので、そのなかで絨毯爆撃のようにCMを打っているわけですが、アサヒのアサヒスーパードライのCMを打つときは、競合の商品を飲んでいる人のブランドスイッチも狙っていると思うのです。違いは、ピンポイントにターゲティングできるかどうかだけなのではないかと思います。

あるECサイトでは、アサヒスーパードライをまとめ買いしている人、キリンの一番搾りをまとめ買いしている人がいたとき、競合の商品をまとめ買いしている人に、自社の商品をレコメンドすることができるそうです。でも、総合代理店の方と話していると、ガチで競合にぶつける提案はしにくいという声もあります。なぜなら、それをやったら「うちも相手から同じことをされてしまうかもしれない」と広告主が思うかもしれないというわけですが、いままでも別のところでは似たようなことをやってきたと思うんですけどね。ガチで競合指定したターゲティングには心理的なハードルがあるというのも、分からなくはないですが。

オーディエンスデータって誰のもの?

重原:例えばですが、オーディエンスデータって誰のもの?っていう議論もあるわけですよ。

有園:CAMPANELLAだと、訪れた人のオーディエンスデータってことですよね。この情報にくっついている情報は、訪れたオーディエンスのものなのか、CAMPANELLAが持っているものなのか、この二者択一ですか?

重原:オーディエンス視点で考えれば、オーディエンスに紐づいている情報。CAMPANELLA視点で考えると、CAMPANELLAのサイトで収集しているデータなのでその情報を、他広告主様に開示する事は出来ません。我々はお客様のサイトに訪問したオーディエンスに紐づく形で、我々が保有するオーディエンスデータとどの程度の重複が有るかを開示しています。ただ、これって実はごく一部のオーディエンスデータで、オーディエンス単位で情報をみれば様々なサイトを渡り歩いているはずです。
この市場が拡大し、競合をしないお客さん同士でデータの相互に連携するという未来もみえると思っています。そうなることで、よりオーディエンスデータの活用の幅は広がっていくと考えています。

クッキーはいつまで保持できるの?

有園:そういう形で、二年間で500万ユニークユーザを集めたいとき、ユニークユーザかどうかを含めて見ていかなければならないわけですが、クッキーって、長い時間保持することはできるんですか?

重原:我々では最長で二年間は保持できます。ただし、クッキーはユーザのPCに保存されているものなのでユーザが消すなど、ユーザがクッキーをリフレッシュしていることで頻繁に変わっていきます。我々もこの部分において、クッキーの代替技術等を日々研究しております。例えばソーシャルログインを活用するという事も1つの方法だと思っています。

ソーシャルログインと「AudienceOne」の連携

有園:二年間で500万ユニークユーザを集めることは、企画次第だと思いますが、ゆるく会員制を設けて、フェイスブックを使ったりすることを想定していれば、そこはそんなに問題ないってことですね。ソーシャルログインを使った場合のIDとAudienceOneの紐づけはどうですか?

重原:ソーシャルログインとの連携はできるようにしています。日本でいうと、グループ会社の株式会社トーチライトがGIGYAというプラットフォームを提供しています。あとは、株式会社フィードフォースがソーシャルPLUSを提供しています。我々は、この二社と連携しています。どちらのツールを使っていても、ソーシャルログインしていただき、ユーザに許諾を得る形であれば連携が可能です。

有園:フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアでログインして、アサヒビールのCAMPANELLAで会員登録したら、AudienceOneのクッキーとIDと連携できるようになっているわけですね。

ソーシャルログインは効果あり

重原:ソーシャルログインは、おすすめというか、絶対にやったほうがよいと思います。
メリットは様々ですが、ソーシャルメディアのIDでログインすることによって、ユーザがクッキーを消していても、もう一度、同じクッキーIDを発行することができます。技術的には、クッキーが消えると、その人に紐づく情報は消えるのですが。たとえば、ソーシャルメディアのID「A」、AudienceOneのクッキー「B」と紐づいていて、AudienceOneのクッキー「B」には、いろいろな情報が紐づいているとします。ある日、ソーシャルメディアのID「A」を持っている人が、突然「C」になりました。こういうケースが想定されます。ユーザが、クッキーを消してしまった。違うデバイスでログインした、違うブラウザでログインしたなどと。

