アトリビューション特別対談:株式会社オムニバスCEO山本章悟 × アタラCCO岡田吉弘

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緊急対談です!今回は、ad:techシンガポールにブースを出されていた株式会社オムニバスの山本章悟さんに、熱気あふれるad:techのブースで緊急インタビューをしてみました。オムニバスを立ちあげられた経緯や、東南アジアにおけるアドテクビジネスの展望について伺っていきます。(シンガポールの陽射しが強かったのでサングラスをかけてみました ^^)

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ad:techとオムニバスの関係。

岡田:今回は、ad:tech シンガポール特別編ということで、オムニバスの代表取締役CEOである山本章悟さんお迎えしてお話を伺います。Attribution.jpをご覧の方であればオムニバスさんや山本さんをご存じない方はいないような気がしますが、改めて自己紹介をお願いいたします。

山本:オムニバスの山本章悟と申します。私自身はこれまでのキャリアでずっとアドネットワークに関わり続けていて、2008年当時日本でだれも関わっていないアドエクスチェンジが海外で伸びているのを知って、これはチャンスだと思いオムニバスというアドテクノロジーカンパニーを立ち上げました。創業当時は一人だったのですが、その後すぐにDSPやRTB、オーディエンスターゲティングやアトリビューションなどの単語に代表されるアドテクノロジーが注目されはじめ、その波に乗るかたちで少しずつ会社を伸ばすことができました。創業当時から考えると本当に想像もできないくらい、自分も周りの環境も変わってきたなあと実感しています。

岡田:創業当時はお一人だったとおっしゃいましたが、現在社員さんは何名ぐらいいらっしゃるんですか?

山本:現在は約20名です。

岡田:おお。すごく増えてますね。勢いを感じます。

山本:人数が増えてきたので、組織としての強みを出せるよう、コンセプトをしっかり固めようとしています。オムニバスには「Bids of Omnibus」というブランドステートメントがあるのですが、その中に「We are selling culture 単なる商品でなく文化を提供しよう。私たちは広告と同時に、デジタル広告の持つ先進性、優れたクリエイティブ表現、デジタルアドバタイジングという新しい文化を提供する会社である。」という言葉があります。アドテクノロジーを利用して、マルチデバイスによって行動が変化してきているユーザーにしっかりと適切なメッセージを届けられる、マーケティングソリューションを提供できる会社になり、社会に貢献していこうと、そんな思いを込めています。

岡田:素晴らしいですね。そこで、今回はそういったアドテクノロジーの代名詞的なイベントでもあるad:techのシンガポールにオムニバスさんはブースを出されているのですが、シンガポールでブースを出そうと思われた狙いというか、そのあたりをお聞きできればと思います。

山本:そうですね。オムニバスは元々アメリカが中心になっているプラットフォームを使ってアドネットワークを組んでビジネスを展開している会社です。もちろん今でも日本が我々のビジネスの中心であることは間違いないのですが、使っているプラットフォームがワールドワイドなものなので、東南アジアにもシームレスに使えるし、以前からチャンスがあるなと思っていました。これまではベンチャーということもあってリソースの問題でなかなか手が回らなかったのですが、おかげさまで体制も徐々に整ってきたので、本格的に東南アジアを考える前のマーケティングリサーチのような意図でブースを出してみた、という感じです。もちろん、運が良ければビジネスに繋がる話ができるかもしれない、という期待も込めてですが。

岡田:運が良ければとおっしゃいましたが、私から見ている限りだと、オムニバスさんのブースはとても盛況に見えました。実際にブースに訪れた方の反応はいかがでした?

山本:実は、かなりよかったです。繰り返しになりますがオムニバスのプラットフォームは東南アジアのトラフィックにも対応できます。そこに興味を持ってくれる企業さんが意外と多かったという印象です。日本に広告を出したいという海外の企業さんや、モバイルに関しての問い合わせも多かったです。

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(盛況なオムニバスのブース)

岡田:そうなると、日本にいながら海外の案件もやる、というだけでなく、実際にシンガポールにブランチを立てて腰を据えてビジネスをする、みたいなことを考えたくなってしまいますね。

山本:そうなんですが、あくまで今回たくさんいただいたお話がちゃんと仕事になって、ビジネスとして可能性を感じられるようになってからですね。タイミングが来たと判断できたら、どんどん進めていきたいとは思っていますが。

