特別寄稿:ad:tech San Franciscoから〜米国アトリビューション最新事情(クロスリスティング)

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2012年の4月3日から4月4日にかけて、カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「ad:tech San Francisco」に参加してきました。今回は特にアトリビューション関連にフォーカスして、米国におけるアトリビューションマネジメントの現状と今後の展望についてレポートをしたいと思います。

Hot Topicになった”Attribution”

私は2011年の8月に開催されたSES San Franciscoにおいてもアトリビューション関連のセッションや情報を収集し、レポートを寄稿させていただきました。その当時はGoogleがGoogle AnalyticsにMulti-channel Funnelというアトリビューション分析を可能にする測定機能が実装されたこともあり、さながら「アトリビューション元年」とも言える状況でした。ただ、その当時のレポートにも書いた通り  

『ただし、ツールや測定環境が普及し始めていること、およびアトリビューションに注目が集まっていることと、多くのマーケターがツールを使いこなしてアトリビューションマネジメントを行っている、ということとは違うことである。筆者自身、登壇者の発言ほど聴衆側がアトリビューションに対して経験値を蓄積しているとは感じられなかった。』

という状況で、2011年の8月というタイミングは「概念としてのアトリビューションが普及し始めたフェーズ」とも言える状況でした。

約半年経過した今回のad:techにおいて、私が今回出席した各セッションでモデレータが異口同音に発していた言葉として”Hot Topicとしてのアトリビューション”という台詞がありました。”Hot Topic”とは「注目の話題」という意味となり、昨年のSESでは、まだ曖昧模糊としていたアトリビューション、という位置づけと比べて、やはりアトリビューション分析に対する注目度が高まっているという印象を受けました。
理由としては、企業のソーシャルメディア活用が一般化し、またDSP/RTBの進展により、企業と消費者のタッチポイントが指数関数的に拡大している現状で、ラストクリックだけを評価するのではなく、それぞれのタッチポイントがどのように消費者に作用したのかを把握することが重要である、認識が高まっているということがあります。

予算配分「だけ」が目的ではない

今回最も印象的だった部分は、米国のアトリビューション分析の目的が必ずしも、広告予算の再配分「だけ」では無いという点です。今回アトリビューション関連の話をしていたスピーカーがほぼ全員、アトリビューション分析の結果、予算の効果的な再配分が行えるということは確かにメリットの一つだが、最も重要なことはより深いMarketing Insightがわかってくるという、「分析自体の価値」を語っていたことが大変印象的でした。

無論アトリビューション分析の結果、予算の再配分を行うことでさらに改善する、という点が一つのアウトプットの形として存在することは間違いありません。ただ上記以外にも、実際にメディアプラン上意図していた広告が当初予期していた役割を本当に達成されているのかを検証する、という点も重要視されています。極端な例を挙げると、当初刈り取り目的(CPA)で掲載をしていたリターゲティングの「効果」は本当に”Closer”(ラストクリック)だったのか、ないしはラストクリック以前の”Promoter”としての役割だったのかを検証するということになります。
その結果として、予算の再配分だけでなく、掲載以前にそれぞれの広告メディアに期待していた「意図」の見直しやディスプレイ広告のクリエイティブ改善、ランディングページ改善などを行い、現状の予算配分はそのままに効果の最大化を目指すという取り組みが見られたことは注目に値するでしょう。

より高度な統計モデルへ

今回セッションに登壇していたいくつかの企業とad:techのブースに併設されているMeeting Roomにて、より深いアトリビューションの分析手法についてもインタビューすることが出来ました。

とくに”Beyond the Last Ad: Better Decisions Through Better Attribution”というセッションに登壇したAdometryの場合、第三社配信サーバのデータや効果測定ツールのデータなど、全てのネット広告におけるタッチポイントを取り込み、固定での重み付けではなく、ベイズ推定に基づいた一種「動的」とも言える重み付けの計算を行い、アトリビューション分析を行っているということでした。しかし大量のデータを取り込み、高度な分析をすればするほど、分析コストはかかってしまい、実際のところアトリビューション分析をするべき広告主とするべきでない広告主が存在するというのも事実で、ある種二極化とも言える現象が発生しているとも言えるでしょう。

最後に

アトリビューションについてのセッションの中や、Meeting Roomで話をしている中で出てきた話題として、CPA重視、ラストクリックモデルがシンプルであるが故にネット広告運用のスタンダードとなっている現状の中で、アトリビューションという取り組みが理解されづらい、という点が問題であるという議論がありました。さらに上記にもある通り、アトリビューション分析と、そこから導きだされるマーケティング施策が必ずしも全ての広告主において有効ではない、という現実もあります。
つまり、アトリビューションはラストクリックモデルと比較して「良い」とか「悪い」という物ではなく、TPOに応じて適切に選択するべき一つのオプションである、と言えるます。最終的にアトリビューションは選択するかどうかはさておき、選択を検討する価値がある状況にまで進化しているといえるでしょう。
ネット広告の運用において、自社の現状がどうなっているのか?そこからどう改善できるのかという、いわゆるPDCAサイクルをどうまわしていくのか、という課題は今までも、そしてこれからも存在し続けます。実際に自社に導入するかどうかはともかく、一度は自社のマーケティング施策に対するアトリビューションの導入は、考えてみてもいいかもしれません。

以上

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株式会社クロスリスティング
ビジネスディベロップメント ディレクター
治田耕太郎

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【アトリくんの視点】↑ロゴが大きい!熊襲来!Big cheese!もとい、クロスリスティングの治田さん、お久しぶりです!Attribution Night以来ですね。アトリビューション本へのコラム寄稿もありがとうございました。ad:tech San Francisco参加ご苦労様でした。そして寄稿文ありがとうございます。予算配分だけが目的ではないのはその通りですね。施策の見える化から得られるinsightを使ってプランを再構築するアプローチは色々あると思います。モデリング等も次のフェーズに移りつつありますね、米国は。ますます注目です。ありがとうございました!

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