有園:「C」は、ソーシャルメディアのIDが変わったのではなく、クッキーが変わったってことですね。

重原:はい。固有のIDを軸にすると、クッキーやデバイスが変わっても、情報をコピーすることができます。パソコンでソーシャルログインして、スマートフォンでもソーシャルログインすると、クッキーが2つ発生している状態です。パソコンの方がクッキー情報は多ければ、スマートフォンのクッキーに対して、パソコンのクッキー情報をコピーすることができます。そうすることによって、スマートフォンでもパソコンと同じようなターゲティング広告を打つことも、できるようになります。

ソーシャルログインを活用するメリットは他にも有ります。ソーシャルログインは(特にモバイルで)ユーザビリティを高めることができるので、会員登録やログインといった認証コンバージョンを上げることができます。認証してもらえれば、固有のIDを特定できる機会が増える訳です。例えばトーチライト /GIGYAの事例では会員登録率が最大で+100%、ログインアクティブ率が86%(内、ソーシャルログインがログインアクションの80%を占める)なんて事例も出てきております。

あと、通常の会員サイトって、登録するときに、そんなに項目は多くはないと思うんですよ。名前や年齢、性別や住所など。でも、ソーシャルメディアの情報は、ユーザが結婚しているのか、子どもがいるのか、引っ越したのかなどが分かります。ソーシャルメディアは、ユーザが誰かに何かを伝えるために使っていると思うので、情報のリフレッシュ頻度が高いし、情報が深いです。AudienceOneで得られる、自社サイト訪問履歴や、広告配信結果に加え、ソーシャルメディア情報を加え、さらに顧客を見える化する。自社のリピーターや新規顧客はどのような嗜好性を持っているのか、自社のファンなのかなど、オーディエンスの情報をより把握する事で、アプローチの方法も無限大に広がっていくと考えています。

modulo_3

フェイスブックのデータはどこまで使えるの?

有園:フェイスブックログインを使ったときに、フェイスブック側がもっているデータは、AudienceOne側で使えるんですか?ソーシャルログインを使う際に、「○○を承認します」とか出てきますよね。「ああ、いいよ。ポチ」って押すわけですが、あそこに出ている情報はすべて連携されますよね。それプラス、その人が、たとえば、サントリーのフェイスブックページに「いいね!」しているとか、そういった行動履歴をひろうのでしょうか。

重原:ソーシャルログインをする際にはパーミッションが必ずあって、ユーザが許諾している情報は連携が可能です。ただし、AudienceOneは、個人情報に該当する情報は取得をしないポリシーですので、メールアドレスなど個人情報に該当する情報は取得しないで、嗜好性などのデータがAudienceOneに蓄積されるようになります。

有園:個人情報にあたる部分をデータベースに取り組むと面倒なことがあり、法的にトラブルがあるかもしれないので、事業者としても使いたくないので省いていますね。

重原:単純にソーシャルログインをして入ってきたユーザの情報はCRMと同じ扱いになります。たとえば、ECサイトにソーシャルログインして、特定の企業に「いいね!」を押していたら、お客様が、そこから得られた情報として、そのユーザに特定企業の新商品をレコメンドとしてオススメしたり、メールを送ったりするとことはできます。

有園:広告主が会員制を企画するんだったら、ソーシャルログインを使った方がよいわけですね。

重原:間違いなくえられる情報は、圧倒的に多く、深いです。

ソーシャルメディアのデータ活用法

有園:御社の場合は、それがAudienceOneではデフォルトでできるわけですね。

重原:ただ、利用には注意をしなくてはいけないポイントが多くあります。

有園:そうなんですか?

重原:アサヒビールやキリンのサイトにソーシャルログインしましたと。そのデータを自社のマーケティング活動に利用することはFacebookの規約の中で問題がないとされているのですが、第三者にデータを提供してはだめだということになっています。

どういうことかというと、外部のDSPにデータを連携して広告を配信したり、アドネットワークにデータを提供して広告を配信したりすることはできないルールになっています。

有園:その解釈っておもしろいですね。広告の出稿も、広告主が自社のマーケティングのためにデータを利用していることになりますよね。物理的に自社内のデータベースという領域の外に出なければいいってことなのですね。たとえば、新聞社などの媒体社がソーシャルログインをさせた場合はどうでしょうか。

重原:同様に様々な情報がとれます。ソーシャルログインをして「子どもがいる人」というクラスターをつくって、「子どもがいる人」というターゲティング広告を広告主に販売することはオッケーなんです。あくまでも、自社(媒体社)のなかで完結することなので。

有園:AudienceOneを媒体社が使うときも、ソーシャルログインは積極的に使ってほしいわけですね。使うことによって、新しい広告商品を開発できるかもしれないと。子持ちに向けたバナー広告を出したりと。これって、けっこうお得ですね。

媒体社のDMP導入状況

有園:媒体社の導入状況はいかがですか?

