アトリビューション特別対談:ADエビスと第三者配信機能が統合 – 株式会社ロックオン 一木稔人氏 × アタラ合同会社 杉原剛

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日本初!広告配信から効果測定まで一元管理するViewThruエビス
広告主とメディアの架け橋となるアトリビューションを推進
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ロックオン一木稔人さんのプロフィール

杉原:本日は、株式会社ロックオンの一木稔人さんをお迎えして、2012年11月にリリースした「ViewThruエビス」と、それによって実現できるアトリビューション分析について伺います。

一木:株式会社ロックオンの一木稔人です。ロックオンに入社する前は、リクルートで紙の広告を売っていました。企画デザインから携わっていたのですが、効果が分からないことが課題だと感じていました。キャッチコピーなど何度も練り直し、締め切り前は夜中まで仕事をしてようやく完成し、出稿するのですが、その結果をお客さんに聞いても「なんとなく良い」とか「効果って言われても……どうかなぁ?」といった声が返ってきました。「すごく良いですよ!」と褒められても、具体的に何がどう良かったのかは分かりませんでした。それを4年ぐらい続けてモヤモヤしていました。

杉原:4年は長かったですね。

一木:広告を見て買ってくれたお客さんのところへアンケートをとりに行って「なんで、これを見て買ってくれたんですか?」と聞きに行ったりもしていました。

杉原:それはスゴイですね(笑)

効果測定ができるウェブの世界へ

一木:でも、ちょうど2008年頃、リクルートの商品が紙からウェブへ移行する動きがあったタイミングで「どうやらウェブは効果測定ができるらしい」ということを知りました。「PVってなに??」といった知識レベルでしたが、効果測定できない紙広告に課題を感じていたので、効果測定ができるウェブという世界に興味を抱きました。それで、すぐに「ウェブ 効果測定」で検索したらロックオンが出てき「これだ!」って思って入社しました。

杉原:なるほど。

一木:ロックオンに入社してから1年くらいは技術サポートに携わり、技術の研修をやって、その後の3年は営業をやっていました。2012年10月から事業戦略として、今後の製品展開や会社の方向性を戦略的に考える仕事に就いています。

杉原:そのような経緯だったんですね。

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マーケティングメトリックス研究所とは

一木:あと、データ分析のマーケティングメトリックス研究所も僕とその他のメンバーで担当しています。

マーケティングメトリックス研究所
http://www.mm-lab.jp/

杉原:マーケティングメトリックス研究所では、どのような活動をしているのですか?

一木:弊社は効果測定のツールを提供して約10年になるのですが「測定したデータの使い方が分からない。活用できていない」という声は未だに多いんです。そこで、データの使い方を世の中に啓蒙すること、データの面白さを伝えていくのが主な活動趣旨です。社内向けには、リスティング広告の最適化ロジックの研究や開発をおこなっていたりしています。

杉原:お客さんの数字データの分析もやっていらっしゃるんですか?

一木:そうですね。ビッグデータの解析などはマーケティングメトリックス研究所で取り扱っていて、お客さんのアトリビューションのレポートなども作成しています。「ADエビス」や「THREe(スリー)」を利用していただくお客さんから、データの活用方法などのご相談も多くいただくようになりました。

ロックオンの商品ラインナップ

杉原:一木さんのいる事業戦略室が商品企画をされているとのことですが、ロックオンさんの商品ラインナップをご紹介いただけますか?

一木:弊社のサービスは主に4つです。広告効果測定システム「ADエビス」、第3世代のリスティング広告マネージメントサービス「THREe(スリー)」、ECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」とマーケティングメトリックス研究所(以下マメ研)が提供するデータを活用した戦略立案をおこなうサービス「最適化テクノロジー」の4つです。

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ロックオン サービス一覧

左から、効果測定のアドエビスは、PDCAのCheckの部分ですね。

次にTHREeはDo&Action、データ分析をおこなうマメ研がPlanを担います。これらのサービス群は「企業と消費者のコミュニケーションの最適解を導く」というコンセプトです。

また、EC-CUBEは、オープンプラットフォームとなっており、Eコマースに必須の各種EC周辺サービスとの連携を自由に組み合わせながら、独自のショッピングプラットフォームを構築できます。今では日本国内2万サイト以上がEC-CUBEを使って構築されていて、2013年からは海外版もリリースしました。

ビュースルーを含めたアトリビューション分析

杉原:そして今回、ビュースルーを含めたアトリビューション分析もできる「ViewThruエビス」が登場したわけですね。これは、ADエビスの一環ということですか?

