【海外コラム】クロスチャネル・マーケティングモデルの簡単な概要

Marketing Landにてクロスチャネル・マーケティングに関する記事が掲載されていました。

 

A Concise Overview Of Cross-Channel Marketing Models
http://marketingland.com/concise-overview-cross-channel-marketing-models-79641

 

近年最も応用されている クロスチャネル・マーケティングのモデリング手法は次の3つ。

  • 計量経済学的なトップダウン・アプローチ(ex. マーケティング・ミックスモデル)
  • アルゴリズム的なボトムアップ・アプローチ(ex. アトリビューションモデル)
  • 機械学習型アプローチ(ex. エージェントベースドモデル)

 

計量経済学的アプローチ

マーケティング・ミックスモデルに使われる方法であり、最も古典的で今日も広く適用されています。

★アプローチの概要

  1. コンバージョン/売上データや、経済・価格変動などの非メディア要因と共に、メディアチャネル間の過去の売上やマーケティング活動の関係を統計的に分析
  2.  売上高やKPI (Key Performance Index)など変動的な効果を評価する統計モデルを構築
  3. 各マーケティングチャネルやキャンペーンの影響度を定量化

★強み:データ駆動型の統計的アプローチにより高い予測性の実現ができる

★弱み:洞察や仮説シナリオの精度はインプットデータの粒度次第である

 

アルゴリズム的アプローチ

アトリビューションへのタッチポイントに基づく方法であり、クロスチャネルトラッキングを経由することによりごく最近可能となった方法です。このアルゴリズム的方法では、cookieレベルのイベントデータを調査し、ユーザーの遷移パターンやコンバージョンから、キャンペーンや流入チャネルを経由する各タッチポイントの効果を計ります。

★アプローチの概要

  1. コンバージョンと共に、それまで経由してきた媒体のタッチポイントのデータをcookieレベルでたどる
  2. 特定のタッチポイント効果を評価するために、類似する遷移パターン同士を比較
  3. 遷移データを集計し、メディアやキャンペーンに対する貢献価値を割り当てる

★強み:タッチポイントレベルの計算により、きめ細やかなアトリビューション分析やメディアへの影響・評価が見込める

★弱み:予測的でない。オフラインメディアや追跡されてないオンラインメディアなどを組み入れることができない

 

機械学習型アプローチ

エージェントベースドモデルは機械学習型アプローチの代表例として挙げられます。これは個々人をエージェントとして扱います。エージェントは、イベントや刺激に接することで特定の行為を示し、それが影響度を測定する計算シミュレーションに役立てられます。社会科学分野などに適用されてきましたが、最近ではマーケティングインパクトモデルに応用されるようになりました。

★アプローチの概要

  1. デモグラフィックなデータを使用し、顧客プロフィールを把握することで、ビジネスにおける模擬的な人口環境を想定する
  2. 過去のマーケティング活動に加え、コンバージョン/売上データや非メディア要因を使い模擬的な人口環境を育成、調整する
  3. 様々なマーケティング活動、変化への反応をシミュレーションする

★強み:個々人の属性をベースにしたモデルであり顧客のデモグラフィックなレベルでの柔軟なシミュレーションを可能にする

★弱み:結果の正確性は、ビジネスおよびデモグラフィックなセグメントがどのような行動を取るかの仮説に依存する

 

マーケティングの影響評価の展望

マーケティングがアカウンタビリティの時代に突入したにつれて、クロスチャネル・マーケティングの影響度評価への需要は高まり続けていくと予想されます。今後10年、クロスチャネル・マーケティングはさらに精度を上げ、またこれらのアプローチが組み合わせられていくでしょう。既にいくつかのベンダーはトップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチを組み合わせています。
しかしビジネスやマーケティング成果に影響を与える様々な変数をすべて予知するのは不可能です。モデルの正確性と複雑性が停滞状態に入ったとき、予見できない、もしくは不明の要因が、実践の場でのモデルの正確性や有用性を左右するでしょう。結果、リアルタイムなシミュレーションと予測する能力こそが鍵を握るのです。

 

 

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【アトリ君の視点】 今後もクロスチャネル・マーケティングのニーズが高まる可能性は非常に高そうですね。変数が増えるだけでも、どの変数が意味を持ちそうかを判断するために様々なシミュレーションをリアルタイムに試行することは今も行われ始めてますね。BIツールが最近活用されているのもそういった背景があると思います。今後も加速するように思います。そして重要なのは経験、ノウハウ、スキル、センス、実行力などさまざまな資質をもった人がいるかどうかという点になるかと思います。

 

 

【海外ニュース】Googleがアトリビューション専業のAdometryを買収

Google が、アトリビューション関連事業を専門に行う Adometry を買収しました。買収の金額等は公表されていません。
 

Google To Buy Marketing Attribution Pure Play Adometry
http://www.adexchanger.com/platforms/google-to-buy-marketing-attribution-pure-play-adometry/
 

今回の買収により、Adometry のスタッフ(約130名)は、徐々に Google の Analytics Premium のチームに参加することになるようです。
 

Adometryのブログでも、今回の買収について公表されています。
 
 

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【アトリ君の視点】 2012年のForresterのリサーチでは、AdometryのアトリビューションはGoogleより優れていると評価されていました。今回の買収により、ユニバーサルアナリティクスのアトリビューション機能がより強化される期待が高まります。マルチスクリーン対応を加速させているGoogleが、Analyticsでの解析面も強化していることが分かる買収ですね!

【海外ニュース】Visual IQ、AdobeのMarketingCloudと連携

米大手アトリビューションソリューションベンダーのVisual IQが、
AdobeのMarketing Cloudと連携したことを発表しました。

http://www.adotas.com/2014/03/visual-iq-completes-integration-with-adobe-marketing-cloud/

 

今回の連携によりAdobe Marketing Cloudの、以下の4つの機能を拡張することができるそうです。

・オーディエンスターゲティング
AdobeのAudience Managerの各種データと、Visual IQのAudience IQのアルゴリズムによって貢献度を付与されたデータを統合し、
アプローチするべきオーディエンスをより正確に把握

・統合レポーティング
Adobe AnalyticsとVisual IQのTrue Metricsのデータを統合することで、
チャネルを横断したデータを正規化し、共通のKPIでパフォーマンスを比較

・キーワード最適化
Adobe Media OptimizerへVisual IQのIQ Deployから送られるフィードを送ることで、
検索連動型広告のパフォーマンスの確認とキーワードの最適化を、貢献度が付与されたより正確なデータを元に行うことが可能

・タグマネジメント
AdobeのDynamic Tag Managementを利用することで、Visual IQのタグをすでにタグが実装されているページに対してすぐに追加することが可能

 

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【アトリ君の視点】Google Analyticsしかりですが、今後統合管理が進んで行くことで、アトリビューションが特別なものでなく、当たり前にある一つの指標として扱われる日もそう遠くはないように感じます!

 

 

 

アトリビューション特別対談:DMPとアトリビューションはどちらも生活者の行動を明らかにするものだ!HDYMP柴田貞規氏・篠田裕之氏×アタラ有園

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データマネジメントプラットフォーム部を有する広告会社

有園:株式会社博報堂DYメディアパートナーズのデータマネジメントプラットフォーム部部長の柴田貞規さんと篠田裕之さんを迎え、お話を伺います。日本全国を見ても、データマネジメントプラットフォーム部という名前の部署を有する広告会社は珍しいように思います。博報堂DYメディアパートナーズの中で、データマネジメントプラットフォーム部が立ち上がったのは、いつ頃ですか?

柴田:2013年4月1日付で立ち上がりました。

有園:部署名からDMP(Data Management Platform)をやっていることは想像できますが、具体的な業務範囲を教えてください。

柴田:業務としてはDMPを使ってのサービス開発、DMPの運用がコアにあります。その他に、ディスプレイ、サーチといったパフォーマンス広告の設計・運用も行っています。また、オンラインのアトリビューション分析といった業務も担当しています。

有園:2013年頃から電通さんが「運用型広告」という表現をつかっていますが、「運用型広告」とは「リスティング広告」「DSP」「アフィリエイト」などが主なものだと思います。柴田さんたちの部署では、DMPやアトリビューションもやっていると。それらを一貫してやるために立ち上がった部署ということですか?

柴田:経緯はいろいろありますが、結果的には、それらを一か所でマネージしている状況です。広告主様のゴールの達成には、広告のプランニングから出稿、分析が必要になるので、ワンストップであることは必然的な結果かと思います。

有園:2013年後半あたりから私自身も、アトリビューションとDMPは相性が良く、一緒にやることに意義があるのではないかと言ってきました。そういう意味でも、博報堂DYグループの中に、データマネジメントプラットフォーム部があって、アトリビューションも一緒にやっているというのは感動的です。今後の方向性を伺えますか?

生活者の行動を明らかにするためのアトリビューション分析

柴田:私たちの用語で言う「生活者」が、どのような行動をとるか考える。これは、アトリビューションやDMPの共通の考え方かなと思っています。アトリビューションとは、カスタマージャーニーを明らかにすること。今話題のDMPも、生活者がどういう行動をとっているか、生活者の趣味、嗜好がどこにあるのか、それらを明らかにすることが肝になってきます。

生活者が、何を考え、好み、行動するのか。それらを知ることは、私たちのグループにとっても重要になってきます。そのためのソリューションは、アトリビューションマネジメントもあればDMPもあります(切り口や方法は異なりますが)。それぞれがバラバラにあるというよりは、生活者のインサイトが中心にあって、そこを取り巻くように、いろいろな商品や手法が配置されます。生活者のインサイトにメッセージを届けるための手段として、広告があります。メッセージが適切に届いたか、その効果はどうだったのか?を知るためにアトリビューション分析やDMPがある。生活者のデータが真ん中にあることが重要ですね。

有園:スッキリしました。確かに、生活者の行動を明らかにするために、アトリビューション分析をしているんですね。

マスメディアのバイイングにDMPデータを応用

有園:柴田さんのところでは、運用型広告、DMP、アトリビューションを扱っていますが、御社は総合広告会社なので、今後はマスメディアへの影響なども考えていかれるのでしょうか?

柴田:そうですね。現状、ここ1年くらいは、オンラインのメディアに特化してプラニングしてきました。しかし、すでにいくつかの広告主様では、オンラインのデータを使い、他のメディアのプラニングを開始しています。オンラインのデータの使いどころはオンラインメディアに閉じず、他のメディアへの展開を考えており、実際にその動きがもう始まっています。

有園:実際に動きがあるんですね。私自身はインターネット広告を主にやっているので、マス広告側のバイイングがどのようなロジックで行われているのか、実体験として、あまりよく分かりません。いま伺った話ですと、マスメディアのバイイングにもDMPのデータが応用されているということですが、具体的にはどのような内容ですか?

歴史と旅行好きは秋葉原のアイドルが好き?!

柴田:例えば、これはあくまでモデルですが、ある広告主様が新商品を発売するとします。その新商品は、歴史が好きで、旅行が好きな人を対象にしているとします。そのときに、今までだったら、歴史好きが集まってくるウェブサイトや旅行好きが集まってくるウェブサイトに広告を出稿しようということで、オンラインは完結していました。

それが、DMPを使い、第3者データと掛けあわせて訪問者データを分析することによって、サイトに集まっている人たちが歴史や旅行以外に、他にどんなことに興味をもっているのかがわかってきます。たとえば、歴史と旅行が好きな人たちは、あるアイドルが好きだという共通項が見えるといったことがあるかもしれません。その場合、アイドルに関するサイトにオンライン広告を出しても良いですが、そのアイドルがよくライブをする駅にアウトドア広告を掲載したら、その人たちが認知するのではないか、そのアイドルが載っている雑誌に広告を出してみようかということになるのではと考えています。

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DMPのタグを入れユーザーの行動履歴をとる

有園:広告主が取り扱う、歴史や旅といった商品に関するウェブサイトのページ内にDMPのタグを入れると、DMP側ではインターネット上でのユーザーの行動履歴がとれ、その中で、歴史好きの人はある地域を頻繁に訪問していることが分かってくるというわけですね。こうした取り組みは引き合いも多いですか?

柴田:多いです。いままでの発想とは違うターゲットの見つけ方なので、新しいターゲットを見つけたいという広告主様の欲求を満たす取り組みとして、非常に引き合いが多いです。

有園:それじゃあ柴田さん、お忙しいですね(笑)

柴田:いや、僕よりも若手が忙しいです(笑)

有園:忙しい若手の話は後程、伺うとして、今後ますますDMP、アトリビューションは、御社の中でマス広告も含めた、さまざまな業務のバイイングやプラニングに関わってきそうですね。

DMP、アトリビューションがマーケティングを変える

柴田:マーケティングの仕方に影響を与えていきますね。

有園:引き合いが多くて現場は大変だという話が出ましたが、現場の篠田さんは、どのような感想をお持ちですか?

篠田:引き合いは、2012年はアトリビューション、2013年はDMPが多かったです。

有園:DMPの部署を作ったからでしょうか?

篠田:そうだと思います。いままでは、DMPみたいなことがやりたいと思っても、誰に何を相談したらよいか、相談する先が分かりませんでした。でもいまは、明確にDMPというソリューションができて、データマネジメントプラットフォーム部という組織ができたことで「ここに相談したらいいんだ」と分かりやすくなったんだと思います。

有園:御社の中で「データマネジメントプラットフォーム部に相談すればいいんだな」という流れができたわけですね。

篠田:そうです。

広告主に「DMP」を理解してもらうために

有園:おそらくですが、2013年の一年間で、大手の広告主がDMPを理解したように思います。ただ、最初は必ず「DMPとは何か」を説明して回らなければなりません。御社でも結構な数の企業へ説明に行かれましたか?

篠田:企業様のニーズ、状況に応じて、ご提案している状況です。まずは「DMPとは何か。御社がデータを活用すると、こういうことができる」というご説明から始めております。

有園:説明に使う資料も篠田さんがご自分で?

篠田:私含め、部署全員で協議の上、作成しております。

有園:御社のグループの中にDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)があり、DACグループの子会社である株式会社モデューロでは「AudienceOne®」を持っていますね。御社では、基本は「AudienceOne®」を提案するスタンスですか?

柴田:いえ。基本はオープンで、DMPはどこでも対応しています。とはいえ、データ量が多くて結果的に「AudienceOne®」を選ばれることが多いですね。

有園:ということは、いろいろなDMPに詳しくならなければなりませんね。

柴田:そうですね。研究はしています。

DMPのタグ発行からセグメントまで

有園:DMPの説明をした後、実際に案件がとれたとして、DMPの管理画面に入ってタグの発行や設定、セグメントといった業務は、篠田さんたちが自らやっていらっしゃるのですか?

篠田:はい。いまはデータマネジメントプラットフォーム部のメンバーがタグを発行し、管理画面に登録、運用するところまで自分たちでやっています。

有園:アトリビューション業務と絡むと思いますが、いろいろなデータがとれるようになると、その分析も自分でやっているのでしょうか?

篠田:以前は、データ分析専門のパートナーに協力してもらっていました。自分たちはレポートの設計をして、データの集計はパートナーに頼むことが多かったのですが、それだと仮説を立てて結果を見て検証する、というサイクルが遅くなってしまうのが難点でした。そこで今は、部署内でできるデータ分析の領域を広げております。
実際に私たちの部署では、統計ソフトやデータベース言語の「SQL」なども使用しています。ロケットサイエンスが必要な巨大なデータとまではいかなくても、ある程度の規模のデータは、出来るだけ自分たちで分析できるようにしようとしています。

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有園:統計ソフトやSQLも使うんですか?

篠田:使います。

柴田:僕ですらインストールしています。まだまだ、使い方がわからないところたくさんありますが、超楽しいですよ。

有園:楽しいですか(笑)なるほど。

柴田:データを整形するのが大変ですが。

有園:最初にデータセットを作るのが大変ですね。

柴田:コマンドをたたくのは苦ではないので。

有園:もともと、バックグラウンドはエンジニア系ですか?

柴田:エンジニアではないですが、新人の頃いろいろやらせてもらったので。だから、まったく苦ではない。面白いですね。

篠田:僕はもともと理系で、コンピューターサイエンス専攻でした。

データを分析する業務に携わる者に必要なスキルとは?

有園:そうなんですね。いまの話を伺い、これまで総合広告会社の中で必要とされていたスキルとは違うものを要求される時代になりつつあるのかなと思ったのですが、御社のデータマネジメントプラットフォーム部として、またはデータを分析する業務に携わる者として、必要なスキルはどのようなものだと考えていますか?

篠田:基本的には、メディアや生活者の変化にあわせて、広告主様の要求がますます高度になっているので、それを正しく理解できるスキルだと思います。具体的には、タグマネジメントやデータ分析のスキルがあると思います。データ分析スキルには統計知識も含まれます。ツールとして、「R」や「SQL」が使えることも望ましいと思います。

また、アウトプットとして、レポートだけでなくメディアのバイイングに活かすことも求められます。僕らは研究部門ではなくメディアのプラニング部門なので、最後にメディアのプラニングまで落とし込むことがデータマネジメントプラットフォーム部に求められているスキルだと思っています。

有園:けっこう広いですね。

篠田:冒頭で柴田が申したとおり、私たちの部署は、最初はリスティング広告やDSPの運用から始まっていて、アトリビューションが盛り上がってきた頃にアトリビューションをやり始め、2013年からDMPを本格的に取り組み始めました。

私たちの部署のメンバーは、もともとリスティング広告やDSP広告の運用から関わっているので、タグマネジメントへの理解がありました。一から覚える状態ではないことは幸運だったかなと思います。

有園:ということは、篠田さんはずっと柴田さんと仕事をしているんですね?

柴田:パフォーマンス系の仕事を一緒にしてきました。

統計学の身に付け方

有園:自分の経験からも、統計学の知識を社会人になってから身に付けるのは、ハードルが高いと感じているのですが、篠田さんはバックグラウンドに統計学がおありでしたか?

篠田:僕は、たまたまそうでしたが、データマネジメントプラットフォーム部には文系出身もいます。そうした者には、統計の知識を身に付ける場が用意されています。博報堂DYグループは学びの場が多いと思います。

有園:「R」を使って統計を覚える研修があるのですか?

篠田:「R」を使うまではいきませんが「クラスター分析とは」「主成分分析とは」といった、統計についての知識を学ぶ場は広く用意されています。統計に限らず、いろいろな学びの場が用意されています。

有園:回帰分析や重回帰分析も、ご自身でやっているのですか?

篠田:はい。周りに得意な人がいますし。もともと、弊社のマーケッターがアンケートデータを中心にやっていたことが、いまはPOSデータやメディアのバイイングデータ、アクセス解析データに変わっただけで、もとからかなり統計を使っている会社だと思います。

有園:いわゆるマス広告の分野で、伝統的にマーケティングの部署が統計はやっていますよと。

篠田:データの粒度と量が変わっただけで、クラスター分析の鬼みたいな人がいるなど、環境には恵まれています。

実行スピードを速くするために、やらないことを決める

柴田:僕らの仕事はメディアのプラニングをすることで、研究開発が目的ではありません。広告主様を含め「ここまでで良い」という線を引ければ、統計をすべて理解できてなくても、最低限のことさえ分かればプラニングできるケースは増えます。

実行スピードを速くするために、やらないことを決める作業は、今後ますます重要だと思います。できるだけ、分析作業自体は出来る人にやってもらいます。僕らは現場の最前線にいて、広告主様のマーケティングゴールと常に向き合っているので、広告主様のスピードに遅れることが許されません。常に早く答えを出し続けるために、どのような分析のスキルが必要なのかを考えていかなければなりません。単純に統計だけ勉強すれば良いという話ではなく、なんのために分析するのか。その理由を考え続けなければなりません。できるだけシンプルに、広告主様のマーケティングゴールからボリュームダウンしていくアプローチをしています。篠田のようなアプローチもあれば、いろいろなアプロ―チ方法があって、いろんな人がいて良いと思っています。

有園:PDCAの中で回している印象を受けました。ぜひ、具体的な事例を伺えますか?