岡田:おおー。素晴らしい。

山本:来月もまた来る、みたいなのは普通にあると思います。

岡田:そうなんですね。それぐらいの引き合いがこの二日間にあったということですね。

山本:そうです。もちろんこういうイベントなので、みなさんテンションが上がっているというのは差し引いて考えないといけないですが、帰って問い合わせを整理して、進められそうなところはどんどん進めていきたいと思っています。

東南アジアは別に”東南アジア”というカタマリじゃない。

岡田:素晴らしいですね。私はさっきから「素晴らしい」しか言ってないような気がするので少し話題を変えます(笑)。ここ数年東南アジアは伸びる伸びると言われていて、まあ実際に市場が大きくなるのは疑いの余地がないと思うのですが、そういった期待感とは裏腹に、ビジネスの現場では苦労しているという声も多く聞きます。オムニバスさんから見て、そういった期待と現実のギャップのようなものについて今回の出展を通じて何か感じられたものはありましたか?

山本:実際にまだこちらでビジネスを開始しているわけではないので、現時点ではわからないというのが正直なところです。ただ、現地の企業と話していると、例えば広告の売り方がいまだにCPD(Cost Per Day)が主流らしいという話がある一方で、外資系企業がどっとなだれ込んできて、RTBすごいよ、オーディエンスターゲティングだよと言って、ad:techのようなイベントで煽るという構図が見えてきています。そういったad:techの中の世界と、実際のビジネスの現場との溝みたいなものは感じることがあります。

岡田:肌感覚として、そこにはだいぶギャップがあるんじゃないかと思っているということでしょうか。

山本:もしかしたらあるんじゃないかなと。ただ、実際にこっちで広告主さんや代理店さんと仕事をしてみないと見えてこないんじゃないかとは思っています。

岡田:なるほど。もう少しだけこの話をお訊きしたいと思います。初日のセッションでは、ローカルマーケットについての特徴やデータ、ビジネスを進める上での課題などを話すパネルディスカッションが幾つかありました。年々エマージング・マーケットへの注目度が増す一方で、具体的にローカルへの導入で苦労している部分とか、課題は何なのかとか、そういった発見はありましたか。

山本:ベトナムとタイについてのセッションを聞いていてよく耳にした言葉が、「Government」だったんですね。考慮しなければならない要素として政府がある。ベトナムは確かに社会主義ですが。 

岡田:私もそのセッションは出ていましたが、確かに聞きました。ベトナムは国営テレビばっかりだとか。調べると衛星放送も可能みたいですが、一部の富裕層に限られるでしょうしね。

山本:ネットのインフラとか、規制がどの程度あるのとか、そういった不透明さを感じるのは確かです。

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岡田:今年のad:techはad:techじゃなくてsocial:techじゃないかというくらい、ソーシャルの話が多かったですが、東南アジアにおけるソーシャルビジネスの広がりや、オムニバスさんのソーシャルについての取り組みなど、そのあたりはいかがですか?

山本:オムニバスはやはりディスプレイアドバタイジングの会社なので、例えばつい先日FacebookがRTBを始めるというニュースが出ていましたが、そういったところをしっかりキャッチアップしていきたいなと思っています。あと、話は少し逸れますが、ソーシャルと一口に言っても国ごとにぜんぜん状況は違うなと考えています。Facebookの人口が多いのはインドネシアですが、インドネシアはスマートフォンというよりまだフィーチャーフォンが主流です。シンガポールはスマートフォンがだいぶ普及してますが、フィリピンやベトナムもまだこれからです。

岡田:ベトナムはZING MEが強いですよね。Facebookが解禁されたので急伸しているとは言っていましたが。

山本:東南アジアという国があるわけじゃないので、当たり前なんですけどちゃんと国別に考えていかないといけないなと。国ごとのデバイスの違いや、主流のサービスも違いますし。

今が進出するにはチャンスだと思う。

岡田:話をオムニバスさんに戻します。オムニバスさんはad:techでブースを出すのは今回のシンガポールが初めてではなく、サンフランシスコやニューヨークでも既に出されているとお聞きしていますが、過去の出展の中で、一番反応が良かったのはどこですか?

山本:今回のシンガポールかもしれないです。サンフランシスコも反応は良かったですが、今回は勢いがありますね。引き合いの種類も国もさまざまですし、カオスです。

岡田:すごいですね。でも確かに、参加者のハングリーさというか、そういう勢いは感じます。

山本:いろんな国からというのはアメリカでも一緒でした。サンフランシスコで引き合いのあったところはもう取引が始まっていますが、そういった海外との取引で経験値を積んでいくことによって、その国の市場がわかってくるようになります。

岡田:そういった海外市場に強いというのも、オムニバスさんの価値になりますね。

山本:国内を考えるとそうですね。海外に活動を拡げることによって、国内から海外に広告を出したい企業さんに適切にご案内ができますし、海外の企業が日本に広告を出したいときも仲介することができる。アウトバウンドとインバウンドの相乗効果があります。 ad:techにブースを出すようになってから、そのサイクルが分かってきました。

岡田:国内と海外をそれぞれ見ていて、気づくことはありますか?