一木:そうですね。ADエビスの拡張機能となります。そもそも「アドエビス」といっても、その種類はたくさんあります。

広告の効果だけを計測したければ「ADエビス」。
自然検索の効果を計測する場合は「SEOエビス」。
さらにランディングページの最適化をしたければ「LPOエビス」。
サイト内の導線を広告に紐付けて分析する場合は「LOGエビス」。
タグのマネジメントがしたければ「TAGエビス」。

こうしたサービスを用意しています。これらに今回リリースした第三者配信サービス「ViewThruエビス」が加わり、インプレッションから一貫して計測・分析ができるようになりました。

「ViewThruエビス」でできること

杉原:ViewThruエビスやSEOエビスを使うには、ADエビスの導入が前提ですか?

一木:そうです。ADエビスがコアになります。「ADエビス」と「ViewThruエビス」でもいいですし、「ADエビス」と「SEOエビス」など、計測の目的によって組み合わせは自由ですが「ADエビス」が基本機能になります。

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アドエビス サービスラインナップ

杉原:新登場の「ViewThruエビス」では、どういったことができるんですか?

一木:単純にいうと、第三者配信アドサーバーです。ディスプレイ広告を一元管理して配信する第三者配信アドサーバー機能に加え、「ADエビス」の全機能と統合できるのが特徴です。

杉原:なるほど。

日本初!解析ツールや効果測定ツールが第三者配信を搭載

一木:ADエビスの管理画面上で、クリエイティブを登録して配信タグを媒体へ入稿すると、ADエビス自体がアドサーバーとなって広告を配信できるようになります。母体が効果測定になるので、配信とサイト流入から成果までをつなげて一元管理できます。

杉原:それは大きな強みですね。そうしたプラットフォームは日本初ですよね?

一木:そうですね。解析ツールや効果測定ツールが第三者配信を搭載するのは日本初です。

「ViewThruエビス」を開発したきっかけ

杉原:「ViewThruエビス」を開発しようと思ったきっけは何ですか?

一木:僕自身の個人的な理由は、メディアやデバイスが進化するにつれて、広告の効果測定がクリックベースだけであることに納得感が持てなくなってきたということです。そして、会社としては当然ですが、事業戦略上、新しいサービス開発が迫られていたことです。以前、杉原さんにもお話ししましたが、取得データを増やし、分析できることを増やしていかないとダメだなぁ……という危機感がありました。そう考え始めたのが一番のきっかけですね。

杉原:2012年の秋頃ですね。

一木:そうですね。実は、杉原さんとad:tech Tokyo 2012のロックオンブースで対談した翌日に、ヤフーさんとメディアマインドさんの事業提携発表があって心が動きました。その日の夜、社内でプレスリリースの内容を共有し、翌週には企画書をまとめて社内プレゼンを実行しました。

杉原:早いですね。

一木:そのままの勢いで、3ヶ月後の2013年2月4日にリリースしたという流れです。既存事業との親和性も高く、自社開発環境があったから成しえたことだと思います。

杉原:実は、直近の話なのですね。

一木:そうですね。「やっていこうか」という話は社内でも以前から出ていました。開発環境が社内にあるため、別に第三者配信事業ではなく、DSP事業でも他社提携でも、手段はいろいろと考えられましたが、ヤフーさんの件はインパクトがありましたからね。これによって業界の動きもさらに活発化することが予想できましたし、共感できるところも多く、今後、さまざまなメディアがもっと積極的に第三者配信を受け入れていくようになると考え、先を見据えてリリースをしました。

ADエビスのユーザー動向

杉原:ちなみに、ADエビスのユーザーさんから要望があったのですか?

一木:ユーザーさんは広告代理店さんが多いので、広告主から直接目立った声はありませんでした。ただ、蓋を開けてみると効果測定の「ADエビス」を入れつつ、同時に他社の第三者配信サービスを入れているユーザーさんが多かったのです。聞くと「効果測定と第三者配信は別物だよね」という声が出てきました。各ユーザーさんが「効果測定をするための第三者配信」という位置づけで使っていたかは定かではありませんが「可視化できるものが違う」「別物だ」という感覚はあったようです。そのため「効果測定のロックオンさんに第三者配信の相談をするのは違うよね」ということだったのかもしれません。

なぜ、第三者配信機能まで実装したの?

