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Sizmek、abakusと連携し高度な統合アトリビューションサービスの提供開始を発表

リンク:Sizmek and Abakus Announce Integrated Advanced Attribution

 

2014年11月20日、第三者配信などのデジタルキャペーン統合プラットフォームを手がけるSizmekは、アトリビューションベンダーのAbakusとの提携を発表しました。

 

これにより、Abakusのアトリビューション機能がSizmekの MDX Platform(デジタル広告配信マネジメントプラットフォーム)」に組み込まれ、直感的に操作できるメディアや施策の最適化が可能なダッシュボードが2014年12月から利用開始となるようです。

 

AbakusのCEOであるAlex Saldanhaは、「Sizmekとの連携により、広告主は瞬時にキャンペーンパフォーマンスを最大化し、様々なレベルで、メディアの粒度を把握・測定できるようになるだろう。」とコメントしています。

 

今回Sizmekに統合アトリビューションサービスを提供したAbakusは、先日発表されたForrester Researchのアトリビューション評価レポート『The Forrester Wave™: Cross-Channel Attribution Providers, Q4 2014』で、クロスチャネル・アトリビューションの8強として選出されています。

 

関連記事はこちら:

Forresterレポートから見る、アトリビューションベンダーの勢力図の変動 | Unyoo.jp – 広告運用の情報サイト

 

 

はちまきアトリくん
【アトリくんの視点】オンラインでのアトリビューション分析を行う上で第三者配信サービスとの接続はほぼ必須ですが、3PAS側のダッシュボードにアトリビューション機能が組み込まれることで、広告サーバーによる横断計測のみならず、キャンペーンの最適化というアクションに繋がるようになったのは大きな一歩だと思います!

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【海外ニュース】日本ランズエンド、EC売上高が20%増加~アトリビューション分析による新規獲得が奏功

リンク:日本ランズエンド、アトリビューション分析による新規獲得が奏功し、EC売上高が20%増加日経デジタルマーケティング

 

上質カジュアル・ファッション通販会社である日本ランズエンドは、消費者が同社のEC(電子商取引)サイトで商品購入に至るまでのコンバージョンパスを、デジタルマーケティング支援会社ビービットが提供する広告効果測定機能「WebAntenna」を主に活用しながら把握しており、今回の結果につながったようです。

 

ネット広告を出稿している各メディアのパフォーマンスを間接効果も含めて月次で評価し、効果の最大化につなげているとのことです。

 

 

*この記事は、日経デジタルマーケティングの定期購読者向けの記事です。

 

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アトリビューション特別対談:デジタルでも電通は真のリーダーになる 〜1年で急成長したネクステッジ電通に迫る

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ネクステッジ電通とは

有園:株式会社ネクステッジ電通の代表取締役社長COO、杉浦友彦さんをお招きして、お話を伺います。さっそくですが、ネクステッジ電通の設立は、2013年の5月ですよね。

杉浦:設立は5月ですが、本格的な営業開始は10月です。会社登記は2013年5月23日で、それと同時にプレスリリースを発表しました。そこから四か月は採用などの準備期間にあてて、大きく動きだしたのが10月からです。

有園:単刀直入に伺いますが、ちょうど1年ほど経過して、どうですか?

杉浦:駆け抜けている、突っ走っている感じですかね。

有園:きっと、すごく忙しいんだろうなって思っているんですが。

杉浦:ほどほどです(笑)

有園:御社のことを、まだ詳しくは、ご存じない方もいらっしゃると思うので、何をされているのか、簡単にご説明いただけますか。

杉浦:キーワードとしては、パフォーマンスマーケティングの会社と定義をしています。欧米で、そのまま直訳すると、業績マーケティングとか言われることもありますが、基本的には成果を出すための、成果に直結するためのマーケティングを行っている会社です。これって、いままでのダイレクトマーケティングが進化した形になっているかと思うのですが、明確なKPI、成果を定めて、そこに対してPDCAを回し、KPIを改善していくところに立脚したエージェンシーです。当り前のように聞こえるかもしれませんが、数値の明確な目標や、売り上げをいくら上げるのか、何件獲得するのかといったことに対して、あらゆる手段を尽くして数字を追いかけることを生業にしています。欧米だと、パフォーマンスエージェンシーと言えば、それだけで一つの業態があります。でも、日本だと、まだ、そこまで一般的に言われる言葉ではありません。いまは、デジタルパフォーマンスエージェンシーという言葉をつかうことが多いです。手段としてデジタルを使っています。そのほうが、改善のサイクルも回しやすいですし、成果も可視化しやすいので、まずはデジタルに軸足を置いています。広義な意味でいくと、あらゆる手段を講じて成果を上げていくところに立脚した事業を展開しています。

有園:そうすると、パフォーマンスメディアとよく呼ばれる分野を主に扱っていらっしゃるということで、よろしいでしょうか。

杉浦:はい。手段として、運用型のデジタル広告と呼ばれるような、リスティング広告、ディスプレイ広告、Facebook広告などが主になります。その周辺にある、バナーやランディングページなどのクリエイティブ、SEO、テクノロジーの導入や実装などが、どんどんくっついている感じです。

 
広告とテクノロジー

有園:いま、テクノロジーの導入が話に出ましたが、ここ2年、3年の業界の動きとして、たとえば、サイバーエージェントでは、アドテク本部を設立しました。アドテク本部で、テクノロジーや社内ツールなどの開発をしていると思われます。ネクステッジ電通でも、アドテクといった部分は、エンジニアを抱えて自社開発しているのでしょうか?

杉浦:自社開発しており、強化しているところでもあります。我々の場合、プロダクトセールスではなく、個々のクライアント向けに、オーダーメイドでカスタマイズすることが前提でテクノロジーを導入することが多いです。

有園:ソリューションを提供しているということでしょうか。

杉浦:完全にそうです。特に大型のお客さまの場合、既存のツールだけだと、痒いところに手が届かないような場合が多いので、そこを自社開発で補完します。レポーティングや入稿、定型の入札等、運用者のルーチン業務を自動化するようなこともありますし、タグのカスタマイズ、AdWords Scriptを活用した運用の高度化なども含まれますね。テクノロジー活用の目的の1つは、コンサルタントの負担となっているルーチン業務を合理化し、考える仕事、より付加価値の高い仕事にパワーを割けるようにすること。加えて、人では不可能な大量かつリアルタイムの処理をテクノロジーによって代替し、運用自体を高度化することです。

有園:私の印象では、業界内でのネクステッジ電通の存在感が急激に高まっている。いろいろなところで名前を聞くようになりましたので、社員数も売り上げもかなり伸びていっているということですよね。

杉浦:そうですね。お陰さまで。

有園:じつは、ここ1年ぐらいの間ですが、電通のイメージが変わったという話を何度か耳にしたことがあります。マス広告の会社だと思っていたのですがデジタル広告でも真のリーダーになりつつあるのではないか、というような話を聞きました。電通というか、そこで指しているのは、ネクステッジ電通なのです。それで今回はお話しをさせて頂きたいと思ってお伺いしました。
さて、売り上げもかなり伸びているということですが、ほとんどがリスティング広告ですか。

杉浦:今はリスティング広告の比重は大きいですね。売り上げでいうと、SEMとDSPを含むディスプレイ広告が中心になります。それ以外にも、フィーベースのコンサルティング仕事や、コンテンツ制作やSEOの受注も増えています。

有園:1年で急成長されたわけですね。

 
ネクステッジ電通の強み

杉浦:会社設立の背景にも関わるのですが、ネクステッジ電通は、まったく新しい会社というわけではありません。もともと、電通のなかで5年から6年くらい、この領域を深掘りしてやっていたチームが母体となっています。そういった意味で、営業面でも、ノウハウ面でも、過去の蓄積がかなりありました。そこを別会社の形にして、もっと機動的に拡大していこう、もっとスピーディに経営していこうという主旨がありました。そういう意味では、ゼロからスタートかというと、そうではありません。

 
ネクステッジ電通の設立経緯

有園:電通のなかで「ネクステッジ電通が必要だよね」って話になったのだと思いますが、なにがきっかけで、どういう経緯があったのでしょうか。

杉浦:お客さまのマーケティング環境がデジタル化していくなかで、KPIをきちんと追いかけてPDCAを回して成果を上げることに対して、お客さまの需要が、ものすごく高まっていました。でも、総合代理店のような大きな組織には、細かい運用や、リアルタイムで、デイリー、ウィークリー、マンスリーでレポートを出してチューニングしていくといった文化が馴染みにくい部分が、どうしてもあって。

有園:デイリーで運用するとか、ウィークリーでお客さまのところへ行って報告するとかが馴染みにくいというのは、重要なポイントですね。

杉浦:いままでの、いわゆるマス広告主体のキャンペーンのサイクルとは違います。総合代理店の過去50年、100年の歴史から考えると、見るデータも違います。パネルベースの調査があって、そこからターゲット分析をして、渾身のクリエイティブをつくって、三か月間回してキャンペーンを検証してといったのが、通常の広告コミュニケーションのサイクルです。一方、デジタルの運用型広告だと、デイリーのオペレーションは当り前です。でも、それを、いままでの総合代理店の社内に抱えて急拡大することは、人材確保の問題や、文化の浸透といったところで、なかなか競合他社のスピードにはついていけない面がある。それで、外に出して、もっとスピードを上げていく、体制を拡大していくという選択肢をとったわけです。

有園:僕が外から見ていると「かなり尖がっていたんだろうな、杉浦さん」というイメージなんですよ。

杉浦:尖がっていたかは分かりませんが(笑)異質ではあったと思います。17年間ずっとデジタルを追いかけている、デジタルネイティブなんで。

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1クリック10円なんて仕事ができるかよ!

有園:僕自身の経験を少し話しますと、10年ほど前の2004年頃はオーバーチュアという会社にいて、総合代理店さんの担当でした。当時、電通とも調査の仕事で関わったことがあり、一緒に仕事をすることもありました。総合広告代理店さんに対して「リスティング広告を拡販してください」というのが僕の仕事でしたが、総合広告代理店の人に説明してもなかなか理解してもらえない状況が続きました。あるとき、打ち合わせに行くと会議室に通されて、当時は社内で煙草を吸うことができた時代なのですが、担当者がいてスパーっと煙草を吸いながら「お前ら何しにきたんだっけ?」という雰囲気に包まれたことがあって。決して口ではそんなヒドイことは言わないですけど、そんな雰囲気があって(笑)で、実際に言われた言葉でいまでも覚えていることがあります。それを言った人が、いまどこで何をしているかは知りませんが「え?1クリック10円?そんな仕事できるかよ」と。どこの総合広告代理店さんだったかは伏せておきますけど。

杉浦:すごい発言ですね。

有園:ちょっと事情があって口論になった打ち合わせだったのです。「え?1クリック10円?そんな仕事できるかよ。俺たちが年間いくら売っているのか知っているか?」と言われました。それくらい、リスティング広告は相手にしてもらえない時代がありました。そんな時代なので、よくケンカみたいことをしていたのです。こっちもリスティング広告を売るために必死でしたから。もちろん、そういう本気のやり取りを通して、総合広告代理店さん、とくに、電通と博報堂にはたくさんのことを教えてもらい、苦労もしたけどその分だけ感謝もしています。

それが変わったんですよね。5年くらい前からですかね、状況がコロッと変わったというか、時代が変わったのか、僕の話を聞いてもらえるようになりました。電通や博報堂に呼ばれて、勉強会をおこなったりセミナーで話したりすることも増えて、総合広告代理店さんも、だいぶ状況が変わったなって有り難く思っています。

 
電通が運用型広告をやる

有園:実は僕、ネクステッジ電通には勝手に期待しているんです。

杉浦:ありがとうございます。

有園:「電通の中で運用型広告をやるんだ!」と意思表明した感じですよね。社内でやるのは難しいけれど、別会社でやるんだと。それって、僕が総合広告代理店さんにリスティング広告を苦労して売っていたころに比べると、隔世の感があります。理解してくれる人が増えることは、個人的にも嬉しいです。今後あらゆる広告が運用型広告になっていく流れからいくと、アメリカで最近でてきたプログラマティックTVで、AudienceXpress(http://www.audiencexpress.com/)という会社があります。AudienceXpressが、プログラマティックTVのプラットフォームを提供し始めていて、DSP/DMPを提供しているTURN社(http://turn-jp.com/)もAudienceXpressとパートナーシップを結んだという発表がありました。ちなみに、TURN社は電通ともパートナーシップを結んだと発表されたばかりですね。このAudienceXpressやTURN社のように、徐々に、テレビのバイイングにも運用型広告に近い仕組みが入り始めているようです。あくまでアメリカの話でまだまだ初期段階ですし、RTB(real-time bidding)ではないようですけど。

杉浦:なるほど。当然、そういう流れになるでしょうね。

 
メディアの環境や電通の今後

有園:このようなことが起きているなかで、杉浦さんは、どういう風に、この先を見ていますか?電通の第四代、代表取締役社長に吉田秀雄という方がいます。たしか、43歳で代表取締役社長に就任しています。

杉浦:そっかあ。4つしか変わらないじゃないですか。

有園:代表取締役社長に就任したのが1947年(昭和22年)で、戦後の混乱の時期でもあり、その頃のテレビの市場は新興で、吉田秀雄が作ったようなものだと思うんです。彼一人ではないと思いますが、市場を自分で作ったので、電通がリードして作ったことで、テレビの市場を圧倒的に押さえることになったんだろうな、と思います。そうすると、これからの次の時代のルールも主導して作る人がマーケットの主導権を握っていくという考え方もあるだろうと。そういう意味では、吉田秀雄は40代で社長になり、いまの時代に電通本体で40代の社長が誕生することは難しいと思いますが、40代という世代がアクティブに次のマーケットを作っていくべきだと思っています。そういったアナロジーで、ネクステッジ電通の社長である杉浦さんは、だいたい40代ですし、今後を、どのように見ているのかなと思いまして。

杉浦:それは、メディアの環境の話ですか?

