特別寄稿:電通レイザーフィッシュのアトリビューションの取り組み(1)

電通レイザーフィッシュは、米国Razorfishにおける手法やノウハウを活かしつつ、日本において、かなり早くからアトリビューションに取り組んできた。

その背景、考え方、取り組み内容を聞く機会があり、今回寄稿をお願いした。3回に渡って取り上げる。

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1. 寄稿の背景
今回、Attribtuion.jpというサイトを拝見し、とても興味深いテーマと感じました。なぜならば、弊社では2007年のRazorfishとの資本・業務提携後、この分野に積極的に取り組み、専門チームを設け、実際のクライアントとともに、多数の事例を作り上げてきたからです。今回は3回にわたり、実際のケースも掲載し、業界でのAttribution Modelに対する理解をより深めたいと考えます。

私は2008年にRazorfish シアトルオフィスにて3か月間勤務し、エージェンシーのビジネスモデル、第三者配信、分析業務を学びました。第三者配信ツールを単なるツールと捉えるのではなく、オンラインエージェンシーの存在意義にも直結するモデルを構築する基幹ツールであったと当時を振り返ります。

広告配信をエージェンシーが実施することで、メディア代理ではなく、大量のCookieデータ、間接効果(View Conversion、Post Impressionなどを指します)、ユーザー行動データ、売上データを扱い、分析主体の業態で大きな付加価値を生むコンサルティングを提供していました。例えて言えば、メディア投資信託会社のようなサービスをRazorfishは当時から提供してました。メディア販売主体ではなく、あくまでもビジネスゴールに沿ったROI視点で、クライアントと長期的な関係を築いていたのが印象的です。

2008年から、弊社は複数社のグローバル企業に第三者配信サービスを提供。Atlas, Double Click, Media Mindなどのツールを用い、社を挙げて各担当者が広告配信管理業務をスタートさせました。そこで得られたノウハウをメンバーで共有し、ラーニングを蓄積。今回は、それらの実務で得たノウハウ、実務レベルで弊社コンサルタントが行った分析業務を取り上げます。

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2. 第三者配信の台頭
欧米では2003年頃から、オンラインエージェンシー、広告主を中心にAtlas、Double Clickといった第三者配信ツールを用いて大量のCookieデータの取得し、分析やデータ統合を積極的に推進してきた背景があります。2009年以降は、データ分析がさらに進化し、今でいうところのAttribution Model、Atlasの ”Engagement Mapping”などがオンラインビジネス企業に積極的に導入され、最適な予算配分の模索が始まったと言えます。現在、Efficient Frontier、Core matrixなど専門企業が詳細な分析サービス、ツール提供を始めており、2010年は日本にとっても、Attribution Model元年と言えるのではないでしょうか。

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3. 間接効果(以降、View Conversion)の意味
実例を示す前に、一度、広告配信領域におけるView Conversionについて理解したいと思います。例としてマス広告とオンライン広告の比較から考えてみましょう。通常、マス広告は露出量、想定接触者数に対して対価を払うモデルです。しかし、マス広告接触後の消費行動1つ1つの接触に対する売上促進を正確に測定するのは難しいと思われます。反面、ネット広告では接触(閲覧・クリック)後の購買行動が正確に把握できます。以下のようなユーザー行動を例としてみよう。OOHを見て、コンビニに行き、炭酸飲料を購入するという一般的な行動です。

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欧米では、上記のマス広告でのユーザー行動をシンプルにオンライン上のユーザー行動にも当てはめることで、業界内(エージェンシー、配信ツールベンダー、媒体社)に自然とView Conversionを測定する文化を形成させたと言えます。しかしながら、日本市場では、なぜがオンライン広告になると、クリック行動のみでメディアが評価され、クリックという限られたユーザー行動を中心にモデリングされているのが現状ではないでしょうか。

4. メディア評価を行う現場
それでは、現場においてこのようなView Conversionの貢献度をどのようにして決めているのでしょうか。実際にはすべてのオンライン広告のすべての接触効果の貢献を認めるか(クレジットを与えるか)は、キャンペーンを開始する前にクライアントと以下の点で協議をし、決定されます。

  1. 市場におけるブランドの浸透度、成熟度
  2. ビジネスモデル
  3. 認知拡大を目的とした広告露出量(マス広告に触発され、ネットでアクションする可能性もあり得るため)

一般的にはネットビジネス企業の場合、ビジネス成長期は100%の間接効果にクレジットを与え、その後、数年かけて成熟期に入るとともに、クレジット率を70%, 50%と減少させていく傾向にあるようです。以上が簡単な背景と概要です。次回からは具体的なケースを取り上げたいと思います。

株式会社電通レイザーフィッシュ
マーケティング室 
清水秀和

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【アトリくんの視点】
先日、この寄稿の件で清水さんと打ち合わせた際、色々お話しができてとても勉強になりました。2008年に米国で学んだということは、米国はそれよりも以前にかなり取り組んで広告効果を評価する手法を確立してきたということです。第三者配信をベースにしたView-through conversionも含めた評価になっている点は、第三者配信が普及している米国で、かつ、大手企業のキャンペーンを手がけるRazorfishだからとも言えますね。日本においては第三者配信はこれからですが、すでに手がけた事例をベースに、市場を牽引してほしいですね。第2回目(来週予定)、第3回目(再来週予定)もお楽しみに!

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