アタラ

テレビCMに検索キーワードが入るまで、そして、そこから学んだこと(前編)

この7月まで「MarkeZine(マーケジン)」で連載記事を書いていました。その連載の最後に書いた「テレビCMの投下量と検索数、そして売上げとの相関関係は?オフラインアトリビューションの基本【アトリビューション編:第6回】」という記事に関して、いくつか問い合わせや質問を頂きました。

自分としては、そんなに質問がくることは想定していなかったので少しビックリしていたのですが、ちょうどそのとき、ある総合広告代理店の人から「この記事の中で取り上げられたテレビCMと検索数の相関についての問い合わせは、いまだに広告主から多いのだが、総合広告代理店の中に検索からテレビまでを語れる人材が育っていなくて少々困っている」という話を聞きました。

そこで、私自身の経験から、マス広告と検索の相関に興味を抱いたきっかけや、そこから学んだことなどを書いてみたいと思います。

ひらめきは「ど忘れ」から

最初にこのアイデアを思いついたのは、ある体験がきっかけです。ある日、朝起きてすぐにパソコンに向かってインターネットをしていました。たぶん、二日酔いだったと思うのですが、頭がボーッとしている感じでした。

そのとき、関係者の方には大変申し訳ないのですが、「au」あるいは「KDDI」という名前を失念してしまい、なかなか出てこなかったのです。「あれ、あれだよ」と心の中で叫んでも、脳のシナプスがつながっていない感じで、思い出せないのです。思い出せないことにイライラしながら、とっさに思いついたのが「仲間由紀恵 ケータイ」というキーワードで検索することでした。

「仲間由紀恵 ケータイ」で検索

たしか、2002年のことだと思います。当時は、仲間由紀恵さんがauのテレビCMに出ていたんです。だから、「仲間由紀恵 ケータイ」で検索すれば、そのテレビCMの広告主であるauかKDDIのウェブサイトが検索結果に出てくるだろうと期待しました。つまり、検索すれば「仲間由紀恵さんがテレビCMに出ているケータイブランド」を探せると思ったのです。

ところが、Googleで検索しても、Yahoo!Japanで検索しても、検索結果の1ページ目には出てきません。2ページ目に行っても、3ページ目に行っても見つかりません。やっと、5ページ目ぐらいになって、ちょっとだけそれらしき情報が出てきて、「あっ、そうだ。auだ」と思い出すことができました。

検索しても出てこない

このとき、自分が最初に思ったのは、「あー、残念だな。検索エンジン対策、ぜんぜんできてないな」ということでした。

ブランド名を失念してしまった自分が悪いのかもしれませんが、検索してもなかなか欲しい情報に辿り着けなかったことで、私はかなり気分を害していました。その結果、KDDIに対してマイナスイメージを持ったのです。「せっかく、こっちが検索して探しているのに、こんなに時間をかけないと見つからないなんて」と。

そして、次の瞬間。「同じような検索行動をしている人は他にもいるのではないだろうか」「テレビCMやその他の広告で得た情報やイメージを基にしてそのブランドを検索する人は他にもきっといるハズだ」。そう思ったのです。

テレビCMで検索ボックスを表示する

そのときです。テレビCMで検索ボックスを表示してキーワードを訴求すれば、そのキーワードを見て検索する人がいるのではないだろうか?同時に、検索エンジン対策として、そのキーワードでリスティング広告やSEOを施しておけば、検索した人を確実にウェブページへ誘導することができるのではないだろうか?と思いついたのです。

そうすれば、自分と同じようにテレビCMで得た情報に基づいて検索した人が、そのブランドのウェブサイトが見つからずにイライラすることもなくなるのでないか。それに、ブランド側もイメージを毀損せずに済むハズだ。ブランドに関連するすべての情報で検索エンジン対策を施せば、自分が経験したようにユーザーにイライラされて悪いイメージを持たれずに済むだろう。

このようにして、「仲間由紀恵 ケータイ」で検索したことをきっかけに、テレビCMやその他のマス広告に検索ボックスを入れるというアイデアを思いついたのです。

リスティング広告の知名度ゼロ時代

当時はまだ、リスティング広告について知っている人が少なかった時代です。

私は1990年代後半からサンフランシスコにあるインターネット検索ディレクトリの会社で働き、2000年に日本へ戻ってきたあともインターネット広告関連の仕事に携わっていました。そのため、日常的に仕事でもプライベートでも検索エンジンを使っていました。

それまでの経験から、「リスティング広告は必ず普及する」と思い、近いうちに、オーバーチュア株式会社(現、ヤフー株式会社)かグーグル株式会社に転職したいとも考えていました。

そのため、リスティング広告のことも、アメリカのウェブサイトなどを読んで独学していたのですが、実際に、その後、オーバーチュアとグーグルで働くことになり、テレビCMの投下量と検索数の相関調査の仕事をし、そのような企画に関わるようになるとは夢にも思っていませんでした。

つまり、「仲間由紀恵 ケータイ」で検索したときは、思いつきレベルでアイデアは浮かんだのですが、それを実現させようという意図はなく、しばらくは、すっかり忘れていました。

オーバーチュアに転職

私はその後、縁あってオーバーチュアに転職し、リスティング広告の拡販に従事するようになったのですが、ある総合広告代理店に対する営業を担当するまでは、そのときのアイデアを思い出すことはありませんでした。

オーバーチュア入社後しばらくして、総合広告代理店の担当営業になりました。総合広告代理店にリスティング広告を売ってもらうのが自分の仕事になったのです。2004年のことです。

リスティング広告を売ってもらえない!?

当時の総合広告代理店は、リスティング広告に限らずインターネット広告自体を積極的には取り扱っていませんでした。そのため、いくら説明して回っても、一部の人にしか興味を持ってもらえません。なかなか理解を得られません。総合広告代理店は何千人ものスタッフを抱えています。すべての人に説明して回るのは不可能に思われました。

「どうしたら、この人たちに興味をもってもらえるのだろう?」「どうやったら、この人たちにリスティング広告を売ってもらえるのか?」そのようなことを考えるのが日課になりました。

マス広告とリスティング広告のセット販売

そのときに、彼らが得意とするマス広告、とくにテレビCMとリスティング広告をセットで販売してもらえたら楽なんだけどな……という考えが浮かんだのです。そして、「仲間由紀恵 ケータイ」で検索したときの、あのアイデアを思い出したのです。

すぐに企画書を書いて、オーバーチュア社内で同僚や上司に見てもらいました。後になって、「マス連動」とか「テレビCM連動」と呼ばれるようになったのですが、そのときの企画書には、「テレビCMとリスティング広告のセット販売企画商品の開発について」というようなタイトルをつけた記憶があります。

そのようなセット販売を総合広告代理店にしてもらうには、テレビCMの投下量(具体的には、GRP:Gross Rating Point)と、そのテレビCMに関連するキーワードの検索数に正の相関があることを示さなければならないと思い、その相関関係を調査することも、企画書には入れておきました。

その調査でうまく正の相関が示せれば、テレビCMでキーワードを訴求すると同時にリスティング広告を広告主に買ってもらうというセット販売が可能になり、オーバーチュアの売上も上がるだろうと考えたのです。

それに、テレビCMと一緒にリスティング広告を語ることによって、総合広告代理店の人たちがリスティング広告に興味を持ってくれるかもしれないと、少なからず期待を抱いていました。

テレビCMを30本分析

オーバーチュア社内では上司からすぐにOKがでたので、アポを取り、企画書を持っていきました。どんな反応を示されるかまったく読めなかったので、内心はドキドキしていました。企画書を総合広告代理店のある方に見せたところ、「これは面白いかもしれない。ちょっと待って、メディアマーケにこういうのに興味がありそうな奴がいるので呼んでくるから」と言われ、しばらくすると、そのメディアマーケティング部の人を連れて会議室に戻ってきました。話はトントン拍子で進み、簡易的な調査をすることになったのです。

調査はまず、メディアマーケティング部の人が検索を誘発しそうなテレビCMを、たしか約30本選んでくれ、それらをすべて私が視聴することからスタートしました。

一般の視聴者がそれぞれのテレビCMを見たときに、検索しそうなキーワードをリストアップしていきました。だいたい、1つのテレビCMに対して30個から50個ぐらいのキーワードをリストアップしました。

たとえば、その企業名、ブランド名、サービス名、商品名、キャッチコピー、出演しているタレントの名前など。それらを掛け合わせたキーワード。それらの打ち間違いや変換ミスのキーワードなどです。

回帰分析で検索数とGRPの相関を調査

そして、リストアップしたキーワードの検索数を日別でオーバーチュアのデータベースから抽出し、調査対象のテレビCMのGRP日別推移データと照らして、正の相関があるかどうかを回帰分析で調べていったのです。

当時からオーバーチュアの提携パートナーにYahoo Japan!があったので、オーバーチュアのデータにはYahoo Japan!のデータも含まれており、調査するには十分なデータを保持していました。

2004年当時のオーバーチュアは急成長している時期で、深夜まで残って仕事している社員が多かったです。私も、通常業務が終わるのは夜10時ぐらいというのが平均でした。通常業務が終わった後に、リストアップしたキーワードの日別検索数の推移をオーバーチュアのデータベースから抽出し、テレビCMのGRPデータとの相関を調べていきました。

オーバーチュアのデータベースからデータを抽出するのに意外と時間がかかり、テレビCM1本の分析を終えるのに数時間かかりました。そのため、午前3時〜4時ぐらいまで作業して1日あたり数本というペースで調べていったのです。

投下量に連動して検索数は増えない!?