有園:メディアの環境や電通は今後どう、ビジネスをしていくべきかを伺えれば。立場的に話せないこともたくさんあるとは思うのですが、あえて、聞いてみたいと思っています。

杉浦:メディア環境については、電通の広告ビジネス全体でいくと、テレビがいつの段階で、どういうスピードで、どう変わっていくのかは、生活者の視聴態度に大きく依存するというか、左右されると思います。テレビというビジネスについて、そこまで勉強もしていないので、僕に語る資格はないのですが、マスメディアとウェブサイトの統合分析や、最終的には売り上げに、どのくらい寄与できるかといったことに携わる機会が多いなかで言うと、いまだにテレビは圧倒的なパワーをもったメディアであることは事実です。現状、多くの企業にとって、テレビは外せないメディアであり、広告手段でもあります。それが、テレビを見ない世代、YouTubeなどの動画を見ている世代が消費の中心になっていくなかで、当然、世代が変わればジワジワと、いまよりもテレビのパワーは相対的に落ちていくリスクに晒されているとは思います。ただ、日本の場合、アメリカとは環境が大きく違い、アメリカは、多チャンネルで、ケーブルテレビで、コンテンツとチャネル、ディストリビューションが分断されているなかで、コンテンツのコングロマリットが、比較的メディアニュートラル、チャネルニュートラルなスタンスを取っているのかと思います。コンテンツを配信していく、ケーブルテレビにも出す、YouTubeにも出すと、しがらみのない環境で進化しています。チャネルの多様化は、アメリカの方がはるかに進みやすいです。一方、日本の場合、地上波のテレビ局が圧倒的なコンテンツプロバイダーであり、有限な電波を利用する権利も持っており、多チャンネル化が進むスピードは非常に遅いです。過去10年、20年を見ても、地上波のパワーが圧倒的です。マスコンテンツ、マスメディアのパワーが圧倒的という流れが続いています。いまだに、最高益を出しているキー局もあります。5年、10年で、業界が崩れるといったスピード感ではないと思っています。私は、意外とテレビの未来についてはポジティブです。いまも見逃し視聴の話や、ネットにもコンテンツを出していくといったところには、着々と手を打ち始めていますし。

有園:見逃し視聴って、この前、民放連の会長が発表された、見逃したテレビ番組をインターネット上で、無料で視聴できるという話でしょうか。

杉浦:そうです。CMモデルをバンドルした形で。そういった流れなど、ジワジワと新しい視聴スタイルが提唱されています。テレビは、リビングで見るものとは限らず、スマホやタブレットでも見るなど、ユーザのコンテンツの視聴スタイルにアジャストしていけば、コンテンツのパワーは、そんな簡単には崩れないと思っています。ただ、そこに差し込まれる広告が、どう差し込まれていくのか、プログラマティックなのか、ターゲティングなのか、アドレサブルでターゲティングが可能なのか、枠でしか買えないのかといったビジネスモデルは、これから作っていくことではあります。いまの運用型広告の世界に代表されるような、ターゲティングが可能で、運用が可能で、成果が見える化されていて、それを基にチューニングを繰り返していくところの、データドリブンな、広告の配信、出稿の流れは、不可逆的なもの、止められないものだと思います。ある日、突然、今日から広告がクリックできない、出稿できない、ターゲティングができなくなってマスの枠でしか買えないということにはなりません。そこが逆行することは考えづらいです。メディア環境がデジタルでITである限りは、そこをブレークスルーするプレイヤーは出てくると思うので。そこが不可逆的な流れである限りは、それに備えるスタンスです。別に、それが3年後なのか10年後なのか20年後なのかは分かりませんが、主従が逆転するというか、電通のような会社、少なくともお客さまの期待に応え続ける会社は、あらゆる手段を使ってやっていくので、避けては通れません。トップレベルの知見とやり方を磨いておかないとダメですよね。そこの競争力は担保するってことには、こだわっています。

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データドリブンなマーケティングの方向へ進む

有園:不可逆的にデータドリブンなマーケティングの方向に進み、テレビも見逃し視聴に対応するような形で、ネットにコンテンツが出ていきます。徐々に、スマートテレビになっていくと思います。いま、スマートテレビとしてインターネットにつないでいるのが20パーセントくらいと聞いています。私見ですが、2020年の東京オリンピックのときにはテレビを新しく買う人も増え、そのときにはスマートテレビしか売っていないような状況になるので、スマートテレビが日本の50パーセントくらいの家庭に入っているのではないかと思っています。そうなると、テレビというものが、これまでの放送波表示用端末ではなく、ディスプレイとしての役割を担うようになります。YouTubeを見たり、Huluを見たり、ついでに地上波も見ることができるってことになると、キー局を中心にコンテンツのパワーが強いといっても分散しますよね。

杉浦:はい、そうなるかと思います。

有園:結局、いままでテレビが強かった理由は、独占的にリーチを稼げるメディアだったからではないかと考えています。いまもそうですが、それが崩れる瞬間がくるかもしれないとしたら、スマートテレビ化されてチャネルが分散化したときでしょうか。テレビを見ながらアプリも使えるしゲームで遊べるってことが普通になってしまうとどうなるんだろうか、と。アテンションエコノミーという話が昔ありました。御社だと秋山隆平さんの『情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか』とか。「情報化時代」から「情報過剰時代」になって情報の価値が暴落し始めている、という話。

杉浦:はいはい。

有園:『情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか』にも書いてありますが、アテンションがとれるから価値があったというところが崩れ始めるような気もしていて。次のビジネスモデルとしてテレビ番組の見逃し視聴をネットでやると、どうなるのかなと。リニアなテレビ放送時と同じCMを流すのか、それとも異なる広告主のCMをネットの見逃し視聴では流すのか、タイムの番組はどうなるのでしょうか、とか、考えなければならないことがたくさんありそうですよね。きっと、いまの40代前後の方々がそのビジネスを作っていくことになるんだろうなと思っています。

杉浦:そうですね。

有園:杉浦さんの答えは、そのような変化に備えていくスタンスなのかなと思ったのですが。

 
手段では領域をきらない、普遍的なパフォーマンスマーケティング

杉浦:そこの流れは当然あるなかで、ネクステッジ電通が追いかけている領域は普遍的で、手段はどうなっても対応できる、どちらかというとメンタリティに近いようなものです。データを可視化し、分析し、新しい手段を常にキャッチアップしながら、トライして、改善して、マーケティングの精度を高めていく姿勢。そんなメンタリティをコアにしています。どうなっても良い部分しか追いかけていません。その意味で、今は、その手段との1つとして、リスティング広告がもっとも効果的、効率的で、シャープにチューニングができる、ということです。そこでのターゲティングや施策改善のノウハウは今後、スマートテレビに配信される広告、デジタルサイネージ、アプリ、オウンドメディアなどの領域にも応用可能です。手段では領域をきっていないのが、我々のスタンスです。なにより、そこで鍛えられた人材こそが、次の広告・マーケティング業界における主役になっていくと信じています。

有園:ネクステッジ電通は、どこに向かっていくのでしょうか。たとえば、ネット専業代理店に対抗していくのでしょうか。

杉浦:もちろん、期待される部分としては、あると思っています。ただ、ネット専業代理店に比べると、長期目線で成果を上げる方法を研究開発しながら磨いていくところが、我々の特徴的なスタンスです。いまのデジタルの運用型広告だけで解決できるとは思っていないので、いかに電通がもっている資産や強み、専門性を掛け算していくかにこだわっています。長期目線と掛け算が、専業代理店とのポジションの違いかなと。真剣に次のデジタルのマーケティングを追求しているお客さまと、ガッチリご一緒するような仕事のやり方です。お客さまと同じ目線で次のマーケティングを作り上げた結果に数字がついきますので。売上の規模は、求めるものではなくて物差しみたいなものですかね。

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電通が抱える問題

有園:話せないかもしれませんが、これまで「電通に問題がある」という思いもあったはずだと思うのですが、そのあたりはいかがですか。

杉浦:過去の成功体験や守るものがあるぶん、大きく舵は取りづらくなります。それは、電通に限らず大会社のジレンマだと思います。その中で日々、変化して、ビジネス自体のパラダイムや価値観も変わろうとしていて電通本体では速やかに動かせないようなビジネスについて、外に出してやることは理にかなっているので、そこに着実に対応していくのは電通の凄い部分かなと。以前、EvernoteのCEOが100年続く会社を分析したら、80パーセントが日本企業だったと言っていましたが、100年続く会社というのはなんだかんだで浄化作用が働いていて、正しい方向に向かおうとする力だったり、そういう信念を持っている人間だったり、それを応援する人や組織が存在すると思うんです。そうじゃないと続かないので。だから、そこはあまり悲観していません。逆に、いまの電通のエネルギーの良い部分を、どう巻き込んで、デジタルネイティブの視点で変えていくかですね。仕事自体は、やりがいがありますし、お客さまのためにも、広告業界のためにも大きな意味があると思っています。

有園:電通に問題がありますか?というのも意地悪な聞き方でした。ところで、私がいつもスゴイなって思うことがあります。電通も博報堂も懐が深いですよね。たとえば、クリエイターと呼ばれる方の中には、けっこう変な人もいますよね。突拍子もないことを言い出したり、尖がったことを言ったり。そうした、いろいろな意見を吸収できるだけの包容力があるというか。新卒が生意気なことを言っても、筋が通ったよい意見は尊重されるじゃないですか。でも、他の会社では、部長が意見を言うと周りの人は何も言わなくなるような打ち合わせを見かけることもあります。上の人が何か言って、下の人から反対意見が普通にでる。それが、普通なのが広告業界というか。電通や博報堂のフラットなとてもよい文化だと思っています。

杉浦:そうだと思います。

有園:その辺は、他の業界や会社とだいぶ違うところもある。いろいろな人を許容できるっていうなかで、電通はネクステッジ電通を作って次に備えています。これも、懐の深い会社だからできることなのかなと。

杉浦:普通はやらせてもらえないですよね。

 
「日本の広告業界をどうするべきか」という視点で物を考える

有園:電通の人と仕事をしていて、他の代理店と一番違うなって感じるところがあります。競合他社の動きを気にするのは普通のことなので、博報堂やサイバーエージェントは「電通どうしているんだろう」と気にして、電通も「博報堂はどうしているだろう」「サイバーエージェントはどうしているだろう」と気にされていると思います。ただ、電通には、他社を気にする一方で、「日本の広告業界って、どうあるべきなんだろう」あるいは「日本はどうあるべきか」と考えている人がいます。そうしたことを考えているのは、圧倒的に電通の方に多いんです。他社で「日本の広告業界をどうするべきか」という視点で発想されている方はあまり多くないと思っています。

 
日本の広告業界における課題

有園:比較的、電通の方は、そうした意識があって。運用型広告とマス広告を、どうマージして、よりレベルの高い広告を日本でどのように提供していくかといった視点をお持ちである、電通の杉浦さんへ最後に伺います。今後、日本の広告業界における課題とは、なんだと思われますか?デジタルに立脚している杉浦さんの視点では、どう見えているのでしょうか?

杉浦:いろいろなところで分断が起きていることが課題です。私がやっている、デジタルのパフォーマンス領域と、電通がメインでやってきたマス寄りのマーケティングの世界が分断されているがゆえに、お客さまの課題解決に結び付かないことが多いのです。マスは電通だけど、デジタルはネット専業ってことになっていたり。クリエイティブひとつとっても、プロフェッショナルな人間がデジタルな世界に流れ込んでいるとも言えませんし、分析に関しては近づき始めたかもしれませんが、世界が分断されていて融合されていないのは、お客さまのためになりません。主従みたいな関係になっているのも課題です。主が広告主の広告宣伝部で、デジタルは運用に求められれば子会社がやればいいみたいな話になることも。そこには、対応面の違いが存在して、川上、川下という区分けで語られたり。細部に習熟した、データドリブンなマーケティングを極めている人間が、もっと業界の主役になっていく、少なくとも、それだけが偉いわけではありませんが、マスメディアのビックアイディアを作れるクリエイターと並び立つくらいの、精度を担保できるマーケッターが活躍して主役にならないと、日本のマーケティングは進化しないと思います。ざっくりしたマーケティングの域をでないと。欧米は、もっと進んでいます。デジタルマーケッターの地位の高さ、経営トップからの注目度も違います。日本も、それを是正しないと遅れをとりますね。

有園:これまで、ビックアイディアを作るのをクリエイターやマーケッターが主導してきたところに、データに基づいてマーケティングをする機能が、もっと強くならないといけないということでしょうか?

杉浦:そうですね。

有園:それって、そっくりそのまま電通の中で起こっていることでしょうか?