杉原:そんな中で、広告の第三者配信機能まで実装した意図を教えていただけますか?

一木:正直に申しますと、第三者配信が我々の脅威になると感じました。ヤフーさんのリリースがきっかけで、日本国内の媒体社のスタンスが変われば、アトリビューションも今以上に実施しやすくなります。その結果、第三者配信は効果測定の領域に入ってくると思いました。また、広告技術の革新によって今後、運用型広告もさらに拡大することを考えると、広告データの取得や蓄積は多いに越したことはありません。リスクヘッジと次の事業展開も兼ねて、取り組むことを決断しました。ピクセリングでのView計測は今までも実施していましたが、それだと第三者配信に頼らざるを得ないので、それなら自分たちで持ったほうが良いということでした。

海外の動向

杉原:広告効果測定からサイト内分析、さらにはタグマネジメントまでできる御社の取組は日本初ということですが、海外ではどのような例がありますか?

一木:グーグルさんですね(笑)

杉原:そうだ。グーグルさんだ。それ以外はほとんどないですよね。

一木:事業戦略としてはグーグルさんとかぶっていること自体がリスクなので、早く別のフィールドにいかないといけないのですが(笑)

杉原:でも、競争できる形にはあるわけですね?

一木:いえいえ、決して競争したいわけではなく(汗)第三者配信に関しては、外部要因を意識してきましたが、もともと弊社のサービスは広告の効果測定からはじまってSEOやLPOと市場ニーズに合わせて必然的にサービスが広がってきました。必要なソリューションを揃えた結果、今のラインナップになりました。

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リスティング広告の自動入札機能

杉原:リスティング広告の自動入札機能は含まれているのですか?

一木:自動入札機能を持つ「THREe(スリー)」との連携は一部、APIでおこなっており、パラメータの自動付与・インプレッション数・クリックコスト・クエリワードのデータが毎日、自動的にアドエビスに登録されるようになっています。アトリビューション分析の課題にありがちな「キーワード毎の費用が反映できない」「キーワード毎のパラメータの振り分けが面倒」といったことは防げます。

杉原:リスティング広告のコストは自動的に入るわけですね。

一木:はい。ただし、効果測定のデータ(自然検索ワード・間接効果等)をリスティング広告の運用に自動反映することは実現できていません。そこについては、THREeの運用チームがアドエビスの計測データを活用してリスティング運用をおこなっています。

杉原:今は人がやっていることも、ゆくゆくは機能化していく予定ですか?

一木:はい。もちろん考えています。特に今後、運用型広告が増えると見込んでいますので、運用担当者の負担が軽減できることはもちろんのこと、データの分析がもっと簡単にできるような補助的な機能が求められると思っています。

杉原:その他、特徴があれば教えてください。

コンバージョンの100パスデータが無料出力

一木:初期費用無料で月額7万5千円からご利用いただけます。廉価でのサービス提供を実現しています。

杉原:あと、アトリビューション分析をおこなう際に必要なコンバージョンパスデータも出力できるんですよね?

一木:はい。2013年4月より、ビュー・クリック・自然検索コンバージョンパスデータを管理画面上から、いつでもダウンロードできるようになりました。広告のビューとクリック・自然検索のパスデータを、過去100セッションまでさかのぼって取得できます。膨大な量なので知らない人が見ると「何これ?」ってなると思いますが、広告代理店さんからはローデータの要望が多いんです。

杉原:コンバージョンパスデータが管理画面上から100パスとれるようになるとは、すごいですね。これは5万円でしたっけ?

一木:無料になりました。これまで、ローデータの取得というと一般的には20万円から40万くらいして、とても高額でしたが、見たいタイミングですぐに取得できるようになりました。

ノンコンバージョンデータは?

杉原:ノンコンバージョンデータも分析したければ取得できるのですか?

一木:ご相談いただければオプション(有料)対応が可能です。

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アドエビス管理画面:広告View/Click、自然検索を含めたコンバージョンパスがすぐに確認できる。
※100セッション表示はCSVデータのみ

急増!アトリビューション分析をやりたい広告主

杉原:分かりました。「ViewThruエビス」を導入する方は、アトリビューション分析をやりたいからか、純粋に第三者配信をやりたいからか、どちらのケースが多いですか?

一木:アトリビューション分析をやりたい方が多いですね。

杉原:アトリビューション分析に目的意識をもった広告主が増えているのですね。

一木:そうですね。ただ、「まずやってみたい」というスポット前提が多いです。

杉原:まだ、アトリビューション分析を中長期的に導入して定点観測するケースは稀ですね。

一木:はい。

杉原:ただ、プラットフォーム化しているということは、そこも実現できるようにしたいということですよね?