篠田:僕たちはアトリビューションとDMPをやっている部署なので、アトリビューションの事例、DMPの事例、それから、アトリビューションからDMPにつながった事例を紹介します。

アトリビューション事例

篠田:まずは、アトリビューションの事例です。今回ご紹介するのは、ビュー効果の持続時間を分析した事例です。
もともとは、ビュー効果は、バナーが表示されてから時間が経つごとに減少していくのではないかと考えたところからスタートしました。

バナー広告を表示させたとき、どれくらいの人がサイトに来訪したかというビュースルー流入率を、広告を出稿していないときのサイト流入率をベースラインとして、バナー広告表示後の時間経過ごとに有意差検定をしていきます。すると、バナーのビュースルー流入率とベースラインのサイト流入率の差は、時間を経るごとに減っていって、やがて有意差がなくなります。結果、最後にバナーが表示されてから何時間までは、バナーのビュー効果として考えて良い、ということをベーシックな考え方としてやっています。

有園:有意差とは、統計的に有意な差があるかどうかということですね。

篠田:そうです。その結果を用いて、このクリエイティブで、このメディアで出した時の有意差が出る範囲はここで、ビュースルーでの流入がこれくらいあって、ビュースルーでの資料請求数はこれくらいある、といった算出ができます。

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有園:ちなみに、こちらの画面の中の、とある広告主様に関する結果で、その有意差は何日間くらいまで続いているのでしょうか?

篠田:せいぜい何時間です。

有園:何時間なんですね。

篠田:最後にバナーが見られてからのバナーのビュースルー流入率とベースラインとしての流入率との差は、もちろん1日以上あります。でも、有意差が出るのは、バナーを最後に見られてから何時間というところでした。

有園:逆に言うと、最後にバナーが見られてから何時間というは、5時間から6時間でしょうか。

篠田:そうですね。ただ業種などにもよると思います。

DMPの事例

有園:では、DMPに関してはいかがですか?

篠田:DMPを用いた案件では、想定しているターゲットに、ちゃんとバナー広告が届いているかどうか、もともと想定していなかったターゲットがウェブサイトに来ているかの2点を分析しました。

DMPのデータを用いて、ある広告主様サイトにおけるサイト流入者を分類したとき、この事例では大きく4つのクラスターにまとめることができました。もともと想定していた、ビジネスマンのボリュームは大きく、きちんと広告を届けられていました。しかし、他にも健康興味シニア層や地方育児ファミリー層、そして都会派高所得者層など、これまで狙って出していたわけではないけれど、確かに広告主様サイトにはきていたボリュームが見つかりました。

有園:クラスター1がビジネスマン。これが想定するターゲット。クラスター2、3、4は想定外の人たちだったわけですね。

篠田:そうです。クラスター2、3、4は、そのように狙ってはいなかったけれど、そのような人たちがいるということは、こういう人たちに対して適したメッセージを出していくべきではないかということが分かりました。

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有園:バナー広告経由でサイトに流入してきた人たちに限らず、全流入に対して分析したわけですね。クラスター別にバナー広告のメッセージを変えたり、クラスター別にサイト内で動的にコンテンツを差し替えたりするようなことをイメージしていますか?

篠田:どちらもあると思っています。サイトにきている人たちに対して、メッセージを変えることはもちろんですし、狙ったクラスターとは違う人たちも来る可能性があるならば、こちらから積極的にそのような人たちにメッセージを届ければ、そのような人たちをもっと呼び込めるかもしれません。

アトリビューションからDMPにつながった事例

篠田:最後が、有園さんもおっしゃっていた、アトリビューションとDMPは相性が良いのではないのかという話につながる、コンテンツアトリビューションからDMPの提案につながったという事例です。

有園:まず、コンテンツアトリビューションとは、具体的にどのようなことをやっていらっしゃるのか教えてもらえますか?

篠田:もともと、僕らの部のミッションはメディアの再価値化です。さまざまなポータルサイトや専門サイトを対象に、広告以外に、広告主様にどのような価値が考えられるかを検証しています。

柴田:そこに貼った広告以外に、その広告を見た人たちが直接広告主様サイトには行かないけれど、広告主様の商品を買いたくなったり、実際に買ったりするかをきちんと証明することです。これまで、媒体ではサイトに貼られた広告が、何インプレッション出たか、どれだけクリックされたかしか効果測定されてきませんでした。

でも、今回僕らがアトリビューション分析することで、直接ではないけれどコンバージョンするにあたって、この媒体に接触し、記事を読んだからこそコンバージョンしたのではないかということを、きちんと数値化していこうではないかと。このアクションをとったのが2011年の終わり頃からです。

有園:広告が出ている、出ていないに関わらず、仮に広告が出ていないとして、某ポータルサイトに訪れた人が、広告主様サイトでコンバージョンするということが起こっているかどうかを見ていくわけですね。

柴田:いま、いくつかの媒体で実験的に取り組んでいます。

有園:自動車の記事とか、Q&Aとか、いろいろなコンテンツがあります。そこを見た人が、結果的に自動車のメーカーサイトに行って試乗予約などをしているとすると、自動車メーカーの広告を自動車の記事とか、Q&Aが載っているサイトに出したほうが、より効果は高まるのではないのかということですね。

篠田:広告と比較して、コンテンツ経由のユーザーがどれくらいモチベーションは高く、CVRが高いかが分かりました。

2012年までは僕らの提案としてのアウトプットは「ここに広告を出しましょう」「ここに広告を増やしていきましょう」というものでしたが、DMPが出てきて広告を出すこと以外に「この媒体のデータをDMPに取り込みましょう」という提案ができます。

具体的には媒体との取り決めになりますが、媒体から、その媒体を訪れているユーザーのデータをもらい、広告主様のDMPに入れます。そうすると、広告主様がもともと持っていたデータとDMPがもっているデータと、広告主様媒体のデータを組み合わせて、新たなセグメントが作れます。コンテンツアトリビューションをやって、それをDMPに取り入れるデータの選定に使い、最後はDMP経由でのアウトプットに活かす。このような流れを作るのが2014年の取り組みです。

有園:DMP経由でのアウトプットとは、DSPで買い付けを行うってことになるわけですね。それは、もうやっているのですか?

篠田:はい、出稿中です。

革命的な取り組み

有園:そのような分析結果に基づいて、広告主様が出稿するというのは、革命的なことだと思います。

柴田:たぶん、そうですね。他ではやっていないと思います。

有園:2012年のコンテンツアトリビューションでは、バナー広告経由よりも、記事経由の方がコンバージョンする率が高かったとおっしゃいましたが、そのようなことを言って、広告会社として、大丈夫ですか?

篠田:役割が違うと思っています。記事は、もともと興味のある人を熟成させるためにあり、広告はターゲティングするにしても、もっと広く潜在者も含めて振り向かせるためにある。そのとき、クリックしてくれるくらいモチベーションの高いユーザーでなくても、広告はあてると思うので。

有園:いまの話でいくと、記事やQ&Aといった、何らかのコンテンツをクリックして読んでいる人のクッキーを媒体社からもらって、例えば広告主のDMPと連携させ、プライベートDMPと連携させてDSPで出稿するというのは、リターゲティングするってことですよね?

篠田:そうですね。

有園:記事を読んでいる人の方が広告経由よりCVRが高いのであれば、それは御社の出稿でそのように仕組みを作り、記事で読んだ人にリターゲティングみたいなことをしていくわけですね。

篠田:この広告主様事例の場合、ユーザーの検討期間は長いです。記事の内容に応じて、購買の半年から一年くらい前であると思われる人たちには、こういった広告を出そう、購買直前の人たちには別のメッセージを出していこうということになります。

有園:検討期間の初期段階にあるのか、最終段階にあるのかみたいなことを行動パターンから読み取るのでしょうか?

篠田:そうですが、それは今後の課題として試行錯誤中です。

行動から分析してユーザーのフェーズを知る

有園:とある広告主が、オーディエンスターゲティングとリターゲティングをやっています。そこに、どのようなクリエイティブのバナーをあてれば効果が高まるかを検証しているのですが、リターゲティングは一度サイトを訪問した人に出しているので、一回来てすぐにコンバージョンしなかった人ということになります。

一回来てすぐにコンバージョンしなかった人は、何かしら理由があって悩んでいる可能性があるのではないかという仮説を立て、競合他社もいる業界なので、おそらく他の競合他社の商品と比較検討している可能性があるということになり、リターゲティングで出すバナー広告のクリエイティブを、比較検討している人に刺さるようなクリエイティブに変えたんです。すると、CTRが上がってCVRも少し上がりました。

ユーザーがどのフェーズにあるかを行動から分析し、クリエイティブを差し替えることは、次のアトリビューションやDMPである程度見えてくるところではあります。ただ、課題でもあると私も感じているところです。まさに、そのようなことが業界でもどんどん出てきそうですね。

篠田:たとえば、「車が好き」となってから車の広告をあてるというよりは、もう少し遡ると、引っ越しや結婚や出産など、車が欲しくなるタイミングの予兆みたいなものがあるはずです。そういったユーザーのモチベーションの変化を、いろいろなメディアと協力しながらデータを集めて、DMPの分析を通して上手くターゲティングできれば、より早くユーザーをターゲティングできるのではないか。そのような取り組みをしています。

コンテンツアトリビューションの事例

有園:コンテンツアトリビューションの話に戻します。とある広告主では、媒体社と話をして、いわゆる記事の中に戦略PRという形で記事化してもよいとされたものを、広告ではなく純粋な記事にしてもらったのですが、その記事を読んだ人が広告主のウェブサイトに飛んでくるかを調べました。結果的に、バナー広告経由の方が出稿量も多いのでアクセス数、コンバージョン数といった数字は大きいのですが、コンバージョン率は記事経由の方が二倍くらい高かったんです。

そういう現象って、他の広告主でも十分ありえると思います。そのとき「記事を読んだ人にリターゲティングで広告を出そうよ」という話が出てきます。とある媒体の記事を読んだという情報を分析するのは構わないけれど、記事を読んだ人にリターゲティングの広告を出すとなると、読者であるユーザーに対して広告を出すわけなので、これはいわゆるプライバシーの問題としてどうなのかという話になります。御社としてはどうされていますか?

柴田:媒体社様と広告主様の両方に、プライバシーポリシーをきちんと記載していただくとか、ユーザーに許諾をとってもらうことは大前提です。それがクリアできた段階で、実施できます。

有園:媒体の方で、そのような記事を読んだユーザーの興味関心に基づいて、アドネットワークやDSPから広告が出る可能性があることの許諾をとる旨、明記することが重要ですね。そういう風な許諾をとる方法の取り組みも、御社は一緒にやっていらっしゃるのですね。

柴田:そうですね。

データに対する感覚をもつということ

篠田:話が戻りますが、データマネジメントプラットフォーム部で必要なスキルセットとしてもう一つ、僕の中で持っておいたほうが良いと考えているものが「データに対する感覚」です。具体的には、メディアやサービスが、どういうデータを提供していて、そのデータを使うと、どういうことができるのかということを考えるスキルです。

僕は個人サイトで自分のデータを可視化することを趣味でやっています。自分のデータとは、自分のフェイスブックのデータであったり、自分のLINEのチャット履歴などです。それらを可視化しています。

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篠田:これは自分のLINEの履歴です。自分の最頻出ワードを24個、自動的に抽出し、何時に、どんなことを言っているかを可視化しています。この過程で、LINEのローデータにはどんなことがあるんだろうかとか、フェイスブックのローデータにはどんなことがあるかなど、あくまでも自分のデータを通じてですが、どのようなアウトプットができそうかを考えています。

有園:どういうアプトプットになるんでしょうか?

篠田:これからです(笑)

有園:なるほど(笑)

柴田:いま、ソーシャルグラフを分析している会社が増えていますが、それを広告領域に落とし込めているケースはあまりなくて。

そこで、人様のデータを使って分析することは難しいので、まずはn=1の本人が実験台となって、自分のデータを分析してみようということになりました。データを分析した後に、篠田に広告を打つとしたらどういう広告主様が、どういうタイミングで、どういうクリエイティブで、どういう基準で打つのが良いのかを考えるきっかけになればと思っています。

ツイッターのつぶやきを使って、広告モデルを考えてみたりもできるかなと。効果分析でツイッターを使うことはありますが、広告領域では適用されていないので。そういうのも「本人がやりたいならいいんじゃない」ってことでやってもらっています。完全に趣味ですが、いずれ仕事にすることも可能かもしれない。

有園:さすが、懐が深いですね。これが「データに対する感覚」ということですね。

DMPで、「見ることができなかったものを、見えるように」

篠田:これまで見ることができなかったものを、見えるようにするのがDMPです。同じメディアに同じクリエイティブを出して、同じターゲティング方法をとったはずなのに、CPAが全く違うとき、その理由を季節変動で片付けるのではなく、いままで考慮してこなかったデータを考えるということです。実は、同じに見えた広告配信も、世帯年収や家族構成が全く違う人に出していた等、いろいろな原因が考えられます。

どういうデータを扱うべきなのか、いま見えていないデータは何かを考えられることが、データに対する感覚かなって思っています。

データサイエンティストに求められること

柴田:データ自体はファクトです。縦軸、横軸に都道府県や購買件数などが並んだ表があるとして、それだけ見ていても面白くない。都道府県をGDPの多い順に並べ替えたとき、購買行動に何か違いが出るのではないかとか、一つのファクトに対して、僕らが思っている「東京都ってこういう都市だよね」「千葉県にはこういう人が多いよね」といった数値にない情報と組み合わせて数字を読めることが、総合広告会社としての強みだし、データのセンスかなって思います。ファクトだけ見て「東京都が多いですね」「千葉県がどうですね」と言うのは誰でもできる。「東京都はGDPがこうで、都知事選挙があるから、こういう数字になっていると思われます」みたいな、風が吹けば桶屋が儲かるではないですが、データの裏にある情報をどれだけ深ぼって、いけるか。それができるかどうかが、データサイエンティストとして非常に重要な要素だという気がしています。

有園:篠田さんはデータサイエンティストということですか?

篠田:違います。

柴田:それっぽい動きはしていますね。

篠田:僕は現場の人間だと思っています。広告主様と相談させていただきながら、一緒にいろいろな提案をしています。

有園:つまり、それがデータサイエンティストってことですね。

柴田:どう定義するかですね。データサイエンティストはフロントにいて、裏にはいないかもしれません。

有園:分析のみしているのではなく、広告主のニーズを伺いながら、ときに「お前は分かっていない」と言われながら、フロントに立つ。それは大事ですね。

柴田:弊社は媒体社様のパートナーでもあるので、媒体社様に寄り添って、メディアの価値を高めていきたいと思っています。それには広告主様側の強いニーズを知らないと価値を高めることはできません。広告主様と媒体社様の両方の声を聞くために、現場の最前線にいるべきだと思っています。

有園:媒体社と広告主の現場を理解して、媒体の価値を上げる提案をしていくということでしょうか?

柴田:それが僕らの仕事です。

媒体社、広告主、そしてユーザー

有園:広告主と話していて感じることがあります。アトリビューションやDMPを媒体社と広告主の両方にとって意味のある使い方をしていく際、ここにユーザーという視点を入れなければならないと思います。媒体社と広告主がハッピーになる使い方をしたとして、そこから発信される情報がユーザーに届いたとき、ユーザーの役に立ち、喜ばれないと意味がありません。「CMはトイレタイムです」みたいに「広告としての情報を届けられてもウザイです」になってはいけない。媒体社と広告主、そしてユーザーの三者がハッピーになる使い方を考えていかないと、業界としてはいけないんだろうなって思います。

僕はグーグルにいたので、グーグルの広告の「ユーザーの役に立つものを出す」というスタンスが染みついているのかもしれません。理想かもしれませんが。ユーザーの役に立つ広告が出て、その媒体も役に立つものであり、広告主も広告をクリックされてハッピーになるという関係性って、DMPやアトリビューションでも意識すべきことです。その思いで仕事をしたほうがハッピーだし、広告主も喜ぶなって思ったんです。

柴田:生活者にとって気持ちの良いタイミングで、気持ちの良いクリエイティブを出せるかどうか。さらに、飛んだ先のコンテンツがどのような形で作られているかも重要です。良いタイミングでクリックしたけれど、飛んだ先のコンテンツが思っていたものと違ったら、みんないなくなってしまう。生活者のいまのモチベーションをいかに理解し、それに合せたコンテンツ作りを広告主様とともにできるか。その方向とセットじゃないと上手くいかなと思います。

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有園:そうですね。

柴田:幅広いターゲットへのアプローチが増える、ユーザーのニーズもぼやけてしまいます。そのときに用意するコンテンツって、やっぱりぼやけているというか。迷っている人と、買うと決めた人では接客方法が全く異なるのと一緒で、広告もそこは変えていかなければならないなと思います。DMPをやっていると、それがますます重要だと感じます。

有園:先日、ある広告主から言われた「結局、うちの社長は、顧客満足度を高めたいって言うんです」という一言が印象的でした。アトリビューションとDMPで、いろいろなことができるのは多くの広告主が分かってきています。それがブランドの価値としてユーザーに届いたとき、ブランドのファンを増やしたいし、顧客を増やしたい、顧客満足度を高めたいし、嫌われたくない。DMPとDSPを使ってリターゲティングがいっぱい出ていってユーザーから嫌われては意味がない。そこをきちんとケアしていきたい。それが広告主の声です。そのための施策やクリエイティブを考えていかなければならないと思いました。ありがとうございました。

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■対談者プロフィール
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株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
データマネジメントプラットフォーム部
部長
柴田貞規(Sadanori Shibata)

1996年からネットビジネスに関わり、現在まで、制作、開発、コンテンツ編成、オンライン広告領域を幅広く経験。2007年に博報堂DYメディアパートナーズに入社。運用型広告(リスティング広告、アフィリエイト広告、DSP)の領域の責任者として、運用体制の構築・販売推進を行う。13年4月から現職。

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株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
データマネジメントプラットフォーム部 兼 メディア環境研究所
篠田裕之(Hiroyuki Shinoda)

リスティング、アドネットワーク、DSPなどの運用型広告のプランニングに携わるほか、特に2013年度データマネジメントプラットフォーム部発足後は、アトリビューション分析やDMP業務を担当。また、メディア環境研究所研究員として、生活者の様々なメディア接触データのヴィジュアライズを行う。
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【アトリ君の視点】数年前のad:tech Tokyoでコンテンツアトリビューションの取り組みをプレゼンしておられたのを拝見しましたが、あの頃から取り組みが早かったですね。「データに対する感覚」を持つ人の話はインパクトがありました。最近データサイエンティストと言われる人の守備範囲はケースバイケースで、いずれにしても篠田さんのような現場寄りでデータ感覚を持った人がクライアントとデータ寄りの人とのブリッジになることは必要ですね。そういう人が増えてくると総合代理店としてもソリューションの広がりが出てくるように思いました。柴田さん、篠田さん、大変勉強になりました。ありがとうございました!

アトリビューション特別対談:アトリビューション分析にはベイジアンネットワークが最適だ!ALBERT上村崇様・安達章浩様×アタラ有園

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有園:今回は、株式会社ALBERTの代表取締役社長である上村崇さんと、執行役員でありデータ分析部部長の安達章浩さんを迎え、アトリビューションとDMPについて伺います。

上村崇さんの経歴

上村:ALBERTは2005年7月に設立しました。前身は、代表取締役会長の山川義介が2000年に創業したインタースコープという、マーケティングリサーチやデータマイニングを手がけていた会社です。私はそこで2001年から学生インターンとして、データマイニングやマーケティングレポートの作成、テキストマイニングシステムの開発などをしていました。

有園:そうだったんですね。

上村:当時は、データを集計・分析したレポートのパワーポイントが納品物でした。しかし当時から、レポーティングに留まらず、分析技術を活用したマーケティングソリューションを提供することで、クライアントの企業価値を直接的に向上するビジネスができるのではないかという思いがあり、2005年にインタースコープからも出資を受け設立したのが、ALBERTです。創業当初は、レコメンデーションの専門企業という事業コンセプトで、レコメンドエンジンを搭載したメディア運営とレコメンドエンジンの提供を、主たる事業としていました。

有園:最初から山川さんが会長で、上村さんが社長だったんですか?

上村:はい。当時、山川はインタースコープとALBERTの会長を兼務していましたので。

有園:2005年にALBERTを創業されたとき、上村さんはおいくつでしたか?

上村:25歳です。

有園:創業当初の従業員は何名でしたか?

上村:3人です。創業後1ヶ月くらいは、インタースコープのオフィスを間借りしていました。

有園:今は何名ですか?

上村:50名くらいです。

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムとの関係

有園:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社とは、どのような関係になるのですか?