杉浦:けっこうなスピードで起こっていると思います。

有園:電通に、コミュニケーションデザインセンター(CDC)というのがありますよね。外から見ていると、そこにいる人たちって、すごそうなんですよ。そこで有名なCMをつくったりしているんですよね?あと、統合データ・ソリューションセンター(IDSC)ができましたよね。そこにいる人たちも、すごそうです。CDCとIDSCって、電通のクリエイティブ側の頭脳とデータ側の頭脳の両輪なんじゃないかと勝手に思っています。IDSCの流れをくむ形でネクステッジ電通があるのかなと。

杉浦:そうですね。一緒に仕事をすることはドンドン増えてきた感じです。

 
日本の広告業界で求められるのは「コンサルティング力」

有園:ちなみに、僕が考える日本の広告業界の課題は、あるいは、広告代理店の課題ですが、コンサルティング力だと思っています。運用型広告が出てくると、効果が下がった理由(上がった理由)を説明しなくてはならなくなります。ロジカルに説明しなくてはならない。改善案を提案する必要があります。でも、マス広告は、そういうことを日常的には要求されてこなかったと思います。コンサルティングを、きちっとする必要がありませんでした。マス広告ってそういう商品だから。でも、運用型広告が出てきて、テレビも含めて仮にスマート広告になって、テレビCMがオーディエンスターゲティングできることになったら、コンサルティング力を高めないと対応できなくなってくるかと。

杉浦:はい、その流れはあるかと思います。

有園:これから5年から6年は、コンサルティング力の有無が問題になると思います。これは、ネット専業の広告代理店においても同様です。単なるバナー広告のメニューを売っているだけでは通用しなくなりつつある。DSP/SSP/RTBの時代になり、かつ、DMPも登場し、Facebookの広告などもそうですが、運用型広告になっていく。また、デバイスもPC、スマホ、タブレット、スマートテレビ、ウエアラブルデバイス、自動運転車などと広がっていく。そのことで、必要になるのが、コンサルティング能力だと思っています。たとえば、DMPを真面目に導入しようと思うと、最低限の技術的な理解とコンサルティング能力が必須になりますしね。

杉浦:欧米に比べると、広告主と代理店の関係は違うかもしれませんが、コンサルティング能力が今にも増して必要になるのは確かだと思います。マーケティング環境も複雑化しているので、いままでどおり、CMと良いクリエイティブを用意して、ウェブはこのセオリーでSEMとSEOをといった話では通用しなくなっています。複雑化するメディア環境のなかでも、いかに芯の部分を抜き出して最適に組み合わせることができるか、ちゃんとしたコース料理にして出さないと、お客さまも納得しない。単品売りでメニューを売って稼げる時代は終わりに近づきつつある印象です

有園:そうなんですよね。

杉浦:僕らにとっては、そこは逆にチャンスだと思っています。実際に運用するのはリスティング広告だったとしても、我々のPDCAのやり方は多くの専業代理店とは似て非なるものと自負しています。リスティング広告の細かい各論の話だけではなく、全体の大きな戦略とブリッジした形で的確に説明して、そっちに、お客さまと一緒に向かっていく、発展させていく方向で、施策を細かくやるっていうよりは全体の大きな戦略に向かっていけるかどうかが、すごく重要だと思っています。ネクステッジ電通のやり方は、その違いが外から分かりにくいかもしれませんが、コンサルティング能力を高めることはポイントだと思います。なぜなら、環境が複雑化しているからです。お客さまからも、明解な説明や方向付けが求められています。いままでだと、インプレション、CTR、CVR、CPAみたいな。「コンバージョンが下がりました、なぜならCVRが下がったからです」みたいな話が、よくあったじゃないですか(笑)

有園:いまでもありますよ(笑)

杉浦:「CPAが高騰したのは、CVRが下がったからです」とかって、結局、何も言っていないのに等しいです。コンサルティングのできる人を何人育てることができるのか。それが勝負ですね。

有園:ありがとうございました。

 

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対談者プロフィール

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株式会社ネクステッジ電通

代表取締役社長 COO

杉浦 友彦  Sugiura Tomohiko

 

慶応義塾大学経済学部卒業後、1998年電通入社。2009年コロンビア大学ビジネススクール通信情報研究所(CITI)客員研究員。デジタル・マーケティング経験15年。電通フューズ、電通イーマーケティングワンなど専門会社の立ち上げに参画し、Webコンサルティングおよび、オンライン広告のROIマネジメント業務を担当。主にEコマース
、金融・保険サービスの顧客獲得支援や、IT、自動車業界向けのeマーケティング戦略立案・PDCA運用業務に携わる。併せて、マス広告×Web統合分析のメソッド開発や、オンライン広告プランニング最適化、アトリビューション分析等、独自のデジタル・マーケティング最適化ツール開発を主導。電通のデジタル・ビジネス局、ダイレクトマーケティング・ビジネス局を経て、2013年パフォーマンスマーケティング専門会社「(株)ネクステッジ電通」を立ち上げ。

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バンザイするアトリくん
【アトリくんの視点】

常にナンバーワンを求められる電通という企業の挟持を垣間見ることができ、思わずアトリの背筋もピンと伸びました!
スマートテレビに代表されるような環境の変化によってすべての広告が運用型に変わりつつある時代に合わせ、日本の運用型広告を牽引する存在としてのネクステッジ電通のみなさんの視点の高さを感じました!杉浦さん、貴重なお話ありがとうございました!

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【海外ニュース】Forresterがクロスチャネル・アトリビューション評価レポートの最新版をリリース

2014年11月7日、約2年ぶりに発表されたForrester Researchのアトリビューション最新レポート『The Forrester Wave™: Cross-Channel Attribution Providers, Q4 2014』によってクロスチャネル・アトリビューション業界の企業8強が発表されました。

 

【元記事】Forrester Wave: Platforms, Commerce Companies Vie For Top Attribution Vendor Title ~AdExchanger

http://www.adexchanger.com/platforms/forrester-wave-platforms-commerce-companies-vie-for-top-attribution-vendor-title/

 

今年5月に立て続けにGoogle, AOLがそれぞれアトリビューション技術会社のAdometryとConvertroを買収しているなど、変化が進んでいますので、2年前のレポートとは違った評価になっているようです。今回のレポートでは、Abakus, AOL/Convertro, eBay Enterprise, Google/Adometry, Marketing Evolution, MarketShare, Rakuten DC Storm, Visual IQの8つの企業が、高度なアルゴリズミックモデルを提供し、クロスチャネル・アトリビューション業界を牽引する企業として選出されました。

 

その中でも、Google、AOL/Convertro、Visual IQ の3社が最も評価の高い“Leader”として選出されています。

 

 

はちまきアトリくん
【アトリくんの視点】GoogleやAOLに限らず、eBay Enterprise(2011年にClearSaleing 買収)、Rakuten(今年5月にDC Storm買収)など高度なアトリビューション技術が大手IT企業に取り込まれるといった、アトリビューション業界におけるM&Aの波が加速しています。2年前のレポートでは最下位だったGoogleが今回はトップ選出であることからも、変化の波が今回のForresterのレポートにも顕著に表れていることが伺えます!

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【海外ニュース】Ensightenが統合アトリビューション機能を発表~タグマネジメント最大化とオムニチャネルデータのアクティブ化を狙う~

 

10月28日、オムニチャネルデータとタグマネジメントの技術会社であるEnsighten (San Jose, CEO; Josh Manion)がEnsighten Attributionの導入を発表しました。

 

Ensighten Launches Integrated Attribution to Optimize Tag Management and Activate Omni-Channel Data

https://www.ensighten.com/company/newsroom/cat/press-release/ensighten-launches-integrated-attribution-optimize-tag-management#.VFZrP_l_vUX

 

Ensightenの提供しているプラットフォームであるEnsighten ManageとAgile Marketing Platformに新しく統合アトリビューション機能を組み込んだことで、マーケターはより容易なオムニチャネル広告キャンペーンの把握が可能になり、メディアに費やす余分な時間を減らすことが出来るようになるとのことです。

 

CEOであるJosh Manionは、「今回の統合アトリビューションとタグマネジメント機能によって、マーケターは広告費やカスタマー・エクスペリエンスを容易に最大化出来る。オフサイトやオフラインソースを加えたEnsighten Manageのデータは、Ensighten Attributionに統合化され、包括的なデータセットを基にしてより頑強な分析やモデリングが可能になる。」とコメントしています。

 

 

アトリちゃん
【アトリちゃんの視点】Ensightenは今年3月にタグマネジメント大手技術会社TagManを買収、続いて10月のマルチチャネル・マーケティング分析会社Anametrixを買収したことにより、高度なアトリビューション技術の導入やマルチチャネルなデータセットを通したマーケティング・アクションの最大化を実現しました。この両社の技術を組み込んだことが、今回の新しい統合アトリビューション機能、Ensighten Attributionの導入発表に大きく貢献したことが伺えます!

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【海外記事】AOLが新しいアトリビューション有効化DMP , “ONE by AOL”を発表

 

Business Wireにて、米国大手インターネットサービス会社AOLが、アトリビューション機能を有効化した新しいデータマネジメントプラットフォーム(DMP)、 “ONE by AOL“を発表したことが紹介されています。

 

AOL Announces Attribution-Enabled Data Management Platform – A Milestone for ONE by AOL

http://www.businesswire.com/news/home/20140929006253/en/AOL-Announces-Attribution-Enabled-Data-Management-Platform—#.VDqkMPl_vUV

 

AOLの会長兼CEOであるTim Armstrongは、「広告市場はこれまでのラストクリック、サーチ重視の業界からマルチチャネルマーケティング業界へと移行しつつある。」とコメントし、アトリビューションの重要性を語っています。

 

ONE by AOLのシステム機能は以下の通りです。

 

クロスチャネル分析  広告主に対して統合化された、オーディエンスターゲティング向けのキャンペーンパフォーマンスを提供

プランニング  高度な予測とシナリオ分析でデータインサイトやオーディエンスのセグメント化が可能

アクティベーション  AOLのDSP、第三者配信(3PAS)によるDSPや直接的なパブリッシャーの購入か否かに関わらず、アドテク・エコシステムにおけるあらゆるメディアパートナーやプラットフォームを有効化

マルチタッチ・アトリビューション  広告主はオフライン、オンライン横断でのマーケティング施策の効果測定が可能

 

 

ハロウィンアトリくん
【アトリくんの視点】今年5月に、AOLがマルチタッチ・アトリビューション技術会社であるConvertroを買収したことにより、今回の”ONE by AOL”という新しいプラットフォームの発表が実現できたと言えます。AOLがマルチタッチの間接効果を測定可能なアトリビューション機能をうまく応用・拡大していることが伺えます!

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【海外記事】Rakuten Marketingがオムニエクスペリエンス戦略を発表

2014年9月23日、楽天株式会社のグループ会社であり、オムニチャネルマーケティング会社であるRakuten Marketing (本社:ニューヨーク CEO: Yaz Lida)が、デジタルマーケティング業界の新たなビジョンを掲げた“オムニエクスペリエンス”戦略を発表しました。

 

Rakuten Marketing Drives the Omni Experience

http://www.prnewswire.com/news-releases/rakuten-marketing-drives-the-omni-experience-276458721.html

 

 

記事では、オムニエクスペリエンス戦略とは、すべてのマーケティングチャネルを1つのプラットフォーム、Cadence (今年1月に発表されたクロスチャネルレポーティング・プラットフォーム)に統合して利用者の購買行動を解析するアプローチとのことで、これによりマーケターはすべてのチャネルを通して利用者行動をリアルタイムで知ることが可能となり、高い透明性と一貫性を持った従来にないトラッキングが容易になると報じています。

 

新しく統一化されたサービス構造とブランドウェブサイト運営がRakuten Marketingのコアビジネスであり、以下の4つが提供するオムニチャネルサービスがRakuten Marketingのオムニエクスペリエンス戦略を支えているとのこと。

 

Rakuten Affiliate Network (アフィリエイトマーケティング事業)

(旧: LinkShare)

Rakuten Display(ディスプレイ広告事業)

(旧: mediaFORGE)

Rakuten Attribution(アトリビューションソリューション事業)

(旧: DC Storm)

Rakuten Search(検索キーワード広告事業)

 

 

 

 

サングラスのアトリくん
【アトリくんの視点】Rakuten Marketingが今年5月にオムニチャネル・アトリビューションの雄である技術会社DC Stormを買収したことにより、今回のオムニチャネルエクスペリエンス戦略の実現が可能になったわけですね。今回のサービス統合によってRakuten Marketingは現時点でのデジタルマーケティングに必要なアセットを一気通貫で提供できるようになりました。このような統合的なアプローチがデジタルマーケティングの分野ではますます進んでいくと考えられます!

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【海外ニュース】Medialetsがモバイル・アトリビューション事業に着手

先月30日、モバイル広告会社であるMedialets(本社;ニューヨーク CEO; Eric Litman)が業界一総合的なROI測定モバイルソリューション、Servo Total Attributionを発表しました。

 

Medialets Gets Into Mobile Attribution http://www.adexchanger.com/mobile/medialets-gets-into-mobile-attribution/

 

Servo Total Attributionは、今年2月に発表したServo(アトリビューション機能を持つバイサイド側のモバイルアドサーバー)の機能を拡大したもので、利用者はセルフサービスでモバイルのアトリビューションを行うことが可能になるようです。

 

具体的には、アプリやモバイルブラウザを通して、モバイルコンバージョンをインプレッションと結び付けることで、メディアバイヤーや広告代理店がリアルタイムでモバイル広告のROIを測定出来る機能となります。

 

アトリくん
【アトリくんの視点】2014年のMillward Brownの調査によると、今や消費者はデスクトップコンピュータに比べ、モバイルデバイスに約2倍もの時間を費やしているそうです。モバイルアトリビューションの進化が未だ初期段階にある中で、MedialetsのServo Total Attributionの発表はモバイルアトリビューションの新たな一歩になるかもしれません。Rakuten Marketingのオムニチャネル・アトリビューション会社であるDC Stormの買収もあり、これからはモバイルも含めたアトリビューション動向に目が離せませんね!

