アトリビューション特別対談:MediaMind Technologies株式会社布施一樹・渡邉桂子×アタラCOO有園雄一(2/2)

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*第1部で触れた「Dwell」という指標のホワイトペーパーはこちらでダウンロードできます。

第2部/全2部(2012年1月24日公開分)

DSPと第三者配信エンジンの違いとは?

有園:DSPと第三者配信エンジンの最大の違いは何ですか?

渡邉:レイヤーですね。対象媒体のレイヤーです。DSPの場合はノンプレミアムに限られます。第三者配信エンジンはその上の階層にくるものであり、前述の通りサイト解析ツールと両壁をなすツールだと思います。基本的にDSPはバイイングツールが始点ですので、全媒体の一元管理ができるハブにはなり得ません。プレミアム媒体も全てDSP経由でバイイングできれば別ですが、近い将来に実現できる可能性はまだ低いと考えています。

有園:バイイングツールはDSPであるということですね。それ以外の枠、アドネットワークやDSPで買い付けが出来るノンプレミアム枠以外も含めたキャンペーンのマネジメントをしようと思ったら、第三者配信エンジンが必要になる訳ですね。クリエイティブの出し分けについてはいかがですか?

渡邉:部分的にクリエイティブの出し分けができるDSPもありますが、DSPを複数併用するような場合にデータが孤立してしまいます。小さい分断データは広告主さんにとってあまりよくないことだと思いますので、すべてを大きく繋げるという意味では第三者配信エンジン側の機能を使っていただく方が良いケースがあるでしょう。

布施:すべてにおいてメディアマインドのクッキーを付与して管理することがポイントであり、DSPがそれをできるのであれば我々と同等のポジショニングになると思います。しかし、基本的にはDSP単体で考えたときに複数のDSPが存在しています。やはり、全体をつなげる必要があると思います。それが無い限り、全部クッキーが分断しています。一元的にワンクッキーで管理できるのがメディアマインドです。DSPとの違いは、そこにあります。

有園:そうすると、メディアマインドを使うと、ひとつのユーザに対してのシークエンスコントロールというところを、ネットワークや純広告の違いをまたいだ形で配信できるということになりますよね。利用状況はいかがですか? 

布施:これからですね。そこを肝だと思っている方はいらっしゃいますが、正直まだ少ないです。ただ、我々もすべての用途を把握しているわけではありません。我々の理解としては、第三者配信とDSPが混乱している方が多いようです。当社のお客様は、その辺りは理解されています。

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メディアマインドの特徴

有園:他にも御社のメリットがあれば教えてください。

布施:実は、日本ではサービスにしていませんが、グローバルではメディアマインドの方にDSP機能を持ち、バイイングをしているケースもあります。

有園:日本ではリリースしていないが、メディアマインドにDSP機能があると。

布施:グローバルでは日本に先駆けてアドエクスチェンジ市場が大きくなり、DSPが乱立している状況です。当社としても、メディアマインド独自のDSP機能を持って、そこからバイイングをして、逆にプレミアムで配信したリッチクリエイティブに接触した人に対して、ビッティングをかけるなどしております。プレミアムとノンプレミアムを意識した形でのキャンペーンプランを組み、その中でROIを最大化するということを、代理店が先駆けておこなっています。

有園:日本に御社のDSPが入ってくる可能性はありますか?

布施:可能性はゼロではありませんが、我々が考えているメディアマインドの価値まで到達していません。北米市場と日本市場で第三者配信の成長の仕方が明らかに違う軌跡をたどっています。メディアマインドのDSPをサービスとして提供することが、果たして日本市場を活性化することになるかどうかは確信がありません。我々が優先的にやらなければいけないのは、DSPのインターフェイスをもつことよりもデータを一元的に管理するというカルチャーを作っていくことだと思っています。いま、それが根本的に必要です。我々がDSPで参入したとすると、別のDSPを使っているお客様からすれば、どちらを使えばいいのか迷いが生じます。両方を使えば、データが分断されます。そういったことを繰り返しているうちは、デジタルマーケティングの問題解決のスタートラインには立てないと思います。我々は、アクセス解析ツールと両壁をなすツールとして市民権を得ることが、まずはミッションでありフォーカスでもあります。そのためには、アクセス解析ツールとの連携ですね。インプレッションデータを取ることは、さほど難しくはありません。それをとった後、どのように役立てるかといったPDCAサイクルをしっかりまわせるようなプラットフォームとして、データの出し入れが柔軟にできないといけません。今後パフォーマンスをあげていくために、取得したデータをエンジンの力でどうしていくか。我々が得意とするのは、クリエイティブの配信機能、ローテーション機能と一言でくくりますが、色々あります。