要望に応じてオーダーメイド対応

一木:そうですね。レポートも基本フォーマットはあるのですが、今はできるだけオーダーメイドで応えるようにしています。漠然と「アトリビューション分析をしたい!」というお客さんも少なくはないので、「何を実現したいのか?」「どんなデータが見たいのか?」といった声を直接お聞きして、それに合った形で個別レポートを提案・作成しています。

杉原:なるほど。

一木:お客さんの業種・業態によっても見るべき指標が異なるため、個別で対応していますが、結果的にデータをダウンロードして、分析して、結論を出して、アロケーションを提案するまでに時間がかかり過ぎていることが課題であると認識しています。PDCAのCに時間がかかり過ぎるんです。アトリビューション分析のサイクルがスムーズにいかないボトルネックは、ここにあります。人、モノ、金がかかってきます。当然、時間をかけずに質の良いアウトプットを実現したいという思いがありますので、そのひとつが、管理画面上ボタン1つでデータがダウンロードできる機能だったりします。こういった機能をドンドン増やしていきたいですね。

データを使いこなせていますか?

杉原:いまはプラットフォームで実現できていない面と、広告主さんや広告代理店さんがデータを持っても使いこなせないという課題もありますよね。

一木:個人的には、そもそも業界自体、確立できていない部分が多いと思うんです。いろいろな人が、さまざまなことをやっています。これまでは一部の人たちが第三者配信を実施して、一部の人たちがデータを見ているといった状態でした。しかし、今後は第三者配信のコストが下がり、メディアも受入れ始めることで導入障壁も下がり、アトリビューション分析やビックデータに触れることが、もっと身近になっていくと思います。

杉原:今って「やってみたいんだけど、何から始めたらいいかわからない」とか「やってみたけれど、設定の仕方が分からない」というように、気持ちはあるけれど分析できるデータは取れなかったという声が多いですね。

設定・設計が重要

一木:はい、まず設定・設計が重要ですね。「こういった分析がしたい」「こういったデータを見たい」という要望に合わせて、分析項目等のカテゴリを設計・構築する必要があります。見やすくするためには相応な設計が必要ですが、それをやるにはある程度の経験を積まないと難しいですね。本質を理解して作っていかないと大変なことになります。技術はあるけど、人の設定や運用がついてこないパターンは多いです。

杉原:広告主さんや広告代理店さんにしても、業界がこのような状況なので、プラットフォームや機能を提供するだけで普及は難しいですね。だからこそ、ロックオンさんの役割としては、アトリビューション分析を啓蒙しつつ導入を広げていくフェーズということでしょうか?その先で、やりたいことが効率よくできて、見るべきデータを見ることができる機能を提供していくという構想でしょうか?

一木:そうですね。僕らとしては、数々の事例を通じて成功も失敗も経験し、ノウハウを蓄積していますので、最前線でお客さんの課題を解決していきたいです。お客さんからツールや運用の課題を伺い「それであれば○○と××を組み合わせて見られるように開発しましょう」と提案できることが自社開発の強みであり、活かしていきたいところですね。

導入事例「オーダーメイドで作るアトリビューション分析レポート」

杉原:せっかくなので事例を紹介していただけますか。

一木:では、オーダーメイドで作る場合の、アトリビューション分析レポートの流れについてご紹介しますね。まず、弊社が考えるアトリビューションの概念や過去の取り組みなどについてご説明させていただきます。ここで「アトリビューションとは?」という点について、関係者の目線を揃えることができます。次に、クライアントがどんなことを課題に感じているかヒアリングします。一見、アトリビューション分析とは関係なさそうなことでも、どんどん語ってもらって、その課題を受けた上で、最適だと思う分析のアウトプットイメージの共有、実現するため計測指標、計測設計のご提案をおこないます。その際、計測できる範囲や項目の意味など、関係者全員で共有できるように丁寧にご説明するように心がけています。

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計測項目確認表

杉原:なにを、どこまで計測するか、お互いに共通理解をもったうえで始めないとトラブルになります。これも設計段階の話ですね。きちんと設計しないと後で「○○がとれてない」と言われたり「これしかできないの?」といった思い違いが起きてしまったりするわけですね。

一木:はい。こういう煩わしい前段階の説明をせずとも、思うようにテクノロジーに反映できたらいいのですが、まだ難しいですね。お客さんと二人三脚でやっています。

アトリビューション分析をはじめる前にすべきこと

杉原:アトリビューション分析をおこなう前に注意したほうがいいことはありますか?