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アトリビューション特別対談:One-to-Oneコミュニケーションをチャネル横断で管理~クロスチャネル・キャンペーンマネジメントの最新動向~ ディレクタス岡本氏×アタラ有園

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有園:本日は、Eメールマーケティングなどクロスチャネルマーケティングの支援を行っている株式会社ディレクタスの岡本さんを迎え、キャンペーン・マネジメント・システムの最新動向やクロスチャネルマーケティングなどについて、お話を伺います。最近では、DMPとアトリビューションを絡めたご相談も多く、ディレクタスさんと一緒に仕事をすることもあります。ディレクタスさんで取り扱っているOracle Responsys Marketing Cloud(オラクル レスポンシス マーケティング クラウド)をはじめとする、クロスチャネル・キャンペーンマネジメントや第三者配信エンジンと連携して、プライベートDMPを構築し、それらをアトリビューションという概念で計測するといったことが増えてきました。レスポンシスのような、キャンペーン・マネジメントの存在は重要だと思っています。キャンペーン・マネジメントに造詣が深い岡本さんに、今後の展開などについてお話を伺えればと思います。

紙のDMからEメールマーケティングへ

岡本:ディレクタスの岡本です。私は、1993年にディレクタスを設立したのですが、設立当初は、ダイレクトメールを支援するダイレクトマーケティングエージェンシーでした。

有園:それは、紙のダイレクトメールですか?

岡本:そうです。紙のダイレクトメールです。当時はインターネットがない時代だったので。起業前は、リクルートで学生向けの就職情報誌の仕事をしていました。学生向けの販売促進がビジネスになるのではないかと思い、まず学生向けの販促ダイレクトメールの事業で独立しました。ダイレクトマーケティングは、A/Bテストなどで効果を明確に測定することができる点がすごく面白いと思っていました。DMの仕事はそれなりに順調だったのですが、2000年頃からインターネットがマーケティングのインフラとして浸透してきて、ダイレクトメールは紙からEメールに移っていくなと思い、Eメールを使ったマーケティングにシフトをしていきました。

有園:1990年代後半には、ワン・トゥー・ワン・コミュニケーション、ワン・トゥー・ワン・マーケティング、CRMといった言葉があり、流行ってもいましたね。

岡本:全盛期でしたね。そういう波に乗って、僕たちもダイレクトメールの仕事は広がりを見せたのですが、その時点ではテクノロジーが未熟でインフラも貧弱だったという理由もあり、あまり上手くはいきませんでした。ちょっと早かったのかもしれません。当時、ワン・トゥー・ワン・マーケティングをする手段は、紙のDMくらいしかなかったんです。紙のDMを出すか、電話をかけるかくらいしか方法がなかった。Eメールはまだマーケティングに使える規模にはなっておらず、手段が限定的だった時代です。

有園:1990年代後半のことですね。僕は2000年に、日経BPに勤めていたのですが、そこではメールを使った電子DM(電子ダイレクトメール)のことをEDMと呼んでいました。DMといっても、メールを一斉送信しているだけなんですけどね。

転機はANAのEメールマーケティング支援

岡本:ワン・トゥー・ワン・マーケティング、CRMといっても、現実的な手段が少なかったので難しかったですね。インターネットが本格的に浸透し始めた2000年頃からメルマガが流行り出しました。企業から「Eメールマーケティングを本格的にやりたい」という声が出始めたのは、2001年頃からですね。僕たちも経験は浅かったのですが、お客様と一緒に勉強をしていくような形でコンサルティングのご依頼をいただくことになりました。少なくとも紙でのダイレクトマーケティングの経験があったので、その経験を活かしてEメールマーケティングの立ち上げ、運用のコンサルティングと、メールの企画制作で事業を少しずつ展開していきました。

当時、本格的なお手伝いをさせていただいたのがANAさんで、2002年頃からプロジェクトが立ち上がりました。それ以来、いまもお手伝いを続けています。

有園:今年は2014年ですから、13年目ってことですね。

岡本:そうですね。ANAさんでは、戦略を作るところからメールの企画制作、結果の分析と改善提案までお手伝いをしてきました。PDCAサイクルを回すことをいまでも続けている感じですね。

その後ずっと、弊社はEメールマーケティングの支援が主力事業でした。現在提供しているサービスは4つあります。一つ目は、戦略立案や実行プラン策定などのコンサルティング。二つ目はツールの提供ですが、実はこれは最近始めた事業です。三つ目はコンテンツの企画制作。主にメールコンテンツですね。最後の運用アウトソーシングは、メール配信のオペレーションをお客さまのオフィスに常駐してお手伝いするケースと、弊社内のセキュリティールームからお手伝いするケースがあります。Eメールマーケティングに関しては、必要なサービスをワンストップで提供しています。

ツール提供の事業ではレスポンシス(Responsys)をはじめとする主に海外ベンダーの、Eメールだけに限らない、いわゆるクロスチャネルでキャンペーンを管理していくツールを取り扱うようになりました。今はまさにそちらの事業を拡大しようとしているところです。

Eメールからクロスチャネル・キャンペーンマネジメントへ

有園:レスポンシス(Responsys)の取り扱いは、きっかけのひとつだと思いますが、キャンペーン・マネジメントの分野に事業を拡大していらっしゃるのは、どのような理由からでしょうか?

岡本:もともと日本の場合、Eメールマーケティングというと、大体はメルマガの配信のことだと思われてきたんですね。毎月メルマガを作って配信することがメールマーケティングだと捉えられていて。でもメルマガの効果はこの10年で次第に低下してきました。

有園:効果というのは、基本的には率のことだと思ってよいですか?

岡本:はい。開封率、クリック率、その先のコンバージョン率とかですね。

有園:2000年以降、インターネット広告業界では、インターネットユーザーが増え、配信する広告のボリュームも増えました。当然、メールの利用者も増えているので、メルマガを配信するボリュームも増えていくのかなと。

岡本:そうですね。

有園:だけど、開封率が10パーセントだったものが、例えば2パーセントになってしまうこともあると。

岡本:はい。もちろん会社によりますが、毎月配信するメルマガだと、最近の開封率は大体10パーセント程度じゃないでしょうか。以前は20パーセント以上あった開封率が、この10年弱の間に10パーセント程度に落ちています。

有園:なるほど。

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配信頻度が上がり過ぎると反応率は落ちる

岡本:というのも、例えばEコマースならメールを1本送ると確実にいくらか売り上げが上がる。そうすると、もう1本メールを送る。当然ながら、頻度が上がるんです。一方、受け取るお客さまからすると、あまりに頻繁にメルマガが届けば段々とスパムメールに近い感覚になっていく。面倒だから直接ゴミ箱に振り分けるようにしちゃう。メールの開封率はどんどん低下していく。だいたいどこの企業でも同じようなことが起きていました。

そんな中で5年前くらい前に僕たちが取り組み始めたのが、お客さまのweb上の行動に合わせてメールを送る『行動ターゲティングメール』という手法です。当時オムニチュアのSiteCatalyst(サイトカタリスト)を使ったマーケティングの先進的な事例で、アクセスログを使ってメールを送信するというのがありました。「あ、これだな」って思ったんです。いま、お客さまは何に関心があり、どのような動きをしているか。それに合せて最適なメールを配信することができたら、お客様にも喜ばれてきちんと効果も上がるだろうと。

そこでオムニチュアさんとも話をさせていただいて、パートナーになってSiteCatalystのことを勉強し、アクセスログを使ったメール配信を始めました。当時、ANAさんと日産自動車さんで取り組ませていただけることになり、このページを見た人にはこのメールを送るというのを手動でやっていました。

例えば、飛行機の空席を検索しているけどまだ購入していない方に、検索している路線の情報をメールでお送りするとか。

そういうメールは一斉配信のメルマガと比べるとはるかに高い効果を上げました。

有園:それは何年頃のことですか?

岡本:2009年ですね。

有園:わりと最近のことなんですね。

レスポンシス(Responsys)が日本進出

岡本:そうですね。この方法は、効果は出るのですが、ものすごく手間がかかります。それに本当にOne-to-Oneにしようと思ったら一人一人配信すべきタイミングも違う。手動じゃ無理なんですね。なんとか自動化できないものかと思いました。アメリカの例を見ても、自動化が進んでいます。日本でもできないかと思ったのですが、そのような開発をしているメールベンダーさんがいなくて。困ったなぁと思っていたところ、今はオラクル(ORACLE)に買収されていますが、レスポンシス(Responsys)が日本に進出するという話を聞きました。レスポンシス(Responsys)はSiteCatalystのアクセスログを自動的に取り込んで、それをもとにターゲティングする仕組みを、すでに作っていました。

有園:アメリカでは、すでにそのようなニーズがあり、インテグレーションの開発も進んでいたわけですね。

岡本:そうです。レスポンシス(Responsys)のことは以前から知っていたので、日本に進出するなら、パートナーになりたい、なるべきだと思い、日本での販売代理を始めました。それが2012年のことです。アメリカではコミュニケーションの自動化だけでなくクロスチャネル化も進んでいて、レスポンシスはディスプレイ広告をターゲティング配信する機能まで実装していました。

有園:つまり、アクセス履歴、行動に基づいてメールを送るだけでなく、アクセスログを分析して興味関心を類推し、それに合せたバナー広告をDSPで配信していたというわけですね。レスポンシス(Responsys)にDSP機能があるのですね。

自動化のカギを握るキャンペーン・マネジメント・システム

岡本:そうです。日本では、色々な理由で結局実装されなかったのですが、こうやってコミュニケーションチャネルが広がっていくんだなということは感じました。

これからはクロスチャネルでのワン・トゥ・ワンコミュニケーションの自動化が進むし、キャンペーン・マネジメントがその鍵を握りそうだということで、その後弊社も営業を本格化していきました。ところがお客様の環境やニーズも色々で、例えば個人情報はクラウド上に置けないという企業さんもあるし、メール配信システムは変えられないという企業さんもある。そうするとレスポンシスでは対応できないケースも多いんですね。それに一つのシステムだけを扱っているとノウハウも偏るし、同じキャンペーン・マネジメント・システムと分類されていても実際の機能はかなり違う。それをきちんと理解して最適なソリューションをご提案できるようになりたくて、色々特性の違うキャンペーン・マネジメント・システムを取り扱うことにしたんです。

「キャンペーン・マネジメント・システム」は存在しない!?

有園:岡本さんがイメージする、キャンペーン・マネジメント・システムって、どのようなものですか?

岡本:キャンペーン・マネジメント・システムというのは、顧客のデータをもとにセグメントを作って、セグメントごとのコミュニケーションのシナリオを設計し、そのシナリオをクロスチャネルで実行する仕組みだというのが私なりの定義です。アメリカの調査会社フォレスターの資料などを参考にしました。

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実は、言葉の定義をきちんと整理するべきだと思っているんです。統一していくべきというか。そういう運動をしたいなって思って。なぜかというと、まずアメリカでは、キャンペーン・マネジメント・システムという呼び方はあまりしていないんですね。もともとは、クロスチャネル・キャンペーン・マネジメントとか、マルチチャネル・キャンペーン・マネジメントという風に分類されているんです。クロスチャネルとかマルチチャネルという概念が必ずついてくる。私はクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント、CCCMと呼ぶことにしています。

有園:それは、分かるような気がします。アメリカ人の発想として。たとえば、広告のキャンペーンといっても、テレビCMを打つのも広告キャンペーンなので、アメリカ人にとっては「so what?」になってしまうのかなと。マルチチャネルだからマネジメントできる。メール、バナー、ランディングページ、スマホのアプリ、紙のDM、テレアポなどがあるのを、どう連携して、マネジメントしていくかになって初めてマルチチャネルだから。複数のチャネルがあるからマネジメントが必要だってことですね。

岡本:そうです。

有園:もちろん、チャネルが1つでもマネジメントは必要ですが、1つだったら手作業でできるという話だと思うんですよね。

クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)の役割

岡本:はい。アメリカのマーケターはCRMのデータベースに登録されている顧客に対してダイレクトメールやアウトバウンドコールなど複数のチャネルを使ったキャンペーンを行っていて、それらを管理するためのツールとして、クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)が作られました。だから予算管理のような全体管理機能もあります。

有園:クロスチャネルでキャンペーンをやるための。

岡本:そうですね。

有園:アドワーズ広告の管理画面やYahoo!プロモーション広告の管理画面も、リスティング広告キャンペーン・マネジメント・システムですよね。

岡本:そういうことですよね。

有園:予算管理もできるし、期間の指定もでき、ターゲットごとに配信キーワードを設定するとか、あれもキャンペーン・マネジメント・システムなんですよ。いつから、いつまで配信するか。リスティング広告の場合、終わりがなく、基本的にはずーっと配信することが多いですが、それらをコントロールするのが管理画面の役割です。

岡本:発想は同じですよね。

有園:そこに、メールだったり、DMだったり、DSPだったりを一緒に管理できるようなものかなと。

岡本:まとめて実行しようとすると当然手動ではできないから、徹底して自動的にやろうとするわけですよ。

おそらく日本の会社の場合、マーケティング担当者がクロスチャネルでキャンペーンを管理するという発想そのものが無かったんだと思うんです。そういう機能は大手企業の場合は広告代理店がやってくれていた。だから日本に紹介されたときは自動化機能ばかりがクローズアップされて、クロスチャネルという言葉が抜け落ちたんじゃないでしょうか。そうやって日本独自の呼び方ができてきた。そういう意味では日本では「マーケティングオートメーション」という言葉もアメリカとは少し違うニュアンスで使われています。

クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)とマーケティング・オートメーションとの違い

有園:実は、そこの違いも今日は聞きたかったんです。

岡本:アメリカで製品ジャンルとして「マーケティング・オートメーション」という言葉を使う場合は、いわゆるリード管理、見込み顧客の管理機能と、キャンペーンの管理、キャンペーンマネジメント機能の両方を備えていて、B2Bのマーケティングに使われていることが多いです。見込顧客を発掘して、その見込顧客の「見込度」を評価して、コミュニケーションで「育成」して、SFAにデータを渡して営業担当者がアプローチする。そういったマーケティング活動を支援するために使われているのがマーケティング・オートメーションです。BtoBだけじゃなくて、住宅とか自動車のような見込顧客を営業担当者が時間をかけてフォローしていくような業態ならマッチします。

最近日本に入ってきたMarketo(マルケト)や、オラクルが買収したEloqua(エロクア)、それからHubspot(ハブスポット)も同じジャンルに分類されてますね。マーケティング・オートメーションというと、だいたいそういったシステムのことを指していることが多いんです。

ただ、話がややこしいのは、機能が被っていることです。クロスチャネルでのキャンペーン管理はどちらも出来るので、アメリカでもクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)とマーケティング・オートメーションの両方に分類されている製品があります。

有園:Marketo(マルケト)や、Eloqua(エロクア)が日本に入ってきたことは知っていますが、実際どのようなことをしているのか詳しくありません。マーケティング・オートメーションとは、リードを管理して、ナーチャリングするってことですか?

