Attribution Night 2011のパネルディスカッション

2011年10月4日に開催されたAttribution Night 2011でのパネルディスカッションをテキストにしました。

パネラーは、以下の3人です。
アタラ合同会社 有園雄一
株式会社クロスリスティング 治田耕太郎
Fringe81株式会社 田中弦

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有園:まず最初に、今日これだけお客様に来ていただき、アトリビューションは非常に盛り上がっている印象です。今日は3名のプレゼンもあり、アトリビューションに対して前向きな話をしてきました。アトリビューションがこれから普及していくにあたって、それぞれ課題に感じている点もるかと思います。パネルディスカッションでは、その辺のところを聞いていこうかと思います。田中さん、治田さん、よろしくお願いします。

田中:さっそくですが、新しいことをやっているので色々と課題はあります。まず、第三者配信。つまり、ビューデータを取るための課題があります。それは、メディアの受け入れ度合いという所かと思っています。

有園:メディアの受け入れ度合いですか?

田中:メディアが第三者配信で「配信しても良い」と言っていただけるかどうかというところは、「まだちょっとポリシーが固まってないんだよね」という方もいらっしゃいます。反対に「ぜんぜん大丈夫ですよ」というメディアさんもいらっしゃいます。そのあたりの足並みは、今後そろってくればなぁと思います。

有園:そこに関しては以前、「メディアは9割がた、第三者配信を受け入れOK」と聞きました。あってますか?

田中:それはあっていますが、やはり受け入れてないところもありますので。。。

有園:分かりました。各社さんでポリシーがあり、難しいところもあると思います。おおむね、ほとんどのメディアが受け入れてい状況ではあると?

田中:そうですね。ほとんどのメディアさんで受け入れは進んでいます。やっぱりビューの力は偉大です。今後はデータとしてきっちり主張できるようになります。なので、メディアにとってもこれはポジティブな話しだと思います。クリックがどの位あるという話しに加えて、「ビューをこれだけ見せたら、このぐらいサーチがありましたよ」というのは、メディアさんにとっても、主張すべきポイントだと思います。

有園:アトリビューションの視点から言うと、第三者配信エンジンを入れることは重要ですし、広告主側も第三者配信エンジンを使っての配信は必要だということですね?

田中:はい。

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有園:他に課題というと、どんなことが考えられますか?治田さんいかがでしょう?

治田:今日はネット専業に限らず、広告代理店の方もいらっしゃると思います。まず、大きく弊社の視点で言うと二点問題があります。一点目が、いわゆるリスティング広告とかディスプレイ広告というところで、いわゆるメディアごとの営業ファンクションや提案ファンクションが分かれているという所です。結局、アトリビューションをやる上で、横のつながりをきちんと視覚化しなければなりません。そこへのアプローチが、はたしてできているのかという点は、個人的に気がかりに思っています。二点目は、結局のところ「アトリビューション」と言うと聞こえはいいのですが、分かりやすく言うと、「消費者の行動をどれだけストーキングするか」という話と一歩間違えれば同じです。そうなってくると、プライバシーの議論であるとか、クッキーの整理だとか、そいった部分を業界を挙げて整備する必要性があると思っています。

有園:今の話は、クッキーが入ってる限りは、ずっとユーザーの動きが取れるようになっているということで、それがストーカーのようだということですね。このあたりの話って、アメリカの方ではどうなっているのですか?

治田:実際にアメリカの方では、NAI(http://www.networkadvertising.org/)やDAA(http://www.aboutads.info/)といった業界団体が一括してクッキーをオプトアウトするといったことが、標準としてやられています。しかし、残念ながら日本では、クッキーを共通でオプトアウトしてユーザーのプライバシーを守っていこうなどといったところは、出遅れているのが現状だと思います。

有園:NAIとかは、ポリシーや基準を作っているのですか?

治田:厳密に言うと、ポリシー自体は、いわゆる業界各社あります。消費者に対してクッキーを無効に出来る機能を提供している場所が、日本にはないというのが最大の問題かなと思います。

有園:いつも同じ広告が出てきて、ストーカーみたいな感じを与えて、ユーザーから嫌われる。そういう部分の整理が必要ということですね?

治田:そうですね。

有園:アトリビューションが盛り上がっていく上で、他に課題として感じている点はありますか?