調査を始める前は、10本ぐらい調べればテレビCMと検索数の相関を示すことができるだろうと、甘い考えを持っていました。しかしながら、いくら調べても、テレビCMの投下量に連動して検索数が増えているケースが出てきませんでした。

約2週間、毎日午前3時から4時頃まで一人オフィスに残り、黙々と作業を続けていました。20本を超えたあたりで、私は、もう、諦めていました。「これはダメだな。このやり方ではいい結果はでないんだ」と。

「テレビCMを見て検索している人もいるハズだ」という考えは変わっていませんでしたが、「回帰分析で統計的に有意な結果がでるほどは影響していなんだ」とすでに諦めていました。ただ、せっかく総合広告代理店の人たちが協力してくれたので、最後まで調べて、その調査結果を資料にまとめてお返ししないとならない。そんな義務感に駆られて、残りの調査を続けたのです。

残り3本になったときでした。テレビCM1本あたり、30個から50個のキーワードのデータを抽出し、それを加工してキーワードごとにチャートを作っていました。

約30本のテレビCMを対象に、その時点ですでに1000個以上のチャートを作り、すべてがダメな結果となり、さすがにウンザリしていたときです。

「パケ・ホーダイ」の綺麗な相関関係

意気消沈して諦めていた矢先、光が射したのです。綺麗に正の相関を示すテレビCMとキーワードが見つかったのです。もうダメだと思っていたので、自分でも目を疑いました。

それは、NTTドコモの「パケ・ホーダイ」です。「パケ・ホーダイ」は、2004年3月24日に報道発表のリリースがあり(当時のリリースがウェブサイトに残っています。こちら)、2004年6月1日にサービスを開始していました。そのサービスの宣伝のためにテレビCMを投下したのです。

ハッキリは覚えていませんが、たしか、5月の半ば頃から6月前半にかけて大量にテレビCMを投下していました。「パケ・ホーダイ」という言葉は新しくできた造語だったため、リリースが出た3月24日以前の検索数はゼロでした。世の中に存在しなかったキーワードなので当然です。

リリースの日を境に検索数が発生します。ただ、リリース直後の検索数は本当に数少ないものでした。それが、5月半ばのテレビCM開始と同時に爆発的に伸びていきます。しかも、日別のテレビCMの投下量(GRP)と連動して検索数も増加していったのです。そして、テレビCMの投下量がピークに達すると検索数もピークに達し、徐々に減少、テレビCM終了後しばらくして検索数もゼロに近づいていくという推移でした。回帰分析をしなくても、グラフを見ただけで、誰が見ても相関していると思える結果でした。

テレビCM約30本の調査を終えて、結局、正の相関を示すことができたのは、この「パケ・ホーダイ」1本だけでした。調査結果を資料にまとめて、総合広告代理店のメディアマーケティング部の人に持っていきました。

私は、1本だけしか良い結果を得られなかったので、調査結果が好意的に受け止められるかどうか不安でした。しかし、その人は非常に前向きに捉えてくれたのです。「1本でもあれば十分ですよ。テレビCMの投下によって検索数が増加しているケースが見つかったんだから」と評価してくれました。

新しいものは広告効果が高くなる

そのとき、その方に教えてもらったのですが、新商品や新サービスは一般的に広告効果が高くなる傾向があるとのことでした。つまり、「パケ・ホーダイ」は新サービスなので、その傾向に合致していたのです。

これは、いわゆるプロダクト・ライフサイクル理論でいう導入期の商品やサービスということになります。導入期→成長期→成熟期→衰退期という4つの段階の中で、最初の導入期は商品の認知を高めるために広告宣伝費がかかるということなのですが、それは、導入期にきちんと広告を打つことが大事だということも意味しています。

その後にさらに調査して分かったことですが、新商品や新サービスは、テレビCMの投下と検索数が綺麗に相関するケースが多いのです。あるいは、テレビCMで新しいキーワードを訴求した場合も、検索を誘発しやすいようです。

「パケ・ホーダイ」は新しいキーワードであり、テレビCMが投下される以前はほとんど検索数がなかったことがポイントでした。当時、「トヨタ」や「ユニクロ」などのキーワードは、月間平均で100万回〜200万回という規模で検索数が発生していました。そのような場合、テレビCMの投下によって、仮に月間10万回の検索数を誘発していたとしても、元々の母数が大きいので、テレビCMの投下が影響しているのか、季節変動なのか、それ以外の何かが影響しているのか、見極めるのが難しいのです。

極端にいえば、月間10万回の変動も誤差の範囲になってしまいかねないのです。このことが、テレビCM約30本を調べても良い結果を得られなかった主な理由だったと思います。

分析に最低限必要な投下量とは?

このときの簡易的な調査では、テレビCMが投下された期間(2週間から3週間程度のものが多かったように記憶しています)を対象にして、前後3ヶ月ぐらいの検索数のデータを調べていました。

このやり方では、「パケ・ホーダイ」のように分かりやすいものしか良い結果を得ることはできません。オフラインアトリビューション分析に関わるようになって分かったことですが、たとえば、1年以上の期間に渡るデータを取得して、テレビCMのGRPと検索数やウェブサイトへのアクセス数などを調べると、より良い結果を得ることができるようです。

また、これも後で分かったことですが、テレビCMの投下量も一定のボリュームがないと、なかなか良い結果を得られないようです。

先日も、ある通販会社の人から「テレビCMを投下してもあまりウェブサイトのアクセスが増えたようには思えないんです」と相談されました。データを見せてもらうと、3ヶ月で2000GRPほど、月間平均では700GRPぐらいのテレビCMを投下していました。しかも、とくに新しい商品やサービスはなく、新しいキーワードがないためブランド名を訴求している状態でした。

予算などの懐事情もあるとは思いますが、これまでの経験では、月間2000GRP以上ぐらいのテレビCMを投下しないと、あまり良い結果は得られません。そして、できれば、新しいキーワードがあると良いのです。

はっきりは覚えていませんが、約30本のテレビCMのうち、半分ぐらいはGRPの投下量がそれほど多くなかったと記憶しています。投下量の少ないことも、あまり良い結果が得られなかった理由だったと思います。

話を戻します。「パケ・ホーダイ」の例は、メディアマーケティング部の人に指導を受けながら事例としてまとめ、総合広告代理店の社内用資料を作成しました。その資料をもって、インターネット関連の部署へ説明に回り、部会などで報告させてもらったりしました。

“ぶら下がり”でキーワードを出してみることに

それからしばらくして、インターネット関連の局の局長代理の方から声をかけられたのです。「有園さん、今度、ぶら下がりでキーワードを出してみることになったよ」。私は、「えっ、ぶら下がりって何ですか?」と聞き返してしまいました。どうやら、ぶら下がりとは、テレビCMの最後1秒ほどのことで、そこにキーワードを表示させるということでした。

トヨタist「ほっぺの理由」

それは、トヨタistのテレビCMでした。2004年9月10日頃が最初だったと思いますが、「ほっぺの理由」というキーワードをテレビCMの最後に表示して、リスティング広告でそのキーワードを入札したのです。