岡本:そうですね。見込顧客管理とリードナーチャリングを支援するツールだと言っていいと思います。見込顧客とのコミュニケーションにキャンペーン・マネジメントの機能を使っているわけですね。メールを送ったり、DMを送ったり。それをお客さまの動きに合わせてワン・トゥー・ワンで行うようになっています。そこの機能だけとって見れば、キャンペーン・マネジメントと特に変わりはないんです。ただ、見込顧客の管理・育成という意味ではやはりBtoBビジネスでの利用がメインになってくるし、開発側もそういう意識を持っているはずです。

有園:たとえば、コカ・コーラを自動販売機で買おうとした際、ナーチャリングは必要ありませんからね。B2Cではなくて、B2Bの方がナーチャリングという概念がフィットしやすいってことですね。

岡本:そういうことです。

有園:マーケティング・オートメーションは、リードを管理しナーチャリングするところも含めて自動化していく。クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)は、どちらかというとリード部分をとってくることは気にしていないんだけど、メール、バナー広告、ランディングページ、アプリ、プッシュ通知、紙のDMなど、もろもろ含めて、どういうコミュニケーションをとればよいか、キャンペーンの効率化をするという分け方になっていると、岡本さんはおっしゃっているかと思います。

岡本:そうですね。

有園:それが、ごっちゃになることは、あまりよろしくないのでしょうか?

岡本:機能は被っていても、元々目的が違いますからね。マーケティングオートメーションは主にBtoB企業のマーケターをターゲットとして開発してるはずだし、クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)はクロスチャネルで顧客とダイレクトにコミュニケーションしたいBtoC企業をイメージしている。今後の開発の方向性も自ずと異なります。

それをまるで同じジャンルの製品のようにごっちゃにして語るとユーザーから見て非常に分かりにくいし、行き違いも起きやすいですよね。営業から説明を受けて初めて「あれ、マーケティングオートメーションだと聞いてたけど全然イメージが違う」とか。

有園:岡本さんとしては、マーケティング・オートメーションと、クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)は別物なんですね?

岡本:そうですね。名前はどうあれ、分けて考えるべきだと思っています。

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クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)にはどのようなものがあるのか

有園:クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

岡本:大きく分けると、トラディショナルな生粋のクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)とメール配信システムなど他の仕組みから発展したものがあると思います。

トラディショナルなクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)としては、IBMが買収した旧ユニカ(Unica)、現IBM CampaignやSAS Marketing Automationなどが代表的です。SASの製品は製品名が「マーケティングオートメーション」なんでちょっとややこしいんですけど。
歴史もあるので基本的にオンプレミス型が多いですね。

有園:オンプレミス型というのは、簡単に言うと、お客さまのハードディスクやサーバーにインストールして、ライセンスをとって、買い取る方法ですね。

岡本:そうです。導入した側は、それを資産として償却していきます。

有園:たとえば、会社で、マイクロソフトのオフィスを購入して、パソコンにインストールして、会社の資産として5年で償却するのと同じですね。

岡本:同じモデルですね。

メール配信システムからの進化系

岡本:もう一つ、メール配信システムなどから進化してキャンペーン・マネジメントになったものがあります。例えばOracleが買収したレスポンシス(Responsys)やセールスフォース・ドットコムが買収したエグザクト・ターゲット(ExactTarget)、エクスペリアンなどは元々メール配信システムでしたが、シナリオ作成と自動実行の機能を追加し、さらにメール以外にもソーシャルやモバイルなど対応するチャネルを拡大しました。そして調査会社の評価レポートなどでもキャンペーン・マネジメントとして評価されるようになったんです。

有園:評価というのは、フォレスターとかの評価ですか?

岡本:そうです。フォレスターやガートナーの評価レポートですね。

あと、これらのシステムはSaaS型で提供されることが多いです。

有園:SaaSとは、Software as a Serviceの略ですね。

岡本:はい。クラウドとも呼ばれますね。導入が簡単だし同じクラウド上だとデータ連携も楽なので今後はSaaS型の方が増えていくと思います。

大手ITベンダーによるクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)の買収

岡本:これは最近の話なんですが、ご存知のように、大手のITベンダーがクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)に分類されるベンダーを次々と買収しています。具体的にはIBM、Oracle、Adobe、Salesforce.comなどですが、この動きはこれからのクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)を考える上で重要な示唆があると考えています。

大手のITベンダーは、買収したクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)やメール配信システムなどのコミュニケーション実行系のソリューションを自社のプラットフォーム上で一つにつないで、まとめて提供し始めています。今までは、例えばアクセス解析ソフトからアクセスログをクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)に取り込んで、シナリオの実行にはそこからメール配信システムなどに指示を出していたのですが、全部最初から繋がっていて一つのソリューションになっている。

大手ITベンダー各社が2010年以降買収したマーケティングテクノロジーベンダー

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いままではマーケティング分野では存在感の薄かったITベンダーも、一気にマーケティング分野に参入してきていて、さまざまなソリューションを買収しているんですが、共通して必ず買収しているのが、クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)なんです。

クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)を核にしてメールやソーシャルやモバイルなど、それぞれのチャネルでの実行機能を揃え、クロスチャネルでのワン・トゥー・ワン コミュニケーションを一つのプラットフォームで実現できるようにしようと。そうすると、同じプラットフォーム上でクッキー(Cookie)データなんかも最初から共有しているので、データの連携や開発が必要なくて、しかもデータを全てリアルタイムで活用できる。

流通業でいうところのオムニチャネルに対応できるワン・トゥー・ワンコミュニケーションを実現できるソリューションとして提供され始めていて、このあたりの競争が2013年あたりから本格化しています。

見逃せないのが、広告のところまで取り組んでいることです。データベースをつかったマーケティングの一つとして捉えていて、そこまで含めた統合と管理が視野に入っている。

DMPとクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)

 有園:マーケティング分野に参入してきているITベンダーの中にオラクル(Oracle)があって、BluekaiのDMPも入ってますね。日本にも、いわゆる、XrostDMPやAudienceOneなど、データセラーとしてのDMPがあります。クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)の定義として、セグメントを作るという話が出ましたが、セグメントをつくって、自動的にキャンペーンを実行する部分ですが、いわゆるデータセラーとしてのDMPを導入してバナーのDSP配信につなぐことができます。メールも打てるわけですが、そこと、どう違うのでしょうか?

岡本:いままでのクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)は顧客データを使ったCRM的なコミュニケーションを想定していました。基本的にはすべて個人情報をベースにしています。それがいま、個人情報はないけれどCookieデータだけはある、といった人がいます。自社の顧客であるかどうかも実は分からないんだけど、サイトには何回も訪問していて、買い物をしようとしてくれている人。そういう人とコミュニケーションをとろうとすると従来のクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)では十分な対応ができません。DMPのような機能が必要になるのだと思います。今後は個人情報のない人たちもコミュニケーションの対象にすることになると思います。

有園:いま、おっしゃっているような話は、『USERS 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略』(アーロン・シャピロ 翔泳社)に書かれているようなことですね。

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岡本:そうですね。CRMの今後の姿を考える上でとても示唆に富んでいました。カスタマーというと既存顧客だと捉えられていますが、実際には、顧客ではなくてもサイトを訪れていたり、ソーシャルメディアで書き込んでくれたりしている人も全てコミュニケーションの対象となる。この本ではそういう人たちを「ユーザー」と定義しています。そのユーザーが、ある時は商品を買ってくれて顧客になるけれど、それはユーザーの一つの形態に過ぎない。企業がコミュニケーションの対象として考えるべきはユーザー全体だ。そのような考え方です。

私たちは商品を買うときに、その会社の評判を必ずチェックしているし、自社の顧客以外の人たちが、ものすごく影響力を持つようになっています。たとえば、サイトに1回でも来てくれた人に「このサイトいいな」「この会社いいな」と思ってもらうことが重要な要素になっていきています。もちろん、2回、3回きてくれるような人たちも、まだ顧客ではないけれどファンかもしれない。口コミを書いてくれているかもしれない。

私はこれまでは顧客に限定して考えられていたCRMが今後対象を大きく広げていくことになると考えています。そのためにはDMPのような機能がCCCMなどのマーケティングテクノロジーと連携する必要があります。

広告配信とクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)

有園:ところで、先ほどのお話しだと、メールマガジンを一斉送信しているだけでは効果が下がっていくので、メールはシナリオ配信するようになったということですね。

岡本:はい。お客様一人一人のサイト上の行動などに合わせて最適なシナリオでメール配信するようになってきました。

有園:例えば航空会社であれば、フライトを毎月する人、年に2回の人、滅多に飛行機には乗らない人など、いろいろいます。最近、飛行機に乗っていない人が、たとえば、今年になって、国際線のウェブページでイタリア行きの航空券を探していることがわかったとき、その人にはイタリア旅行のメールを送ったほうが反応はよいってことですよね。

岡本:そうですね。

有園:コミュニケーションのシナリオを描き、そのとおりに送る、開封しなかったら再度送るといったシナリオを組んでいく。クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)を導入すると、イタリア行きのフライト情報を探した人には、その行動履歴に基づいて自動的にメールを送れるし、そのメールを開封していない人にイタリア旅行のバナー広告を表示することもできる。会員なら年齢や性別も分かるので、30代女性には青の洞窟のツアーの広告を表示することができる。それは、既存顧客であればできるわけですよね。そのほうが、自動化できて効果も出る。

岡本:そうですね。ただ実はクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)とDSPの連携は、まだ日本ではあまり実績がありません。

有園:CCCMとDSPを入れるだけでCRMデータに基づいてバナーを配信できるわけではない。そこは、開発が必要になるわけですね。

岡本:DSPの場合は運用面も問題になってくると思います。ただ、これからは先ほどお話ししていた広い意味でのCRM的な視点で、何らかのデータを保有しているユーザーに対しては、バナー広告もメールなどと同じコミュニケーションシナリオの中に組み込んでいくことになると思います。

実際CCCMのクロスチャネル展開はどんどん進んでいて、例えば今年6月に日本でローンチされたセールスフォース・ドットコムのエグザクト・ターゲット・マーケティングクラウドは、LINEとの連携で話題になりましたが、facebook広告のターゲティング配信機能も既に実装されています。

有園:Xrost DMPやAudienceOneなどが、いろいろと連携しているリリースを見かけますが、それらも結局、顧客の情報は分かりません。たとえば航空会社であれば、CookieのIDと顧客がサイトにログインして航空券を買ったときの情報を格納して、普通のインターネット検索では、どのような行動をとっていて、航空券ページでは、どのような行動をとったかが分かった上で、適切なコミュニケーション手段がみえてくるわけですね。現時点では、メールを送って5日経っても開封しない人には、バナーを見せようといったシナリオを組んで対応しているけれど、それを手作業でやるのは大変なので、自動的に実行できるようにするのがクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)の役割だと思ってよいですか?