渡邉:機能面でのメリットについて補足ですが、何を出すかは細かく設定が可能です。Aという原稿を1~3回出して、Bという原稿を4~6回出して、Cという原稿を7回目以降に出すといったこともできます。また、時間ベースで朝昼晩を出して、それ以外の人にはデフォルトバナーを出すということもできます。リターゲティングタグを活用して「商品の詳細ページにきたけれど、購入ページにはきていない人、なおかつ、東京からアクセスしている人はターゲットX」としてコミュニケーションを分けることもできます。より具体的な設定について知りたい方には是非お問い合わせをいただければと思いますが、様々な機能を細かく設定していくことによって、バナーでOne to Oneマーケティングに近い形を実現していきます。サイトの閲覧履歴だけでなく、CRM情報や、在庫情報とも連携できます。

布施:我々はオープン戦略をとっており、外からのデータをもとに配信するロジックを組み立てることも可能です。たとえば、媒体社がもっている会員情報であれば、男性女性でセグメントをきった情報をパラメーターとしてもらって、我々がその情報を元にロジックを組み立てることもできます。配信の柔軟性という部分では、特に自信を持っています。

有園:誰に出すかというところでは、御社以外のCRMのデータや媒体社の持っている会員情報などと連携して配信できるんですね。

渡邉:お天気のニュースサイトから情報がもらえるとします。地域情報と一緒に地域ごとの情報をもらったら、アパレルなら「この地域は雨なのでレインコートを出そう」とか、飲食店であれば「雨なのでドリンク一杯サービスというキャンペーンを出そう」ということが可能です。

有園:ほぼリアルタイムで実施できるわけですね。

布施:やはりOne to Oneコミュニケーションは理想的なコミュニケーションの在り方ですが、その際の課題としては、そこに対するメッセージが乗るクリエイティブのパターンを多く用意する必要があります。個別のバナーを用意すると非常にコストがかかりますので、One to Oneを突き詰めるほどコストがかかる仕組みです。しかし、我々はダイナッミックにクリエイティブの中身を変えられる機能を用意しております。スマートバージョニングという機能で、One to Oneコミュニケージョンをしていく上で課題を解決するソリューションだと思います。

有園:この機能はデフォルトでついているのですか?

渡邉:デフォルトの値段より少し配信費用が高くなります。

布施:実は、まだまだ認知されてないものです。これをやっていく上で、クリエイティブプランニングが重要になってきました。ただ単に安いだけでは響きません。

有園:グルーピングは自動ですか?

渡邉:グルーピングは人もしくはData Management Platform(DMP)等が必要です。

布施:ロジック作りは人ですね。それをパラメーターという魔法のキーワードの中に入れて、何を出すかというのは事前に配信設計されたものなので、数が多ければ数多く設定しますが、そこまで事細かくやるとなると自動化が必要になります。グルーピングの自動化ができてしまえば、設計したものに対してデータ連携をしてリアルタイムで動いていくという感じですね。

有園:DMPでグルーピングした際に100グループあったら、それに対する設計は人がしないといけないんですよね?メディアマインドを使う人のクリエイティブのセンスが問われそうです。間違った設定をしたら効果が出ませんし、うまく設定すれば効果が出るということでしょうか。

渡邉:広告の基本はコミュニケーションですから、クリエイティブの重要性が再認識されるところかと思います。もちろん、数多く検証したい、という場合は1グループに100パターンというパターンを作ってしまって、その中からいいものを優先するという設定などもあります。そうすると、後から一番よかったバナーなどを検出できます。最初からシナリオを組んで設計する方法とどちらが良いのか商材によるかもしれませんが、設計の仕方により結果は変わりますし、多くの方が知見を欲しているところでもあるので、今後はもっと国内事例を増やしていければと思います。協力していただけるパートナーを随時大募集中です。

有園:好きな人にとっては、とても楽しい世界ですね。ここで、アトリビューションについて伺います。第三者配信エンジンは自由な配信設計が出来るようですが、DSPとかだけでは全てのクッキーを繋ぎこんでいません。そうなると、アトリビューションのデータ、いわゆるビュースルーからのデータもとれないということになりますが、御社のメディアマインドを使うとアトリビューションの貢献度の数字も出せるということですよね?

渡邉:アドバンスレポートというものがあります。有償のサービスですが、個々のコンバージョンパスデータの詳細が分かります。例えば、コンバージョンまでに5回アドに接触している場合、3回はインプレッションのみで、どのバナーであったか、1回はクリックをしていて、どのバナーであったか、もう1回はリスティング広告のクリックでどのキーワードか等です。このデータにクライアントごとに定義された重み付けを行うことで、アトリビューション分析をしていただいています。

有園:デフォルトの費用以外にかかるのですか?