はじめてテレビでこのCMを見たときは、さすがに熱いものが胸にグッと込み上げてきました。そのぐらいの達成感がありました。

トヨタistのテレビCMは、たしか、8月から流れていたのですが、期待したほどウェブサイト側にアクセスが流れてこないということで、テレビCM内でキーワードを表示させてみることになったようです。

リスティング広告と連動させる試みは、最初は1ヶ月ほどの予定でしたが、それなりに評価されたようで、その後も延長して3ヶ月以上続いたと記憶しています。いわゆる、テレビCMとリスティング広告を連動させた(マス連動の)最初のケースだと思います。

三井不動産「芝浦の島」

翌年の2005年3月頃だったと思いますが、三井不動産のマンションのテレビCMで「芝浦の島」というキーワードをテレビCMに表示して、リスティング広告と連動させるというキャンペーンがありました。(私が担当していた総合広告代理店とは異なる総合広告代理店の仕事だったため、私はこの仕事には関わっていません)

NEC「Nを追え」

その後、NECの携帯電話のキャンペーンで「Nを追え」というキーワードをテレビCMに表示して、テレビCMとリスティング広告の連動がおこなわれました。このあたりから、かなり話題になり、このマス連動の手法は一気に普及していきました。

偶然の出来事に導かれて

2005年8月に、2つの総合広告代理店から、テレビCMやその他のマス広告の投下量と検索数の関係について本格的な調査を依頼され、先日の「MarkeZine(マーケジン)」の記事「テレビCMの投下量と検索数、そして売上げとの相関関係は?オフラインアトリビューションの基本【アトリビューション編:第6回】」で書いたような、オフラインアトリビューションの仕事につながっていったのです。

偶然の出来事から導かれて、マス広告と検索の相関に興味を抱き、今に至りました。次回は、これまでの経験で学んだことや思考についてお話したいと思います。

アタラ合同会社
取締役COO
有園 雄一(Yuichi Arizono)
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【イベント】ad:tech Tokyo 2012 インテグレートブース「次世代デジタル・マーケティングの新しい指標! パワーコンテンツ連動型アトリビューション・マネジメント」レポート(MarkeZineより)

次世代デジタルマーケティングに新たな指標をアトリビューション分析によるコンテンツ価値可視化PJ始動
http://markezine.jp/article/detail/16831

2012年10月30日、31日に開催されたad:tech Tokyo 2012において、インテグレートが開催したプレミアムセミナーのレポート。
先日発足した「パワーコンテンツ連動型アトリビューション・マネジメントプロジェクト」の概要や目的についてのセミナーで、プロジェクトの参画者である下記の4名による対談であった。

対談者:
株式会社インテグレート 代表取締役CEO 藤田康人氏
株式会社デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治氏
アタラ合同会社 取締役COO 有薗雄一氏
株式会社日本ビジネスプレス 代表取締役社長 菅原聡氏

記事は「これまでのデジタルマーケティングは最適化ばかりに注力され、需要を創造する視点が失われがちであった。本来の広告やPRの役割は、潜在需要を拡大し、未来の顧客を育成していくことであったはずだ。このプロジェクトは、いわばデジタルマーケティングの世界を広げる試みであり、再びマーケティングや広告の世界を面白くする可能性を秘めている。プロジェクトの検証結果は来年2013年2月頃に明かされる。期待をこめて、プロジェクトの結果が待ち遠しい。」と締めくくられている。

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【イベント】ad:tech Tokyoアトリビューションセッションレポート(DIAMOND IT&ビジネスから)

「解析テクノロジーの進化著しい今日こそ 消費者インサイトの見極め力が問われている 「アドテック東京 2012」二つのカンファレンスより」
http://diamond.jp/articles/-/28513

2012年10月30日、31日に開催されたad:tech Tokyo 2012でのアトリビューションセッションのレポート。

モデレーター:
株式会社デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治氏
パネリスト:
アタラ合同会社 取締役COO 有薗雄一氏
Fringe81株式会社 代表取締役 田中弦氏
株式会社資生堂 国内化粧品事業部 事業企画部
コミュニケーション戦略室 クロスメディアグループ 課長 葛西浩明氏
株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 草野隆史氏

消費者インサイトに関するセッションとともに紹介されており、「人と人のつながりからインサイトを見出すために多くのデータをどう解析するか。それをビジネスのイノベーションにどう生かすか。」という今後のマーケティングを考える一つの方向性を紹介している。

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【講座】TATEITO社アトリビューション分析入門講座(2012/12/4予定)

受講締め切りは11/30。
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TATEITO株式会社のアトリビューション入門講座が開催予定。

<講座概要>
講座名      :アトリビューション分析入門講座
講師:      :アタラ合同会社 取締役COO 有園雄一
開催日      :12/4 (火) 19:30-22:00
主な教育手法   :講義、ワークショップ
実施場所     :東京23区内(渋谷、恵比寿近辺を予定)
募集人数     :50名 ※先着順
金額       :20,000円/人(税抜) ※税込価格21,000円
→ペア割り:2名1組お申込の場合は30,000円/組 ※税込価格31,500円
申込方法     :下記URL参照

TATEITO マナビト アトリビューション分析入門講座
http://tateito.co.jp/manabito_attribution_1204/

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【イベント】ad:tech Tokyoアトリビューションセッションレポート(MarkeZineから)

2012年10月30日、31日に開催されたad:tech Tokyo 2012でのアトリビューションセッションのレポート。

「アトリビューション・マネジメント:アトリビューションがもたらすマス広告も含めたマーケティング効果とは?」【アドテック東京2012講演レポート】(MarkeZine)
http://markezine.jp/article/detail/16714

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【リリース】第三者配信(3PAS)によるDSPその他オンライン広告の配信と成果一元化、構築運用およびアトリビューション分析支援のパッケージ「AD-MAC(TM)」の提供開始について

<企業リリース>
第三者配信(3PAS)によるDSPその他オンライン広告の配信と成果一元化、構築運用およびアトリビューション分析支援のパッケージ「AD-MAC(TM)」の提供開始について

株式会社デジタルインテリジェンス(本社:東京都渋谷区 代表取締役:横山隆治 以下 DI.)は、 標榜する「マーケティング・コンソリデーション」について、アタラ合同会社(本社:神奈川県横 浜市 代表取締役 CEO:杉原 剛 以下アタラ)と共同で取り組む、第三者配信(以下、3PAS)に よる DSP その他オンライン広告の配信と成果一元化、構築運用およびアトリビューション分析支 援パッケージ「AD-MAC(アドマック)」(ATARA & DIGITAL IINTELLIGENCE MARKETING ATTRIBUTION CONSOLE)の提供を開始します。

「マーケティング・コンソリデーション」は、3PAS によるオンライン広告のプランニング評価、 プロジェクト管理、必要なスキルセットを持つプロフェッショナルのアサイン、ツールに対する目 利きと意思決定支援を包括するサービスです。この「マーケティング・コンソリデーション」サー ビスの中核を担うのが、分析のための仕組み構築支援、必要なオペレーションサービス、アトリビ ューション分析および改善活動に対するサポートをパッケージにした「AD-MAC」です。

「AD-MAC」で提供するサービスは以下の通りです。

192-ad-mac.jpg

① 上記全体ソリューション導入にあたっての課題の整理とゴールおよびKPI策定、第三者の立場でツール選定および仕組み構築のサポート
② DSPターゲティング設定/入札+3PAS運用代行等オペレーションサービス提供
③ アトリビューション分析およびリ・アロケーションサービスの提供と改善活動に対するコミットメント

オンライン広告の最適化に加えて、先般リリースしました広告とコンテンツを連動させたアトリビューションマネジメント、またオフラインデータ、WEBサイト上のアクティビティデータおよびCRM領域のデータをマージし、事業主と顧客双方のベネフィットを生み出すための仕組み作りや取り組みに対してサポートして参ります。

【アタラ会社概要】 http://www.atara.co.jp/
社 名:アタラ合同会社
代 表 者:杉原 剛(代表取締役 CEO)
所 在 地: 神奈川県横浜市青葉区元石川町 3712-12-D 設 立: 2009年9月10日
事業内容:
1.ソリューション事業: 広告・マーケティング業界向けの自動化・効率化のためのテクノロジー・ソリューション開発 2.カスタマー/コンサルティング事業: リスティング広告運用体制構築支援コンサルティング、アトリビューション分析コンサルティング
(広告キャンペーン全体最適化の解析コンサルティング)