アドテクとマーケティングテクノロジーの融合

岡本:はい。いずれにしても広い意味での顧客データに基づいてシナリオを自動実行する仕組みが広告の視点からも必要になってくると思います。大手ITベンダーは一部で既にDMPを取り込んでいますが、DSPを開発しているアドテク企業がキャンペーンマネジメント機能を開発してDMPと繋いでいる例もあります。

ただ、もともとCCCMのようなCRM系のマーケティングテクノロジーとDMPのようなアドテクノロジーは全く別な進化を遂げてきているので、そこがきれいに繋がって成果を上げている例はまだあまり見かけません。

マーケティングテクノロジーとアドテクノロジーの融合が今後の焦点の一つになってくると思います。

有園:オラクルやIBMのような大手ITベンダーが、広告の領域に入ってくる動きが加速するのかもしれませんね。ただツールを買収しても使いこなすことは難しいのではないでしょうか?ITベンダー側は導入のコンサルティングができても、利用イメージを描けなければカスタマイズができない。実際のマーケティングに活用するには、利用イメージを、きちんと設計に落として使える形にしなければならない。

それを現状、日本の広告代理店がやっているのでしょうか?出来る人はいるのかもしれませんが、広告代理店としては全体の総力は媒体を売ることに注いでいるので、メールマーケティングなどのことには、それほど強くないでしょう。

例えばシナリオを組んでDSPとメールの効果を見てメールをやりましょうとか、コールセンターの方の画面に、こういったことを表示しましょうといった対策を練る、設計をすることは、いまの代理店ではネット系代理店も総合代理店も難しいのではないかと思います。広告主企業内で担当者が行うといっても、部署異動もあるし、在籍期間も短くてナレッジがたまらない、長けている方は少ない。そこのコンサルティングって、ぽかっと穴が空いていますよね。ディレクタスさんは、その穴を狙っていらっしゃるのでしょうか。

岡本:まさに、そこをお手伝いできる会社になりたいと思っています。拡大版のCRMとして広告も含めたクロスチャネルでのワン・トゥー・ワン・コミュニケーションのシナリオを組み立てて、それをクロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)のようなツールを使って運用する。私たちの強みはこれまでのEメールマーケティングのノウハウを活かして実際の運用もしながらPDCAサイクルを回すことができる点だと思っています。結局そこができないと、「ツールは導入したけど使いこなせない」ということになるので。

効果測定にアトリビューションが必要

有園:ところで、ちょっとだけアトリビューションの必要性に触れておきますが、クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)を入れました、DMPを入れましたといったときに、その効果測定をするとアトリビューションに落ちますよね。シナリオって、一回のコミュニケーション、二回のコミュニケーションと、組んでいくからシナリオであって、ラストクリックだけ見て効果測定していたのでは意味がないと思っています。

岡本:まさにその通りだと思います。チャネルのフラグメンテーションが進んでいますからね。ワン・トゥー・ワン・コミュニケーションのチャネルも、中には「メールは終わった」という人もいますが、実際は無くなる訳ではなくて単に細分化が進んでいってる。リアルのダイレクトメールなども含めて全部残っていて、そこにLINEのような新しいチャネルも増えてくる。そういったチャネルをまとめて管理できないと、一貫した顧客体験が作れなくなると思います。

有園:ありがとうございました。

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対談者プロフィール

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株式会社ディレクタス ( Directus Inc. )

代表取締役  岡本 泰治 ( Yasuharu Okamoto )

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サングラスのアトリくん
【アトリくんの視点】

CCCM(クロスチャネル・キャンペーンマネジメント)とマーケティング・オートメーションの違いから、それぞれ代表する企業をめぐるこれまでの歴史や背景、アドテクノロジーとの連携など、データを軸にしたマーケティングを考える上で示唆に富むお話を聞くことができました。大変勉強になりました!
チャネルのフラグメンテーションが進んでいくなかで、単に分析するだけではなく統合管理を実践していくことが、アトリビューションを進めていく上で非常に大事だと思いました。岡本さん、ありがとうございました!

 

コメント

アトリビューション特別対談:広告人はみんなティンカーベルになろう!HDYMP宮腰卓志氏×アタラ有園

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①自己紹介のパート

ダイレクトマーケティングとアトリビューション

有園:株式会社博報堂DYメディアパートナーズの宮腰さんとは、3年くらい前に初めてお会いしました。私は、これまで10年以上に渡り、博報堂DYグループの皆さんと仕事をしてきましたが、宮腰さんの第一印象は「いままでに出会ったことのない人種の人が出てきたな」でした。それくらい、インパクトが大きかったです。宮腰さんが携わっているお仕事の話を聞いて「それって、今でいうアトリビューションと同じですよ」と声をかけたことを覚えています。あれから3年以上経って、お仕事の内容は変わっているかもしれませんが、あらためて自己紹介をお願いします。

宮腰:入社以来、ダイレクト保険や通信販売などのお得意先様を担当させていただき、ダイレクトマーケティング業務に携わってきました。マーケティングプロモーションのゴールを何らかの注文獲得に設定したときに、メディアをニュートラルに評価し、クリエイティブと併せてプロモーションの効率化・効果最大化をプラニングするという業務から私のキャリアはスタートしています。

有園さんと知り合った3年前は、テレビや新聞・チラシ経由で、問い合わせや注文を電話で受け付ける通信販売の業務のほかに、徐々にウェブだけで注文を獲得する広告主様の業務の割合が増えていた時期でした。

最初から、ウェブマーケティングありきでトレンドを追いかけていたわけではなく、顧客獲得チャネルのひとつにウェブもあるというところからスタートしています。

そこからいまは、だいぶ変わりました。顧客獲得チャネルとしてのウェブの存在が圧倒的になって、私の業務もウェブでの獲得が軸になっています。それまでのテレビやチラシから電話で顧客を獲得する業務経験を活かして、現在はウェブでの顧客獲得を考える上で、テレビやチラシも含め、オフラインとオンラインのメディアとクリエイティブを統合してアトリビューションを応用する視点になっています。

有園:当時はマス広告、確かテレビCMを出稿して、紙の広告かコールセンターかウェブサイト経由か分かりませんが、コンバージョンにどのような影響を与えるのかを統計的に分析していると聞き「それはオフラインアトリビューションに該当しますよ」と話をしたのが最初だったように思います。

宮腰:そうでしたね。

有園:そこから段々と、ウェブの方に入ってこられたわけですね。宮腰さんというと、博報堂DYグループの中でも最先端のことに取り組まれている印象があります。せっかくなので、宮腰さんがどのような考えでお仕事をされているのか。また、紹介できる事例があれば伺えますか。

オンラインのアトリビューション分析

宮腰:携わっている仕事は大きく分けて2つあります。ひとつは、チャネルが複数ある、広告主様のパターン。来店とウェブとか、電話とウェブとか、複数チャネルでの申し込みが、同じコンバージョン1として計測される世界。もうひとつは、ウェブで完結するものです。

私自身の役割は、オフラインだけを使うにせよ、オンラインを使うにせよ、コンバージョンの目標があって、それを達成するために1年間どのように運用していくのか、マスメディアも含めた運用をディレクションしている業務ばかりです。自動車メーカや情報通信系、カードローンや保険、あるいはエネルギー系など、お得意先様の業種はさまざまです。。それだけ、オフラインとオンラインを統合したアトリビューションという概念は広い応用が可能ですし、話を聞いていただける状況にもなっています。

有園:お忙しいですね。

 

②アトリビューション分析の昨今について

アトリビューションには4つのレイヤーがある

有園:宮腰さんと初めて一緒に仕事をしたとき「アトリビューションも、いくつかのレイヤーがあるよね」という話をしました。

宮腰:しましたね。

有園:CPAを見ていくラストクリックレベルでの「ラストクリックアトリビューション」があり、それはデイリーでやること。その上に「オンラインアトリビューション」があって、それは一か月単位で見ていく。さらに上には「オフラインアトリビューション」があり、四半期に一回くらいできたら良い。最後に、マーケティング予算以外、ビジネスでの予算配分という経営レベルの「ビジネスアトリビューション」があり、レイヤーごとに役割が違うという話をしました。

宮腰さんの話を伺っていると、モデルを別々に分けていて、オンラインアトリビューションとオフラインアトリビューションのモデルが違うのですね。オフラインのアトリビューションモデルは、大枠としてのリスティング広告とDSPとテレビCMと交通広告と、年間でそれぞれの予算を、どうするべきか回答を出す。決まった予算の中で運用レベルまで落とし込むとなると、オンラインのアトリビューションをしないと落ちていかないから、そこは違う回帰分析とかをかけて、それぞれの答えを出していくのかなと思いました。イメージとして。

宮腰:計測できるデータの粒度や質によってレイヤーを分けていますね。オフラインのデータは、オンラインのようにCookieでつながった経路データではないですから、なんらかの回帰式でモデル化するしかないですね、手法的に。たとえば年間の予算配分を計算するには、オンライン・メディアも、オフライン・メディアと同列に扱う必要があって、オンライン・メディアならではの詳細なデータでも次元を落とし数値をサマライズして扱う必要がでます。だから、分けていましたし、扱うデータの粒度と質に合わせてレイヤーを分けるべきです。

有園:実際は分けていたけれど、オンラインのアトリビューションをやる中で因果が出てきそうだと仮説が立って、そこにオフラインのアトリビューション分析もかけているということでしょうか。

オンラインとオフラインを接続する

宮腰:たとえば、年間の予算を策定するところでは、オフラインアトリビューションの枠組みで、オンラインメディアもどれくらい使うか、使えるかをシミュレーションすればよいわけですね。でも、実際にプロモーションをはじめて見ると、オフラインのモデルでは、日々起きる運用の悩みには答えられないことがわかります。オンライン・メディアの運用の機微が、データの次元を落とす際に、欠落するんですよ。実際には運用努力でなんとかしたりしているのですが、よりアトリビューション・マネジメントを広げていくには、「これではマズイ」と。

そこで最近、「つなぐ」ことに注目しているんです。(資料①)獲得に近いレイヤーが右側のセールスのレイヤーですが、ここにウェブのトラフィックが決まってセールスが決まるモデルになっています。トラフィックを決めるメディアは別にあって、親しみや知名のような認知指標につながっています。何かの変数で接続してあげるんです。取得できるデータの違いからオフラインのアトリビューションの世界とオンラインのアトリビューションの世界はつくることができるモデルが最初から違うので、もっと大局的に購買プロセスのモデルをつくるようにしたんです。

オンラインのアトリビューションの世界、オフラインのアトリビューションの世界、その上にビジネスの世界、ブランドの世界かもしれませんが、それらを何かの変数でつなげることによって、購買プロセスのアトリビューションを描けるようになっています。いまは次第にこのような大きなモデルの概念が求められていると思います。

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有園:いまの話ですと、(資料①)テレビがきていて、リスティング広告のクリックからブランディング系のキーワード経由で入ってくるのは、指名系のワードにつながってきているという流れと、ニュアンスは近いですか。

宮腰:近いですね。一つのモデルで最後のコンバージョンまで描かれていますが、分けてからつないでいるんです。大きな宇宙があって、その中に銀河があって、惑星が存在していることに近いイメージです。ウェブの世界まできたら、VTCなど分析してオンライン・アトリビューションに落とし込んでいます。

パス図を読み解く

宮腰:ただ、アトリビューションというと、パス図のようなグラフィカルなモデル図ができていれば、モデルができたと錯覚している方が多いような気がします。

有園:こういう絵は、オンラインだけでなくオフラインも含めてパス図を作ったときに、いまはある程度、想定で線が引かれていますが、実際には粒度が違うので綺麗な線は引けないということでしょうか。

宮腰:オンラインとオフラインの両方から、獲得までのパス図を作ることは可能です。たとえば、Yahoo! JAPANのバナー広告を一枠、出稿したとします。そこからクリックが何件発生して、CTRが何パーセントで、そこからコンバージョンが何件発生して、CVRが何パーセントというのが直接ルートとしてあって、これだけ出稿すると何インプレッション稼げて、何インプレッション稼げたことによって、検索が何クリック発生して、ここからコンバージョンが何件獲れますという話になります。ここのパスも、アシストのCTRが出て、アシストのCVRが出るという形になります。この線に全部が入っている形です。

有園:Yahoo! JAPANに掲載したバナーをクリックしなくても、その後に自然検索が起こっているだろうという、ビュースルーサーチコンバージョンみたいなものが獲れるということですね。

宮腰:はい。それも、何インプレッションであれば、どれくらいのビュースルーサーチが発生して、その上でのコンバージョンが発生するかどうかは、数字をもとに作ります。その絵は、実際には経路までとれているデータを使って分析しています。

有園:実データでやるわけですね。

宮崎:それを書き起こすと、パス図にはなります。構造方程式などで相関関係から描いていくオフラインのアトリビューションと、Cookie単位で経路がデータ取得できているオンラインのアトリビューションと、全く異なる方法でも、モデルを表現すると同じようなパス図になってしまうんですね。

でも、この1本のパスが表現している内容が全然違うわけです。構造方程式の場合は、ある変数とある変数の相関をもとにした関数になりますが、経路データをつかった場合は、明確な因果関係になります。

有園:相関と因果、要因は違うということですね。

宮腰:違いますね。ここがいま、世の中では混在してしまっているんです。かたや、統計に携わる人や、マスメディアを中心としたマーケターの人たちの中は、構造方程式モデリングを使って、オフラインまでを相関関係で見ていくという人もいらっしゃいます。もちろん因果関係を含んだやり方もあるにはあります。

ところがこれは、ウェブのプロモーションを運用している側からいうと、実用に耐えないものなんです。なぜならば、テレビCMをどれくらい出稿したから検索でこれくらい獲れるという間には運用の要素がいっぱい入ってくるわけです。100パーセントでインプレッションを買うべきなのか、1位入札すべきなのかどうか、そのときにCPCがどれくらい上がるのかによって決まってきますので、これを一緒くたに扱う構造方程式モデリングで分析したからといって、ウェブの獲得までを扱えていたわけではないんです。

反対にオンラインのアトリビューションだけやってらっしゃる方にとって、オンラインのプロモーションにマス広告がどのような影響を与えているのかというのは、同じようなユニークなデータとして扱えるわけではないので、相関を見るしかない。

どちらにせよ因果関係がはっきりわかるわけではないんです。因果関係を構造方程式モデルにするときも、分析する側が「こういう構造なのではないか」と仮説を当てはめます。分析から自動的に因果関係がでてくるわけではありません。それで最近、最も実用に耐えうる因果関係に、ウェブの運用という概念も入れていくことに取り組みはじめました。

ここで描いたことは、テレビCM単体では、ウェブのコンバージョンを誘発しないという割り切りをしています。あくまで、検索総量までは恐らく、テレビCMの影響を受けているだろうと。

検索総量が決まったら、運用の段階に入っていきます。そこでやっているのが、こういうイメージなんですが、運用のインプレッション総量が決まってくると、そこに対して、何パーセントまでインプレッションを買っていこうかとか、そのときのCPCはいくらになるのかということを、別のモデルをつくっています。

有園:なるほど。構造方程式モデリングのパス図では描ききれない、運用に関わるレイヤーのものに関して、別のモデルを作って分析をしていると。これからいくと、回帰分析とかをしていくのでしょうか。