一木:アトリビューション分析のトラブルの原因の一つがプレイヤーの多さだと思います。広告代理店が2社から3社いて、計測のタグを設置する制作会社がいて、広告主さんがいて、弊社がいて……。どこかが主体的にやらなければなりませんが、ツールを知っているのはベンダーなので、そのあたりは出来るだけこちらに権限を持たせていただいて、マーケティング施策の部分は広告代理店さんが持ったり、場合によっては弊社が第三者目線でアドバイスしたりしています。お互いがフォローし合わないと、アトリビューション分析はうまくいきません。

杉原:本当にそうですね。かなり細かいチェック項目と、お互いにどこを分担するか決まっていないと混乱を招きます。統一化されていない部分ばかりだし、今後、統一化されるのかは疑問でもあります。それがアトリビューション分析をやる前の準備として難しいところですね。

一木:設計などの準備が全体作業の50%以上を占めると言っても過言ではありません。準備さえできれば、あとは楽なんですけどね。決められた期間でできるかが腕の見せ所です。

杉原:いずれ自動化されてプラットフォームの中で設定や計算、分析を吸収できたとしても、事前の共通意識をもつ過程は大事ですよね。

一木:参加者の共通意識や設計は、ツールで自動化できない部分ですからね。こちらの感覚値で進めていくのではなく、目線を合わせて進める必要があると思っています。

杉原:とてもよくわかります。

CRM情報と広告情報を結び付ける機能

一木:また、どうしても計測ツールだけでは取得できないマーケティング情報の一つが「CRMデータ」です。その消費者が、過去に何回この商品を購入しているのか?というのは非常に重要な指標です。たとえば、ECサイトの場合、過去に複数回の購入履歴があるお客さんと、まったくの新規客とは、当然アプローチに違いがあります。しかし、1回だけ購入履歴がある方に2回目、3回目の購入をしてもらうために、どのようなコミュニケーションが有効なのかは、計測ツールだけでは知ることができません。

杉原:そうですね。

一木:こういった軸での分析・広告評価をおこなうために、アドエビスではCRM情報と広告情報を結び付けるための機能も用意しています。分析の幅をさらに広げることができ、クライアントの課題にも柔軟に対応することができます。しかし、逆に広がり過ぎて過度なコストや時間をかけないように注意が必要です。

杉原:無限に広げることができますからね。

誰が見ても伝わるのが良いレポート

一木:取得データや分析方法が固まったら、いよいよレポートですが、ここでも分析内容を理解できるように、評価比較や相関性など、可能な限り図に落とし込むようにして、その読み取り方なども理解できるように説明を加えます。クライアントへ提出したレポートは、その後、担当者のチームや上司の方、担当代理店など、さまざまな方が閲覧します。企業のマーケティング担当者は、そういった方たちに説明しなければならないため、誰が見ても伝わることをイメージしてレポート作りをしています。

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アトリビューションレポート例:サマリーから広告相互関係、TCPAを用いたアロケーション・シミュレーションまで。

杉原:広告業界は特に多いですね。結局はアロケーションに落とし込まなければならないのですが、その手前が重要だったりします。レポートも「分析した感」が伝わるかどうかが大切になってきます。

一木:逆に、データやグラフしかないレポートだと「それで?」ということになってしまいます。結論に至るまでのプロセスは、グラフなどで要点を絞って分かり易く。結論は、課題に対する本質を深く掘り下げていないと、それは報告している意味が無いです。それを導くために、コスト情報などはお客さんや代理店さんにも協力していただく必要がありますね。

杉原:そうですね。

広告代理店が「コストデータを渡したくない」!?

一木:現状、事前設計を主体的にやらないと、広告主さんをはじめ広告代理店などの関係者一同が同じ方向を向いてくれません。ここはぐいっと引っ張って「お互いに協力しましょう!」という意思疎通がとれないと、アトリビューション分析はできません。広告代理店が「コストデータを渡したくない」と言い出したら分析できませんが、よくある話です。

杉原:よく聞きますね。

一木:一方、どれだけ意思疎通をして分析を進めても、コストのアロケーションまで踏み込めていないことが多いです。理由は、アロケーションの納得感の無さにあると考えています。実際、懐疑的な広告主は多いです。方法論がまだまだ未熟だということも考えられますが、そもそもセンシティブな内容なので他社の情報を耳にする機会が少なく、いま一歩、踏み出せないのかもしれません。ここは、ぜひ広告主さんたちにも協力していただいて、事例を作って表に出していけなければならないと思います。みんなで業界を盛り上げようというスタンスです。

広告主さんのコミットレベルをより高く!