【DI.会社概要】http://di-d.jp/
社 名:株式会社デジタルインテリジェンス
代 表 者:横山 隆治(代表取締役)
所 在 地:東京都渋谷区恵比寿西 1-32-16 COMBOX 4F
設 立:2009 年 10 月 30 日
事業内容: 総合デジタルマーケティング・コンサルティング業務
・デジタルマーケティングコンサルティング ・広告テクノロジーコンサルティング ・デジタルマーケティング組織コンサルティング ・経営コンサルティング ・デジタルスキル育成コンサルティング

この件に関するお問い合わせ: 株式会社デジタルインテリジェンス 横山・鹿毛・楳田 email:info@di-d.jp
Tel:03-6416-9879

AD-MAC 紹介資料:http://di-d.jp/solution/index.html


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アドテック東京のアトリビューション・マネジメント セッション

2012年10月29-31日開催のアドテック東京(ad:tech tokyo)においてアトリビューション・マネジメントをテーマにした本セッションが行われることが発表。

【セッション】アトリビューション・マネジメント:アトリビューションがもたらすマス広告も含めたマーケティング効果とは?(2012年10月30日 2:40pm 〜 3:30pm)
http://www.adtech-tokyo.com/ja/conference/session_detail/ssnDetail.html?id=C-3

【モデレーター】
株式会社デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治
http://www.adtech-tokyo.com/ja/conference/detail/spkDetail.html?id=spk072

【パネリスト紹介】
Fringe81株式会社 代表取締役社長 田中弦
http://www.adtech-tokyo.com/ja/conference/detail/spkDetail.html?id=spk079

アタラ合同会社 取締役COO 有園雄一
http://www.adtech-tokyo.com/ja/conference/detail/spkDetail.html?id=spk084

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アトリビューション特別対談:Adobe, Mikel Chertudi, Scott Harris × アタラ有園雄一

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特別対談です!今回は、初の海外の方との対談です。Adobeはアトリビューション分野においてもソリューションプロバイダーですが、今回のお二人はAdobeの中でアトリビューションを実践している立場の方々です。しかも経験も長いので、多岐に渡るトピックにおいて貴重なお話を伺えました。(英語での対談内容を日本語訳しています)

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【主な内容】
・ アトリビューションの課題は、その複雑性である
・ アメリカの広告主のうち、アトリビューションを導入しているのは何パーセントぐらいか?
・ もっとも高いレベルでアトリビューションを行っている広告主は1%以下
・ アトリビューションをきちんとやらないとマーケターは首になるかもしれない
・ 全体的、統合的なソリューションをオフライン、オンラインに渡って提供できるのは現時点ではMarket Shareという企業だけ
・ 広告弾力性以外に、価格弾力性もみている
・ アメリカのアトリビューションベンダーは日本に進出してくるか?
・ 企業内部の政治情勢が最適な予算配分の障壁になることはないか?
・ 日本の広告主へのアドバイス。まず、始めてみること。

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Adobeに聞くアトリビューションの可能性

有園:今日は非常に特別なセッションです。アメリカから来日中のAdobeのマイケル チャトゥーディ(Mikel Chertudi, Senior Director, Marketing, W.W.Media, Demand, & Enterprise)さんとスコット ハリス(Scott Harris, Director – Demand Marketing)さんのお二方と対談させていただけることになりました。Attribution.jpのために、このような取材が出来ること大嬉しく思います。それではお二人にいろいろとお伺いしていきます。まずは、ご自身の経歴や会社における役割、特にアトリビューションに関する部分のお話をお願いできますか?

マイケル: マイケル チャトゥーディと申します。お会いできて光栄です。デジタルマーケティングの領域で13年近く仕事をしています。13年に渡って、さまざまな役割を担ってきました。デジタルマーケティングに関する役割です。アドサービング、Eメールマーケティング、ディスプレイ、サーチエンジンマーケティング、アフィリエイトなど様々ですが、共通して言えるのは、会社の売り上げ増加のために効率と効果を追求してきたことです。そこで、まさにアトリビューションの話がはまるわけです。アトリビューションのもっともシンプルな形というのは因果関係を分析するということですから、マーケティングの活動のスタートから、最後の利益の部分まで見るということが本質です。今は、シニアディレクターという肩書きでデジタルメディア&デジタルマーケティング全般をみています。つまり、全てのメディア広告を担当しています。有料メディア全てです。例えば、PRメディア、プリント、テレビ、ディスプレイ広告、ウェブサイト、まぁ全部です。これら全てを担当している訳ですが、どれもアトリビューションに注意を払わなければいけない分野ばかりです。それでは、スコットに代わります。

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スコット:スコット ハリスです。デジタルマーケティングの経験は10年くらいです。マーケティングやその他の領域でも仕事をしてきました。アドビでの経験は4年半、マイケルと一緒に仕事をしています。エンタープライズ、企業のビジネスtoビジネスにおいてもアトリビューションは非常に重要です。私たちがやっていること、やろうとしていること、マネージしようとしていることは、マーケッターに対して関連性が高いコンテンツをオンラインで提供するということです。だから、それをやるにあたって、今まさに何が起きているのか、それぞれの領域の中で、ペイドサーチもそう、SEOもそう、データベースマーケティングも含め、全てにおいて細かく現象を理解することが必要です。現象というのは、どこにお金が払われて、どこからビジネスがやってくるのかということです。これは非常に楽しい領域であると思います。デジタルマーケティングのために、デジタルマーケティングの人のために仕事をして、デジタルマーケティングのトラッキングをしているわけですから、非常に興味深い仕事だと思っています。

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アトリビューションの課題

有園:お二人ともこの領域で10年以上仕事をしているわけですね。そのご経験のなかで、どのような課題を感じていますか?広告のキャンペーンやプロモーションにおいて、どのようなご苦労がありますか?特にアトリビューションに関してはいかがでしょうか?

マイケル:そうですね。アトリビューションの課題ということになると思いますが、過去15年に渡って、オンラインマーケティング、デジタル広告というものが進展してきました。今日まで、ソーシャルメディアなどのさまざまなマーケティングチャネルの爆発がおきています。よって複雑性が増しています。暗号を解いて理解することが本当に難しい。一体、どの活動が売り上げを伸ばしているのか、3000年前はロックアートという洞窟の中で壁に何かを書くということがきっと広告だったのでしょうが、現在は非常に複雑で複数の要素があります。繰り返しになりますが、どのマーケティング活動が売り上げに貢献しているのか、その相関関係を結ぶということが本当に大きな課題です。チャネルが増えて、拡大し、爆発していることによって複雑になっています。私たちがマーケティングをしている複数のチャネルもありますし、複数あるというだけでなく、同時に起きているということも非常に大きな課題です。というのも、ひとりの消費者が複数のチャネルに同時アクセスしていますからね。ですから、どれがどの程度貢献したのか、検索連動型広告にしても、どのマーケティング活動が効果を発揮したのかというのが一番難しい質問であり、その答えを模索するのが私たちの仕事です。非常に複雑なんですよ。ビジネスにおいては、マーケティングtoコンシューマー、これはより取引中心のものになってきます。ですから、テレビにせよ、ラジオにせよ、あるいはディスプレイ広告にしろ、電子メール広告マーケティングにせよ、今Scottがまさに言ったとおり、機会が増えれば増えるほど、一人のユニークカスタマーにとっては複数のタッチポイントができてくるということなんですね。ですから、それを分析し、どのチャネルが一番大きな影響力をもったのかということを調べるのは非常に難しいわけです。さらに複雑になることがあります。それはBtoBになった場合です。というのはBtoBになった場合は、フロントエンドにさきほど言ったタッチポイントが全部あります。でも、それだけではないんですね。インフルエンサー、意思決定者がいるんです。そのインフルエンサーの人が4つ、5つ、6つ、あるいは7つの種類の異なるメディアに触れていた可能性があるわけです。でも、そのインフルエンサーも一人ではありません。4人いたとします。その4人のうちのどの人が売り上げを牽引してくれる人なのかということも含め、BtoBにおいてはさらにアトリビューションが複雑になってきます。その複雑性が私たちのいま直面している課題です。

世界中の企業のアトリビューション導入状況

有園:非常に難しそうですね。広告主にとってはアトリビューションをやるといったこと自体が難しそうです。そのような中で、広告主の何パーセントが一体アトリビューションマネジメントをソリューションとして使っているのでしょか?