上村:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムとは、2011年に資本業務提携を締結しました。これまで、弊社はCRM領域を得意としてきましたが、ビッグデータを扱う以上はアド領域の最適化エンジンも取り組む必要があると考え、実は一度もお会いしたことがなかったのですが、同社CTOの徳久さんにツイッターで話しかけたんですよ。

有園:ツイッターで?

上村:日曜日の午前中って、タイムラインが静かになるんです。そのタイミングで話しかければ目に留まるのではないかと思って(笑)「うちの最適化ソリューションで、アド領域でこういうことがやりたいんです」って話しかけたのがきっかけです。

有園:上村さんは、結構したたかなんですね(笑)

上村:いやいや、したたかって(笑)

有園:仕掛けたわけですね。

上村:(笑)

有園:御社を知ったのは、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムさんのリリースで「どこか分析の会社と提携したんだな」と思ったのが2011年でした。ALBERT、山川さん、上村さんという名前をリリースで目にして以来「何をやっているんだろう」と注目していました。御社は2011年以降、CRM領域から広告領域まで手掛けるようになったわけですが、現在、アトリビューション分析はオフラインと呼ばれるマス広告まで入ってきていますか?

上村:ほとんどの場合、マス広告まで含めて分析しています。ずっとCRM領域の、今で言うところのデータマネジメント領域をやってきました。大量データを解析して、マルチチャネルにおけるパーソナライゼーションを実現する、システムの提供をビジネスにしてきました。さらに2009年には、アフィリエイト領域でレコメンデーションバナーをパーソナライズドして出す「アフィレコ」というサービスを開始しました。

いまでこそ、リターゲティングレコメンデーションバナーのCriteo(クリテオ)さんが参入されてメジャーな考え方になっていますが、当時はまだ、そのようなサービスはありませんでした。サービスを始めた直後から「アフィレコ」は、通常のバナーに比べるとクリック率が5倍から10倍出ていました。リターゲティングした上でのレコメンデーションバナーは効果が高いことに気付き、広く世に出すために、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムさんに声をかけたという経緯です。

「ADreco」と「アフィレコ」の違い

有園:そうでしたか。御社には「ADreco」というサービスもありますが、それと「アフィレコ」の違いを教えてください。

上村:「アフィレコ」スタート当時のビジネスモデルは、アフィリエイトだったので「アフィレコ」でしたが、CPMまたはCPC課金へのモデル転換で「ADreco」になりました。アフィリエイトはメディアに大量に貼ってもらえないと収益化が難しいので、今はモデルチェンジして「ADreco」を提供しています。

有園:「ADreco」は御社のレコメンド型DSPでしょうか?

上村:配信面も自動最適化する仕組みであるため、レコメンドバナー専用のDSPと呼んでいます。「ADreco」にしてもプライベートDMPにしても、最近「ビッグデータ」がトレンドワードになったことで、急にスポットライトを浴びるようになりました。現在のメインビジネスとしては、CRMと広告の両方の領域を含めたプライベート・DMPとして「smarticA!DMP」を展開しています。

smarticA!DMP

有園:事業の柱は「smarticA!DMP」領域と他にはありますか?

上村:弊社のたいていのビジネスが「smarticA!DMP」領域に入っていて、データマイニングエンジンだったりキャンペーンマネジメントシステムであったり、広告配信の最適化だったりします。付随して安達の部署は、各ソリューションを提供するにあたり、あるいは分析単体で依頼をいただき、クライアントのデータを預かって分析する専門の部署です。

有園:「smarticA!DMP」の各ソリューションで分析が必要なので、分析業務が発生し、広告の最適化でアトリビューションの業務が発生しているわけですね。

上村:そうです。

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ベイジアンネットワークとは?

有園:会社概要をおおむね理解したところで、アトリビューションの話を伺います。ALBERTさんでは主にベイジアンネットワークを使って分析しているそうですが、私自身はグーグルに勤めていた頃から「ベイジアン」という言葉を耳にしていました。「グーグルの検索エンジンは最適化の部分でベイジアンが走っているらしい」とか、いろいろなところで「ベイジアン」という名前は聞くものの、アトリビューションに関してベイジアンネットワークのどんなところが良いのか、実はよく分かっていません。対談という名を借りて勉強させていただこうと思ってやってきました(笑)

安達章浩さんの経歴

安達:私がALBERTに参加したのは、2013年2月です。前職では20年以上、分析業務の会社を経営していました。主に広告代理店がクライアントで、分析業務を委託されていました。広告の分析業務だけでなく、ERPが流行っていた時代は全社的なリソース配分の分析業務なども行なっていました。その前は、日本国内のコンサルティングファームに勤めていました。そこはIBMと近い関係にあったのですが、当時のIBMは、汎用機と言われる巨大コンピュータの製造・販売が主流でした。

有園:メインフレームと呼ばれる、企業の基幹業務などに利用される、大規模なコンピュータのことですね。

安達:例えば3090とか。

有園:COBOL(コボル)やFORTRAN(フォートラン)とか。

安達:そこのリソースをクライントに使ってもらうために、汎用機で動かす統計解析パッケージが米国のIBMで開発されました。SASの前身ともいうべき言語で、ASという統計解析パッケージです。CPUをたくさん食うので、たくさん3090が売れるのではないかというIBMの戦略があり、このパッケージをIBMと共同で販売していたのですが、その際「ASという仕組みを使うと、こういう分析ができますよ」とクライアントに提案するための分析業務を請け負うという、特殊なコンサルティングをやっていました。そこに6年以上在籍しましたが、その前は日産自動車のマーケティング担当として、商品開発をしていました。主にスカイラインを担当していました。

有園:日産自動車が、新卒で入った会社ということですか?

安達:そうです。

有園:そこでマーケティングと商品開発、しかもスカイラインって、メインどころですね。

安達:市場調査をして、次期型の仕様や価格を決めるといったことを6年くらいやっていました。統計解析などに日産自動車勤務時代から関わり、コンサルティング会社では、統計解析パッケージを売りつつバージョンアップといったことにも携わった後に独立し、長らく広告業務の分析などをやっていました。「そろそろ仕事を辞めようかな」と思っていたときにALBERTを知り「面白そうな会社だな」と思って参画するに至りました。

有園:重厚な経歴ですね。マーケティング寄りの分析畑で、長く活躍されてきたわけですね。30年以上になりますか?

安達:そのくらいになりますね。

有園:新卒で入った頃は、日産自動車といえども一人に一台パソコンがない時代ですよね?

安達:部署に一台でした。

有園:おそらく、その後のコンサルティング会社の時代も、クライアント-サーバ型のマシンで分析していて、サーバから分析結果の返事が戻ってくるのに……。

安達:一昼夜かかった時代ですね。

有園:そのような状態だから、分析にもすごく時間がかかったと思います。僕も大学院で、IBMの統計解析ソフトウェアのSPSSとかをかじっていました。クライアントマシーンにSPSSを入れていて、パチッとやるとガーッと回っていましたが、それでもすごい時間がかかっていました。

安達:SPSSの日本国内での初利用者は、勤めていたコンサルティング会社でした。

共分散構造分析、構造方程式モデリング、ベイジアンネットワーク

有園:本日は、統計解析の歴史とともにいろいろ伺っておりますが、オフライン、オンラインとアトリビューション分析をするなかで、オフラインの分析では主に、共分散構造分析(covariance structural analysis)や構造方程式モデリング(Structural Equation Modeling、通称SEM)というものを使って構造の分析をするわけですが、ベイジアンネットワークとは何が違うのでしょうか?

安達:仰るようにマス広告の分析をする場合は、もちろんSEM(構造方程式モデリング)を使ったりもします。必ずしもどれかの手法が最適ということではなく、案件によって使い分けています。さらにALBERTには、独自に開発した状態空間モデルのようなものがあり、それを使うことのほうが多いです。クライアントにとって、そちらのほうが分かりやすいので。のちほど詳しく説明しますね。

有園:お願いします。

安達:話を戻します。ベイジアンネットワークを導入した経緯は、ALBERTに入ったときに上村から「これをやりたいんです」と1枚の企画書を見せられまして。そこには4大マス広告が書いてありました。さらにリスティング広告があり、DSPがあり、そこから何らかのブラックボックスを通ってコンバージョンしている。「このブラックボックスの中身を解明する手法を、すぐに開発してほしい」といきなりオーダーをもらいました。

有園:なるほど。

安達:方法論として、一つは重回帰分析があります。マス広告を含め、全ての広告を全部パラレルに評価する、構造ではなく足し算で評価していく方法です。もう一つはSEM(構造方程式モデリング)です。SEMは、重回帰分析の発展形であるという考えがあります。ただ、SEMは、自分である程度、構造を特定しなければならない。これは、分析者のノウハウにかかる部分が非常に大きいわけです。さらに、広告のことをよく知っていたり、広告を出している企業の業種業態にも詳しかったりする必要もあります。つまり「この業界では、こういう風にモノやサービスが売れている」ということをよく理解している人であれば、その構造を作ることができるのですが、全ての業種に精通できるわけではない。

そこで、SEMを使うのは厳しいと思い、人のノウハウに頼らずに解析できる方法があれば、クライアントにとってもメリットがあると考えて、マルコフモデルかベイジアンネットワークを使うことを考えました。有園さんが執筆されたアトリビューション本を拝読し、アトリビューションスコアの付け方を勉強させていただきましたよ。

有園:原始的な(笑)

安達:いえいえ。有園さんの提唱されるモデル、つまり、均等配分モデルは、ある意味非常に優れています。ファーストとラストを重視するとか、U字型に評価するとか、均等に評価するとかありますが、最終的には、均等配分モデルに落ち着くんだと思います。あるいは、U字型ですね。

有園:最終的にはですね。

マルコフモデルとは?

安達:マルコフモデルを研究したときに思ったのは、最終的には均等配分モデルにどうしても近づくという結論でした。マルコフモデルは、パスを全部切り出して、パスに出てくるアトリビューションポイントを全部足しあげて、頻度計算をして確率に落とすというものです。そこに人間の思いを入れない限り、全部同じウェイトで計算されます。そうなると、最終的に収束するのは均等配分モデルかU字型に近い。

有園:U字型なんだ。

安達:ラストのクリックが若干ウェイトは高く、真ん中が落ちていくパターンに最近は落ち着くことが多く、だったら最初から均等配分モデルでやればよいではないかということになるわけです。

有園:私が「均等配分モデルでやればよい」と書いていますからね(笑)あんまり悩む必要はないよと。

安達:有園さんが仰っている均等配分モデルが良いというのは、パスに全部均等にウェイトをかける点だと思います。人によってパスの長さが違うので、2回でコンバージョンした人には2回のタッチポイントに、合計1だとしたら0.5ずつ割り当てて高く評価する。5回でコンバージョンした人には0.2ずつ割り当てる。これは合理的な考え方ですね。

有園:私が考えたわけではないんですけどね(笑)

安達:アメリカの方では、そのように考えられていたんでしょうか(笑)なので、マルコフで面倒くさい分析をしなくても、均等配分でやるという手もあります。

有園:一般のマーケターがマルコフとかはできないので、そういう人たちがやるレベルであれば十分だろうという発想です。

安達:こういう研究を経て、より良いモデルはないかということで、ベイジアンネットワークでいこうと思ったのです。過去に、ベイジアンネットワークを使って、意思決定の構造がどうなっているかを考えたことがあります。ある会社が役員会で、今後の経営戦略上、何を最大のポイントにするかをまとめることになり、人それぞれ意見が違うし、時間を経るごとに構造は変わっていくので、これを上手く分析して欲しいという依頼がありました。そこで、経営課題として挙げていることを取締役全員にアンケートをとって、それぞれに点数をつけ、その行列を作っていただいたんです。

有園:よく、コンサルティングファームがやることですね(笑)

安達:そうです(笑)それを単純集計しただけでは面白くないので、1回目は「みなさんの考え方はこうでした」と構造図にして、何か月かアクションプランを試し、その後どうなったかを見てみましょうということになりました。

有園:まず、役員にアンケートをとって、そのときに何の要素が何に影響を与えているか、それぞれ10個ぐらい挙げて点数をつけてもらったわけですね。

安達:そうです。関係性に点数をつけてもらいました。

有園:「営業の数が足りないのではないか」、そうではなく「営業は知識が足りないんだ」、あるいは「商品がマーケットにあってない」といったポイントですね。

安達:「宣伝広告費が足りない」とか「研究開発費が足りない」とか。

有園:例えば、10人の役員が出してきたスコアに応じて構造化していく。

安達:それぞれの関係を得点化していきます。広告宣伝費が足りないことが、どこに影響を及ぼすのか。マス目が縦と横に同じ課題を並べておいて、ここからここにどういう影響を与えているのかを得点化します。

事前確率、事後確率

有園:ここは僕も勉強が足りないところですが、その時点で、そのアンケートをもとに、構造化したものの出てくるスコアを事前確率って呼んでいますよね?

安達:はい。

有園:そのあと何かしらアクションがあって、営業の人数を増やすとか、そのあとに同じアンケートをとって変わったかどうかをスコアで図る。それを事後確率と呼んでいますよね。

安達:はい、そうです。そうすると、事後確率に至るまでのアクションが、どこでどれだけ効いたかを数量化できます。「あなたの会社では、ここをいじると、こういう風に結果が変わります」という予測モデルができます。これによって、どこにウェイトを置くべきかという最適配分ができるようになります。この考え方は、広告にも適用できます。さきほどの経営課題は、広告で言えば各媒体、もっと細かく言えば各クリエイティブに相当します。

有園:そういう意味では、変数と言ってもよいんでしょうか?経営課題の要素が全部変数だし、それは広告のクリエイティブだったり投下量だったり媒体だったりという変数に値する。

安達:同じように考えれば、広告においても、人間の目では見えないブラックボックスになっている部分が、構造として見えてきます。相互間の影響まで解析できるのであれば、そのウェイトに応じてアトリビューションすることができるということです。数社とテストトライアル的な取り組みを行なってみたところ、ベイジアンネットワークで綺麗に分析できることが分かりました。

有園:見えてきたわけですね。

安達:そこで商品化しようということになって始めたのが弊社のアトリビューション分析です。

有園:そうすると、安達さんが入社されたのは2013年の2月ですから、2013年からの取り組みなんですね。

ALBERTのアトリビューション分析サービス

上村:アトリビューションに応用して商品化したのは2013年からです。リリースを発表したのが2013年6月ですね。

2013年6月25日
ベイジアンネットワークを用いたアトリビューション分析サービス開始
~アトリビューションスコアを数理モデルで定量化、
広告予算の最適配分も把握可能~
http://www.albert2005.co.jp/release/archives/201306/25_110018.html

ベイジアンネットワークは、「構造が分からないものの構造を明らかにしよう」というトライなので、そこが非常に良いと思っています。もちろん世の中にはいろいろな手法がありますが、例えば、ボルツマンウェイトを使って物理法則に準じるとか、金融工学でもブラック-ショールズとかがあります。

有園:ノーベル経済学賞をとったブラック-ショールズですね。

上村:あれも、金融の動きが物理運動と同じである、幾何ブラウン運動と同じ動きをするはずだという仮説によるものです。

有園:はい。

上村:自然物理の中で起こる現象が、金融にも広告にも当てはまるといったアプローチが、これまであったと思うのですが、実はそうではなくて、そもそも構造が分からないものは構造を明らかにした上で、その構造間の確率をはかるというアプローチのほうが、外れは少ないと考えています。もし、ターゲットがその運動と同じ行動をとっていなかったら大きく外れてしまうけれど、構造自体を探りに行くのがベイジアンネットワークなので、そこが弊社のポリシーというか方針にマッチしている手法だなと思うんです。

ロング・ターム・キャピタル・マネジメントの破綻

有園:なるほど。ちょっと余談ですが、ブラック-ショールズは、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(Long Term Capital Management)という会社をつくって、1990年代後半に破綻したじゃないですか。

安達:それは、モデルのせいだと我々は読んでいますが(笑)

有園:そうですか(笑)それでいうと、ある意味、当たらなかったわけですよね。ノーベル経済学賞をとったものの、マーケットの動きは読めなかった。そこが読めていたら儲かっていたと思いますが、最後は破綻してしまった。

上村:幾何ブラウン運動という運動法則と、金融の動きは同じではなかったということですね。

有園:まぁそういうことですね(笑)

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ベイジアンネットワークだったらブラックマンデーは避けられた?

上村:当時いろいろ批判や擁護もあったそうですが、そこをベイジアンネットワークでやっていたら、ブラックマンデーは避けられたのではないかという説もあります。

有園:あるんですか?

上村:あります。避けられたとは明言できないかもしれませんが、ベイジアンネットワークであれば、少なくとも金融マーケットは冷静に株価の動きを見ていただろうという学者さんもいます。

有園:それは知りませんでした。面白いですね。リーマンショック以降、金融業界のエンジニアが広告業界に入ってきて、DSPをやったり仕組みを作ったりしてきました。金融と広告の取引市場の類似性とかもあると思っているので、いまの話は僕の中でヒットしています。もともと、リスティング広告の入札制も株価の入札と変わらないんじゃないかと実は思っていて、類似性を強く感じています。その中で、ベイジアンネットワークだったら、ロング・ターム・キャピタル・マネジメントも破綻しなかったのではないかということですね。

上村:例えば、統計学で著名な元東大教授(その後上智、現聖学院大学大学院教授)の松原望先生が、まさに「ロング・ターム・キャピタル・マネジメント破綻」(http://www.qmss.jp/prob/finance/6-ltcm.htm)というテーマで、そのように書かれていらっしゃいます。金融の動きは物理行動とマッチしなかった。構造自体を探りにいくベイジアンネットワークだったら、結果は違っていたのではないかと言われています。

ベイジアンネットワークって何?

有園:ベイジアンネットワークの理解を深めたいのですが、因果関係の構造を知らなくても使えるという点で、ベイジアンネットワークが優れているとのことですが、今の広告分析では、最初に誰かが数字を与えなければなりませんよね?

安達:ベイジアンネットワークは、2種類に大きく分かれます。動的なベイジアンネットワーク、つまり機械学習的なモデルのベイジアンネットワークと、現状の構造を解析させる静的なベイジアンネットワークです。今はどちらかというと「広告をこういう風に出しました」という結果系データをいただき、その中の構造を解析していく静的なベイジアンネットワークです。当然、今後は動的なものも考えています。スタティックな分析では、現状あるデータそのものから構造をダイレクトに書きだすことができます。

有園:いわゆる、確率推論というものですか?

安達:イメージとしては。

有園:例えば、AからBまたはCに行きますという話で、100人いて、AからBに行った人が50人いた場合、そこに2分の1の確率が入ってくるということですか?

安達:2分の1という確率は用いず、情報量規準に基づいて、その関係性を決めているのが特徴です。普通は、AからBに50人行くと2分の1と格付けしますが、情報量規準は、単純に確率を割り振るわけではありません。AとBの起こりやすさは、本当に他のものに対して優位なのかというところを規準にしています。純粋に確率ではなく、他のものも同じように起こるけれど、その中でこの関係は特別なものなのかを計る。

有園:それって、サイコロを振ったら1の目が出る確率は6分の1ですよね。大数の法則で、200回くらい振れば6分の1に限りなく近づくという話があります。10回振ってみたら、1が5回出たとします。もしかすると、このサイコロは1が出やすいのではないか、1が出る確率は6分の1より高いのではないかと考える発想だと思いますが、AからBへの行きやすさを、100人だったら単純に50人ずつにするのではないとしたら、行きやすさみたいなものを何で判断するんですか?

情報量規準はログを使う

安達:情報量規準はログを使います。

有園:何のログですか?

安達:数学でいうロガリズムです。従いまして、線形の関係ではありません。非線形の関係です。あるところで急激に落ちて漸近線に近づくというモデルです。例えば、ここの間は非常に有意で、こっちに行くと有意ではないという判定の仕方をします。線形に物がつながっていると仮定するのではなく、非線形でかつ複雑な形につながっていると仮定します。

図1. 情報量の価値変化イメージ

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起こりやすいものにはペナルティをつけます。起こりにくいものが起こっているかを判定する。100人中98人がするようなことよりは、100人中1人がしていることの方が非常に価値のあることだと判断します。

有園:現時点では、オンラインのコンバージョンパスデータの話となると、第三者配信エンジンのi-EffectやMediaMind(メディアマインド)などから経路のデータを持ってきて、その経路と媒体費といったデータで分析していくのでしょうか?

安達:CPAを出すことは最後に行ないます。ベイジアンネットワークはそのためのスコアを出すためのものです。

有園:経路のデータ上で、このような考え方を使ってやっていると思って間違いありませんか?