ここのCTRとかCPCとかインプレッションとか、それぞれごとに相関のあるなしを調べていくイメージでしょうか。

宮腰:そうです。このようなやり方をしている理由は、有園さんが執筆された『リスティング広告 プロの思考回路』(アスキー・メディアワークス)にも書いてありましたが、要素っていっぱいあるわけですよね。2位入札が良い場合もありますし、CVRと掲載順位が相関する場合もありますし、それらは全て運用の知恵ですよね。そういう運用の知恵も含めてモデルに組み込みたかったからです。

運用経験からくる経験値

有園:そうですね。そこは『リスティング広告 プロの思考回路』でも私が執筆したパートですが、書いていることは私の運用経験からくる経験値です。その経験値は広告主ごとに違うので、広告主ごとにデータを使って、その経験値が統計の観点から確からしいものであるかどうかというのを、きちんと分析をかけて運用に活かしていこうという話でしょうか。

宮腰:近いです。業種や会社のポジションによって、1位をとったほうがよいのか、2位でもよいのかといった、順位とコンバージョンの関係や、1位になるとCPCが極端に上がるけれど2位か3位であれば、あまり変わらないなども、業種によって、あるいは、キーワードによって全て異なります。

むしろ、モデルを作るというのも、出来たものに頭から当てはめていくという考え方ではなくて、その会社にとってコンバージョンを獲得するまでに、どのようなルートをたどっているのかをひとつずつ洗い出して、小さなものを組み合していくという作業に変換することです。

1つのモデルに全てを当てはめ、全てに通用するという80年代のシステム論のような考え方は、データを扱える人が限られていた時代においては良いかもしれません。しかし、いまは全ての人がデータを扱える状態なので、分析を専門家に委ねた汎用モデルを当てはめるのではなく、各会社の傾向を確かめる手段として分析を活用していけばよいのではないかと、そのように最近、思っています。

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クライアントごとにモデル化

有園:インプレッション数、順位やクオリティスコアは、おそらくリスティング広告だと、広告主によっては何百万キーワード、何千万キーワードとなるので、さすがに全部はやっていないと思いますが、主要なプランド指名の検索キーワードか、一般のビックワードと言われるようなものなど、キーになるキーワードについては個別に回帰分析をかけているのでしょうか。

宮腰:そうですね。

有園:同じようなことをDSPやアドネットワーク、純広告やバナー広告でもやっていらっしゃるのでしょうか。

宮腰:全体としては、そこまでやっています。ただ、手順があります。コンバージョンはゴールなので、大事なのはコンバージョンの中で、大きな意味をもつ塊なのかどうかです。大きな塊のなかにブランドの指名キーワード群を入れることは、多くの会社で大事なことです。その次に、どのような群がくるか。ある会社にとっては、ビックワードや商品カテゴリであることも。例えば、医療保険とか、がん保険とかですね。

有園:コンピューターとか。

宮腰:はい。車でいうと、コンパクトカーやSUVなどのボリュームを見て、塊に対して因果関係が立てられるかどうかです。立てられるものについては見ていきます。立てられないものについては、自然発生のものだと割り切ることも大事だと思うんです。

コントロールできないOTHERとして扱うと判断した後に、数字を使って相関係数や誤差の範囲であるとか、きちんと数字として説明しきれるものであるのかを判断して、組み合わせていく段取りをとっています。リスティング広告は、塊を作ることが大事です。DSPや純広告になると、影響する割合ではリターゲティングがある程度のボリュームがあり重要だと思いますが、クリックして直接コンバージョンすることは、ウェブの世界だけで見ると良いものだと思います。

有園:なるほど。

リターゲティングについて

宮腰:いったん、マス広告からの影響は置いておきましょう。リターゲティングについては、第三者配信やクリックスルーコンバージョンで、リターゲティングに至る前に、どこから入ってきたのかを見たとき、これがウェブの中だったら良いのですが、最近よく見かけるのは、最初は自然検索できた人が、最後はリターゲティングでコンバージョンするパターンや、リスティング広告で入ってきたのに、その後はビックワードで検索し、最後はリターゲティングでコンバージョンするといった変化です。

指名キーワードの自然検索で入ってきた場合、マス広告との相関を見るといった遡り方をして、リスティング広告だけでなくリターゲティングやDSPなど、分析の幅を広げています。重要なのは、最初にグルーピングしてボリュームを見ることです。

構造方程式モデルの誤解

宮腰:オフラインとオンラインを統合するアトリビューションの代名詞として構造方程式モデルのようなパス図をよく見ますが、運用の実態まで組み込まれたモデルではないんです。分析する側に運用のナレッジがない、ということもあります。でも複雑なパス図になっていると、気持ちが落ち着くというか、わかった気がしちゃうんでしょう。

有園:いかにも高度な分析をしているような気がしてきてね。

宮腰:ところが、僕は、ここ1年で2件も見たのですが、モデルを見て笑ってしまったことがあって。複雑な絵にはなっているんですが、因果関係がめちゃくちゃなんです。1件目は、当たり前の関係が組み込まれていただけ。ある商品(A)のテレビCM・新聞・リスティングを出稿すると、ある商品(A)のコンバージョンが増えます。ある商品(B)のテレビCM・新聞・リスティングを出稿すると、ある商品(B)のコンバージョンが増えますと。その結果、コンバージョンの合計は何件になります。これは、商品ごとのコンバージョンを目的変数にした重回帰を足し算しただけの、当たり前の関係です。

広告を出稿したらコンバージョンが増える。これって重回帰分析をするまでもなく、ダイレクトレスポンスマーケティングでは当たり前のことなんです。モデル化する必要のないことを、小難しく説明しているケースがひとつありました。

有園:なるほどね。

宮腰:そして2件目は、分析して非常に複雑なパス図が現れたのですが、ひとつずつ見ていくと、1日前にリターゲティングの接触があり、3日前にリターゲティングの接触があり、と7日前まで遡っているんですよ。これってリターゲティングの接触の回数を数えているだけなんですよね。

有園:よくありますよね。リターゲティングの接触が続いている絵って。

宮腰:最初に何をすべきか検討する場合、リターゲティングって最初にできることではないので、意味がないんですよ。アウトプットが複雑だと、さも構造化されているように思えてしまいますが、そんなのは大間違いで、モデルの中にきちんとした因果関係、これは仮説として与えないと出てきませんが、因果関係を考察して組み込まれているかが重要なんです。それは自分でその商品の市場や購買プロセスを考察していないとできないわけです。数字を見る能力と、コンピューターを操作する能力と、分析の知識だけではだめなんです。

有園さんが『リスティング広告 プロの思考回路』(アスキー・メディアワークス)で書いていらっしゃったことは、僕の思ってきたことと違うこともありましたが「こういう観点で、こういうことが当てはまる業種もあるんだ」と気づきがあり「トライしてみよう」って思うことが多くて、ヒントがつまった本でした。必ずしも当てはまるわけではないので、自分のなかに「これとこれは因果関係がある、ない」のセットを持っていないとモデル化は出来ないんですよ。

単純なモデルほど本質をえぐり出す力がある

有園:複雑にやるのが良いわけではないって大事ですよね。学生時代に当時、東京大学の経済学部学部長だった岩井克人先生の『貨幣論』(筑摩書房)を読んで感銘を受けたことを思い出しました。世の中には国ごとに貨幣があるので、たくさん貨幣があるという前提で考えると複雑になるけれど、世の中に貨幣が一つしかないと仮定して「世界貨幣」という概念で、すべての商品が売買交換できるという単純なモデルをつくり、その「世界貨幣」を前提に資本主義の脆弱性をえぐり出すという仕事をしています。彼は、ハイパーインフレーションで資本主義が崩壊するという可能性について論じています。その本の中で、単純なモデルほど本質をえぐり出す力があるということが書かれています。

僕は、その考えに影響を受けています。岩井先生は不均衡動学の理論という難しい分野の論文を専門書では書いているのですが、一般書では単純なモデルこそ本質をえぐり出す力があるということを分かりやすく書いていらっしゃっていて「そのとおりだな」って思ったことがありました。

アトリビューションであれ、その他の広告の分析であれ、モデルを作ることが多々ありますが、最初は単純なモデルをつくって、きっちり本質を見抜くことをしてから、複雑なモデルに移っていくことが大事であることを、宮腰さんの話を聞いて、あらためて感じました。

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正しく、シンプルに

宮腰:シンプルさは大事ですね。でも、シンプルさの誤解もあります。テレビCMを出稿したら検索数が平均で1.2倍の差があるというデータがあったとき、すべてのケースで1.2倍を当てはめるといった単純な取り組みはたたき台にはなりますが、これもさらに因果関係を考察する努力を怠っており、数字がでればいいという勘違いをおこしています。

有園:そのシンプルさは間違っていますね。

宮腰:シンプルさの考え方が違うんですよ。大事なのは、シンプルな因果関係を描くことだと思うんです。それがシンプルなモデルってものになると思います。AをやったらBがこうなって、そのあとCがどうなってという、いろいろなことに応用できる因果関係を見つけることが、一番大事な考えるべきポイントですね。

 

③広告会社のあるべき姿

広告会社のあるべき姿

有園:宮腰さんがやっていらっしゃることって、旧来の広告会社がやっていることとはイメージが違うように思います。宮腰さんが特殊なわけではないと思いますが、宮腰さんは、ご自身で統計的な作業もされていると伺っています。得意先への定例会にも参加されてプレゼンし、そこで出た宿題は持ち帰ってご自身あるいはチームで分析をされていることと思います。その結果は、マス広告の方にも「こういった結果が出ているから、こんな風にクリエイティブを作ったほうがよいのではないか」とか「ターゲットを変えたほうがよい」とか「訴求点を変えたほうがよい」みたいな、他にも影響を及ぼす動きをされていると思います。

そうなると「広告会社の人って、そこまで分析とかするんだっけ」という感想をもつのですが、いま、宮腰さんのような仕事をしている方は増えているのでしょうか。いま、ビックデータなど、データを取り扱い、分析することが求められているので、今後、宮腰さんのような人を増やしていかないといけないのかもしれません。そのような状況下で、御社の中での課題や、今後どのような人を必要としているのかを、お話しいただけると有難いなと思っているのですが。

宮腰:大きく言うと、広告会社で働く人間、総合広告会社にせよ、ウェブ広告の専門会社にせよ、得意先にとってのマーケティング領域の専門アドバイザーであるという立場は変わらないと思います。プロフェッショナルアドバイザリーサービスなわけですよね。

得意先の役に立つ助言が、どういう人によってなされるのかを考えていくと、これまでは、ビジネスの感覚を持ったクリエイターや、専門知識を有したコンサルタントでした。有名クリエイターなどは、時代の感覚を自分の中に取り込んで「いまこういうことをやっていくと、あなたの会社は世の中の人に受け入れられますよ」「このようなイメージを抱いてもらえると、ビジネスとして成長できますよ」といったアドバイスをしていました。かたや、MBAをとっていてマーケティングの専門知識をもっている方によるコンサルティングでは、いろんなフレームワークや調査データをつかって戦略的な提案をおこなってきました。

有園:ストラテジックプラナーとかでしょうか。

宮腰:たとえば、そのような存在ですね。そうしたこれまで広告会社に存在した類型とは別の形で、経営者へのアドバイザーとして存在しうるのが、増えているデータの中から意味のあるアドバイスを抜き出したり、創造してアドバイスできる人間です。

クリエイティブな才能をもったクリエイターや、MBAなどの知識や専門的な能力をもったマーケターが、膨大なウェブ・データを分析することはほとんどないわけです。ですから、データを読み解き、アドバイスすることを得意とする存在が、生きていける土壌ができたのではないかと思っています。僕としては、世の中が求めているという感覚は、あまりないのですが、そのようになりたいと思って、これまでやってきました。

マーケターは刑事

有園:実際、そのような環境が整いつつある中で、宮腰さんはご自身の役割を、どのようにお考えですか。

宮腰:刑事だと思っています。

有園:刑事コロンボの刑事ですか。

宮腰:そうです。刑事コロンボとか、相棒とかの刑事です。経営者の方々の一番の仕事って判断することですよね。判断するのは裁判官や判事の仕事です。

有園:最後は、経営判断ですもんね。

宮腰:経営判断をしていただく前に、誰が容疑者でありそうかを見つけ出してくる役割が、刑事だと思うんです。データの世界でいうと、とにかくデータを集める、証拠を集める鑑識のような役割も兼ねています。

24 hour performance

これは、データを扱うのが得意で、統計の知識があり、プログラミングが書ける、データをハンドリングするスキルが高い方々がやっていく仕事だと思います。経営と現場の間をつなぐ役割ですね。事実を整理し、ナイフについていたDNAはこのようなもので、逃走経路はこのあたり。一体、この事件を引き起こした犯人は誰なのか。それを見つけない限りは、施策には落ちないし、判断はできません。事実を積み上げ、分析し、一番、疑わしい人間を見つけ出す。これも推測なんです。

課題を、見つける力、解く力、使わせる力

有園:裁判官みたいな人がいます。(資料②)これが経営者ですね。裁判官が判断するために必要なデータを集めてくる人が、刑事ですね。きちんとジャッジするための示唆を与えるわけですね。

いま「データサイエンティスト」が流行っています。この言葉をよく耳にします。宮腰さんのお考えでは、データを分析する人と、データを分析するだけでなく示唆を与えるまでが出来る人を分けているように思うのですが「データサイエンティスト」というのは、その両方が出来る人のことをいうのでしょうか。