マイケル:それはとてもいい質問です。状況によります、というのは、その成熟度に違いがあるからです。その成熟度の一番下のレベルはビギナーです。初心者という人がいます。彼らがやっているのは、ウェブアナリティクスのソリューションを使ってはいるのですが、タギング、トラッキングを行なう事によって、それぞれのメディアタクティクスを使っています。サーチ、ディスプレイ、Eメールといったものをやっているのですが、単に相関関係を見ようとしているだけなんです。ラストモデルのアトリビューションはなんなのか、あるいは、リニア(均等配分)モデルのアトリビューションを見ようとしているだけなんです。システムによってはそれさえもできないこともあります。フリープロバイダーの物なんかは正確なトラッキングは出来ないのですね。なので、非常に複雑です。だた、成熟度の上のほうにいきますと、次は、システムはあるんだけれどサイロ(縦割り)化されている。ディスプレイはディスプレイ、EメールはEメールのサービスプロバイダー、サーチはサーチでマネージメントしているということで、それぞれのシステムでそれぞれのトラッキングコード、ウェブサイトはウェブアナリティクスがあるけれども全部分担化されているというサイロ(縦割り)化されたシステムという状況があります。もちろん、初級の方たちはこのシステムを使おうとしているわけですけれども、そのシステムを使うことによってなんと重複カウントがおきるんですね。重複カウントすることによって正確に把握することが出来なくなってしまいます。でも足してしまいますからね。全部足すと、実は20億円売り上げができたと思うかもしれないですが、それは正しくないわけです。さらにもう少し成熟度の上のほうにいきますと、より正しくアトリビューションをしている訳ですが、世界にある全ての企業の1パーセント程度しかそのようなレベルにはありません。厳密には1パーセント以下です。それはもちろんサイロ(縦割り)化されていない、トラッキングシステムはすべて統合されている、そして重複カウントも行なわれていないという状況を示しています。これは、もちろんregression analysis(回帰分析)をやることによってできる訳です。逆に分析していくことによって、それぞれの現象を分離して見ていきます。それができているのは世界中の企業の1パーセント以下です。つまり、いかにお金が無駄に使われているか、そして投資の分配についても、いかに正しくないかということが現れています。

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有園:回帰分析というのは、econometrics、つまり計量経済学的な手法を応用しているということですね?

マイケル:そうです。様々な分析メソッドがあります。

有園:そのレベルでのアトリビューションができている人は1パーセント以下だとおっしゃいましたが、リニアモデル(均等配分モデル)の場合はいかがですか?

アトリビューションの分析モデルについて

マイケル:興味深いですね。私はこの業界でかなり講演をやっていまして、皆さんに聞くんですが、ラストクリックを見ていますか?リニア(均等配分)を見ていますか?それとも何かの加重を使っているんですか?などと聞くと、ほとんどの人がラストクリックモデルを使っていることが分かります。たぶん70パーセントくらいだと思います。そして、リニア(均等配分)、加重は10パーセントくらいで、加重していないものも20パーセントくらいでしょうか。

有園:なぜ、この質問をしたかというと、日本ではアトリビューションが始まったばかりなんです。いろいろな人がようやくアトリビューションを話題にし始めた状況です。ですから、リニアモデル(均等配分モデル)だけでも日本の広告主の中では1パーセントだと思うんです。

マイケル:リニアモデル(均等配分モデル)で1パーセント?ラストクリックではなくて?全部見るってこと?

有園:そうです。基本的に取得できるすべてのタッチポイントを見た場合です。というのも、日本の広告主も第三者配信のアドサーバーを使い始めていますので、ビュースルーとかのデータも利用しているんですよ。

マイケル:日本では、それにEメールも入れているんですか?アフィリエイトはどうですか?トラッキングコードを入れていくんですか?

有園:そういうことをしている人もいます。

マイケル:でも、たいていは一つのチャネルだけ?

有園:私が知る限りでは、ディスプレイ広告の効果を見ようとしている広告主が多いと思います。

マイケル:その効果(ディスプレイ広告の効果)をサーチ(広告)に反映しようとしているんですね。

有園:そうです。

アトリビューションの大問題

マイケル:なぜ、いろいろと質問しかといいますと、これにはストーリーがありまして、私自身にも強い考えがあります。アタラの代表、杉原剛さんにもお話ししていますが、10年ほど前に実は発見をしたんです。アトリビューションには大問題があるぞと。当時、非常に大きなオンラインサブスクリプションシステムをトラッキングの記録用として使っていたんです。それをアドサービングに使って、オンラインアフィリエイトにも使って、サーチにも使っていたんです。それで、その会社は大きなミスを犯しました。同じトラッキングシステムを使っていると思っていたんですが、インスタンスが3種類あったんです。つまり、コンバージョンをダブルカウントではなく、トリプルカウントしていたんです。過剰投資でした。しかも、20~30パーセントの過剰投資です。ほとんどクビになりそうでしたよ、それをやっていた担当者は。ですから、私にとって、これは重要な問題だと。アトリビューションの問題は大問題だなと個人的に思ったわけです。本当に痛い経験でした。忘れることができません。だから、それ以来、私は、いままで務めた会社や仕事をさせていただいたパートナー企業に対してもアトリビューションをやろうとしていますし、カンファレンスにおいてもできる限りアトリビューションの重要性を話すとともに皆さんの状況を学ぼうとしています。学ぶなかでアトリビューションの問題を包括的に統合的に全体的にソリューションとして提供できる企業は本当に少ないことを知りました。

有園:アトリビューションをきちんとやらないと、マーケターは首になるかもしれないということですね。日本の状況で考えると恐ろしいことです。ところで、いまおっしゃった包括的にというのはオンラインとオフラインを含めてということですね。これも実は質問したいことの一つですが、アトリビューションのソリューションプロバイダにはVisual IQやAdometry、C3 Metrics、ClearSaleingといったところがありますけれども、彼らは最近オフラインとオンライのアトリビューションのソリューション、特にeconometrics(計量経済学)を使ったものをローンチしているのですが、それらについてはどのように評価されていますか?

オフラインとオンラインを統合的に見るために

マイケル:そうですね。私は他社製品について評価、コメントする立場にはないのですが、私の知る限りでは、彼らは現時点では最も高いレベルではないといえるのではないでしょうか。というのは、さっき申し上げたような、全体的、統合的なソリューションをオフライン、オンラインに渡って提供できるのは現時点ではMarket Shareという企業だけだと確信できるからです。

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有園:御社(Adobe)はMarket Shareともパートナーなんですよね?

マイケル:そうです。私たちはMarket Shareのパートナーです。

有園:AdobeのSiteCatalyst (サイトカタリスト)とMarket Shareのソリューションが連携しているのでしょうか?

マイケル:はい。私たちは共同でソリューションを作ろうとしています。ウェブソリューションのデータ、そしてサーチ、それからディスプレイ広告、全部をとってMarket Shareに入れて彼らのフィードバックをもらう。それをレポーティング用に使うというシステムを作っています。私たちは、アトリビューションのソリューションを持っていまして、サーチ、ディスプレイ、ソーシャルに対応しています。Efficient Frontier(※)という企業を買収しましたから。このEfficient Frontierという企業は、その3つの領域(サーチ、ディスプレイ、ソーシャルの3つ)に専門性をもっていますが、プリントやテレビといったオフラインに対するソリューションはもっていませんでした。だから、私たちはMarket Shareと一緒に仕事をすることによって、オフラインとオンラインを合わせたソリューションを顧客に提供しようとしています。例えば、ClearSaleingをはじめとする一部の製品は非常に良い仕事をしているところもありますが、しかしながら、オフラインへのフォーカスという意味ではデータも経験も不十分です。システムも不十分なので、オフラインのデータを十分集められてはいません。もちろん、彼らは最善を尽くしてretailer(小売業者)向けのクーポンコードとかを出してトラッキングしようとしているんですが、かなり多くの広告を打っているretail(小売り)関係の企業であればクーポンだけでトラッキングできるわけはないと思うんです。そのメディアが効果を発揮しているのかを見るのにクーポンだけでは不十分だと思うんです。だから、オンラインに照準をあてるのはよいと思いますが、オフラインとの連携がないので、私はやはりミスがあると思います。それを見ると非常に近視眼的になってしまいます。オンラインしか見ていないことになり、より伝統的なオフラインとの連携が見逃されてしまうからです。

有園:オンラインとオフラインのアトリビューションということになると、Market Shareがナンバーワンのプレーヤーということですね。

マイケル:私の意見ではそうです。だからこそ、AdobeはMarket Shareと仕事がしたいと言っているわけです。彼らの数式、アルゴリズムを活用して私たちの顧客に提供したいと思っているんです。

オンラインのアトリビューションの現状

有園:では、オンラインのアトリビューションはどうですか?