安達:これは、有園さんが仰っているアトリビューションスコアの決め方と同じだと思います。

図2.アトリビューション分析におけるベイジアンネットワーク

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ベイジアンネットワークでウェイトを出した上で全体の数値として用いて、それぞれに値を割り振り、最終的にアトリビューションスコアを出しています。

有園:腑に落ちました。

安達:ここに均等モデルとの違いがあります。ある人は「絶対にファーストクリックが有効だ」と言い、ある人は「絶対にラストクリックでしょう」と言うこともあり、意見もぶつかってしまうので、スコアを数理的に決めるために使っています。

有園:ベイジアンネットワークを使ってアトリビューションスコアを付与していく、算出していく際に、複数のモデルを試すという発想はありますか?

データの切り方は何度もトライアル

安達:そうですね。データの切り方は何度もトライアルします。

有園:データの切り方とは?

安達:例えば、コンバージョンに時間が影響を与えていることがあります。インプレッションが、何日前に出ているかを一つの変数にすると、この何日前をどういう切り方にするかということです。

有園:データの変数としての持たせ方というか、そういう意味での切り方ですね。

安達:そうです。ある企業では、時間よりは回数、つまりバナー広告のフリークエンシーを見ていて、そういう風にデータを持たせた方が良いという結論に至っています。この場合は、回数を変数にしています。他の業種では先ほどのように「何日前に見せたものが効果はあった」といった持たせ方をしていたりします。

有園:データの切り方を考える際、バックテストは入ってくるのでしょうか?過去のデータを参照して、付けたスコアと媒体費で計算してみると合っている、合っていないが分かり、合っていなければ切り方を変えていくということをやっているわけですね。

安達:最終的には、全ログデータを使って計算するわけですが、最初にデータの持たせ方を決めるときは、サンプリングして、モデルを作って、適合性を計って、良いものを選んでいきます。

有園:だいぶ腑に落ちてきました。オフラインのアトリビューションについても伺えますか。

オフラインのアトリビューション

上村:テレビ、新聞、雑誌、ラジオにネットが加わり、一体どのアプローチがどれだけ企業価値を高めているのかを知りたいという要望が最近非常に多く、広告代理店経由であったり、クライアントから直接であったり、4マスも含めたアトリビューション分析の相談は、とても増えています。

有園:増えていますね。

安達:4マスも含めて、広告費のアロケーションを最適化していきましょうという話ですが、特に我々は、販売量が何によって決まっているのかという、要因分解の方法論についてノウハウがあります。マス広告の場合、ネット広告と違って、どこのエリアに何日にどれくらい露出したかという限られたデータしかありません。ですから、構造自体を特定することが非常に難しくなります。ここの特定に、データ自体を要因とする時系列解析の手法を用いているのが特徴です。

季節効果や曜日効果といった、販売に与えるいろいろな効果を把握する技術があり、シミュレーションモデルがあります。どんなモデルを使っているかというと、状態空間モデルに近いのですが、Y軸の販売量を時系列解析することによって得られる長期トレンドや季節指数に加えて、広告効果、その他の効果と誤差などに分解して把握しています。さらに広告効果は、マスとWebとプロモーションなどに分解されるはずです。仮にクライアントが店舗とECサイトの2つのチャネルを持っている場合、販売量は実店舗の販売量プラスECサイトの販売量になります。それぞれを先ほどのモデルで分解するといったやり方です。

図3.販売データの分解例と広告残存効果期間

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有園:これは、ベイジアンネットワークでやっているわけではないということですか?

広告を打つ前、打った後

安達:ベイジアンネットワークを使っている場合もあります。マスとWebとプロモーションが単純に分かれていない場合も多くあります。単純に結合されているわけではないので、マス広告を打つと店頭に来る人が増えてプロモーション効果が変わってきたり、手元にチラシがあると、それを見てネットで買ったりする人もいるでしょう。このように、それぞれの相互間の影響を解明するときに、ベイジアンネットワークを使って予測モデルを作っていきます。

例えば、ある業界は商品が土日に集中して売れることが分かったとします。この曜日効果を抜いてスムージングをかけたものが、この青い線です。スムージングをかけた販売量と実際の販売量の差が、広告効果と商品力によるだろうと推定できます。次に、商品力をここから差し引きます。商品力の推定の仕方は、広告を打たなくなった時期は、商品力だけで売れているはずですし、発売した直後は、商品力が圧倒的に高いはずですから、その2点をポイントとして曲線を推定していきます。

広告の残存効果

有園:広告の残存効果は加味していくのですか?

安達:次のところです。ここが、先ほどの商品力を抜いたところです。この場合、テレビだけで見ていますが、どれだけ広告を打ったかというGRPと差の部分との関係を見ていきます。広告を打ったり打たなかったりしていますが、最後の一番右の部分、ここまでが広告は効いていたことが分かります。あとは効かなくなっています。このような形で広告効果を判定していきます。

図4.限界GRPの推定

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有園:ここでいう限界GRPというのは、どこから出ているんですか?

安達:一番広告を少なく打って、かつ一番売れている日が上限ポイントになります。逆に下限は、ここらへんまで広告を出さないと、この販売量は確保できませんよという最低販売量です。

広告弾力性

有園:GRPの投下に対して、販売量がどれだけ変化するかという形での限界という意味ですね。広告弾力性のことですよね?

安達:まさしく、日別の広告弾力性です。

有園:それをGRPなので、限界GRPと呼んでいるわけですね。

安達:そうです。下限と上限を決める曲線を式に入れています。

有園:そういうことでしたか。僕は経済学をやっていたので、価格弾力性、広告弾力性の方が分かりやすいので。

安達:確かに、弾力性の方が言葉としては合っています。

有園:分かりました。

安達:ここに、Webとチラシそれぞれを加えたモデルもあります。こんな形で、状態空間モデルとベイジアンネットワークを組み合わせたモデルを、マス広告のアトリビューション分析には使っています。

有園:先ほどの状態空間モデルで、線形ではないだろうと思われるものに対してベイジアンネットワークをあてて式を作っていくということですね。いまは何社くらい、ベイジアンネットワークで分析したり、アトリビューション分析をオンライン、オフラインでやっていたりするんですか?

上村:マスまで含めてやっているのは5社くらいですかね。マス広告の分析をやっていて、かつ、アトリビューション分析までというと、かなり先進的な企業ですね。

安達:先進的というか、広告費を大量に投下している企業ですね。現状、我々がデータを預かって分析すると、ある程度人的コストがかかってしまうので、データをDMPに取り込んで、人手をかけずに分析する準備をしています。

有園:なるほど。そういったソフトウェアか何かをお持ちなんですか?

上村:弊社には、smarticA!データマイニングエンジンという製品があり、クラスタリングやアソシエーション分析、時系列予測などを自動計算できます。その中に、新しいモデルをどんどん取り込んでいっています。

有園:オンラインもオフラインも、アトリビューション分析がデータマイニングエンジンの中でできてしまうわけですね。理想的な世界に近づいていきますね。アトリビューションのある程度のモデルや手法が確立したところで、データマイニングエンジンに組み込んでいかれるわけですが、御社の主力商品である「smarticA!DMP」について最後に伺います。

smarticA!DMPについて

上村:smarticA!DMPは、データの蓄積から、データマイニングエンジンによる自動分析、キャンペーンマネジメントを通じてマルチチャネルで情報をパーソナライズして出しわけるところまでを対応しています。最近、こうしたサービスに「データマネジメントプラットフォーム」という一般名称が付きました。いわゆるプライベート・データマネジメントプラットフォームを、弊社では「smarticA!DMP」という名前で提供しています。弊社が提供しているプラットフォームでは、顧客の行動履歴であったり、広告の投下量であったり、コンタクトセンターのコンタクト履歴であったりと、自社で蓄積されるあらゆる大量データを溜めこんで活用していきます。どんなデータ溜めるべきかはクライアントによって異なり、目的によっても溜めるべきデータは変わります。

有園:なるほど。

図5.ALBERTが提供するプライベートDMP「smarticA!DMP」

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上村:各社各様のデータが必要になるため、どんなデータを溜めるかのコンサルティングから携わっています。そうしてデータを溜められる環境ができると、次はデータマイニングエンジンの出番です。溜まったデータを自動解析するためのエンジンは、これまではSASなどの海外製品が主力でしたが、中身がブラックボックスで、なぜその答えが出てきたのかクライアントには分からないという問題がありました。また、例えば新たなアルゴリズムとしてベイジアンネットワークを使いたいと思っても、簡単にはできません。アルゴリズムの追加やシステムのカスタマイズは、開発国依存で直ぐには対応してもらえないといった問題がありました。そこで私たちは、いち早く必要なアルゴリズムをどんどん入れられるように、データマイニングエンジンを自社開発することにしたのです。
時系列予測などもそうです。例えば、ある飲食チェーンで、調布店に来週どれだけの顧客が来るかを予測して、商品の必要在庫を予測したい。そういうニーズに対して考案したアルゴリズムをすぐに取り込めるわけです。

有園:ツイッターか何かで、千葉のコンビニが、ポッキーの日にグリコがキャンペーンをやっていて、大量にポッキーを仕入れたけれど、全然売れなかったというつぶやきを見ました。何をどれだけ仕入れるかって重要ですね。それが、できるわけですね。

上村:例えば飲食店では、明日は雨である、且つ金曜日である、といった場合に、材料をどれだけ仕入れるかを正確に予測しないと廃棄が出てしまいます。ファーストフードチェーンなどの全国の全店舗で考えると、大量の廃棄コストになります。そういう在庫を最適化したいときは時系列予測で計算します。

また、smarticA!キャンペーンマネジメントは、マルチチャネルに対応していることが強みです。キャンペーンマネジメント=「メール配信ソリューション」のような説明をする方もいますが、本来はそうではないはずです。Web、メール、コンタクトセンターやDMなど、あらゆる顧客接点で一貫したストーリー性をもって接客できることが重要だと思います。

有園:マルチチャネルキャンペーンマネジメントのソリューションであり、この図に書いてあるように、メール配信用のシステムとか、コンタクトセンターのオペレーターさんの画面とかとつながっているわけですね。

上村:「オペレーターさんに、今日、この顧客には○○を喋ってもらう」ということまで指示ができます。ただし、最後のところは既存のシステムと連係します。メールは既存のメール配信システムに連係、Webでの表示はCMSに連係するなどです。DMや同梱チラシなどの印刷物なら、オンデマンドプリンティングシステムとつなぎます。既存システムと疎結合できる作りにすることによって、システム投資を少なく、無駄なくすることができるわけです。

有園:御社では、これらをレコメンド特化型DSP「ADreco」や、第三者配信「i-Effect」につなげるわけですね。「ADreco」以外のDSPともつなげられるんですか?

上村:はい。逆に、一般的なDMPは広告領域に偏っていることが多いと思います。

有園:ちょっと違うよねと?

上村:本当にクライアントがやりたいのは、CRMも広告も含めたマーケティング全体の最適化です。広告で人を集めても、そこに接客の仕組みがなければ仕方がありません。広告だけでなく、自社のCRMを最適化するプライベートDMPが必要だという話になります。そこまでカバーできているのが「smarticA!DMP」で、こうしたサービスは極めて少ないと思います。

有園:広告業界的にはAudienceOne(オーディエンスワン)などをDMPと呼んでいますが、AudienceOneを入れてCRMと連携することもできますよね?どちらかというと御社は立ち位置として、CRM領域からスタートしていて、それにAudienceOneみたいなDMP、あるいはインターネット上でのユーザーの閲覧履歴、行動履歴がデータとして溜まっているDMPと連携することができるわけですか?

「smarticA!DMP」と「AudienceOne」のシステム連携を開始

上村:そうですね。2013年12月11日に「smarticA!DMP」と「AudienceOne」のシステム連携を開始しました。トリプルメディア全体の接客を最適化できるようになりました。それができて初めて、DMPの意味があると思います。広告だけ、自社メディアだけでは片手落ちなので。

DMPとアトリビューションはセット

有園:2013年12月10日に「CNET Japan Live」に登壇したのですが、そこでDMPとアトリビューションはセットで使わないとダメですよという話をしました。なぜかと言うと、いろいろ連携して施策が出ていきす。セグメントをきってストーリー性とかシナリオとかを組んでいますが、打たれたものが良かったのか、悪かったのかを検証しないといけません。一連のストーリー性がある施策になる訳なので、ラストだけ見ても意味がありません。

これにマス広告も含めていくと、相互の影響を加味しないと、スイムレーンみたいなテレビの効果だけ見ていても、仕方がないです。DMPでやった施策をきちんと効果検証して、次に活かすためにPDCAを回すためには、アトリビューションは必須ですね。御社のツールには今後、データマイニングやアトリビューション機能がついて、検証しながらDMPのマネジメントというか、PDCAを回していけるようになるのでしょうか?

上村:PDACの仕組みは既にできていて、それはマストですね。ちょっと表現が古いかもしれませんが、「ダッシュボード2.0」の時代がきていると思っています。いままでは、いわゆる「管理画面」といわれるもので、クリック率がどう、コンバージョンどう、それを広告キャンペーン別にみたらどうか、という固定的なものでした。他にも、メール配信の管理画面はというと、何通配信して、何通開封され、何通クリックされたかを見てきました。

それぞれのチャネルでバラバラに管理画面があって、かつ非常に固定的なKPIだけで見ていたのが「ダッシュボード1.0」の時代だとすると、DMP時代には、オフラインも含めた、あらゆるチャネルの施策を統合的に見ていく必要があり、かつ施策と共に変わっていくKPIを動的に追加していかなければいけません。もはや、固定的なダッシュボードだとモニタリングできません。ダッシュボードは必要に応じて常に追加したり、取捨選択できる動的なものでないと、アトリビューションを加味したマーケティング全体の最適化はできないはずです。固定的な管理画面ではなく、その時々に必要なKPIを見い出してモニタリングし、改善できる仕組みが必要だと思っています。「ダッシュボード2.0」の時代に入ったといえるのではないかと。

有園:御社のサービスは柔軟に変更できるんですね。

上村:Web上でどんどん作っていけます。

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現状の課題

有園:現状の課題は、どんなことがありますか?広告主側が理想的なことをやる上での課題や、御社側の課題などを伺えますか?

上村:プライベートDMPの導入プロジェクトでは、クライアントの窓口はマーケティング部門である場合が多いです。日々、施策を設計して、施策を打ち、最適化していく責任部門がマーケティング部門だからです。ただ、導入に関しては、情報システム部と極めて密接に関わります。従って、企業の経営レベルで導入のコンセンサスがとれていて、プライベートDMPが重要だという認識を共有し、マーケティング部門と情報システム部門が一緒になって作る状態になっていないと、非常に難しいと感じます。

有園:そうですね。

マーケティング部門と情報システム部門の連携

上村:仮に、プライベートDMPを導入しても、ダッシュボードを一個作るのに情報システム部門に頼まなくてはならないと、タイムリーなモニタリングはできません。システムによっては、新たな仮説をもってキャンペーンを1つ追加するだけでも、エンジニアや情報システム部門に依頼しなければいけないということがあります。プライベートDMPは、マーケティング部門が単体でも使いこなせるものでなければ機能しません。

有園:御社の「smarticA!DMP」を導入すると、管理画面のクリックとドラッグ・アンド・ドロップで簡単に使えるわけですね。

上村:はい。そうでなければ機能しないと考えて、サービスを設計しています。

全てを統一して見られる人が不在

有園:私がコンサルティングをしていて感じるのは、メールを打って、バナーを打って、ランディングページはこうしてといったシナリオを構築したとき、オペレーションの全てを統一して見ている人が不在である点です。御社では、その点のサポートもしているのでしょうか?

上村:もちろん、すべて連携していなければならないのでサポートしています。弊社にはデジタルコミュニケーション部という部署がありまして、上流の戦略から広告のクリエイティブの最適化も含めてサポートしています。

有園:私のイメージでは、御社は広告クリエイティブやLPOの最適化なども、CRM領域から出ている経験値などもあるだろうなって思っていました。メールマーケティングもサポートしているのでしょうか?

上村:一般的に「メールマーケティング」という言葉で連想されるのは、どんな文章で書こうかといったことだと思いますが、そこはあまり深くやっていません。弊社では、誰に、いつ、どの情報をどんなクリエイティブで送るかを特定するところを支援しています。

条件分岐

有園:条件分岐も手掛けていらっしゃいますよね?誰に、いつ、どの情報を送ったら、どういう反応をしたか、Aの反応、Bの反応の場合に、どう出し分けるかといったことなど。

上村:はい。シナリオ設計と呼んでいます。ロイヤリティのステップアップを実現するために、全体のキャンペーンシナリオを設計します。メールだけでなくWeb、オフラインも含めて設計しています。ただし、メールの具体的な文章として何を書くか、例えば挨拶文が「おはようございます」なのか「こんにちは」なのかといった文章まで作ることはしていません。

有園:大量なパターンが出てきますね。それらは、企業の担当者もしくは外注のメルマガを制作する会社が作っていくわけですね。

上村:そうです。一方、メールに挿入されるレコメンド商品であったり、バナーであったりは、キャンペーンマネジメントシステムから指示が出て自動的に挿入されるので、ヘッダーの導入文や締めくくりの文章だけを作っていただいて、コンテンツを差し込むのは弊社のシステムで自動的に行なわれるわけです。

有園:メールのシナリオに合せた、バナーのシナリオ、LPOのシナリオなどを、統合的に見てマネージしていく人が企業側にも必要ですね。そうしたことのできる人が、企業側には少ないという印象はありませんか?

上村:少ないかもしれません。国内企業のマーケティング部門は、任されている仕事の内容や責任の重さに比べて、人数が少ないと思います。忙しくて、見きれていないところはありますね。

有園:導入前の課題は、マーケティング部門と情報システム部門の連携が上手くいっていないことが挙げられましたが、導入後だと他に何かありますか?

きちんとPDCAを回せているか

上村:プラットフォームは、導入すれば勝手に上手く回りだすというものではないので、PDCAをきちんと回していくことが課題になります。PDCAを回して、自社のマーケティングの最適化をし続けることです。プライベートDMPを導入した後に、いかにPDCAを回していくかは課題になるのではないでしょうか。

有園:広告もCRMも連係して考えてねって話ですね。マス広告でコンペやって、三か月間キャンペーンをやるときは、特定のコピーを露出してアテンションをとることが主な目的なので、代理店任せでもよいかもしれません。しかし、CRM領域に関わってくると、自社のことを十分理解して、ケアしなければならないコミュニケーションがたくさん発生してきます。実際に、コールセンターに電話がかかってくるわけですから、関連した施策が必要になります。その場合、自社の持っている商品やメリットを十分把握していないといけないので、代理店に任せっきりにはできないという話になります。マーケティング領域で全体を見てまとめられる人を育て、自社で考え実行できなければならなくなってきている。それが課題なのかもしれませんね。

また、効果測定する際も「これはベイジアンネットワークで分析した結果です」といわれても理解できない人が多い。経営層にプレゼンすると、理解できる人、できない人が大きく分かれます。「なんでこういう予算配分にしなければならないの?」と質問が出ると進まなくなります。マーケティングに関わる人と経営層には、できれば統計の知識を持ってほしいと思っています。

マーケターに統計の知識は必須

上村:そうだと思います。弊社では、企業に向けて講師を派遣し「データサイエンティスト養成講座」を開講しています。クライアントがプライベートDMPを使って、マルチチャネルのマーケティングを最適化するためには、統計に対する理解がある程度必要になります。実際、統計の分かる人やデータサイエンティストを内部に育てていきたいという企業が増えています。そういう教育機関が世の中にないので、弊社が提供しています。

有園:教育まで含めてやっていただけるわけですね。オペレーションのサポート、クリエイティブの最適化、それらを理解できる人材の育成まで。

上村:ビッグデータ領域で必要なものは、一通り揃うかと思います(笑)

有園:困ったときはALBERTさんへですね。本日は、ありがとうございました。

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【アトリ君の視点】先端プラットフォームを率いる上村さんと重厚な経験をもった分析エキスパート安達さんの経験やノウハウを融合。強いですね!ベイジアンネットワークを少し理解できた気がします。「ベイジアンネットワークでやっていたら、ブラックマンデーは避けられたのではないかという説」は個人(鳥)的には興味深かったです。SmarticA!データマイニングエンジンはとてもすばらしい取り組みですね。新しいアルゴリズムやモデルは自社開発環境でないと追加し続けるのは厳しい面もあると思うので、現在のマーケティングが置かれている状況に応じたアプローチですね。そういう意味では初の国産アトリビューション分析プラットフォームと言ってもいいかもしれません。さまざまな外部のシステムとも「粗結合」できる点も非常に納得ですし、日本のアトリビューションマネジメント環境をどんどん変えていってほしいと思います。上村さん、安達さん、大変勉強になりました。ありがとうございました!