山本:そうですね。二年前にシンガポールに来たことがあるんですが、その時は誰もテクノロジーの話をしていなかったのが、今年はこの盛り上がりですから、スピード感というか、勢いはとても感じます。特に、モバイルは早いです。それはもう東南アジアとか関係なく。

岡田:そうなんですか。具体的にどういったところでそれを感じますか?

山本:例えば、モバイルアプリがありますよね。あれはひとたび流行ると世界中からトラフィックがきます。なぜか分からないけど台湾から大量にアクセスがあるとか、そういうことが割と頻繁に起きます。これをビジネスにしようとすると現地の企業と直接やり取りをするしかない。そういった流れも手伝って、モバイルは本当に海外との連携が早かったです。今回もシンガポールのモバイル企業と話す機会があったのですが、拠点は確かにシンガポールだけど、世界中にサーバーがあって、世界中のトラフィックを捌いているようです。シンガポールはあくまでハブですね。

岡田:シンガポールは人口500万人くらいですから、そこだけで広告のマーケットを考えるのは現実的ではないですね。拠点はシンガポールでも、そこから東南アジア全体でビジネスをという企業は多いですね。

山本:税金も安いですし。企業にも優しい土地柄ですしね。

岡田:もう進出するしかないって感じですか!

山本:いや、ノリで来てはダメですね(笑)。歯切れよく「来た方がいいぜ!」と言いたいですけど、やはり不透明な部分も多いので。行くぜ!というのが目的化しても意味がないと思いますし。

岡田:最初におっしゃっていたように、進出した方がメリットがあることを確かめられる状況にしないといけないということですね。急いで来ても火傷するけど、ゆっくりしてると乗り遅れるというか、それぞれのステージよる見極めが大事ですね。

山本:日本でやっていても大変なことはたくさんありますから、こっちに来たからといって別に楽になるってわけでもないですので。日本では想像できないような大変なことがたくさんあると思います。一方で、今後間違いなく伸びていく市場なので、ある程度長期的な視点でやるにはとてもいいタイミングなんじゃないかなと思っています。

岡田:なるほど。ありがとうございました。さて、このサイトはアトリビューションの情報サイトなのですが、今回のad:techではRTBやDSPの話はあっても、アトリビューションに関する単独のセッションは残念ながらありませんでした。ただ、仮にアジアでのアドテクノロジー市場の成長をラストタッチだとすると、今回のシンガポールでの二日間はファーストタッチというか、アジアのアドテクノロジーの胎動を予感させるきっかけとしてしっかり貢献度をスコアリングすべきイベントだったと思います。
と、無理やりアトリビューションに繋げたところで、山本さん、最後にメッセージをお願いします。

山本:それでは少し大きめの視点からお話したいと思います。今回様々なアドテクノロジー系のセッションの中で聞く事ができたのが、アドテクノロジーの理解が進んだ、先端市場としての日本の存在と、約10年以上前からある日本のモバイルの広告市場の存在です。その2つについてはセッション以外でもいたるところで聞く事ができました。やはり日本という国はアジアの中ではダントツにマーケットが成熟しています。そこからくるノウハウや技術はアジア市場を考える上で非常に大きなアドバンテージになると感じました。あとは僕らのメンタリティー次第です、海外に対しても物怖じする事なく全力で取り組む事ができれば道は必ず開けていくはずです。日本も全然捨てたもんじゃない、自分たちにプライドを持ってやっていきましょう! 

岡田:山本さん、ありがとうございました!

聞き役:岡田吉弘(Yoshihiro Okada)Google+

(END)

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【アトリくんの視点】日本だけでなく海外を視野に入れ実践を繰り返されている山本さんのエネルギーが感じられるインタビューでした!実際に海外に向けてアクションを起こされているオムニバスさんだからこそ得られる知見が多くあるのですね。エマージング・マーケットへの期待と現実とのギャップを少しづつ埋めていきながらビジネスを拡大していく心意気に大いに勇気づけられます。アトリビューションについてはad:tech Tokyo に期待ですね。山本さん、貴重なお話をありがとうございました!

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