マイケル:さっきお話しなさったような企業の名前、彼らはよくやっていると思います。オンラインマーケティングだけをやっている広告主がいて、そしてオンラインのトランザンクションだけを見るということであれば彼らのソリューションはよいと思います。少なくとも伝統的な広告をやっていなければという話ですが。でも、オフラインとの連携がないのであればMarket Shareのような企業はいらないわけですよ。彼らがやってくれるのは、そのオンラインでの投資の仕方を示してくれるということです。でも、オフラインを含めた全体のミックスに対する提言は彼らにはできません。

有園:では、御社(Adobe)のソリューション、アトリビューションのソリューションについて質問をさせてください。昨日、御社のウェブページにある記事を読んだのですが、アドビコンサルティングがメディアミックスモデルをやっていて、それをもとにコンサルティングをやっていると書いてありました。

マイケル:そうですね。Adobeのソリューションはとても良いソリューションです。デジタルのソリューションなら。さきほど申しましたように、私たちはEfficient Frontierを買収しました。そして、彼らはディスプレイ、サーチ、ソーシャルに対しては非常に良いソリューションをもっています。しかし、それ以外の戦術を使っている場合は、ソリューションにならないわけです。だから先ほどの話になるわけですが、Market Shareと協業しています。

有園:なるほど。

マイケル: Efficient Frontierには非常に優秀な人がたくさんいます。私たちの顧客と一緒に仕事をし始めています。顧客に対してデジタルアトリビューションの教育をしています。彼らも一緒にMarket Shareと仕事をし、市場に対してより幅広いソリューションを提供していくことになるでしょう。ごく最近のテクノロジーがこのようなことを可能にしました。本当に最近のことです。デジタルマーケティングはトラッキングやメジャリングに注目をしてしまっていますが、そのほとんどが正しくはありません。リニアだったりしますから、そこだけにフォーカスするのではなく、Market Shareとの協業も含め、Adobeと仕事をすることによって、より統合的、包括的なサービスができるんです。

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有園:なんかすごくMarket Shareがお好きなようですね。

マイケル:そうです。私はMarket Shareが好きです。別に、好きと言ったからといって、何か得られるわけではないのですが。とにかく現時点ではMarket Shareだけが、全体を捉えたメディアミックスに対応するソリューションを提供している企業だと思うからです。それが、私がMarket Shareが好きな理由です。総括的、全体的だからです。でも、私もAdobeにおいて同じような役割をもっています。ペイドメディアのミックス全体を見るという仕事に携わっています。

ブランドの重要性

有園:スコットはMarket Shareについてはどのように考えていますか?

スコット:Market ShareとAdobeが作った独自の技術、この二つを組み合わせると素晴らしいパートナーであると思います。Adobeのパートナーであるというだけでなく、私たちにとっては非常に有効に働けるパートナーなんです。もちろん、連携部分については今後少し改善しなければなりませんが、それを使うことによって売り上げの最大化のためのソリューションを提供できます。実は、数か月前に、私たちのビジネスのデジタルメディアのスタッフと非常に面白いミーティングをしました。Market Shareと会い、私たちのインベストメント、オフライン、プリント、ディスプレイ広告、PRなどをすべて、Market Shareの数式の中にマーケットデータを入れていくということを話していました。ただし、それらに加えて、ソフトウェアや製品を再販しているチャネルがあったら、またそれも数式に入れていかなければならないのですが、それはとても複雑な要素であることを話し合いました。その会議がとてもエキサイティングでした。データを見ていたのですが、それは実は期待していた結果ではなかったのです。その会議の出席者にとって望んでいたものではありませんでした。たとえば、ディスプレイ広告は、もっと貢献度は高いはずなのにと。実は、ディスプレイよりもサーチのほうが貢献していたことが分かったりしたんです。さらに、私たち全員が少し見過ごしていたのがブランドの重要性でした。アトリビューションとメディアミックスモデリングにおいては、ベースあるいはモメンタムという考えがあります。つまりベースラインです。ある日、企業が広告を全てストップしたら売り上げがどの程度推移するだろうかというような、ベースラインの話です。重要なのはそのベースラインが時間と共に落ちていくわけですよ。広告がなければ。ベースラインが10億ドルだったとしましょう。その上に広告による増分があるんですね。サーチ、ディスプレイ、テレビ、PR、その他、全部あります。私たちの場合、ベースラインの上に乗っかってくる増分が、なんと4億ドルくらい追加分がありました。一例ですが。私たちはベースはもっと小さいと思っていましたが、実は巨大でした。4億ドルどころか10億ドルくらいあったんですね。ベースってすごいんだ、つまりブランドはすごいんだってことに気づいたんです。増分というのは意外に小さかった。ディスプレイ、サーチの人がみんなテーブルに座って「えぇ!?こんなに貢献が少ないの?」「クビになってしまうの?」というような反応をしていました。もちろん、そういうわけではありませんが。言いたかったのは、ベースがいかに高いかということ。でも、この部屋にいる皆さんは、そのベースにも貢献しているんですよという話をしたんです。そのベースというのは、四半期ごとに変わることではありませんが、時間が経つにつれベースが落ちていくわけです。だからこの部屋にいるディスプレイやサーチの皆さんも最初は「売り上げに貢献していると思ったのに違うじゃないか」とショックを受けていましたが、このデータを誤解してはいけません、皆さんはベースにも貢献しているんですよと、ベースの維持にも貢献していますよと伝えました。彼らは増分のところだけに目がいっていたんですね。ちゃんと、ベースプラス増分も見てねという話があったんで、非常に興味深く勉強になる話ができました。あれだけ洗練されたデータを見たのは生まれて初めてでした。本当の回帰分析、そして正しい加重をもとにしたフォーキャスティングがなされていました。ですから、大きなデータソリューション、私たちのウェブアナリティクス、サーチ、ディスプレイ、Eメールなどすべてを一つのシステムに入れてデータを統合して、クリーニングして戦術を出してくる。チャネルごとに見ていくということですね。売り上げに対する貢献度をここまで綺麗に見ていくというのは初めてです。

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有園:それは、チャネルごとの広告弾力性のことですか?

マイケル:そうですね。弾力性が計れるからです。微分係数を使っているとすれば、最適な投資レベルを見ることができるわけです。収穫逓減のことも念頭においたうえで、それぞれのチャネルでの貢献度を計算し、出すことができるわけです。

有園:最適ポイントはどこなのか。広告弾力性が一番いいのはどの程度の広告出稿量のときなのか、それをメディアごとに算出できるということですね。では、その弾力性について聞きたいと思います。ちょっと難しい話になるかもしれませんが、広告弾力性以外にも、販売量に影響を与えるものとして、価格弾力性もありますね。その価格の要素というのもモデルに組み込んでいるのでしょうか?

ファイナンス出身者がマーケッターに変身

マイケル:もちろんです。価格も一要素です。だからMarket Shareのアプローチ、彼らのソリューションが一番洗練されていると思うんですよね。彼らは価格を見ています。たとえば、今日本にいたら日経インデックスまでモデルに入れると思いますよ。アメリカではS&P、ニューヨーク証券取引所の数字、つまりマクロ経済のデータも入れていくんです。広告の弾力性を出すにあたってそれも入れています。競合の情報も入れています。ですから、競合の名前を入れていって、その競合のデータを入れていけば彼らが自分の会社に対してどういうタイミングでどういうプロモーションを打って、それが自社にどういう影響が出るのかとういうことを含めて分析していくことができます。競合の動き、マクロ経済も全部が広告の成果に影響を及ぼすのです。だから1パーセント以下の企業しかこれを正しく出来ていないと言っているのです。

有園:ということはつまり、Market Shareは季節性や気温なども見ているのでしょうか?暑い日はビールが売れるとか、そう言う影響がありますよね?