布施:そうです。モデルの考え方については3種類あります。「全てのデータを評価する」「クリックを常に評価する」「後はクリックのみ」です。アトリビューションもクリックベースでやりたいというニーズもあると思いますので、その場合はそれを選択していただければインプレッションを排除してクリックデータのみで評価します。インプレッションもクリックも同等に評価したいということであれば、フラットに両方取得して評価対象にします。インプレッションがあってもクリックがあればクリックを評価します。また、クリックがなかった場合はインプレッションを評価する。

有園:それが御社のカスタムレポートと書いてあるところで選択できるのですか?

布施:配信のタイミングで選択しているとできます。

有園:どの形でデータを取るかを決めて、初めてデータを取得するんですね。

布施:キャンペーン前に設計します。アトリビューションをやっていく上では事前設計が重要です。結果的にダイレクトレスポンスのキャンペーンなのか、ブランド重視のキャンペーンなのか。ブランド重視のキャンペーンでインプレッションを評価しないのは言語道断です。

有園:メディアマインドでは、キャンペーンする前に設定を決めてからスタートすると。御社のアトリビューション分析機能を使うのではなくて、いわゆるコンバージョンのパスデータを御社のメディアマインドから出力させて独自に分析も可能ということですね。

布施:もちろんです。その場合はフラットにイコールで取得します。

有園:インプレッションデータも出てきて、クリックのデータも出てくる形で取得をして、分析をすると。以前は、自然検索には対応していないのでデータはでてこないと聞きましたが、近い将来対応するのですか?

布施:2012年中には追加していく予定ですし、アナリティクスの部分を刷新していく予定です。チャンネルごとのグルーピングを可視化しやすいような形でレポーティング出来るような、インターフェイスにしていく予定です。それに伴い、ダッシュボードも正式にリリースする予定です。リアルタイムにキャンペーンの効果データがどのように変わっているのかという部分を、データとして出せるようになってきています。やはり、リアルタイム性というところがデジタルマーケティングの肝だと思っています。そこを、我々がより見やすくダッシュボードに出すことによって、プランナーの方は迅速な対応が出来るようになります。そこが、2012年のプランニングの目玉になるのではないかと思っています。

有園:メディアマインドさえ入れておけば大丈夫ということですね。

布施:はい。

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メディアマインドが描く未来

有園:最後に、今後の方向性と可能性についてお聞きします。

布施:今年の6月にメディアマインドがDGに買収されまして、我々はDGの広告部門の会社として存在しています。DGという会社は北米を中心に活動しているテクノロジーベンダーでして、衛星技術とインターネット技術を使ってコンテンツを配信するプラットフォーマーです。実は、90パーセント以上の北米のデジタルコンテンツがDGから配信されています。そこの広告配信部門の傘下に我々が納まることによって、今後テレビとクロスチャンネルを実現していきます。リッチメディアの第三者配信技術の中で、ポイントロール、アイワンダー、ユニキャスト、メディアマインドの4社が世界の中でトップ4だと言われていますが、ポイントロール以外の3社はDGの傘下に入っています。2011年8月に、アイワンダーの買収が発表されました。メディアマインドのプラットフォームにユニキャストとアイワンダーのリッチメディア技術が統合されます。それによって、よりリッチな物を配信していく部分が強化されます。

有園:近い将来、テレビの配信も自由度が出てきそうですね。そうは言っても、インターネットのクッキーとデジタルテレビの端末情報は繋がらないのではといった部分が懸念ではあります。

布施:アメリカの場合はボックスがついています。そのボックスを経由して出来るシステムになっているのですが、日本の場合はまた違う形でデジタルテレビが進化を遂げていくと思います。アプローチの仕方は違ってくるでしょう。やはり、テレビというスクリーンがインターネットとテレビの垣根を超えてしまっています。インターネットとテレビというコンソールは、ひとつになっていこうとしています。それを活用していく形になると思います。

有園:布施さん、渡邉さん、ありがとうございました。

布施・渡邉:ありがとうございました。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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(END)

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アトリビューションの観点や本質から考えるとビュースルーを含め、配信先を越えたデータの一元管理ができ、その結果全体を視覚化できる点は大きく、このグローバルなレイヤーにある第三者配信は今後も重要なポジションを担っていくのだと思われます。ディスプレイ広告市場の変化から、日本でもようやく注目されるようになりましたが、正しく理解するための情報がまだ少ないのが事実なので今回の解説はとても役立ちました!メディアマインドのデータを活用したアトリビューション分析は今後も増えるでしょう。また、元々強みを持つリッチメディア配信、今後のアナティックス機能の充実、TV等への対応、目が離せませんね。
布施さんと渡邉さん、熱いお話をありがとうございました。

第1部(2012年1月17日公開)
第2部(2012年1月24日公開)

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