【News】AdWordsのサーチファンネルにアトリビューションモデリングツールが追加

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サーチファンネル>アトリビューションモデリングツール
Google AdWords のコンバージョントラッキングツール内に、アトリビューションモデリング機能が実装されました。

検索経由でコンバージョンしたユーザーのデータを可視化できる「サーチファンネル」の中に、5種類のアトリビューションモデルを比較できる機能が実装されています。
 
 

5種類のモデリング
今回実装されたモデリングは以下の5つです。

・ラストクリック(Last click)
最後のクリックに100%のクレジットを付与するモデルです。

・ファーストクリック(First click)
最初のクリックに100%のクレジットを付与するモデルです。

・線形/均等(Linear)
コンバージョンパス内のすべてのクリックに均等にクレジットを配分するモデルです。

・時間減衰(Time Decay)
コンバージョンが起きたクリックを起点にして時間的に新しいクリックにより多くクレジットを付与するモデルです。

・接点ベース(Position Based)
ファーストとラストにそれぞれ40%のクレジットが割り振られ、残りの20%は中間点に均等に割り振られるモデルです。

この機能の実装により、AdWordsのコンバージョンタグを実装しているアカウントは、より一層コンバージョンの価値やキャンペーンごとの差異を加味したアカウントマネジメントがしやすくなりますね!

オフィシャルのアナウンスはこちらをご覧ください。
https://plus.google.com/+GoogleAds/posts/hZTQi6AFbfT

アトリビューション特別対談: フラグメンテーション時代のデータとアトリビューション – マリンソフトウェア CMO マット・アックリー氏 vs アタラ CEO 杉原剛

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■ワナメーカーの謎を解くために

杉原:今回は、マリンソフトウェアのCMOであるマット・アックリーさんを迎え、お話を伺います。まずは、自己紹介をお願いします。

マット:私は、もともとはエンジニア出身ですが、いろいろな経緯があった結果、マーケティング業界に身を置いています。

この業界での最初の仕事は、eBay(イーベイ)で、グローバルのオンラインマーケティング全般を担当することでした。eBayは、オンラインマーケティングに年間10億ドル近く費やしていることもあり、さまざまな自動化を実現するシステムを開発することは重要でした。サーチやRTB、アフィリエイトプログラムなど、すべてのインハウス管理用のシステムを開発していました。なぜなら、eBayには膨大な量のデータがあり、それを分析し、方向性を示してくれるアナリストも豊富にいたからです。私は5年間ほど、そういったツールを構築し、活用をリードしていました。

eBayの後、グーグルに転職し、YouTubeやDoubleClickなど、サーチ以外のプラットフォームのマーケティングを担当していました。ここでもその後、マリンソフトウェアに入社する理由があります。

eBayにいた頃も、お金もたくさん使い、常に「ワナメーカーの謎」(百貨店王と呼ばれたジョン・ワナメーカーの名言「広告費の半分が無駄になっていることは分かっている。しかし、どちらの半分が無駄なのかが分からないのだ」から)を解決しようとしていました。

だから、私にとって、複数チャネルをまたがった形でマーケターの予算活用、トラッキング、マーケティングタッチポイントの最適化を支援できるテクノロジーベースのプラットフォームは、自ら追求し続けている大きな課題なのです。

グーグルを去った後、ベースとなるMarinのプラットフォームと、後述するオープンスタックアプローチによって、そのビジョンを実現するためにマリンソフトウェアに加わりました。

■マリンソフトウェア

マット:マリンソフトウェアで私のタイトルはCMOになっていますが、マーケティングのみならず、コーポレートディベロップメントとプロダクトストラテジーの責任者でもあります。ご存知の通りマリンソフトウェアは、これまで非常にサーチにフォーカスした会社でしたが、株式公開後、他のチャネルにどのように展開していくべきかを理解しようとしています。

杉原:御社の競合会社にもよく聞く質問なのですが、10年前、ツールベンダーの多くは、検索連動型広告の自動入札機能を提供するツールから始まっています。日本では特に、まだこの意識が強い傾向にあるのですが、他の国では、より統合管理をしていこうという意識が高まっているように思えます。今、マリンソフトウェアは自分たちのことを、どのように呼んでいるのでしょうか。

マット:現在、当社は自らをRevenue Acquisition Management Platform(売上獲得管理プラットフォーム)と呼んでいます。今後はさらに、プラットフォーム的なアプローチを強調していくことが多くなるでしょう。

■適切なビジネス判断ができる自動入札管理ツールとは

マット:自動入札について言及されましたが、面白いことに、ちょうど先週、eBay時代の同僚と業界について話をしていたんです。よい自動入札管理ツールがあっても質の低いデータを使っていると、実に簡単に悪いビジネス判断ができてしまうんです。だから、マーケターが適切なビジネス判断を下せるように、適切なデータを蓄積できるプラットフォームにすることが、当社としての大前提となっています。そのデータがある上で、キャンペーンマネジメント、入札管理、レポーティング、ワークフローなどの機能を提供します。繰り返しますが、重要なのは、基盤部分を形成するために、さまざまなデータを取り込む部分です。

つい最近、Marin Connectプラットフォームを刷新し、売上、コスト、天気、ロケーション、ジオ、在庫、季節変動など、各種データをマーケターが取り込めるようにしました。まだ新しく、将来を見越した部分がオーディエンスデータです。当社では、サーチも含めたすべてのチャンネルにとって、オーディエンスデータはとても重要だと考えています。グーグルが進もうとしている方向を見れば、そう思います。

■アトリビューションの取り組み

マット:アトリビューションは、私にとってとても親近感のあるトピックです。なぜなら、eBay時代、アトリビューションの課題を解決するのに8割ほどの時間を使っていたからです。eBayの経理財務部門との根回しや交渉もありましたし、オンラインマーケティングの課題に関することなどもありました。「1000万ドルの予算を会社が与えたとしたら、今四半期に、どのくらいの結果をもたらしてくれると思うか?」といった上層部からの質問への回答を求めるなど、実にさまざまでした。

そのため、アドホックな分析に随分と取り組みましたが、eBayの基準からしても、実に前方の視界が悪い時期だったと思います。eBayは大きな組織だったので、適切な広告インプレッションのトラッキングもビュースルー測定もできませんでした。とにかく難しい時代だったんです。必要なデータを集めることも困難でした。アトリビューションというものは、プラットフォームに必要な部分が揃った後の最終的なレイヤーで、それが整えばマーケターは適切な判断を下しやすくなるのだと思います。

■Marin Connectはミドルウェア

杉原:Marin Connectについて、少しお話ししてもらえますか。私の理解が正しければ、御社のような統合プラットフォームのこれまでの進化は、まずサーチ、そしてディスプレイ広告、ソーシャルを取り込むというものだったかと思います。市場環境も急速に変化をしており、それまではマーケターの手中になかったオーディエンスデータや、ITシステム部門の管轄にあることが多かったCRMデータなどを、マーケティングで活用する機運が高まっています。これ以外でも、取り込む必要のあるデータは増える一方かと思います。よって、Marin Connectは、これらのデータの取り込みを少し容易にする、ミドルウェアのようなものと理解していますが、いかがでしょうか。

マット:とても的確な見方だと思います。ビジョンとしてはミドルウェアになります。新しく作ったMarin Labs(クライアントやエージェンシーと共同で、効果的なデジタルマーケティング施策の活用をテスト実施し、そのフィードバックをサービスに活かしていくことをミッションにしたチーム)があるので、常に大きなチャレンジであるデータのインテグレーションを、パートナー広告主と推進しやすくなりました。

eBayで、データウェアハウスを基盤とした自動入札管理システムを構築する前のことですが、アトリビューションの取っ掛りのようなシステムを作り、顧客のライフタイムバリューなどを理解しようとしました。自動入札は、それらのスタックの上に構築され、当初から統合されていました。つまり、eBayであるキーワードに入札すると、新規顧客のライフタイムバリューは把握でき、リアルタイムで推定クリック毎の売上計算に落とし込まれていました。それは2005年にやったのですが、それから業界全体がどれだけ進んでいないかは驚くものがあります。実際は、ライフタイムバリューなどの指標に基づいて入札しないと、無駄な費用を使っているか、機会損失をしていることになります。

先日とある米国の大手リテール企業に会って話を聞きましたが、必要なデータにアクセスし、蓄積することができていませんでした 。オフラインデータ、コールセンターデータなど、システムに集約すべきデータがたくさんあることが分かり始めているのですが、野球に例えると、まだ走者が二塁近辺をウロウロしている状況です。

■オープンプラットフォームとして進化

マット:アトリビューションのベストなソリューションは、いわゆるアトリビューション専業プラットフォームなのかと思っています。Marinではチャネルパスデータ分析を行いますが、それはアトリビューションとは呼べないと思います。もちろん、黎明期でもありますし、一つの見方としてはあります。しかし、データが完全に網羅された形でないと、データの質が低いために悪いビジネス判断をするリスクが高まってしまいます。

よって、アトリビューション分析について考えた場合、私は因果性にこだわった重回帰分析やhold-out評価を想定するのですが、現在、業界で取り組まれたり、語られたりするのは相関性だけかと思います。例えば、フェイスブックが全チャネルパスデータの50%に含まれているから、全購入の50%はフェイスブックに貢献していると見るのは、大きくミスリードしていると思います。ちょっと前に、ランディングページのA/Bテストをしていたように、hold-out評価で比較分析しなければ、アトリビューションの真の姿には迫れないと思います。

アトリビューションに取り組む際は、サードパーティー企業とご一緒することが多いです。日本の会社は存じませんが、米国では Adometry、Visual IQ、Convertroなどは「アトリビューションの科学」を追求し続ける、大変優れたソリューションを提供しています。私がこの分野に戻ってきてから、多くの優れたソリューションが出ていることが分かりました。これらの企業とは、戦略的に連携開発をしてMarinにデータを取り込むことで、次のアクションを判断しやすい結果を提供してくれます。次のアクションにつながらなければ使っている意味はありません。

当社の近い将来の目標は、このようにオープンプラットフォームとして進化することです。グーグルのプラットフォームを使いたければ、Google Analyticsの利用がどうしても前提になることが多いでしょう。他のプラットフォームでも同様なことが起きます。当社の場合はオープンプラットフォームなので、業界標準のソリューションでも、カスタム開発したシステムでも、連携する意味があると判断されるシステムはプラグインすることができることを標榜しています。

■フラグメンテーションの進行

杉原:これだけデバイスもメディアも爆発的に増えている状況を考えると、それは適切なアプローチに思えますね。つまり、「フラグメンテーション」が進めば進むほど、さまざまなシステムやデータをプラグインすることが必要になってきますね。オープンプラットフォーム構想を強く推進もするでしょうが、ネイティブ機能も拡張していくのでしょうか。両方でしょうか。

マット:まあ、両方と考えるのが妥当でしょうね。将来を考えれば、オープンプラットフォームアプローチに比重は置くと思いますが。入札管理のように特定の機能に関しては当然、より機能を追加・改善するための投資はしていきます。ただ、これも将来的には自分が望む入札管理機能をプラグインするという姿も想像できます。

別の例を挙げると、クリエイティブ最適化です。現在、BoostCTRという会社とパートナーシップを結んでいます。彼らは興味深いサービスを提供しています。クリエイティブ最適化業務の依頼をマーケットプレイスに投げることができ、プラットフォーム上でA/Bテストを実施できるのです。これなども、自社で機能として実装するというような投資はしませんが、プラットフォームで連携することを考えています。そのほうが柔軟性のある、ベスト・オブ・ブリードのプラットフォームを提供できます。

フラグメンテーションについて言及されていましたが、今までの施策に加え、Pinterest(ピンタレスト)、ツイッター、LinkedIn(リンクトイン)、その他も出現し、これからもどんどん出てくるでしょう。モバイルはインストリーム寄りのネイティブ広告に近くなっていくと思います。eBayやアマゾンのように、自社システムを構築する企業は、内部リソースでこれらのシステムやデータと接続していくことは大変困難になるでしょう。よってフラグメンテーションという概念はMarinにとっては、むしろよい話で、そのためにさまざまなものをプラグイン連携しやすくするミドルウェアでありたいと思うのです。

杉原:そういう意味ではMarin Connectはとても戦略的な機能ですね。

■API連携は大変

マット:つい最近、Channel Connectという機能を発表しました。これは、メディア企業のデータをスピーディにプラグインできるものです。大手メディアなどは、直接API接続していくことを推進しますが、より規模の小さなメディアのためのライトウェイトなミドルウェアインテグレーションだと考えてください。なぜなら、小さなメディアの多くは、グーグルのような複雑なオークション・入札システムは持っていませんし、シンプルなファイル転送で解決する場合は多いのです。

杉原:弊社のシステム事業では、多くのAPIを取り扱うのでよく分かります。接続したいメディアのAPIがあるのはとてもよいことですが、世の中で思われているよりもAPI連携は大変です。簡単ではないケースもありますし、手間もかかる。

マット:毎回、グーグルがAPIをアップグレードしたりすると大変ですよね。皆さん、エンハンストキャンペーンの際、どのくらいの労力を費やしたのでしょう。Marinは、600社のクライアント、50億ドル相当の広告費を扱っているため、スケールしやすいですが。

eBayにいた頃、私のチームはリソースの35%から40%を、APIにキャッチアップするためだけに費やしていたと思います。しかも、それはグーグル、ヤフー、そしてBingだけの世界ですからね。このオープンプラットフォームアプローチは、戦略的な優位性として捉えています。

杉原:そうですね。ファイル転送だけでやれることはとても多いんですよね。Marin Connectは、APIを持たないメディア企業にとっても、御社のような外部プラットフォームと連携しやすくするものですね。

■オーディエンスデータの戦い

マット:その次に重要な取り組みがオーディエンスデータです。キーワードベースの考え方からオーディエンスベースの考え方に、移行していくことになると思います。ソーシャル、プログラマティック・ディスプレイ広告などでは、オーディエンスデータはもはや必須です。グーグルがGoogle BoostやRLSAなどでやっていることを見ると、近いうちにサーチもオーディエンスデータでの戦いになるかもしれません。

例えば、「データ上では、Mattは45歳の男性ゴルファーだと分かっている。もし<ゴルフ中毒>というキーワードに入札していて、Mattがターゲットセグメントに入るのであれば、検索してきた際にx%入札をブーストする」ということが可能です。かつ、サーチだけでなく、ソーシャル、ディスプレイ広告、モバイルなどで横断的にオーディエンスデータを管理できます。

eBay時代を思うと、マーケティングチームの他のメンバーと共通の言語で話すことができませんでした。私はいつもクリック、コンバージョン、ROIの話をしていて、オフラインマーケティング、CRM、戦略担当の人はいつも「eBayはファッションショッピングに興味が高い女性が必要だ」と話していました。当時でも、私の活動からファッションショッピングに興味が高い女性を獲得する方法は知っていましたが、今であれば誰でもダッシュボードで共有できますし、その上「どのチャンネルから、ファッションショッピングに興味が高い女性が流入しているか。それに加え、誰のライフタイムバリューが高いか」なども分かります。私の視点では、次のフェーズは、オーディエンスのレイヤーがすべての上に乗る形になってくるのかと思います。

杉原:日本でもオーディエンスデータは熱いトピックです。DMPについての話題も多いです。御社のプラットフォームでは、どのように考えているのでしょうか。つまり、DMPを持つことになるにか、前述のようにパートナー連携するのか。

マット:オーディエンスについては真剣に検討しています。オーディエンス分野での最初の取り組みとしては、Bluekaiとのパートナーシップになる予定です。オーディエンスデータをBluekaiからMarinへ持ってこられるようになります。想像してみてください。サーチ経由で誰かが流入して広告をクリックし、Bluekaiのピクセルが飛ばされます。

私がインテリアデザインのウェブサイトを持っているとしましょう。私は「今日は20,000のビジターがサイトを訪問し、5,000はターゲットセグメント、つまり50歳以上の高所得の女性層だった」と言えます。Marinには、キーワードのディメンションを作成できる機能があります。その機能を使えば、直帰した人のうち、必要でないセグメントと必要なセグメントを分けてみることができます。必要なセグメントのデータをさらにグーグルのRLSA、フェイスブックのカスタムオーディエンス、DSPでのリターゲティングなどで活用できます。データさえシステムに入ってくれば、さまざまなオーディエンスのビューで見ることができますし、活用することができます。

■マリンソフトウェアにとっての日本市場

杉原:マリンソフトウェアにとって日本市場の重要性は、いかがでしょう。

マット:日本は、世界の中でも最速で成長しています。市場参入してから、いろいろと想定以上で驚いています。

eBayの時は、非常にパワフルなシステムを構築しました。でも、それは車のエンジンのようなもので、大きな役割は果たすのですが、そこから、例えばレポートを抽出したい場合は自分でSQL文を書いてDBをたたく必要がありました。

マリンソフトウェアが開発したものの驚くべきパワーは、画面上でさまざまなことができる点、分かりやすい点、そしてワークフロー面が充実しているところです。これらのパワーを多くの国に提供する機会はたくさんあると考えています。

5年前は、実現が可能とは思っていなかった、大量のマーケティングデータを管理できるようになっています。そのため、「フェイスブックとグーグル、両方管理できています」や「簡単なUIで何百万のキーワードを一元管理ができるようになりました」という声が聞こえるようになったのです。予測レポートなどを簡単に出力できる機能などを見ると、正直驚きますよ。先週、米国の大手広告主と話した際も、自社システムのままで同じような問題を抱えていることが分かりました。

■日本のユーザーに最も使われている機能

杉原:御社のプラットフォーム上で日本のユーザーに最も使われている機能はなんですか。

マット:(グーグルやヤフーの)入札管理ですね。日本のほうが米国よりも採用率は高いです。前述の通り、よいデータがあってこその、よい入札管理なので、Marin Connectは重要になっていくでしょう。

■ソーシャルメディアの動き

杉原:ソーシャルで何か動きはありますか。

マット:はい、フェイスブック広告の取り扱いも世界でトップクラスです。当社には、フェイスブック向けの強力なプロダクトがあります。今後も、フェイスブックでのターゲティング性能に着目して進化を続けていきます。

アトリビューションが普及すれば、上位ファネルでのフェイスブックのインパクトはさることながら、下位ファネルでのインパクトも見えるようになると思います。FBXでのリターゲティングで成功した人は多いと思います。当社はBluekaiを通じて、フェイスブックでのリターゲティングを推進します。Bluekaiでは、自動的にカスタムオーディエンスを作成できる機能があり、FBXをバイパスしてネイティブのほうで出稿できます。

杉原:フェイスブックも、日本市場はかなりフォーカスしているようですしね。御社は、まだ日本では数少ないフェイスブック公式の「認定マーケティングデベロッパー」ですよね。

マット:そうです。ソーシャルとモバイルは今後も重要でしょうね。モバイルは、チャネルではなくデバイスタイプの一つとして捉えていますが、クロスデバイストラッキングなど特有のチャレンジがあります。そして、インストリーム中心になっていくと考えています。サーチは引き続きモバイルでは強みを発揮すると思いますが、フェイスブック、ヤフー、Pinterestなどのプレーヤーの方向性を考えると、インストリームが主になっていくのではないでしょうか。

■マリンソフトウェアの強み

杉原:最後にコメントはありますでしょうか。
マット:Google AdWordsの広告費の10%はMarinを経由しています。当社はフェイスブックの最大級のパートナーでもあります。全世界で600社のクライアントがいます。そのため、プラットフォームを提供していくスケーラビリティがあります。まだ、この分野は初期の段階ですが、今のところの成果にはある程度満足しています。ただ、成長の余地は大きいと考えています。
<以上>

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【アトリ君の視点】マリンソフトウェアは検索連動型広告の自動入札ツールという位置づけでしたが、いまではRevenue Acquisition Management Platformと呼んでいるんですね。時代の変遷を感じます。ディスプレイやSNSなどを取り込んで管理できるオープンプラットフォームに進化しているのはすごいです。アトリビューション的な観点からも非常に意義が大きいと思います。Marin Connectでさまざまなデータが集約されていくと理想的なプラットフォームになりそうです。BluekaiなどDMPとの連携でオーディエンスデータも取り込まれる日も近いようです。そうなると、検索したユーザーのオーディエンスも分かるようになるのですね。とても楽しみです。マットさん、とっても勉強になりました。ありがとうございました!