マイケル:ビールも売っていれば、それは参考になるでしょうね。そのため、たとえば、日経インデックス、証券取引所といったところのデータを見ているんです。彼らの数字は業界ごとに、いろいろなことを示していますからね。経済の状況、業界ごとの経済情勢を表現していますから。ちょっと笑えるかもしれませんが、Scottは実は財務的なバックグラウンドもありファイナンスは強いのですが、最近のマーケッターはファイナンス出身者が多いですよ。あるいは物理。そのどっちかですよ。私たちの部署ではファイナンスの経験を持った人が4~5人います。これだけ定量分析や数字が大事なので、ファイナス出身者をマーケッターに変身させています。係数、回帰分析といったことを理解していなければいけないので、それに合った人材を選んできました。マーケティングというのは技とサイエンスの組み合わせです。私たちがマーケティングアトリビューションを重要だと思うのは、やはりマーケッターはCFOや財務の人などにちゃんと説明ができないといけないわけですからね。きちんと描写できなければ、そのマーケッターの人にとってもビジネスケースは立てられないわけですよ。「そんな気がします」とか「勘でこう思います」とか「こうなるような気がします」とか言っても全く駄目です。広告における最も大きな問題は、ジョン・ワナメーカーが言った有名な名言にあるとおりです。「広告費の半分が金の無駄使いに終わっている事はわかっている。分からないのはどっちの半分が無駄なのかだ。」つまり、どっちの反応が上手くいっているのか分からないことだということです。ファイナンスの人間を含めて、いまでは信頼関係を築くことができています。なぜなら、サイエンスによって、ジョン・ワナメーカーの課題をかなり解決できるようになったからです。ファイナンスの人間も最近では私たちを信頼してくれています。ちゃんと収益までプロジェクションできるからです。

アトリビューションベンダーの動向

有園:ところで、博報堂という日本の企業をご存じですか?博報堂はMarket Shareと提携しました。だから、いま、Market Shareは日本への進出を試みていますね。

マイケル:もちろん知っています。

有園:他のプレーヤー(アトリビューションベンダー)はどうですか?Visual IQ とかその他の企業はどうでしょうか?日本に来そうですか?

マイケル:分かりません。それは良い質問ですね。いろいろなプレーヤーが、日本市場に参加することはいいことだと思います。

有園:私もそう思います。だから質問してみたのですが。

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マイケル:これは本当に新しい領域で大きなデータをきちんと扱う能力がなければ、こんな話さえできなかったと思うんです。5~6年前には出なかった話題です。いまは大きなデータセレクションそしてアナリティクスが出来るようになったんで、このソリューションは可能です。このテクノロジー、ソリューションは生まれたばかりの赤ん坊の段階です。Visual IQ とかその他の北米系の企業が日本に来るときは、市場のスピードに出来るだけ早く追い付くように頑張って成長しなければいけないでしょうね。

有園:私はVisual IQが、Market Shareがもっているような統合的なソリューションを持ってくると良いなと思っています。そうすると、全ての広告主にとって価格効率を上げてくれますからね。

マイケル:Adobeとしては複数のパートナーがいたらいいなと思っていますから。でも、いまはベストだと思うところが一社しかいないのでね。そこと仕事をしたいと思っています。

アトリビューションの障壁

有園:いままではテクノロジーやアナリシスの話をしてきましたが、政治的なところもお伺いしていきたいと思います。私が日本の広告主に話をしていますと、サーチは販促部、ディスプレイは宣伝部というように、担当が部門ごとに分かれていると言うんです。アトリビューションをしたいのだけれども、一部はこっちに再投資ということが部署の垣根があるために難しいと言われます。やはり、企業の政治情勢がありますから。そう意味で、企業内部の政治情勢が最適な予算配分の障壁になることはありませんか?

マイケル:その問題は私たちの中でも解決してきました。全ての有料メディアは私の責任下にあるからです。企業の中に複数の事業部門がある場合は多いです。そこでポイントとなるのは、投資レベルの話でいきますと、当社を例にすれば、スコットのところに行って「君はねデジタルマーケティングの最適リターンの責任者だよ」と言います。そして、スコットの別の同僚に「あなたはAcrobat、Creative Suiteの最適化をやりなさい」と言います。彼らはアトリビューションをベースに決めていくことができます。スコットの指示の元に決めていくことができます。サーチにするのか、ディスプレイにするのか、Eメールなのか、有料のソーシャルなのかというのはスコットの権限下にあります。彼のチームの中では政治的な動きがあるかもしれませんが、結局はスコットが全体の売り上げの責任者ですから意思決定権を持っています。あとは文化ですね。データ中心の意思決定をするということです。売上数字はどうなのか、ROIの最適な実現の仕方はどうなのかということです。ですから、そうした意味では、それほど政治的だとは思いません。私たちは、最初から構造を正しく作ったので政治的な問題はそんなに起きえないのです。チームとして全てがROIだと理解しています。各人が売り上げの各パイプラインを担当していて、それを実現するためには自由にお金を使って投資が出来るということを最初から合意していて、データが第一の優先事項であることも全員が理解していて数字を信用しているので、そのような問題はあまり社内では起きません。Do the right thing という言葉がありますが、戦術そのものを単体で見ると金額が減ることがあっても、全体として売り上げを伸ばすための数式の一部であるということを理解していれば、その一部の数式だけの立ち位置に立って投資をしすぎるのはマズイということを彼らはちゃんと理解しています。だから、やはりこの話というはヘルプするということ、マーケッターを教育し、組織における財務部門の人に対してアトリビューションの教育をするということではないでしょうか。アトリビューションやトラッキングの話は、さっき言ったような洗練されたソリューションもできるのですが、社内の改善も必要です。人の教育、アトリビューションの認知、アトリビューションの波及効果の理解も必要です。ここにはもっと投資をするという考え方を浸透させる必要があります。多くの企業がサイロ(縦割り)化されています。事業部門という縦割り、あるいは機能別にサーチ、ディスプレイ、Eメール、テレビと分断されていますので、全てを統括している人がアトリビューションを理解していないと正しく投資することができませんし、いま言ったような難しい会話をしなければならなくなります。お金を自由に動かすためには非常に難しい状況が出てくると思います。6~7年前、オムニチュアでの仕事を始めた頃、私たちの広告はほとんどトレードショーでした。ですが、アトリビューションを通して、トレードショーでお客様と接することによるコストとリターンがどれだけであるかを見ました。トレードショーでお客様を獲得するのは、デジタル手法に比べて4~5倍のコストがかかると分かりました。もちろん、リターンが4~5倍あるなら良いのですが、そうじゃなかったんです。展示会の成果はデジタルの成果と同じでした。コストが4~5倍であるにも関わらず。ですから、それから3~4年かけてトレードショーへの投資額を減らし、デジタルに投資していきました。そうすることによって、より効率的に投資できるようになりました。米ドル1ドルに対するリターンが10ドルとしましょう。私たちのミックス全体で10ドルあるとして、75パーセントがトレードショーでした。でも、そのあとに70パーセントをデジタルにして、トレードショーは30パーセントに変更しました。すると、米ドル1ドルに対するリターンが30ドルになりました。3倍です。効率に対する非常に大きな影響力がありました。予算の最適化によってこれだけの効果が出たんです。予算を再配分するだけです。

アトリビューションを始める前に理解すべきこと

有園:そろそろ時間がなくなってきましたので、最後の質問をします。日本の多くの広告主がアトリビューションに興味をもっています。アトリビューションを始めたいと思っている状況です。アトリビューションマネジメントを始める前に、どのようなことを理解しておいたらいいですか?日本の広告主に対して、アドバイスをお願いいたします。

マイケル:一点目は、出来る限り勉強をするということです。この領域において、ありとあらゆる知識を勉強しましょう。そうですね、Attribution.jpを読んでくださいということにしましょうか(笑)

有園:それはとっても重要ですね(笑)

マイケル:教育が必要なのです。必ずしもリニア(均等配分)アトリビューションあるいはラストクリックアトリビューションをやることは悪いとは思いません。特にデジタルの領域ではね。アトリビューションの仕組みを理解するには良いので、少しサイロ(縦割り)化されたシステムではありますが、そういうモデルを勉強するのは良いと思います。一番シンプルな方法からスタートするとすれば、トラッキングコードの標準化です。すべてのデジタルチャネルにおけるトラッキングコードを統一化しなければなりません。電子メール、デジタル、全てバラバラでは出来ませんので。二点目は、トラッキングコードを標準化した後に、ラストクリックモデル、リニア(均等配分)モデル、ウェイティング(加重)モデル、どれにするかを決めるべきです。できれば全部使うべきだと思います。三つの違いを見て、違いが大きければ、例えば、リニアとラストクリックの差が大きければ、それを三角関係で見て意思決定するべきだと思います。もう少し成熟度が上がれば、オンラインとオフラインの両方を見るソリューションを検討すべきだと思います。とにかくそういう形で勉強しましょうということです。そして、ラストクリックモデル、リニア(均等配分)モデル、ウェイティング(加重)モデルといったものを使ってでも勉強をしてウェブアナリティクス、サーチ、ディスプレイ、Eメール、それぞれのデータがどう関係しているのかを見るべきです。その後、アフィリエイト等その他のツールを最大限に活用するべきだと思います。やはり、伝統的な広告をやっていれば、それだけでは不十分だと理解するでしょう。でも、とにかく始めて、試してみてください。そうですね、要するに「始めよう!」というのがメッセージです。

有園:Adobeのソリューションを使ってみるのもよいですよね?