重原:2014年に入り、導入が増えてきました。行動ターゲティングの中でデータをレベニューシェアするケースでの取引は、これまでもありますが、DMPを媒体社にフル活用してもらうケースは、まだ少ないです。

広告主はDMPの利用目的が比較的はっきりしています。しかし媒体社の場合は、広告収益をどう拡大するかというのが目的としては大きいので、サイトの価値をあげていく活動が一番大きい軸になると考えています。一方で、ページビューやユニークユーザ数など、データのボリュームが大きくなってしまうので、広告主様よりDMP利用に費用がかかるケースが大半です。そのためメリットを明確にし、マネタイズをどう行っていくかが重要になってきます。

インターネット広告市場はここ数年で大きく変わっており、媒体社様の収益構造も変わっていると思います。媒体社とは密に連携してデータを分析しながら、サイトの価値をどうあげるかを提案し、ようやく活用してもらえるようになってきた感じです。

とある媒体社で「砂糖」に関する記事があり、AudienceOneの保有するオーディエンスデータでユーザが過去にどれだけ「砂糖」に関することに触れているか、関心があったかを調べたところ、「砂糖」に関する記事に触れる前は、まったく「砂糖」に興味がなかったけれど、その記事に触れたことで、その後、他のサイトでも「砂糖」というキーワードに触れることが増えるといったことがありました。

ニュースサイト単体で見ると、砂糖に関する記事が注目されることは少ないと思いますが、その記事がどれだけユーザに影響を与えたというのが可視化されます。影響力あるサイトは、その後の行動に影響を与えることが予想されます。AudienceOneでデータを分析することで、このようなサイトの影響力を見出すことができるようになるかと思います。いろいろな軸でデータを見ながら、媒体社と話しあっています。ひとつのコンテンツが与える影響力を数値化できると、面白いなって思っています。

自社のユーザを把握しなければならない理由

有園:僕は学生時代、90代前半から半ばですが、新聞社でアルバイトをしていました。その頃ちょうどNIFTY-Serve(ニフティサーブ)が盛り上がっていて、NIFTY-Serveに向けて新聞の記事要約を出したりしていて。「新聞社のウェブサイトを作らないとね」って話が出たりもしていました。

ただ、そのときも少し話題になったのですが、新聞社だけでなく雑誌社もそうですが、自分たちの読者がどんな属性なのかを、あんまり詳しく知らないんですよね。把握しようともしていなかった。テレビ局もそうですよね。きちっとマーケティングをする部署がない。いまはあるかもしれませんが。ウェブサイトとかも、自社サイトに訪れているのは20代男性が多いのかどうかは、調査しているかもしれませんが、あんまり分かっていません。

でも、AudienceOneを入れると、だいたい推定で、20代男性はこれくらい。20代女性はこれくらい、しかも、リアルタイムでとれるわけですよね。それだけでも十分価値があるように思います。

媒体社は「それって調査ですよね。調査にそんなにお金をかけられない」と言うかもしれませんが。サイトの記事を読みに来ている人がいて、記事を読みに来た人が会員登録をしていても、していなくても、AudienceOneを入れていたら、SSPを経由して属性を飛ばせることになると思うのですが、間違ってないでしょうか。

重原:DACグループとしてその領域に着手をしています。SSP領域においては株式会社プラットフォーム・ワンが提供するYIELDONE、アドサーバーはDACが今期リニューアルをしたFlexOneがその領域に対応しています

有園:10回インプレッションがあり純広の枠がでるときに、いまは基本的には、その10回の枠は純広で売ったものが出るんだけど、DSP側には純広より高い値段で入札している広告主がいても純広を出しているわけですね。御社グループは、そうした状況を変えようとしていると。

DSP側って、〇○な条件だったら、高い金額を出してもいいですよってなっていると思います。となると、媒体社側も訪れている人が、どんな属性かを把握できないと、その○○の条件を出せないですよね。純広枠のすべてのユーザのインプレッションを買いたいのではなくて、20代女性がきたときだけ買いたいとかある訳です。

modulo_4

重原:その通りです。媒体社がAudienceOneを導入する事で、自社が保有するオーディエンスデータ特性を活かした情報をリクエストとして出すことが出来る。さらに、自社のユーザを深く分析し、精度や価値を高めることで、媒体社のレベニューも改善されるのではないかと思っています。