田中:アトリビューションに対する適切な日本語の訳語がありません。これも普及の課題としてはあるのかなと思っています。

有園:言葉の問題はありますね。私も「アトリビューションスコア」と呼んだりしてますが、アトリビューションの訳語はあんまり考えていませんでした。いい翻訳があったら教えてほしいですね。

田中:「コンバージョン」は「成果」って訳しやすいです。しかし、「アトリビューション」を「属性」とは訳しません。

有園:「アトリビューション」は「貢献度」でいかがですか?ちなみにアルクの「英辞郎」という辞書があるのですが、あそこで「Attribution Analysis」と調べると、「要因分析」と出てきます。もともとは、ネット業界ではなく金融業界で「アトリビューション分析」という言葉が存在するようです。どの要因で、何が、どれだけリターンがあったかという点を分析するという話です。インターネット広告業界では、Conversion Attribution などという言葉がありますが、私は「コンバージョンへの貢献度」と呼んだりしているのですが、私自身は「アトリビューション」を翻訳せずに「アトリビューション」で広めちゃえばいいと思っています。

田中:未来について話をしましょうか?

有園:未来の話と言えば、アトリビューション分析をやる際、データ量がすごく多いので大変です。分析するのにサーバーなどを用意しなければなりません。そうやって分析をするとお金がかかるのです。アトリビューションが普及するためには、もっと安くできるかどうかが非常に大きな問題かと思います。

田中:弊社では現在、第三者配信エンジンの提供自体は多分一般的な値段の三分の一くらいの値段でご提供しています。コンバージョンパス分析も、どういう所から来ているのか、しかもそれをちゃんと五分類に類型化して、シンプルな意思決定が簡単に出来るようなツールも開発しています。いろいろな広告主さんに使っていただけるよう、まずは普及を前提に安い値段を設定したいと思っています。

有園:そうすると近い将来、御社の第三者配信エンジンを使うとコンバージョンパスデータが安く手に入るようになるということですか?

田中:そうです!

有園:ありがとうございます。実は、私はデータを受け取って分析する側なので、必要なデータが安く手に入らない限り、アトリビューションは普及しないと思っています。治田さんに質問です。先ほど、プレゼンされた態度変容についての検索データは、趣味でなさっていることだと伺いましたが、その趣味は今後ビジネス化していくのですか?

治田:今回も弊社スタッフを駆り出しているので、そろそろ趣味の域を卒業しますという意思表示として受け止めていただいて構いません。先ほど言ったプライバシーの話ですとか、いろいろな調整が済めば、弊社としては先ほど見せたデータを外部にご提供するということは検討しております。実際、弊社のレモーラリスティングに掲載していただいていれば、大概のクライアントであのデータを取ることは出来ると思います。そういう意味では、特にコンバージョンパスが長い広告主様あたりは、いまのうちにレモーラリスティングを出稿しておいた方が、今後何かと良いのではないかと思います。

有園:なるほど。レモーラリスティングを出稿していないと、そのデータは得られないのですよね?

治田:当然、弊社のコンバージョンタグが入ってないと追えないので。ただ、データの提供方法はいろいろあると思っています。最終的には、出来るだけカジュアルに提供するというのは方針として考えています。それで暴利をむさぼるということは基本無いです。

有園:いずれビジネスに繋がっていくということですね。態度変容とかがある程度見えるようになって、第三者配信エンジンが入っていればビュースルーでのコンバージョンに至る過程も見えてくる。これが、来年には一般化するかも、と考えておけばいいですか?

田中:弊社のデータを見る限りでは、明らかに80%くらいはブルーオーシャンです。結構なインパクトがあると思っています。弊社は、一般的な効果測定ツールと同じような値段でやっています。相当カジュアルに、この価値が上手く提供できて、成功事例が出てくれば一気に広まるのではと思っています。

有園:アトリビューション分析、あるいはアトリビューションのマネージメントをやることによって、どんな効果があるものでしょうか?例えば、コンバージョンが増えるとか。メディアや広告主、そして広告代理店のそれぞれに対して、どんなメリットがあると考えていらっしゃいますか?

田中:個別最適の時代は終わったと思います。ディスプレイとサーチと、変な話メールもアフィリエイトも、全部が顧客接点です。その顧客接点をどうやって組み合わせていくか。テレビや雑誌も同じだと思うんですよ。データを全部かき集めて、すべて最適化していく時代になっていくと思っています。それぞれ良いところ、悪いところ、得意なところ、不得意なところがあります。それぞれをパーツとしてシンクロしていくことになるでしょう。すべての人が関係しているし、関係ない人はいないと思います。

有園:関係ない人はいないということは、上手くいけばすべての人に対してメリットがあるということですか?