杉原:協力もそうですし、広告主さんのコミットレベルが、もっと突き抜けてほしいなって思います。アトリビューション分析をするということにはコミットしているのですが、コストアロケーションしてオススメしても、実際にやっているケースは少ないです。いろいろな理由があって踏みとどまったり、シミュレーションの半分でやってみましょうということもあります。半分でもやるだけいいのですが、やらないケースはまだ多いです。やってもらうために背中を押すのが「納得感」なのかなって思います。その納得感を我々はつくっていかなければなりませんね。

一木:多くの人が関わってアトリビューション分析やっても、PDCで止まってしまうのはもったいないですね。時間もコストもかけていますので。

杉原:そうですね。

一木:また、PDCAサイクルを回すうえで、コストと時間で負担をかけないようにするのがツールベンダーである私たちの使命だと思っています。

今後の展望「動画のアトリビューション分析」

杉原:今後の展望を聞かせていただけますか?

一木:あたらしい取り組みとしては、動画のアトリビューション分析も進めています。

杉原:動画が盛り上がってきましたね。動画は直接的なコンバージョンの寄与度が見えにくいので、アトリビューション分析とセットになっていくのでは?と私自身も注目しています。

一木:CPMが高いのでシビアですが、得られる情報は数百倍、数千倍だったりもするので、これによる消費者の態度変容が分かるようになると面白いですね。いままでの広告の接触ポイントや流入ポイントだけでは取りきれないこともあるので、動画も含めて見ていきましょうという話になっています。

杉原:マウス、クリック、どこで離脱したかなど、とれる情報は多いけれど、情報が多いと分析する方も大変になりますね。

一木:項目が1つ増えると、掛け算で10増えたりしますからね。

杉原:そうですね。どこまで分析するのか見極めが難しく大事ですね。

一木:弊社では、140%くらい分析してから100%に落とし込んでいます。とにかく分析事例を増やし、どこを自動化できるか、つまりサービスの機能として反映できるかを見極めています。分析と商品のバージョンアップ企画を同時に進めているイメージです。

杉原:そこから取捨選択する目利きが必要ですね。読み解く力が問われますね。

メディアとのタイアップ

一木:他はメディアさんとのタイアップも積極的におこなっています。2012年の夏にメディアジーンさんとGizmodo Japan(ギズモード・ジャパン)の分析を一緒にやったのも好評でした。

杉原:そうでしょうね。メディアさんもメディアさんの立場からのアトリビューションには興味はあるけれど、どう取り組んでいいのか迷っている様子です。

一木:技術的には以前からできたことなんですが、メディアさん側で受け入れられませんでした。Gizmodoさんの事例が世の中に出てきてから、他のメディアさんも前向きに取り組んでいただけるようになったように感じます。

杉原:アトリビューション分析によって、広告主さんが何を欲しがっているのか、メディアさんが見ようとする意識が以前よりも高まっているように思います。

一木:広告主とメディアをアトリビューションがつなぐわけですね。

杉原:メディアさんも、広告主さんがメディアに何を求めているのか知りたいけれど、どこを見たらいいのか分からないのが正直なところだと思います。

ロックオンのアトリビューション分析

一木:そうですね。弊社のアトリビューション分析の進め方としては、定型の分析ロジックが6割で、残り4割はお客さんの業種・業態に合わせて調整し、企業ごとにプライベートな分析ロジックを適用しています。定型ロジックのベーシックな部分はツールに反映させ、広い領域で手間なくアトリビューション分析をおこなえるように、ソリューションを開発・提供していきたいです。

杉原:本日は貴重なお話を伺い、ありがとうございました。

(END)

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【アトリくんの視点】広告効果測定ツールが第三者配信サーバー機能を実装するのは意外とグローバルで見ても珍しいケースだったりします。データ取得部分や媒体コスト、CRMとの紐付けは便利ですね。あとは分析系機能の実装が今後期待されます。アトリビューション分析を行う上での導入ハードルがかなり低くなっているので、ぜひ今後増えていって欲しいと思います。

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