宮腰:この点については『会社を変える分析の力』(講談社現代新書)の著者である、河本薫さんの主張が正しいと思っています。当然、データをいじるスキルは必要ですが、データをいじる前に、問題を発見して分析する前提を作る、課題を見つける力が必要だと河本さんはおっしゃっています。僕も、それがまずは必要だと思っています。そして、その問題を解く力。これが分析の力です。最後に強調されているのが、使わせる力です。分析の結果を経営者が活かせるよう変換するところまで出来ないと、データサイエンティストではないのではないかと思っています。

有園:課題を、見つける力、解く力、使わせる力。

宮腰:By河本薫さんです。

有園:たぶんいま、データを操作する人はいます。もちろん、課題を見つけて、解いて、使わせる力も備わっていて、ハンドリングできる人もいますが、ハンドリングすることしかできない人は、データサイエンティストではないということでしょうか。

宮腰:私の知る限り、業種によってばらつきがあります。IT系企業の場合、分析する力、つまり解く力の強い方が多い印象です。

広告会社はどうかというと、問題を見つける力のある人は多いけれど、解く力のある方が少ない。私たち広告、マーケティング側から見ると、解く力のある方というのが、とてもポテンシャルを持っている方々なのではないかと思っています。

解く力を持つ方が、マーケティングの観点から仮説を立てる、問題を見つける力を養っていく、自ら高めていくことができれば、いままさに、データサイエンティストになるポテンシャルの高い方なのでしょう。

有園:それは、広告会社から見てということですね。

宮腰:なぜかというと、いくら見つける力と使わせる力があっても、もとのデータ自体を見ていないと焦点を絞るべきところを見つけ出せないんです。刑事に例えた理由もそうなんですが、現場百遍っていう言葉が昔から好きで、それこそ私が分析するときも相関係数とか誤差なんかを読むだけではなく、重視するのは最初のデータセットです。

データセットをどう作るかで、分析結果ががらりと変わってきますので、正しいデータセットを作っているかどうかが非常に大事なわけです。もしくは、変数をどういう定義でつくっているか、どのようにデータを抽出してきたか。これをやらない限り、データサイエンティストにはなれません。

発言が矛盾するかもしれませんが、データハンドリングの側を十分やっているからこそ、見つける力と使わせる力が備わってくるわけで、見つける力と使わせる力だけ持っていると思っていても、いまこれだけデータが膨大な時代で、データを見ていない限り、正しい分析はできないんですよ。

ですから、さきほど両方やるのか片方でよいのかという話が出ましたが、言ってみれば両方です。軸足がどちらにあるかの違いはあると思いますが。

有園:そうだとすると、大阪ガスの河本さんがおっしゃっているような、課題を発見する力があって、課題を解き、広告主さんに使っていただくために使わせる力が必要で、これは説得力のあるソリューションに落とし込む力でしょうか。広告主さん側で「これを使いたい」と思ってもらえるように。このような3つの力を持っている人が、広告会社にはいなければならないということですね。

宮腰:そうですね。

プログラミングのスキルは必須?

有園:旧来型のマーケットインサイト、コンシューマーインサイトに対して「こういうクリエイティブが良いですよ」と提案するクリエイター、ストラテジックプラナーのように事業戦略まで語れる人も引き続き必要ですが、データを使いソリューションまで導き出せる人も必要になってきたということですね。

宮腰:そうですね。

有園:そのような生き方もあると。そうすると、広告会社で働く人はプログラミングもできたほうがよいのではないかと思ったりするのですが。

宮腰:僕は、できたほうがよいと思います。世の中にマーケティング系のデータっていっぱいあります。アクセス解析のデータであれば、自分のパソコンで過去1年間分くらいのローデータをごそっと引き出すことができます。一般公開されている市場動向の調査データなどもたくさんありますし、統計局ホームページからごそっと引き出すこともできます。

そのような時代に、私たち広告会社、マーケティングプラナーたちは、パソコンを、メールを読んだりウェブサイトを見たりするためだけに、使っていてよいのかということです。マーケターが、与えられたパソコンでメールとウェブサイトだけを見て、あとは机上の空論のようなマーケティングプランを立てているとしたら、料理人にたとえると、コンビニで買ってきた料理をレンジでチンして出しているようなものなんです。オープンデータを集めてくるようになってから、コンビニで買ってきた料理に自分の空想でちょい足しするような世界になってきたわけです。

なぜ、僕が広告会社に勤めるものたちがプログラミングまでできたほうがよいと考えているかというと、データを使うというのは、スーパーで食材を買ってきて、自分の好きなように料理をしていくためには、SQL(シークェル, エスキューエル)を自分でたたいたり、Ruby(ルビー)とかPython(パイソン)でプログラミングを書けて、ローデータを加工したりというところまでいかないといけわけです。僕らはマーケティングのプロですから、ここまでいく気概を持って取り組むべきではないかと思うんです。

たとえば、有園さんがやっていらっしゃるウェブのオンラインのアトリビューションの世界でいうと、APIをたたくことも必要になってきますよね。そのためには、インターネットがなぜつながっているのか、APIの仕組みはどうなっているのかといったことまで把握していないと、机上の空論になってしまいますよね。

有園:なるほど。いまの話でいうと、アタラでもっているプロダクトに「glu(グル―)」というものがあります。「glu(グル―)」は、レポーティングツールであり、分析ツールでもあります。ヤフーとグーグルのプロモーション広告のAPIをたたいてデータを持ってきてソリューションに落としているんです。

それを、ネット専業の広告会社を含め広告業界でやる方がいなかったので、サービスにしようということでつくったプロダクトです。そこが皆さん分かっていれば、同じことをやってきたかもしれませんね。そういう意味では、ウェブのAPIまで理解して分析できれば、より幅が広がるなって思います。

ちょっと余談ですが、「読み・書き・ソロバン」っていいますよね。10年ぐらい前には、ビジネスの「読み・書き・ソロバン」は、「英語・会計・IT」と言われていました。いまは、それが、「英語・会計・プログラミング」になっているんじゃないかと思います。ITって、エクセルやパワーポイントができますとか、インターネットで情報取得できますってレベルじゃ意味がないので、やっぱり、プログラミングかなと。とくに、情報やコミュニケーションに関わる仕事をする広告会社の人は、プログラミングができるレベルじゃないと時代についていけないと思いますね。

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クリエイターはテクノロジーに強い

宮腰:広告の世界で、テクノロジーを取り入れる速度が一番速いのは、クリエイターなんです。

有園:分かる気がします。

宮腰:マーケターの方が遅いのは心配ですが。いま、ほとんどの広告写真はフィルムではありませんね。ときどき、フィルムにこだわる方もいますが。フィルムの時代から、広告会社のクリエイターって、なぜこのレンズで撮影するのか、焦点距離がどれくらいで、縁がどれくらいで、引き伸ばし方をどうするのかまでをやっていたわけですよ。

ところが、コンピューター、データとなると、そこまでやらなくなってしまうのはおかしいなと。昔、コンピューターで音楽を作れるといったら、イメージするのはYMOさんや坂本龍一さん、富谷勲さんだったりするわけです。確かな音楽理論があって、高価なシンセサイザーで作曲するようなイメージです。

有園:坂本龍一さんは東京藝術大学にいき、教授と異名をとるぐらい音楽理論にも造詣が深くて、ピアノも弾けて、クラシックの知識もある人が、YAMAHA(ヤマハ)のDX7(ディーエックスセブン)などをつかって作曲していたわけですね。

宮腰:YMOさんのときはProphet Vなどアナログなシンセサイザーで。昔は、膨大な知識量を吸収して、大学を出て理論的にやらなければならないという。日本人って、テクノロジーとの接し方が誤っていて、難しくとらえがちなんです。

ところが、音楽の世界って、たとえば石野卓球さんは座学で研究されたわけではないですが、家でシンセサイザーをいじっていたら面白い音ができて、それが世界で売れたりします。写真も昔は、決定的な瞬間というと、アンリ・カルティエ=ブレッソンなどのマグナムという国際的な報道写真家のグループが有名だったわけです。でも、いまは、糸井重里さんのウェブサイトでも「味写」というのを集めていますが、一般の人が決定的な瞬間を撮影して、それを投稿しているわけですね。いまでは誰でも決定的瞬間は撮影できるようになっているんです。知らず知らずのうちに。

宮崎駿監督の作品「風立ちぬ」主人公のモデルにもなった堀越二郎は、膨大な設計図面を作って、一生に何度あるか分からない飛行のためにテストを繰り返してきましたが、いまはこれですよね。テクノ手芸といわれている、自分で配線して電子工作をはじめられるキットが売られているわけです。小さいLinux(リナックス)が入ったRaspberry Pi(ラズベリー・パイ)という手のひらサイズのチップで何度も実験できます。

データが膨大にあり、分析するツールも膨大にあるわけです。低価格なものから高価格なもの、簡単なものから複雑なものまで。ではなぜ、そこに自分は行かないのか、自分から取り組んでみないのか。取り組むときに、難しいものと思わず、気楽にやってみるべきなんですよ。

テクノロジーとの関わり方を変える

有園:それがテクノロジーとの関わり方なのでしょうか。

宮腰:特に、広告のクリエイティブの世界は、Macintosh(マッキントッシュ)が登場してからの世界ですが、デザイナー自身がAdobe Illustratorでデザインをするようになりました。昔は、デザイナーが手書きした原稿を、マッカーと呼ばれるMacintosh(マッキントッシュ)使いの人が起こして、さらにそれを製版していく段取りがありました。

でも、いまはデザイナーが自らMacを使ってデザインしています。広告会社のアートディレクターも自分でやるようになりました。自分でできる範囲が、どんどん広くなって、いろいろなクリエイティブが実現できるようになりました。僕らのいる分析の世界も同じようなっているはずなんです。

有園:クリエイターは、Adobe IllustratorやAdobe Photoshop などを使いこなしているでしょと。分析する側も、広告会社の人間なら、プログラミングできるほうがよいと。

宮腰:クリエイティブでいうと昔は、デザイナーがいて、アートディレクターがいて、Macのオペレーターがいてと役割が分かれていましたが、いまは一人のクリエイターがパソコンを駆使して幅広く手掛けています。

でもいま、マーケティングのプラニングというと変わらないわけですよ。リサーチャー、PR、メディアのプラナー、アナリスト、エンジニアがいて、相変わらず分業の状態です。今、必要なのはデータサイエンティストという呼び名もあり、その延長線上にあるのかは分かりませんが、マーケティングの世界において必要なのは、マーケターとしての気質と、アナリストやエンジニアの側面も兼ね添えて、施策に落とし込むメディアのプラニング、PRのプラニングに変換することのできる人。さきほどの3つの力「見つける力」「解く力」「使わせる力」を兼ね添えていかなければならないと思います。

有園:いまの20代、30代の若い人たちには、研修などでもプログラミングを教える機会を設けると、大いに活躍する可能性が高まるということですね。

ThinkingからTinkeringへ

宮腰:3つの力を身に付けることは、なにも、若い人に限った話ではないと思います。世の中が、広告業界全般にいえることですが、データサイエンティストを特別視しすぎです。「メディアプラナーやマーケターは、自分でデータをいじくろうよ」という運動にしていったほうがよいと思います。いままで、プラナーもマーケターも考えることが仕事になっていくのですが、自分自身にも強制していることは「考える前にデータをいじくる」ということです。ティンカリング(Tinkering)しろよと。

有園:ディズニーの「Tinker Bell」のティンカーですね。ティンカーベルって手先が器用で、物を作る妖精です。

宮腰:あぁ、なるほど。

有園:いじくるのはティンカーですね。

宮腰:大規模なデータベースをつくって、分析の仕組みをつくってと大掛かりなシステムから考えるよりも、自分の手元にあるデータを自分でいじくった結果が、単純な集計でも大きな施策に活かせる大きな発見がある可能性があるわけです。複雑な分析が、必ずしも正しいわけではないんです。いじくっていくことによって経験値が高くなり、できることも複雑になるわけです。

最初は、自宅で日曜大工して椅子を作っていたけれど、段々と出来るようになって、いつしか大工になって家を建てられるかもしれない。研修を用意するよりも、日頃からデータに触れる習慣をつくっていったほうが良いのではないかなって思っています。

「みんなティンカーベルになろう」

有園:ThinkingからTinkeringへ。「みんなティンカーベルになろう」って運動だったらよいんじゃないですか。

宮腰:そういう運動いいですね。

有園:いま、僕もすごく納得したのは、単純なこと、ちょっとしたことが、実はとっても大事なのではないかと。アトリビューションの話をするとき、複雑なモデルの方が、より精度が高いと思われがちで、実際にそうかもしれないんですが、発見って、単純なモデルや単純なことをきっちりやることで見えてくることがあって、複雑になるとかえって見えなくなったりするので、単純なことをやって方向性を見極めて、そのあとに定めた方向性のもと複雑なことをやっていく手順を経ないと、良いソリューションって仮説を設定してやることができないと思うんですよね。

有園:ありがとうございました。

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対談者プロフィール

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株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
ダイレクトマーケティングビジネスセンター
パフォーマンスマーケティング部
アナリティカルプランニングディレクター
宮腰 卓志
MIYAKOSHI Takashi
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アカデミックなアトリくん
【アトリくんの視点】机上の議論ではなく、非常に実際的なアプローチをされていることに感銘を受けました!あるモデルに全体をあてはめていくのではなく、クライアントごとに異なる状況をモデル化し、運用の要素をインストールしていくことは、まさに「現場百遍」で実際のデータに日々取り組まれているからこそ出てくる本物の知見ですね!「広告会社の人間なら、プログラミングできるほうがよい」本当にその通りだと思います。アトリくんもアトリビューション分野のティンカーベルになれるようにがんばります!宮腰さん、大変貴重なお話ありがとうございました!

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