田中:個別最適でも、やるべきことはまだまだあります。が、組み合わせて初めて見える世界もありますし、実際に効果も出てきています。

治田:最終的に、インターネット広告はダイレクトレスポンスに偏りがちじゃないですか。有園さんのプレゼンでもあったように、結局はアトリビューション分析することで、コンバージョンの母数が上がってきますよと。コンバージョン母数が上がってくるということは、ダイレクトレスポンス系の広告である以上は、市場の拡大を意味するはずなんです。そうなってくれば、媒体ですとか代理店だとか広告主の三者三様のメリットは絶対にある訳ですし、結局それにかかるコストとそれに対するリターンがどれ位のバランスで均衡するかは正直やってみなければ分からないと思います。少なくとも、先ほどの田中さんの説明にもありましたように、80パーセントはブルーオーシャンで手付かずの領域である以上は、ちょっと頑張るだけでまだまだ開拓する余地はあるということは間違いないかと思っています。

有園:アトリビューション分析をすると、広告主も媒体社も両方ハッピーになれる可能性がある。もちろん、そこの間に入っている広告代理店にもメリットがあるということですね。上手くやれば、すべてのプレイヤーにある程度メリットあるものが提供できますね。分析していて分かることですが、媒体社または媒体の枠によっては、出稿を増やした方がいいと評価されるものもあります。その一方で、ここはコンバージョン率があまり上がっていない、初回、中間を見ても、あるいはビュースルーを見ても繋がっていないので、ここの出稿は止めようというふうになる所も出てきます。なので媒体社によっては、お金という部分で経済的なメリットがあるところもあれば、全然効果が出ないというところもあります。そういうところは、どんどん使われなくなっていく可能性も、アトリビューション分析によってさらに出てくるのかなと。媒体がきちんとメリットが出せるように考えていかないといけないだろうなと感じています。

治田:そう思いますよ。

有園:他に第三者配信エンジンというところでアトリビューションに関わっているのですが、なぜ田中さんはアジテートするのですか?

田中:面白いじゃないですか。市場を変革することってワクワクします。だからやってます。

有園:田中さんは革命だと仰っていますが、革命のポイントを教えてください。

田中:やっぱり個別最適から、組み合わせ最適へ、これにつきますよね。結局、個別最適はタレントをいかに一生懸命そろえるか、巨人軍みたいなやり方だと思います。でも、組み合わせ最適はチームプレーなのでそのチームプレーをいかに上手くやれるかというと、市場は変わりやすいのかなと思ってます。

有園:第三者配信をやろうと思ったきっかけと、アトリビューションに注目したきっかけって違うような気もするのですが。もともと、第三者配信をやろうと思った時からアトリビューション分析に注目してたのですか?

田中:僕はどちらかというと検索の人ではなくてバナーの人なので、バナーが完全に貶められてるという部分が許せん、というのがありまして。それがきっかけです。

有園:バナーの価値をより上げるためにですか?

田中:それもありますね。やっぱり媒体社にとってバナーって売上を上げる主力だったりするので、そこの価値を再構築するっていうのはテーマとして非常に面白いなと思っています。

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有園:同じ視点ですが、治田さんは、クロスリスティングさんにいて、どうしてアトリビューションに注目されたのですか?

治田:もともとはオーバーチェア時代に提供していた「アシスト」という機能というか数字から、いわゆる直接コンバージョンに至らなかった広告接触をどう評価するかという部分を趣味としてずっと考えていたわけです。それで、先ほどの態度変容の話というのは、別にリスティングの話ではなくて、検索ログから消費者の悩みって見えるよね、というのを明示しただけであって、そこにリスティング広告を介在する必要性は無いわけです。ただ、最終的に消費者の行動をきちんと見ることをしないで、アトリビューションがその後広がるかと言ったら多分広がらないと思います。その上では、あのデータは皆さんにとっては使い勝手があろう物なので、我々としてはそれを適切な形で提供して、適切な形で我々が収益するという流れに持って行きたいです。

有園:オーバーチェアの頃からというと、4、5年前からですか?

治田:厳密に結うと、2005年からですね。2005年から日々寝る前の30分、どうやって間接的な効果を測定しようか悩んでました。

有園:「アシスト」という言葉が出たので、ここは確認しておきましょう。「アシスト」とか「間接効果」と「アトリビューション」はちょっと違うという話も出ますが、治田さんどうお考えですか?

治田:間接効果という言葉自体は、正直もう終わりにした方がいいと思います。インターネット広告をやる以上は、絶対に何かしら目的があるはずです。その目的に対して、それぞれのタッチポイントがどう貢献したのかという部分を、統合的に分析しなければ意味が無い。これは間接的に貢献しましたよ、これは直接的に貢献しましたよ、という話ではなくて。先ほどの有園さんの話ではないのですが、それぞれがそれぞれの役割を演じた結果の目的達成であって、役割を果たしたのであれば全部効果でいいじゃん、という話です。

有園:間接とか直接とか言わなくても良いのでは、ということですね。

治田:「アトリビューション」を「間接効果」って言う人は、ちょっと観点が違うと個人的には思っています。

有園:なるほど。ちょっと時間がなくなってきましたので、それではここで、質疑応答に入らせていただきましょう。せっかくなのでこの3人に聞いてみたい事がある方は挙手をお願いします。

【以上】

*録音音声の関係で、この後の質疑応答セッションは割愛させていただきます。何卒ご了承願います。

当日の資料です。

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