アトリビューション特別対談: 経営には統計の知識とアトリビューション的思考が必須 – ブレインパッド吉沢雄介氏×アタラ有園

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有園:今回は、株式会社ブレインパッドの吉沢雄介さんをお迎えして、オフラインのアトリビューションについて伺います。

吉沢:株式会社ブレインパッドの吉沢雄介です。ブレインパッドは設立して10年弱の、データ分析及び関連サービスを専業にしている会社です。ビッグデータやデータサイエンティスト、昔だとデータアナリストという肩書でしょうか?といった言葉が世の中で認知される前から、「これからはデータ分析の時代がくる!」と予見して設立された会社です。

現在、社内には50人強のデータサイエンティストがいて、日々、データ分析の業務に従事しています。私自身は大学院を卒業後、データサイエンティストとしてブレインパッドに入社しました。最初に有園さんと出会ったのは今から3年ほど前だったと記憶しています。その後、有園さんとは約20社のクライアント様にアトリビューション分析を提供してきました。

有園:アタラでアトリビューションの分析、コンサルティングを開始した頃、広告主からデータをもらって自分たちで分析していました。でも、大きなデータ、たくさんのビュースルーコンバージョンを計るようになると、普通のパソコンではデータボリュームがおおき過ぎで分析できない、パソコンがとまってしまうという現象が起こりました。「アタラでデータサーバを買うのはちょっと違うよなぁ」とブレインパッドの社長である草野さんに相談して、お手伝いをお願いしてから4年目くらいになるでしょうか。

アタラがアトリビューション分析をする際、データの集計と分析のコアな部分はブレインパッドさんにお願いしています。そこに深い洞察を加えて広告主へ提出し、メディアプランへの落とし込みやコンサルティング、その他のフォローがアタラの仕事です。ブレインパッドさんとのはじめてのプロジェクトでお会いしたのが吉沢さんでしたね。

吉沢:そうでしたね。

ブレインパッドさんとの取り組み

有園:最初に吉沢さんにお願いしたのは、あるクライアントのサイトカタリストからコンバージョンパスデータを抽出してもらって、それを出稿データと紐付ける作業だったと思います。リスティング広告だと、キーワード別に出稿しているデータとサイトカタリストで取れているデータは別なので、各データを合体させて紐づける作業をブレインパッドさんにお願いしたんですよね。

吉沢:そうでしたね。アタラさんと一緒に取り組めて良かったことは、リスティング広告の出稿や運用経験に長けていらっしゃるので、分析結果という紙で終わらず、施策に落とし込みPDCAを実際に動かせるという期待がありました。

有園:いつもありがとうございます。ところで、最初の頃はリスティング広告とバナー広告の出稿データを使って、いわゆる、オンラインアトリビューションをおこなっていました。ただ、やはり、オンラインのデータだけで分析していてはダメだな、と当初から思っていた訳ですが、そのあたりは、吉沢さんも同じですよね?

吉沢:ウェブサイトは、広告主と消費者のコミュニケーション手段、ブランド体験の一部分でしかありません。テレビや新聞、ラジオ、雑誌や交通広告など、いろいろな影響を受けて消費者は動いています。オンラインだけでは見えないことがあります。マスメディアを含め、いろいろな媒体に分析範囲を拡張するという認識や方向性は以前から考えていたことであり、社内でも方法論として模索をはじめていました。

有園:以前は、アタラからの依頼は、オンライン、ネット広告だけのアトリビューションがメインでした。でも、マス広告などの影響が加味されない形でコンバージョン予測を出しでも、どうなのかなって思っていたわけですね。

吉沢:はい。

アトリビューション2つの方法論

有園:徐々に、オフラインのアトリビューションにも仕事の領域が広がっていきましたが、吉沢さんとは、オンライン、オフラインと、アトリビューションについてディスカッションしてきました。オフラインのアトリビューションは、特に高度な統計知識とデータを処理できるシステムが必要となってくることもあって、ブレインパッドさんのデータサイエンティスト抜きでは難しいですね。

吉沢:現在、方法論としてこのような段階にきています(Fig.1)。ここまでくるのに2年から3年くらいはかかりました。

(Fig.1)

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この方法論には2つのポイントがあります。1つ目は、たえず議論している「マスメディアの効果をどのように定量化し、実行施策に結び付ける示唆を出すか」という分析そのものに関する考え方。2つ目は、marketingQED(マーケティングキューイーディー)という分析ソフトウェアの取り扱いを開始したことです。

marketingQED社は、イギリス・ロンドンに本社を置く、最適なマーケティング意思決定を支援するソフトウェアベンダーで、分析ソフトウェアを提供しています。弊社は、2年ほど前にmarketingQED社の販売パートナーになり、海外の最新事例、考え方や分析手法などを日本市場に合った形で提供しています。マーケティングミックスモデルの実現手段の提供です。

モデルとは?

有園:オンラインのアトリビューション分析をしていても、均等配分モデルといった言葉が出てきます。モデルをつくる、モデリングする、あるいは抽象化といった言葉は、統計学の勉強をしていない人にとって理解しにくいものです。簡単に説明していただけますか。

吉沢:こちらをご覧ください(Fig.2)地図、例えばグーグルマップをイメージしてください。渋谷、六本木という場所があっても、地図に「ここが渋谷です」「ここが六本木です」と書いていなければ、どこか渋谷で、どこが六本木か分かりません。抽象化、モデル化するというのは、どこが渋谷で、どこが六本木か書いてあって、経路が線で結ばれていることです。渋谷から六本木へ行く最短距離を示し、余計な情報はそぎ落とすことが抽象化、モデル化です。

(Fig.2)

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有園:現実の世界は複雑なので、すべてを把握することは不可能です。把握するには、何らかの視点で現実を単純化して切り出していることが「モデル」、切り出すことを「モデル化する」、あるいは、「モデリング」という、そんな意味でよろしいでしょうか。

吉沢:その理解で大丈夫です。

有園:本来、人間が、現実の世界を目で見たり、耳で聞いたり、手で触ったりして得ている情報は、現実ではなかったりしますからね。そもそも、人間は現実をすべて把握することはできません。人間が見ている世界は、人間の眼が作り上げている仮の像でしかありません。仮の像をつくっているのが、人間の眼がもっているモデル化する仕組みですね。

マーケティングミックスモデルの3つのステップ

吉沢:例えば、マーケティングミックスモデルは、マーケティング施策への投資・露出と売上・店舗来店といったマーケティング活動とお客様の行動との因果関係をモデル化することです。

マーケティングミックスモデルのステップは3つです。1つ目は、アトリビューション、2つ目は予算配分の最適化、3つ目はシミュレーションです。アトリビューションは、貢献度の割り振りが困難なもの、例えばTV、ディスプレイ広告のビューなどの効果を「見える化」して、貢献度を定量化することです。

有園:貢献度を各媒体や、ものによってはキーワード別に、テレビCMやバナー広告だったらクリエイティブ別に、それらが売り上げやコンバージョンにどれだけ貢献しているのか数値化することですね。

すべて同じ軸で比べられる指標に

吉沢:ポイントは、すべて同じ軸で比べられる指標にすることです。金額は1円単位で数値化し、ウェブ広告やテレビCM、紙広告など、あらゆる媒体で比べることができます。その軸で、いくら投資したら、いくら獲得できるかを「見える化」するのがアトリビューションです。それが決まると、貢献度のバランスから、どのメディアに、いつ、どの配分で投資したら成果が最大になるのかを考えられます。

感覚として、リスティング広告に月額1千万円、テレビCMに月額1億円をそれぞれ投資することはできても、ドラスティックに配分を変えてリスティング広告に月額10億円を投資することって、なかなかできないと思います。でも、アトリビューション分析をしていれば、理論的な配分を導きだせます。リスティング広告に月額10億円投資すべき理由があれば、投資することもできるでしょう。

有園:ちなみに、会社全体としてはリスティング広告に月額10億円ぐらい使っているクライアントはありますね。

予算配分の最適化

吉沢:はい、確かにありますね。次は、予算配分の最適化について。これで、理論的に最適な配分を出すことはできます。やることは簡単で、既にアトリビューション分析でモデル式が出来ているので、最適化計算をコンピュータに任せるだけです。

アトリビューションと予算配分最適化は理論的なことですが、予測シミュレーションはシナリオに即して売上に思いを巡らすことです。この3つをぐるぐる回すことでマーケティングROIが改善していきます。手法的なアプローチと、ビジネス的なアプローチを統合したのがこの方法論です。

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オフラインアトリビューションとは

有園:日本では、これをオフラインアトリビューションと呼んでいます。アメリカの業界トップのマーケットシェアという会社はオフラインアトリビューションのことを単にアトリビューションと呼んでいますが、その他のリサーチ会社などは、マーケティングミックスモデリングをアトリビューションと呼んでいたりします。あるいは、アナリティクス2.0という表現もありますね。これらは、アトリビューションや予算のアロケーション、シミュレーションなどを指しています。

インターネット業界でアトリビューションという言葉が流行ったので、便乗してマーケティングミックスモデリングのことをアトリビューションという言葉で語っているのではないかと思います。

マーケティングミックスモデリングという名前で、かなり前からオフラインのアトリビューションの考え方はあるんですよね。

吉沢:2013年7月号ハーバード・ビジネス・レビューのマーケットシェア社の寄稿にもあるとおり、オフラインのアトリビューションという方法論は2000年初期頃からありました。IT技術の進化に伴い、分析コストが安くなったため、ビジネス分野、マーケティング分野でも利用できるようになってきました。有名なのがワコビアの事例です。2008年11月のハーバード・ビジネス・レビュー日本版に載っています。2002年、2003年頃、予算の使い先としてのウェブは今とは比べ物にならないくらい小さかったはずです。当時からすでにオフラインの事例はあって、研究もしつくされてきました。そしてここ5年から6年でネット広告に対する投資が増えてきましたが、この枠組みにどう取り組んでいくべきか、完全には答えが出ていないと思います。

有園:なるほど。

吉沢:リスティング広告などネット広告にお金をかけていても、テレビCMなどと同次元では並べられません。配分を決めるとき、どう扱ったらよいのか。あとは、ソーシャルメディアを従来のマーケティングミックスの中にどう落とし込んでいくかも課題です。

テレビCMを出稿した結果の調査や分析

有園:テレビCMを出稿した結果の調査や分析は昔から行われていました。Swimlane(スイムレーン)と言われる縦割り的な、テレビはテレビだけ、ラジオはラジオだけ、新聞は新聞だけ、といったレスポンス、効果の分析が主流でした。2000年以降、マーケティングミックスモデルなどで分析できるようになったのは、統計ソフトが良くなったからですよね?

吉沢:そこも大きいと思います。

有園:統計学の進歩もあると思います。構造方程式モデリングや共分散構造分析といった、テレビCMを出稿したら人はどういった行動をとるのかを計算させる統計ソフトも、昔は高くて簡単にできるものではありませんでした。でも、2000年以降は実務レベルで使えるようになりました。先ほど話に出たmarketingQEDで、モデルはデフォルトでも数千くらいつくると聞きました。昔はモデルを1個つくって計算するのにも高いお金がかかりました。しかも、モデルを1個つくって1回目の分析で出てくるのが、統計学的に「当てはまりがよい」と言われる有意な数値、理論的にも現実をよく表した数字とは限りません。でも、分析を2回やるとなるとまたすごいお金と時間がかかっていたのが、2000年以降にIT技術の進歩やサーバーの容量が大きくなって大量のデータの分析結果が、ボタン1個でほんの数分でかえってくるようになりました。数千個のモデルだと?

吉沢:30秒から1分くらいで数千のモデルが出てきます。その中から統計的に良いものをサジェストしてくれます。

有園:数千のモデルなんですね。そういったことができるようになったので、実務で使えるようになったということですね。

計算コストの低下

吉沢:はい、大きな進歩です。ブレインパッドでは、marketingQEDというマーケティングミックスモデリングに特化した分析ソフトウェアを取り扱っています。モデルも1個作ったら終わりではありません。分析的な視点とビジネスの視点両方を加味して、最適なものを選ばなければなりません。計算コストが下がったおかげで、それが速くできるようになりました。

marketingQEDは、遺伝的アルゴリズムを採用しています。1秒間から10秒間に、数百から数千のモデルを自動的につくることができます。その中から、統計値をつかって最良なものを選べます。マーケッターや我々のような分析官が考えることは、いかに現実に則しているか。そして、施策への落とし込みができるかどうかです。分析そのものではなく、よりビジネスへの適用について考える時間が増えました。

専門家のためのツールから、一般のマーケッターが使うツールにまで広がってきたので市場も広がり、MarketShare(マーケットシェア)やThinkVine(シンクバイン)といった専業の会社も出てきました。我々も時間がかかってしょうがなかった部分がミニマムになり、ビジネスになってきました。クライアントもそれにお気づきになり、引き合いも増えています。

ソーシャルメディアをどうモデルに取り組むか

有園:さきほど、オフラインのアトリビューションやマーケティングミックスモデルを回す際の課題は、ソーシャルメディアをどうモデルに取り組むかだとおっしゃいました。投下金額に対するゴール、目的変数が売り上げだった場合、ソーシャルメディアの拡散は投下金額に直せないから課題なのでしょうか?

吉沢:それも1つですね。特に難しいと感じていることは2つあります。1つ目は、おっしゃる通り、ソーシャルメディアは金額換算が困難なのでROIに落とし込みにくいということ。2つ目は、カスタマージャーニーという言葉ですべて表されているかもしれませんが、いまは昔よりも消費行動が複雑になっていることです。売り手と買い手の情報の非対称性が完全に崩れたのも忘れてはいけないポイントですよね。テレビCMを見て、続きはウェブでという古典的な話もありますが。

有園:え!古典なんだ!(笑)

吉沢:どうでしょうか(笑)。有園さんも関わっておられたとお聞きしていますが、直の購買ではなく、間接的により商品を理解してもらう、競合優位性をアピールするという点で、ワンクッション設けるようになりましたよね。

有園:それがモデルに入ってきたのは最近ですね。

吉沢:さきほど紹介した事例は、そういったワンクッションを意図的に設けるといった概念がほとんどなかった頃のものです。

有園:ワコビアの事例ですね。

吉沢:投資と売り上げという2つの関係ならモデル化も単純でしたが、構造的に因果の仮説として、ネット(広告)が間に入ったとき「真ん中はどうやってモデル化したらよいんだろう」というのが課題です。

重回帰分析とは

有園:重回帰分析で、なんでもやってしまう時代がありました。ワコビアの事例も重回帰分析をしていますか?

吉沢:おそらく、一部分ではそうだと思います。

有園:重回帰分析は、説明変数と目的変数。説明変数が複数あり、それに対する目的変数が1個あるという単純な形で数字を入れて、あとはソフトウェアが計算してくれる感じだったと思います。アナリストが分析する前に、ある程度の因果関係を想定してモデルを作らなければならない点で、取り扱いが難しいということでしょうか。

吉沢:そのとおりです。有園さんがおっしゃっているのはここで(Fig.3)古典的なマーケティングミックスモデルは、この重回帰という手法をつかっていました。これはいくら投資するかといった予測には向いていますが、因果関係の理解は難しい。ウェブの行動は多階層の分析が必要になります。統計的にやれば、もっともらしいものが出るだろうと思われるのですが、ここまでくると難しいです。自然検索でも良かったり、リスティング広告でも良かったりと甲乙つけがたい、判断しづらいことが出てきます。手法やマーケティングが進んでも、分析の精度や納得感は腑に落ちないのです。

(Fig.3)

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クローズドループマーケティング

有園:「インターネット・マーケティングの原理と戦略」(日本経済新聞社)という本があります。スタンフォード大学の教授が90年代後半に執筆した本です。

この中で、たとえば、テレビCMを投下したら、それに接触した人が何パーセントかいて、接触した人のうち、認知した人と認知していない人がいるわけですが、認知した人のうち、すぐに店頭へ行く人がいれば、なにも行動しない人がいます。いまだったら、インターネットで検索してネットに行く人がいますね。このように分かれていって、広告に接触したユーザーの行動は、どのようなものがありえるかをツリー構造で整理して、それぞれ何パーセントになるかなどをみていく、という方法論が書いてあります。

これを応用していくと、たとえば、ウェブマーケティングのPDCAを回すときに、ボトルネックはここだから、この点を何パーセント改善するために、クリエイティブを変更すべきなのか、投下量を変えるべきなのか、タイミングの問題なのか、ターゲティングの問題なのか、といったことを割り出すようなことが理論的には可能になることが分かるんです。

そのなかで、クローズドループマーケティング(Closed loop Marketing)ということが書かれているんです。クローズドループというのは、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、ネットなど投下したものがいろいろあり、接触した人がいろいろな行動履歴をたどって最終的にゴールである、広告主側の売り上げに戻ってくる。この流れの中で、広告主が売上をあげるために出したお金、仮に100万円出したとしましょう。それが、ループをたどって最終的に売上として広告主の元に戻ってくることが売上で、ひとつひとつのループがクローズして広告主の元に戻ってくるということを、きっちりやっていかなければならないと説かれています。

吉沢:大きくなって返ってこなければ意味がないですよね。

有園:100万円つかって100万円戻ってきたのではダメですね。たとえば、1,000万円以上ぐらい売上がかえってくるのがよいですね。そのようなクローズドループができるのがネットだと、そんなことがその本には書かれています。インターネットマーケティングの基本は、それができることで、それができるようにきっちりオペレーションすべきだと私は解釈しました。

まったくそのとおりだと思うのです。インバウンドマーケティングと呼ぼうが、アウトバウンドマーケティングと呼ぼうが、アウトバウンドしたものがインバウンドでかえってきて、広告主のお財布に戻ってこなければ意味がありません。そういったループ、あるいはカスタマージャーニーが、ネットの登場によって複雑になっています。構造化して統計的に分析して、結果的に戻ってくるということを、モデルにするのが難しい。それが課題なのかなと思っています。

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ループがクローズしていますか?

吉沢:インターネットがクローズドループの重要なポイントだと思います。それがなければ、ループではなく壁打ちでしょう。

有園:うまいたとえですね。

吉沢:そこに時間軸が加わり、なおかつタッチポイントが増えているので、モデル化が非常に難しいんです。

有園:「ネットだったらできる」という解釈を私はしていたのですが、マーケティングミックスモデルを使えば、基本的にはモデルさえ上手く作れれば、ループがクローズするような形で、どのポイントで、どこの広告出稿を増やせばよいかが分かりますね。

ループをクローズさせる3つの条件

吉沢:ただし、条件が3つあります、などと、条件は必ずついてくると思っています。

1つ目は、「データが溜まれば」という前提が、常につきまといます。現状はその段階で止まっています。

2つ目は「スピード」です。広告主はいかに早くデータを溜めて、分析して、理解できるかが非常に重要になってきます。先週のデータについて1カ月後に分析結果を出しても意味がないので。

最後は「社内組織」です。データを溜ためるスピードと活用の意思決定、いろいろなことを早める体制はリアルなところで最も厳しい成約条件となります。この3つに注意することが重要です。

クライアントには、この3つをセットで理解してもらえるよう、ツールの導入と同じくらいにご説明しているところです。

有園:なるほど。

吉沢:そこまでやらないと、marketingQEDも活かせません。

DMP(データ・マネージメント・プラットフォーム)

有園:最近、DMP(データ・マネージメント・プラットフォーム)という言葉でいろいろなことが語られています。いわゆる宣伝広告費もマーケティングミックスモデルを回すためには、テレビCM、新聞、雑誌、ラジオ、ネットの投下量がデイリーで過去2年分くらい残っているとやりやすいですね。DMPという形で入れていくのがよいですか?

吉沢:そうですね。これはルール、仕組みだと思っています。たとえば、iPhoneアプリで健康管理ツールがあります。何を食べたとか、何時間眠ったとか、体重とかを記録します。

有園:つかっているんですか?

吉沢:つかってます(笑)。あれは結局、「見える化」しているんです。そのときだけを見てもしょうがなくて、過去の推移から、何を食べたらどうなるかを押さえることが大事なんです。企業のデータも同じです。今日のことを考えがちですが、過去の連続が今です。過去のデータを貯めていくことをルール化して、健康管理だったらアプリになりますが、ビジネスのデータ蓄積だとDMPみたいなものになるのかなと思います。

有園:体重アプリをつかって痩せたんですか?