DMPの未来

重原: DMPは単体ではデータをためるだけの箱です。「なんでもできるよね、DMP」っておっしゃる方は多いですが、本当に使い方次第です。

DMPを入れてタグ入れて、データを放置している。タグを入れただけ。これだと、データがたまるだけで何もできていません。DMPは使いこなせば魔法の箱になりますが、使わなければただの高い箱。ぜひ使ってほしいです。DMPをつかった事例は、まだ少ないと思っています。

有園:オリックスの事例など、記事があります。

重原:ようやく出始めた感じですね。でもまだまだ少ないと思っています。本来、DMPが与える価値は、広告配信につなげて使うケースだけではありません。ソーシャルとの連携で「いいね!」を押している人が、どんな行動をとっているのかとか、メール配信につなげてとか、いろいろなものとつなげることができます。本来DMPはマーケティング活動の中核にあるものだと思います。しかしそのような事例はまだ少ないと感じています。2015年はそのような事例が多く出てくると考えています。

DMPは最終的には、お客様が自社で能動的に使っていくと考えています。しかし、僕らは今ツールだけを提供するという事は行っていません。お客様と一緒になって「DMPをどう使っていくのか」を考え、実践するという事を最も重要なポイントとして考えています。自ら使い、その価値を高めていくことで、市場を拡大していけると思っております。

システム面では、細かいマイナーチェンジを月に1回は行っています。機能的な部分はどんどんブラッシュアップしていきます。お客様視点で使うために、管理画面はどう変えていくべきか、もっと研究が必要ですし、お客様と話をしながら日々変えていくことになるのかなと思っています。もちろん、外部の事業者との連携などもロードマップはひいています。

DMPの活用はまだ始まったばかりです。我々は、単にデータを保有するだけでも、テクノロジーを提供するだけでもありません。今はDMPを我々も活用することで、お客様のビジネスをドライブさせる、そのような「価値」を提供する事でこの市場を拡大していきたいと考えております。

有園:広告主も媒体社も抱えている課題を解決するために、データは役立つと思うので、早い時期にDMPを導入し、経験を積むことが必要ですね。ありがとうございました。

img_modulo_last

 

アカデミックなアトリくん
【アトリくんの視点】DMPの分類や、DMPの導入状況・事例など、業界を牽引されている企業の視点からお話を聞くことができ、大変勉強になりました!
DMPの活用方法に関しては、まだ広告配信への利用が主流になっていると感じます。テクノロジーを提供する側、テクノロジーを利用する側ともに既存の考え方に囚われない活用方法を考えていくのが今後のDMPを考えていく上で非常に大事だと改めて感じました。重原さん、ありがとうございました!

【海外記事】Rakuten Marketingがオムニエクスペリエンス戦略を発表

2014年9月23日、楽天株式会社のグループ会社であり、オムニチャネルマーケティング会社であるRakuten Marketing (本社:ニューヨーク CEO: Yaz Lida)が、デジタルマーケティング業界の新たなビジョンを掲げた“オムニエクスペリエンス”戦略を発表しました。

 

Rakuten Marketing Drives the Omni Experience

http://www.prnewswire.com/news-releases/rakuten-marketing-drives-the-omni-experience-276458721.html

 

 

記事では、オムニエクスペリエンス戦略とは、すべてのマーケティングチャネルを1つのプラットフォーム、Cadence (今年1月に発表されたクロスチャネルレポーティング・プラットフォーム)に統合して利用者の購買行動を解析するアプローチとのことで、これによりマーケターはすべてのチャネルを通して利用者行動をリアルタイムで知ることが可能となり、高い透明性と一貫性を持った従来にないトラッキングが容易になると報じています。

 

新しく統一化されたサービス構造とブランドウェブサイト運営がRakuten Marketingのコアビジネスであり、以下の4つが提供するオムニチャネルサービスがRakuten Marketingのオムニエクスペリエンス戦略を支えているとのこと。

 

Rakuten Affiliate Network (アフィリエイトマーケティング事業)

(旧: LinkShare)

Rakuten Display(ディスプレイ広告事業)

(旧: mediaFORGE)

Rakuten Attribution(アトリビューションソリューション事業)

(旧: DC Storm)

Rakuten Search(検索キーワード広告事業)

 

 

 

 

サングラスのアトリくん
【アトリくんの視点】Rakuten Marketingが今年5月にオムニチャネル・アトリビューションの雄である技術会社DC Stormを買収したことにより、今回のオムニチャネルエクスペリエンス戦略の実現が可能になったわけですね。今回のサービス統合によってRakuten Marketingは現時点でのデジタルマーケティングに必要なアセットを一気通貫で提供できるようになりました。このような統合的なアプローチがデジタルマーケティングの分野ではますます進んでいくと考えられます!