吉沢:一瞬、痩せますね。Fitbitもつかっていたんですが、途中でなくしてしまいました。そしたら体重も増えましたね(笑)

有園:そうですか(笑)。計れないものはマネージできないということですね。DMPというと、サードパーティクッキーの話がでます。オフライン広告のデータなどは、そこに入れてCRMに取り込んで、マーケティングミックスモデリング用の分析データも蓄積したほうがよいですね。

吉沢:そうですね。

有園:スピードに関しては、おっしゃるとおりです。できるだけ早く分析結果がかえってこないと、アクションに移しても意味がない、遅い、ということになるので。社内組織は今後ますます課題ですね。ひとつのブランドであっても、あるテレビCMの担当者は自身の携わっているキャンペーンの投下量は把握していても、隣の席の人が担当している別キャンペーンの投下量は知らなかったり。同じテレビCMでもそうなので、雑誌や新聞、ラジオやネットなど他のメディアのことは、なおさら把握していない状況でしょう。マーケティングでの投下金額は、ほとんどバラバラに管理され、統括されていないのが現状です。

Swimlane(スイムレーン)と言うのがまさしくそのとおりで、自分は平泳ぎしていたけれど、横の人はクロールしていて早く行ってしまったというようなことが現実に起きています。自分たちはクロールで必死に泳いでいるけれど、自社の他部門の人は背泳ぎしていた、泳いでいなかったということがよくあります。他の担当から見ると「なんでそんなことやっていたの?」と言われるような議論が生じます。「見える化」する、共有することは大事ですね。

吉沢:そうですね。

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予測シミュレーション

有園:marketingQEDでは、たくさんのモデルがつくれているわけですが、実際にはどのくらいつかえるレベルですか?予測シミュレーションはどのくらいあっているのですか?

吉沢:マーケティングミックスモデルの3つの要素のうち、予測シミュレーションに関わってくることですが、精度の追及をマーケティングの領域で求め出すと非常に難しいです。絶対的な正解を出しているわけではありませんし、出た示唆で実際にマーケティングミックスを変えて投下すると、現実を変えてしまうことになります。精度は統計的に担保されていれば十分です。マーケティング分野に限っては担保されるか、されないかの二軸でしかないと思います。

大切なことは、いかに予測シミュレーションの結果をビジネスに落とし込み活用するかです。予測して、ベストな予算と配分でも、目標の売上に達することができないという事実が出たときに、このまま積むのか、やめるのか、その判断こそが大事です。担当者レベルではなく、会社としての意思決定に、この結果を活かせるかどうかが最も重要です。5パーセント違うからもっと精度を高めようといった議論は、チャンスを逃している可能性があります。シナリオというか行動規範が作れるかが大事です。

有園:シミュレーションする数字がぴったり合うことはありませんね。

吉沢:まずありません。

有園:あくまで指針です。20億円の広告宣伝費があったとして、それを40億円に増やしたいと思っているときに、40億円に増やすことが統計的に正しい判断なのかを見たいときに役立つものです。あるいは、40億円に増やしたうちの媒体別アロケーションを、どういうふうに変えると過去のデータに基づいて適切なのかを判断する際に、指針として使ってくださいということですね。

指針もなく、前年と同じ金額、あるいは会社の業績が30パーセント伸びたので媒体別の予算も30パーセント増やすよりは、はるかに根拠もあって良いですね。実際、それで売上が改善する例が出てきています。

吉沢:おっしゃるとおりです。まったくテレビCMを出したことがないのに、テレビCMを出したらどうなるか予測シミュレーションすることは難しいです。一方で、新しい商品を出す際、過去の他商品のデータに基づいて、どのように商品が立ち上がり、どのように広告が影響するかを予測することは可能です。

有園:過去に別の商品でデータがあればということですね。

吉沢:そうです。あとは、業界に類似品があるというのが前提です。条件はつきます。なかには、統計よりは担当者の経験や勘を重視する声もあります。でも、そうした個人の経験や勘は、他人に腹落ちする形で説明できない点が課題です。マネージメントへの説明責任が果たせない、担当者が変わるときに引き継げない、そういう問題が生じます。誰にでも客観的に分かる共通言語が統計アプローチです。

(Fig.4)例えば、チーズの売り上げが3年分あり、日別でこのように売れています。「最近、売れ行きが良いな」と思ったとき、分析すると、たとえば3つの変数に分けることができます。3年間に渡る長期のトレンド。そして季節変動。チーズだったら秋から冬にかけて売れて、夏は売れない、とか。このトレンドと季節変動を取り除いたものが、マーケティングやコミュニケーション活動によって増えた売上です。アトリビューション、広告に限って話をしていますが、本来分析するときはトレンドと季節変動を除いた部分(「その他の変動」)を対象にします。分解して考えなければならないのに、できていないケースは多いです。みなさん、頭の中では分かっていて、加味されているのですが、やり方を他人に説明するのが難しいのです。でも、統計的なことは誰がやっても同じように分解できるのがメリットです。しかも、知識としてたまっていきます。それが良いですね。

(Fig.4)

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事業全体の投資のためにアトリビューション

有園:アトリビューションは、財務用語であると言う人がアメリカで出てきています。私がアトリビューションの仕事で企業の役員などにプレゼンすると、年間、広告宣伝費として使っている20億円を40億円にすべきか、それとも20億円の予算で、システムを構築したほうが良いのか、あるいは営業のスタッフを増やしたほうが良いのかといった経営全体のリソース配分の最適化に話が移ることがあります。価格戦略として価格を下げたほうが売上は上がるといった話も含まれてきますが、このようなケースが増えています。某商社からの相談は、グループ企業である保険会社に出資していて、出資の回収として、まずは、広告宣伝費からリアロケーションしたい、さらに事業としてどのように成長するかを見たいので事業全体の、つまり、広告宣伝費以外も含めた事業全体の投資についてアトリビューションをやりたいというものでした。ブレインパッドさんにもこのような相談は多いですか?

吉沢:多くはないですが、ありますね。

有園:実際に分析しているものはありますか?

吉沢:IT投資やヒューマンリソースの投資と比べることは難しいですが、CMOではなくCFOの視点での話はあります。marketingQEDのソフトウェア導入の事例です。資材調達、研究開発、ヒューマンリソース、マーケティング、これらへの投資がどの会社もトップ4になっているはずです。

資材調達は、要素を分解することによって原価が見えてくるので、比較的、投資対効果が見えやすくなってきます。研究開発はライフサイクルに応じた期限を設けると、ある程度のROIが見えます。ヒューマンリソースも労働に対して分配するための分母になるものは見えてきます。これらに比べて、マーケティングへの投資の効果は、見えるようで見えてきません。「テレビCMをやらないとブランド力が落ちますよ」と言われたら、CFOは「それなら数字で示してください」と言います。マーケティングの投資対効果を「見える化」するには、アトリビューションという大きな概念が必要となります。

アトリビューション分析を用いると、「マーケティング全体でどこにどれだけ投資して、どういう効率でどのように回収し、効果があることが分かり、最終獲得はウェブですがテレビCMも必要です」という説明ができるようになります。海外では、こうした事例はCMO向けであるとともにCFOが活用しているケースは多いです。グローバル企業であれば、国や地域で比べられます。国や地域の違いを考えることができ、グローバルROIとして全体的に底上げできるようになります。

経営にはアトリビューション的思考が必須

有園:費用対効果を意識して、投資の回収をはかっていくのは日本全体で必要なことだと思うのですが、現在はクライアント側に課題があると感じています。壁になるのが「分析結果がよく分からない」ということです。分かる人が見れば分かるけれども、統計学を知らない人には何をやっているのか全く分からないという話になります。ブレインパッドさんの方で良いソリューションを用意していたりしませんか?

吉沢:あります。marketingQEDは、統計の知識がなくてもユーザーフレンドリーな画面を見るだけで結果が分かります。ただ、マーケッターや分析結果を見る人は、基礎的な統計の知識は身に付けておいたほうが良いので、当社では実践的な統計の知識を扱う「データサイエンティスト入門講座」を開催しています。企業向けに講座内容のカスタマイズもおこなっています。日本では内製志向の企業が多いかと思いますが、ファーストステップは内製化にこだわらず、まずは外部をうまく使いながら知識を身に付けて、使いこなせるようになってから社内でやるのが良いと思います。

有園:アトリビューションや統計についてアメリカ人と話をしていると、日本との違いに驚かされます。アメリカの大企業の役員クラスは多くの人がMBAを取っていて、MBAの授業に統計やデータ分析があるので、統計に関する知識が身についています。でも、日本の場合は大企業の役員クラスであってもMBAを取っている人はそれほど多くなくて、統計を学んでいない人の方が多いでしょう。日本の大学で学ぶ統計学も、実務で使えるレベルではありません。経営陣の統計学の知識の差が、日本とアメリカの差ではないかと感じています。経営に関わる方は統計学を学んでいただくことで、アトリビューションへの理解、分析結果への理解が高まるのではないかと考えています。

吉沢:弊社の目標は持続可能な社会を作ることです。それを実現するのは、人、モノ、金を適正に配分することで、争いなく配分するには、分析的な視点が必要だと思っています。アトリビューションに関しても、経営に近い方に腹落ちする形で理解していただくことが重要になります。統計的な知識をもっていただいたほうがよいですね。経営資源の配分もある種のアトリビューションですので。

有園:経営者にはアトリビューション的思考が必須ということですね。ありがとうございました。

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【アトリ君の視点】有園も執筆に関わった「アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法」はオンラインアトリビューションを日本で初めて解説した書籍でしたが、オフラインアトリビューションも含め、手法論も含めた形で体系的に説明したものは初めてかもしれません。さらには事業全体のアトリビューションまで進んできており確かな進歩を感じることができました。ただ、課題は多く、「ループをクローズさせる3つの条件」で挙げられたポイントの改善が恐らくどの企業も必須で、組織運営上の各種問題と共に取り組まないといけないことがますます浮き彫りになったように思います。まだまだやることは多いですね!吉沢さん、今回はありがとうございました!

アトリビューション特別対談: 電通からのMBOで、いま注目のイグニッションワンが語る! – イグニッションワンジャパン代表取締役 松本英人氏xアタラ有園

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電通からのMBOで、いま注目のイグニッションワンが語る! デジタルメディアのバイイング最適化とマーケティング自動化ツールを統合した「デジタルマーケティングスイート(DMS)」が実現するアトリビューション分析の自動化
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出会いはサンフランシスコ

有園:本日は、株式会社イグニッションワンジャパンの代表取締役、松本英人さんにお話を伺います。さっそくですが、松本さんが代表に就任したのはいつからですか?

松本:イグニッションワンジャパンの松本です。代表には2012年11月に就任しました。2008年に入札管理ツールのサーチイグナイトが立ち上がった際、創業メンバーとしてジョインしました。

有園:最初は何人でスタートしたのですか?

松本:2人です。すぐに3人目が入り、しばらくは4人でした。

有園:インターネット広告業界に入ったきっかけはなんですか?何年くらい、この業界にいるのですか?

松本:業界歴は、12年から13年くらいです。大学卒業後にサンフランシスコでホテルマンを目指していたのですが、求人広告を見ていたら検索のディレクトリをつくる会社が日本語のできるメンバーを探していて。90年代後半のドットコムバブルと呼ばれていた頃のことです。結果的に「チャレンジしてみよう!」ということになりまして。そこで有園さんにお会いしたんですよね(笑)

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LookSmartの同僚時代

有園:そうでしたね(笑)実は、LookSmart(ルックスマート)という会社で松本さんとは同僚でした。90年代後半にサンフランシスコで一緒に仕事をしていたのです。

松本:懐かしいですね。

有園:LookSmart(ルックスマート)では、日本のマイクロソフトネットワーク向けのインターネットディレクトリをつくっていましたね。

松本:当時、有園さんにライティングを徹底的に鍛えられたことを覚えています。その後、LookSmart(ルックスマート)が日本に上陸するのと一緒に日本へ帰国し、ずっと検索に携わってきました。

有園:ライティング?当時は、ウェブサイトのレビューを書くことが仕事だったんですよね。LookSmart(ルックスマート)の後はどうしたんですか?

ジェイ・リスティングの立ち上げに参加

松本:ジェイ・リスティングの立ち上げに参加し、1年たたずにライブドアに買収されてグループに入り、ライブドアが検索を強化する時期だったのでディレクトリをつくったりしていました。

イグニッションワンに入社したきっかけ

有園:イグニッションワンに移るきっかけはなんですか?

松本:イグニッションワンの前身はサーチイグナイトという会社で、入札管理ツールを開発している会社でした。アメリカのジョージア州アトランタ市で立ち上がった会社です。サーチイグナイトの親会社がイノベーションインタラクティブで、イノベーションインタラクティブが2005年にライブドアに買収されました。当時、私はライブドアにいたのですが、サーチイグナイトをジェイ・リスティングの中で内製しようという動きがありました。その後、縁があってサーチイグナイトを法人化して、ライブドアとは独立した形で会社を立ち上げることになったときにジョインしました。

有園:それが2008年ですか?

松本:2008年の2月です。

資本関係

有園:そのとき、ライブドアの資本は入っていたのですか?

松本:入っていません。

有園:引き続き、イノベーションインタラクティブはイグニッションワンの親会社ということですか?

松本:直接の親会社です。イノベーションインタラクティブが電通ホールディングスUSAにM&Aされたのが2010年の2月で、そのタイミングで電通グループに入りました。

有園:電通ホールディングスUSAの子会社がイノベーションインタラクティブで、イノベーションインタラクティブの子会社がイグニッションワンということですね?

松本:そうです。

サーチイグナイトからイグニッションワンへ

有園:サーチイグナイトがイグニッションワンに名前が変わったのはいつですか?

松本:2011年の4月11日です。

有園:まだ2年くらいなんですね。

松本:はい。そして、今年7月の事になりますがイグニッションワンの経営陣が主導するかたちでMBOを実施し、電通グループ100%子会社の枠を離れて、より独立性を持った事業体として新しいスタートを切ったところです(詳しくは、こちらのリリース)。

共通キーワードは「検索」

有園:90年代に出会ってから、その後もお互いに検索に携わってきたわけですね。

松本:そうですね。ずっと、検索エンジンや検索キーワードに縁がありました。

入札管理ツール戦国時代

有園:イグニッションワンは評判が良いと聞いているので、その理由やアトリビューションについて伺いたいと思います。サーチイグナイトとして営業をはじめたのが2008年ということですが、その頃の日本は入札管理ツールを導入する企業が多かったのですか?

松本:入札管理ツールの認知度が高く、企業も導入の意欲があり、競争の激しい時代でした。海外系ツールも参入していたのが2008年、2009年頃のことです。カタログ化ではないですが、スペックで比較され、ポートフォリオ型?ルールベース?という二択や、ホワイトボックス?ブラックボックス?という話もよく出ました。

ホワイトボックスとブラックボックス

有園:ホワイトボックスは最適化のロジックが分かりやすいという意味で、ブラックボックスは分からないという意味ですね。

松本:事前に根拠が分かりづらいこともあり、広告主に根拠を問われることも多かったです。ただ、我々は当時から透明性を重視し、明確にしていました。事前にどのような入札をするのかチェックできたので、広告主が納得した上でオンにするようにしていました。シミュレーションが出せたので、それも喜ばれていました。

淘汰された今

有園:私の知る限り、2005年ごろから2009年ぐらいの間に入札管理ツールがたくさん登場し、2013年のいまは、ある程度淘汰されたように思います。生き残っている入札管理ツールは、それぞれ特徴が際立っていますね。最近のイグニッションワンの動きを見ていると「もしかしたら入札管理ツールとは呼ばないでほしいのかな?」と思ったりするのですが、そのあたりはいかがですか?

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入札管理ツールと呼ばないで

松本:そのとおりですね。2011年にイグニッションワンとブランド名を変えて、もう一度市場にアピールしたのは、まさにその点です。「サーチ」と社名に入れているとおり 検索畑からスタートしてはいますが、サーチだけでは手狭になってきました。会社名としても実態を表していないのでは?という考えもありました。2009年頃には、イノベーションインタラクティブがネットマイニングというベルギーを拠点としたアクセス解析の技術をもちつつ、行動分析のスコアリング技術に長けた会社をグループ化しました。この会社は、ネットマイニングの技術を応用してサイトに訪問したユーザーの行動を分析し、興味のある商品や購入意向をスコア化する技術をもっており、サイト内を最適化できるようになりました。それを一時、平行して販売していました。

サイト内行動の最適化

有園:サイト内行動の最適化ですか?

松本:サイト内の行動を分析して、一番スコアが高まった最適なタイミングでインタラクションを仕掛けられるのが一番の売りです。あるスコアに達した特定のユーザーへのみクリエイティブを表示したり、LPを最適化したり、コンテンツを差し替えたり、CRMと連動してメール本文をカスタマイズしたり。そうした施策をおこなえるツールと二本柱で販売していました。

有園:ネットマイニングは、サイト内の行動を分析して、その履歴に基づいてスコアをクッキーにつけて、クリエイティブの出し分けができるんですね。旅行系サイトの場合「イタリア旅行に興味がある」というスコアを用意しておいて、そのスコアがたとえば200に達した人には動的にイタリア旅行のクリエイティブ、バナーなどが表示されたり、動的にサイトのコンテンツを差し替えたりできるということですね。

松本:ヨーロッパでは、自動車系メーカーにも導入していただいています。検討期間が長い、最終的にオフラインで購入に至るサービスなどと親和性が高いです。来店したときに使えるクーポンを掲示し、印刷して来店を促すなど、オフラインとの連係に強いツールです。その技術をいよいよ応用していこうということになりまして、サーチだけでなくネットマイニングの技術も統合し、リブランニングしました。

有園:イグニッションワンは、サーチイグナイトとネットマイニングを足したものと考えればいいですか?

松本:はいそうです。

有園:具体的には何ができるんですか?

イグニッションワンでできること

松本:サーチに関しては、ポイントソリューションと呼んでいる、サーチイグナイト時代に培ったものがあります。ポイントソリューションとは、特定のチャネルやジャンルにおいて専門性をもったツールという意味です。バナー広告の配信システムは、ディスプレイというチャネルがあり、2012年から広く出ているDSPのチャネル、ポイントソリューションとしてのDSPがあります。そして、サイト内の最適化というソリューションではネットマイニングがあります。それらのチャネルを横断的にまたいで、すべての機能を統合したもの、広告の統合管理プラットフォームと、スコアやアルゴリズムを使った最適化ツール、この2つが組み合わさったものがイグニッションワンです。

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DSP機能を搭載

有園:サーチイグナイト時代はディスプレイをやっておらず、2011年にネットマイニングがグループ化してイグニッションワンになったということですが、DSPの機能がイグニッションワンについたのはいつですか?

松本:本格的に稼働し始めたのは、2012年からです。

有園:その機能はネットマイニングでもっていた機能ではなく、DSPを開発して、イグニッションワンに組み込んだ。つまり、サーチイグナイト、ネットマイニング、DSP機能の3つがついたものをトータルでサービスしてくれるということですか?

松本:そうです。かつての技術はスコアにつかわれ、ディスプレイもユーザー単位でコンバージョンしやすい人に絞った形で買い付けできるのもDSPの中でも特徴的な機能だと思います。

ポイントソリューションとは?

有園:ポイントソリューションとスコアは同じことですか?

松本:ポイントソリューションはサーチの管理ツール、もしくはDSP単体で販売しているプラットフォームを指しています。

有園:サーチというポイント、DSPというポイント、という意味でしたか。あとは、サイト内行動分析のポイントということですね。それを御社でポイントソリューションと呼んでいて、スコアとは関係ないんですね。それぞれの3つのポイント、ソリューションを組み合わせているということですね。話しが変わりますが、行動履歴をもとにスコアをつけていくとは、具体的にどのようなことですか?

松本:スコアの技術のもとになっている、自動学習のアルゴリズムが裏で動いています。広くつかっている要素は3つあります。まずはページの遷移です。どのページをどのくらい見ているのか。それをネットマイニングの技術を使い、タグ経由で取得しています。滞在時間、ページの遷移の情報が把握できます。項目は100くらいあり、ブラウザの情報や流入経路も管理されています。訪問頻度と最後に来てからの経過時間も取り込んでいます。

有園:フリークエンシーとリーセンシーと呼ばれるものですね。一週間に何回きているか、頻度はどのくらいか、最近いつ訪問したかなどですね。

スコアとは?

松本:スコアの概念は、実店舗を例にサイト訪問を考えると分かりやすくなります。靴屋の場合、見るだけで買わない、冷やかしに来る人がいる一方で、何回も通って自分の足に合ったスニーカーを探している人、購入を検討する人がいます。気の利いた店員であれば「この前もきたな」と覚えておいて、お客様がスニーカーを手に取って数秒経ってから「サイズはいかがですか?」と声をかけるでしょう。適切なタイミングで声をかけ、適切な流れでクロージングまでもっていくのが優秀な販売員だと思います。それと似たようなロジックを、ECサイトなどでも取り入れるべきだと考えています。購入意向が高まっている方をスコア化し、スコアに応じて適切なアプローチをするという技術です。

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有園:それは、ネットマイニングの技術ですか?

松本:そうです。

有園:スコア化する際、DSPの反応も見ているのですか?バナー広告を配信して、反応が良くて、サイトでの行動も良いというような要素も入っているのですか?

松本:ユーザーに対して、どのくらい広告を表示したかという数字はもっています。反応せず、再訪までに時間がかかるケースは、再度訪問するときスコアは割り引かれ、スコアは下がった状態で取り直します。そうした意味では、スコアリングに加味されます。

有園:自然検索経由でバナー広告には反応していないなど、外部から流入してくる情報が加味されてスコアがつくわけですね。

松本:スコアはリアルタイムに変わります。昨日までは商品Aに興味をもっていたユーザーが、明日には別の商品に興味がうつっているケースもリアルタイムに対応できます。RTBの入札の場合は特に重要な部分なのでご好評いただいています。

スコアを使ってできること

有園:スコアを使って広告主にはどういうソリューションが提供されるのですか?サイト内が動的に変わる以外に何かありますか?

松本:さきほどのポップインでインタラクションを仕掛ける場合、オンサイト最適化と呼んでいるサービスがあります。もう一つは、DSPを使ったバナーのアドエクスチェンジ経由でユーザーが掲載面のページに訪れたとき、DSPを介してバナー広告を表示できます。これを「スマートリマーケティング」と呼んでいます。スコアを加味した精度の高いリターゲティングができます。

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リターゲティングの方法

有園:一般的にリターゲティングというと、サイト内に「イタリア旅行のページに来た人にリターゲティングします」「フランス旅行にきた人にリターゲティングします」とタグを入れますが、こうした設定をするんですか?

松本:はい。

有園:スコアが高いという条件が加味されて配信されるわけですね。スコアの高さでクリエイティブは調整できるんですか?スコアが100までの人には海外旅行という抽象的なクリエイティブを、200までの人はイタリア旅行という具体的なクリエイティブをというように。

松本:キャンペーンをそれぞれのシナリオに基づいて設計することで、実現できます。

有園:とてもよいですね。

松本:設計の自由度は高いです。ユーザーとスコアに応じて、シナリオ別に設計できます。DSPはゴールさえ入れれば後はお任せというソリューションも多いですが、我々はカスタマイズ可能な運用型の設計です。

有園:リターゲティングでDSPを設定する軸は、リターゲティングのタグを広告主のどのページにはるか、イタリア旅行に興味がある人のスコアが高いか低いか、それ以外は入札金額といった軸があると思いますが、この3つくらいですか。

松本:あとは再訪から何日経過しているかですね。再訪期間のターゲットです。昨日、来た人だけをターゲットにすることができます。時間帯別もできます。

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CRMとの連携

有園:さきほどCRMと連携する話がでましたが、ここ一か月で10万円以上購入している人のみをターゲットにすることもできるんですか?

松本:お客様がお持ちのデータベースと連携する必要がありますが、オンサイト用のクッキーIDと簡易IDを紐づけることで、ある程度できます。

有園:実施している広告主はいますか?

松本:カスタマイズが必要ですが、ワールドワイドではニーズがあります。

有園:日本国内では?

松本:そこまで大がかりな取り組みはまだありません。

有園:これから出てきそうですね。楽しみです。

松本:訪問した結果の情報はお持ちだと思いまが、どういう経路で購入に至ったかは見えてこない部分です。だから、コンバージョンを底上げする施策として、我々のサービスを使っていただけたらと思います。タグを入れるだけで、インタラクティブなアクションは自動的に学習していき、手離れがよくて楽です。ユーザーを想定する必要がありません。AとBとCというサイトを訪れ、何秒滞在した人を、どういうクラスターにするといった仮説でつくる必要がなく、そこは自動的に統計でならして考えていきます。一度いれてしまえば自動学習で最適なタイミングとスコアを導き出すので、あとはお任せで回していただければと思います。商品Aを買ったお客様が、二番目に興味があった商品Bの存在は、結果論としてなかなか見えてきません。でも、会員IDと紐づけると把握できるようになります。把握できれば、レコメンドで「商品Bをいかがですか?」とマーケティングできるようになります。

行動履歴に基づいて施策を変える

有園:いまの話だと、商品Aを買ったけれど、行動履歴を分析してみると、その過程で商品Bが二番目の候補であった可能性が分かるのと。商品Bを勧めれば買ってくれるかもしれないというわけですね。クロスセルを仕掛けるためにレコメンデーションをDSPでバナー広告を配信してもいいし、サイト内で何かしら動的にメッセージを出してもいいわけですね。

松本:いまの時点では、DSPをリアルタイムに反映することはできないのですが、データはもっています。二番目に興味のあった商品にカスタマイズしたメールを配信したり、画像に差し替えたポップインを出したりはできますね。

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有園:行動履歴に基づいてサイト内のコンテンツを差し替えられるし、バナー広告も対応できるということですね。サーチはどうですか?リスティング広告とか。

リスティング広告をスコアの技術で最適化

松本:リスティング広告でもスコアの技術を加味して最適化できるように進めています。現時点では、サイトを訪問したユーザーが、キーワードAを踏んで滞在していた場合、どのページをどのくらい滞在していたか、興味があった商品ジャンルがどれであったかを、キーワード単位で取得できます。それを見ながら、ビックキーワードで入られた方が、サイト内のどのページに最も興味をもっていたかが分かるので、それに応じてクリエイティブを変えるなどもできるようになります。ブランディングが目的の広告主に有効な指標だと思います。ブランド系のビックキーワードが実際にどこで一番滞在につながっているのかを把握することで、入札が適切であったかを判断できます。コンバージョンだけでなく、エンゲージメントの指標をもつことでリスティング広告の入札にも活かせるようになります。

有園:たとえば、トヨタ、ホンダ、日産、マツダといった自動車メーカーや、ソニー、パナソニックなどの家電メーカーだと、商品を個別に紹介するページを設けています。トヨタだと、お客様は「トヨタ」というキーワードを入れているし「トヨタ 自動車」と入れたり「プリウス」「カローラ」など車種名を入れたりすることもあるでしょう。それらのキーワードで入ってきたユーザーに対してランディングページが決められていますが、キーワードごとに滞在時間の長さや遷移ページ数の多さ、どのキーワードで入ってきたときに、どのページをよく見ているのかが分かるので、その情報を使って入札や広告のクリエイティブを修正することに反映できるというわけですね。

松本:いかがですか?

有園:けっこう良いですね。

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松本:ヨーロッパの事例では、ブランド系企業がサイトで情報提供してオフラインに誘導する設計で、エンゲージメントを見て効果を発揮しました。いままで見えていなかったインサイトを発見できるのが大きいです。

デジタルマーケティングスイートとは?

有園:御社もデジタルマーケティングスイートという言葉をつかっていますが、ネットマイニング、サーチイグナイト、DSPの機能をまとめて、デジタルマーケティングスイートといっているのでしょうか?

松本:バーティカルな機能を単体で使うことはもったいないので、すべてのチャネルの管理を一つのプラットフォームですることで、同じモノサシで評価すべきだろうという発想があります。アトリビューションでも重要なキーですが、アトリビューションを加味して最終的に適切な評価をするための、統合管理プラットフォームに位置付けています。そのなかで、デジタルマーケティングスイートはしっくりくるネーミングです。2011年以降は管理画面の中にもデジタルマーケティングスイートという言葉が出てきますし、デジタルマーケティングスイート.comというドメインもイグニッションワンがもって情報サイトを運営しています。

有園:御社の考え方だと、デジタルマーケティングスイートを実現するには効果測定が中心にあるのでしょうか?

松本:そのとおりです。

アトリビューション分析もできる

有園:イグニッションワンの中でアトリビューション分析結果がレポートとして出てくるのでしょうか?

松本:柔軟に設定可能です。ラストクリック評価ではなくファーストクリック寄りの評価が正しいのか、均等配分のモデルが正しいのか、評価をどのような軸で持つかを決めていただき、それに合せて各チャネルの効果測定も自動的に反映されます。求めていく各チャネル間の予算配分も、チャネルの貢献度を評価した上で決めて、バーティカルで回すべきところの最適化、それぞれアトリビューションを加味された最適化を、恒常的にかけてゴールを達成するのが我々の目指すところです。

有園:イグニッションワンを使うと、サーチ、自然検索やリスティング広告がとれて、ディスプレイもDSPという形でとれて、サイト内の行動履歴がスコア化されて、アトリビューションのモデルも選べて、それらを加味したレポートが出てきて、なおかつ設定さえしていればアトリビューション分析結果がリスティング広告の入札価格やクリエイティブに自動的に反映されるという理解でよいですか?

松本:データとしてはすべてそろいますが、レポートは管理画面上で細かい部分までは見られません。近々レポート画面の刷新を予定していますが、まずはカスタムレポートとしてお出しすることになります。その中でレコメンデーションとして全チャネルの可視化、貢献度の分析、最適なモデルをレコメンドし、アドバイスさせていただきます。

有園:ある程度の期間に基づいてアトリビューション分析し、予算のリアロケーションするレコメンドはするけれど、実施するかの判断や設定は広告主や代理店がするわけですね。リアルタイムに自動で設定の変更が行われるわけではないということですね。

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松本:レコメンド後の実施は簡単にできます。

有園:勝手に変えられたら困る代理店も多いでしょうしね。御社以外のDSPデータもとれるんですか?

DFA、メディアマインドと連携

松本:DFA、メディアマインドと連携が実装済みです。第三者配信のアドサーバーを介してデータの取り組みは可能です。

有園:アフィリエイトや純広告も第三者配信経由でとれるわけですね。

松本:ポストクリック計測が主流ではありますが、第三者配信が可能な場合は、ビュースルー計測も可能です。

有園:第三者配信に対応しているバナーであればビュースルーのトラッキングもできるし、ヤフーのブランドパネルなどもクリックトラッキングで取得できる。メールも、HTML形式メールであればトラッキングできるということですね。

松本:テキスト形式メールでもリンクを入れていただければ取得できます。

フェイスブック広告も計測できる

有園:開封を計りたいときはHTML形式メールでしたね。イグニッションワンを入れると、オンラインのマーケティング施策については、タグがはれる限り計測できるわけですね。フェイスブック広告はどうですか?

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松本:できます。計測用リンクをいれればフェイスブック経由の導線も計測できます。

有園:計測用リンクは広告ではないフェイスブックのニュースフィードにも入れられるのですか?

松本:広告の一貫としてのフィードであればサポートしています。イグニッションワンからAPI経由で計測できます。さきほどのメルマガのような感覚ではっていただき外部に飛ばすときは計測できます。

計測できないもの

有園:計測できないものはありますか?

松本:スマートフォンのアプリです。

有園:御社のDSPはスマートフォンでも対応しているのですか?

松本:課題があり未対応です。

マーケットの様子

有園:御社から見た競合はどこですか?

松本:サーチはマリーン、ソーシャル領域でも展開されているKenshoo、デジタルマーケティングスイートだとアドビなどが方向性の似ているプレイヤーだと思います。

有園:日本での営業状況はどうですか?

松本:サーチはもちろんのこと、ディスプレイの部分が伸びています。直接の問い合わせも多いです。

有園:利用している広告主やアカウント数はどのくらいですか?

松本:現状200前後くらいです。

有園:資本関係のお話にも関連して、先日のMBOによって電通グループの100%子会社から離れられたわけですが、日本の広告代理店の人や業界の人たちは、イグニッションワンは電通しか取り扱えないようなイメージがありましたが、直接取引もできるんですね?

電通しか取り扱えない?

松本:電通・関連グループの皆さんとは引き続き良好なパートナー関係を築いていく方向に変わりはありませんが、MBO実施の背景には中立なポジションで広くサービス展開をしていきたいという思いが原動力になっているところがありますので、直接取引はもちろん、今までお取引のなかった代理店様とも積極的にお付き合いしていきたいと考えています。

有園:電通以外の広告代理店とも取引できるんですか?

松本:できます。そこは柔軟です。

有園:最後に伺います。イグニッションワンの開発の方向性やロードマップはいかがですか?

ディスプレイ版のポートフォリオ最適化

松本:バーティカルな話ですと、各分野の機能開発は1年先まで予定が埋まっています。DSPの配信、買い付けに関する「ディスプレイ版のポートフォリオ最適化機能」の実装を急いでいます。数か月以内に実現する予定です。ダイナミッククリエイティブにも力を入れていて、既に国内でも提供を開始しています。同時にユーザーの興味関心の高い商品を動的に表示する「レコメンダー」の機能もブラッシュアップをかけています。

有園:なるほど。

サーチとディスプレイを一緒に最適化

松本:あとは、今後、サーチとディスプレイの予算配分をできるかぎりオートパイロットというか、モデリングが終わって出てきた結果に対して、最適なお題を自動的に回す、サーチとディスプレイの配分も包括した最適化がおこなえる。このような状況に、現状サーチは出来ているんですが、ここにディスプレイが乗っかって、最終的にはサーチとディスプレイが一緒の最適化できるようにしたいですね。お題を一個入れればすべてが回るような。それが現状のゴールですね。

有園:いまの話を分かりやすく言うと、「お題」というのはCPAを1000円以下で回すとかそういうものですか?

松本:もしくは、投下する予算を入れて、それに対するリターンがどれだけ入ってくるかとうところの、目標値を設定するということです。

有園:そのとき普通、1000万円予算があったら500万円をリスティング広告、500万円をDSPというみたいに設定を人間がやって、その範囲で動いていくわけです。しかし、リスティング広告とDSPを統合した目標を設定し、1000万円という予算の中で効果が高ければDSPの予算が700万円になって、リスティング広告が300万円になるみたいなことを、リアルタイムに自動でやってくれるわけですか?

松本:そうです。

有園:裏でアトリビューション分析が回るのですか?

松本:そのとおりですね。現状、それに近いことを裏側でやっていますが、インターフェース側に反映させていくのがゴールの一つです。

分析から実行までを自動化

有園:データを一か月とか取得して、モデルを決めて、御社側で分析した結果、推奨モデルを導き出してくれて、そのモデルからリアロケーションしてレコメンデーションするという話が出ましたが、レコメンデーションを実行に移すということを自動でやろうとしているという理解でよろしいですか?

松本:はい。そこは理想形としてあります。

有園:今年中には実装してくるのでしょうか?

松本:今年中には頑張りたいですね。年内の大きいところとしては、管理画面の予算進捗のアラート機能の強化はもちろんしますし、アトリビューションのパスのレポートですとか、ビジュアルとして管理画面上で確認できるようにします。

有園:アトリビューションのパスのレポートというのは、コンバージョン経路のレポートということですね?

松本:はい。そのとおりです。

有園:ある程度、パターン化して見やすくしていくわけですね。それ、難しいんですよね。

松本:どうですか?

有園:御社くらい技術があればできると思います。

松本:いろいろな組み合わせのパターンがあって、それをある程度グループ化して、例えばディスプレイが前半強い傾向にあるとかを視覚化できるようにしたいですね。

動画の対応

有園:ちなみに、動画の対応はどうですか?

松本:動画のDSPの話もありまして、いま検証中ではありますが、進化も早い分野なので対応予定です。あとは在庫との兼ね合いで、どのくらい立ち上がってくるかが決まりますね。

有園:在庫というのは、動画の在庫のことですか?

松本:そうです。

有園:オーディエンスやリターゲティングのロジックで、動画が配信できるようになると効果が高そうですね。

松本:はい。

データマネージメントプラットフォーム

有園:今年のトレンドである、データマネージメントプラットフォームについても伺います。御社はCRMデータと連携できるそうですが、それってちょっとしたプライベートDMPに近い形になってくると思います。サイト内の動線がとれていて、そのクッキーIDと会員IDを紐づけて、CRMと連携するのが一つのプライベートDMPの形です。そうすると、御社のDSPの買い付けはBlueKai(ブルーカイ)などとも連携しているのですか?

松本:ケースとしては試しています。プライベートDMPにも注目していまして、方向性としてはそちらにも動いています。重要なのはファーストパーティデータ、サイト内のデータ、もしくはサイトですでにとられている会員のデータを、さらに活用しようとすることです。サードパーティのデータはボリュームがあるので、それをマージすることによってターゲティングの範囲が広がると思います。でも、それに対して入札のロジックをどう紐づけるかが課題になってきます。サイト内で取得したデータをブラッシュアップして、それに紐づけて、お客様が持っているデータを、まずは活用できるようにするのが先かなと思っています。「第三者のデータを連携しないの?」と聞かれることがありますが、まずはファーストパーティの部分でもっとできることがあると考えています。あとは、入札のロジックはブラッシュしやすいところなので、そこを研ぎ澄ましていくことがファーストステップかなと感じています。

有園:そうはいっても、DMPを日本で導入している企業はほとんどないですからね。いわゆる、第三者のサードパーティとしてのデータとかいう意味では、まだこれからということですね。

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松本:ディスプレイも盛り上がってきていますし、リスティング広告とディスプレイがようやく同じくらいの予算規模で取り組まれるようになりました。両輪で回して最適化をおこなえる時代にきているので、我々もビジネスチャンスだと思っています。機能も営業も強化します。アドテク大好きで新しいうねりの中に飛び込んでチャレンジしたい仲間を募集しています。

アドテク大好きでチャレンジしたい仲間を募集中

有園:絶賛採用中ですね。いまは何名くらい、いらっしゃるのですか?

松本:6名です。

有園:何名くらいにしたいのですか?

松本:ビジネスが盛り上がっていけば、倍にはしたいですね。

有園:けっこう売れているので人が足りなくなってきたわけですね。良いことですね。今後も御社の動向に注目しています。ありがとうございました。

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(END)

【イグニッションワンジャパンの概要資料ダウンロード】
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【アトリくんの視点】統合管理プラットフォームは、統合環境であるがゆえのメリットを活かしつつ、統合環境をさらに拡大するスピードを担保するために、内部で実装する機能部分と、外部ツールやデータとの連携部分の絶妙なバランスが重要だと思いますが、イグニッションワンはとてもいいバランスで進化している印象です。統合管理プラットフォームの最大の強みの一つは測定環境の一元化であるわけで、アトリビューションによる可視化も大きな部分ですね。定点観測しつつ、高速にPDCAを回して運用するユーザー企業の出現も先の話ではなさそうですね。松本さん、ありがとうございました!

【国内コラム】「アドテクノロジーが顧客の行動を通じてマーチャント側とメディア側をつなぐ」靴とファッションの通販サイト「LOCONDO」のアドテク活用史

先日行われたMarkeZine Day 2013 Premium Ad Technology Specialの講演がMarkeZineにて連載がはじまりました。。その中で、靴とファッションを取り扱う通販サイトLOCONDOのマーケティングディレクターの平塚裕司氏の基調講演でLOCONDOのアトリビューションとアドテクノロジーの活用が紹介されています。

「アドテクノロジーが顧客の行動を通じてマーチャント側とメディア側をつなぐ」靴とファッションの通販サイト「LOCONDO」のアドテク活用史
http://markezine.jp/article/detail/18460

特筆すべきは、氏の「ひたすらPDCAを回すことで、担当者に経験値が蓄積し、いわば”アドテク・アトリビューション職人”と呼べるまでにコントロールできるようになったのです」という言葉に集約される、様々なツールの管理運用を自社内で、高速にPDCAを回しながら行っていた点にあると思います。

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【アトリくんの視点】アトリビューションを専門とする”職人”が現時点ではほとんど存在しない中、自社内で活発にPDCAを回し経験値を蓄積していくのはとても素晴らしい取組みですね!