【海外コラム】マルチチャネルアトリビューションモデルを使用した検索最適化とデジタルマーケティング

 

Serach Engine Watchにて、先日開催されたClickZ Live San Franciscoにおけるアトリビューションの事例スピーチの内容が紹介されていたので抄訳します。

 

Optimizing Search and Digital Marketing With Multi-Channel Attribution Modeling [#CZLSF]

http://searchenginewatch.com/article/2360633/Optimizing-Search-and-Digital-Marketing-With-Multi-Channel-Attribution-Modeling-CZLSF

 

 

当セッションでは、ビジネスソフトウェアやソリューションを提供するドイツの大手企業SAPが、独自のアトリビューションモデルを作り上げ、ビジネスへ適用してきた経緯が紹介されました。

 

〜運用当初〜

カスタマージャーニーを知るためにアトリビューションを始めたSAPですが、そのモデルを検証すると、それぞれのチャネルで不適切な貢献度配分を行っていることが判明しました。

 

〜モデルの検証〜

そこで、均等配分(線型)モデル、接点ベースモデル、時間減衰モデルの3モデルをまとめて検証することで、その仕組みとメリット・デメリットを見いだしました。

 

attribution-models-540x334

 

また、マクロなレベルだけではなくミクロなレベルでもそれぞれの貢献度を検証することで、重複コンバージョンの影響や、グローバルフリークエンシー、コンバージョンへ貢献する広告や順序などを理解することができるようになりました。

 

〜タグ環境の整備〜

モデルを検証後アトリビューションモデルの運用のフェーズへ移り、SAPが初めに取りかかったことは、しっかりとしたタグマネジメントとプロセスの構築です。ここにおいて重要なことは、マスタータグが全てのタッチポイントを網羅していることと、個々の要素を正確にタグ付けできるシステムを使用することです。

 

〜重複チャネルの修正〜

多数のチャネルが重複していたことで必要以上に広告が配信されていたため、改めてそれぞれのプランのフリークエンシーとコンバージョン率を設定し直しました。これにより、ようやくどのチャネルがどの程度コンバージョンに影響するかが明確に数値として得られるようになりました。(下図)

attribution-chart-540x334

 

〜予算配分の見直し〜

次に、バナーからSEMへ予算の再配分を行いました。上記の結果より、SEMはファーストタッチの媒体としても、バナーより貢献度が高いことが分かったからです。

 

〜ミクロレベルでの検証〜

更に、SAP Test Lab(SAPのデジタルマーケティングチームとKBMグループによるコンテンツテストのためのチーム)による過去2年間のデータを集約し、以下の5点の発見がありました。

  1. 多変量テストを行い的確な視覚的訴求をすることは、コンバージョン数の増加につながる。
  2. 図より写真を使ったバナーの方がコンバージョンにつながる。
  3. シンプルな広告コピーの方が効果が高い
  4. ウェブサイトのCTA(Call to action)を改善し、膨大な数のウェブページへ適用することで、シンプルな方法で多くのコンバージョンを獲得することにつながる
  5. サプライズは必ずあるので、仮説は必ず検証し事実を確認すること

 

 

以上の発見、修正を重ねるうちにコンバージョン数は増加していきました。(下図)

conversion-chart-540x334

 

 

 

以上が、SAPがアトリビューションを実行していくことで成果を上げていった経緯です。

最後に、最適なアトリビューションモデルを適用するにあたって重要な点は以下の通りです。

 

• マクロ・ミクロレベルで区別して検証すること。全体のアトリビューションモデルを正しく作り上げた上で、影響を評価するためにミクロレベルで個々のプランを検討する。

• データを正しく読み、最も適切なアトリビューションモデルを適用すること。多すぎるリソースにまどわされ間違ったマーケティングチャネルを選ばない。

• 的確なタグ構成をすること。フルタイムのタグマネージャーの存在が必要である。

• ミクロレベルの個々のプランを最適化するために多変数モデル、テストを適用すること。

 

 

ウィンクするアトリくん
【アトリくんの視点】非常に詳細な検証・実験を経てSAP社がアトリビューションを実行し、成果を上げていったことが分かる内容でした! 単純な予算のアロケーションをするだけでなく、ミクロレベルの分析を施策に落としていくことが大切ですね。試行錯誤、変遷の流れをより具体的に知ることができる内容だったので、注意点やキーポイントはとても説得力があります!