スコット:ぜひ使ってみてください。Adobeのユーザーでしたら、ぜひAdobeを使ってみてください。そうでない場合でも何でもいいので、ぜひ使い始めてみてください。とにかく何でもいいのでやってみること。それに尽きます。でも、それを過剰に信頼するのは危険ですよ。正しくない可能性がありますからね。最後に、先ほど政治という話がありましたが、システムを使うだけではなくて、その体制に会社も合わせていく必要があるということです。データだけでは十分な効果を出すことはできません。その製品、システムを使う人たち、組織、組織の改編も含めて検討する必要があります。ガバナンスですよ。

有園:力強いメッセージをありがとうございました。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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(※)Efficient Frontier:2011年11月30日のAdobeによる買収完了後、2012年7月18日現在「Adobe AdLens」にブランド変更されている。

マイケル チャトゥーディさんには書籍「アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法」にもご登場いただいています。

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(END)

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【アトリくんの視点】さすがアトリビューション黎明期以前から様々なことに取り組んでこられたお二人だけあって深いお話でしたね!色々なお話を伺うことができましたが、一番印象に残ったのが、アトリビューションやデータドリブンなマーケティング環境に合わせる形で組織やその中に所属する人が変わってきている点ですね。Adobeはソリューションプロバイダーであるだけでなく、最先端でアトリビューション・マネジメントを自ら実践しているのですね。これからも先端を走って業界をドライブしていただきたく思います。Mikelさん、Scottさん、ありがとうございました!

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アトリビューション特別対談:株式会社クロスリスティング治田耕太郎、岡野敬太、石橋由美子×アタラ有園

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特別対談です!今回は、株式会社クロスリスティングにおいてデータ活用を推進するお三熊、もとい、お三方に業界のこと、アメリカのこと、自社における取り組みなど、いろいろお話を伺いました。熊キャラに対抗してアトリちゃんも初登場です。

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【主な内容】
・ アトリビューションという言葉がひとり歩きしていて危険だ
・ ad:tech SanFranciscoの印象:アメリカのアトリビューションは日本よりも進んでいるのか
・ アメリカではアトリビューションが単なるバズワードではなくなった
・ マーケティング(Marketing)ではなく、マーケティド(Marketed)
・ 検索ログは宝の山:「検索」はAISASのS(Search)だけでなく全ての部分に関わってくる

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有園:今回は、株式会社クロスリスティングの治田さん、岡野さん、石橋さんの3名をお迎えしてお話を伺います。最初に自己紹介をお願いします。

治田:治田です。私は19歳からこの業界にいます。最初は、ライコスジャパンというポータルサイトで検索クエリを見ながら、いわゆるディレクトリ検索を作っていました。その後、アイレップでサーチマーケティングのコンサルティングに携わった後、オーバーチュア(Overture:現在のYahoo リスティング)へ移りました。オーバーチュアではプロダクトやツール開発に携わっていました。

有園:オーバーチュア時代からアトリビューションに携わっていたのですか?

治田:まだ当時はアトリビューションという言葉が定着していませんでしたが、概念としては近いことをしていました。

有園:間接効果測定が注目され始めた時代ですね。

治田:はい。オーバーチュアの後は、モバイルのバーティカルサーチのベンチャー企業へ転職して日本以外の国のマネタイゼーションを一年ぐらいやった後、NTTレゾナントへ移り、現在はクロスリスティングに出向中という流れです。

有園:ちなみに、モバイルのバーティカルサーチとは?

治田:いわゆる、モバイルのショッピングサーチみたいなものです。

有園:クロスリスティングでは何をやっていらっしゃるのですか?

治田:実は、アトリビューションが本業ではありません。

有園:なるほど。

治田:でも、関わりはあります。検索データを使った広告以外のマネタイズ手法のひとつとして、データそのものに価値があると考えています。そのデータをどのように使うかというアウトプットの形がアトリビューション的なものだと解釈しています。

有園:19歳の頃からこの業界で活躍し、オーバーチュア時代に「アシスト」を日本へ導入したのが治田さんです。当時から、間接的、アトリビューション的な視点で考えていらっしゃったのですね。

治田:そうですね。紆余曲折した後にNTTレゾナントへ入り、いまはクロスリスティングでアトリビューション的な視点をもって検索データを分析しています。

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有園:いろいろとお聞きしたいですので、のちほど、お伺いします。それでは、次は、岡野さん自己紹介お願いします。

岡野:岡野です。私は2011年9月からNTTレゾナントに在籍し、現在はクロスリスティングに出向しています。主に新規事業開発を担当しています。治田と同じような仕事を治田と分担しながらやっています。

有園:同じような仕事とは具体的にどのような内容ですか?

岡野:検索データを使った新規事業を開発しています。そのひとつとして、分析サービスを立ち上げました。私は以前、NTTコミュニケーションズにいたのですが、そこではアフィリエイトサービスや音楽配信サイト、サッカー日本代表の動画が携帯で見られるサービスなどの立ち上げに携わっていました。

有園:昔から、マーケティングやプロモーションに深く関わっていらっしゃったんですね。

岡野:その経験を活かして今の業務をおこなっています。

有園:マーケティングやウェブサイト制作などを経て、クロスリスティングでは検索データのサービス化を手がけているわけですね。

岡野:そうです。

有園:それでは、石橋さん自己紹介をお願いします。

石橋:石橋です。私は2008年にクロスリスティングに入社し、弊社が提供するパソコン向け検索連動型広告(リスティング広告)「レモーラリスティング(REMORA Listing)」の代理店向けキャンペーン運用のサポートをしておりました。2011年の夏頃からリスティング広告運用の猛特訓を3ヶ月間受けまして、現在は検索ログデータを分析するチームにおります。

有園:猛特訓の内容も気になりますね。

石橋:極秘です(笑)検索ログデータの分析は2012年3月から始めています。

有園:実際に案件が入ってきたということは、検索ログデータを分析してほしいというニーズが増えている、ビジネスになり始めているということでしょうか?

石橋:社内やグループ内での分析から始めていますが、現在は社外のお客様から引き合いをいただいています。

有園:ちなみに、クロスリスティング入社前はどのようなことをしていらっしゃったのですか?

石橋:コンピューター系の商社で、データ入力専用マシーンのインストラクターをやっていました。

有園:データの取り扱いや活用に詳しそうですね。検索ログを調べる際「どのような視点で切り出すか」という仮説が描けないと、適切なアウトプットはできないと思います。膨大なデータを取り扱う上で、皆さんの前職での経験や培ったセンスが大変役に立っていそうですね。

石橋:ありがとうございます。

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それはアトリビューションとは呼ばないのでは?

有園:石橋さんと岡野さんには後ほど、検索ログデータの解析や、その結果を有効活用する方法について詳しくお聞きしたいと思います。その前に、治田さんにお話を伺いましょう。治田さんは、2011年10月4日にクロスリスティング、Fringe81、アタラの3社が共催したアトリビューションの専門イベント「Attribution Night 2011(アトリビューションナイト)」の発起人ですが、現在、日本で起きているアトリビューションの盛り上がりをどのようにお考えですか?

治田:アトリビューションという言葉がひとり歩きしていて危険だな~って思っています。

有園:実は、私も同じように感じています。

治田:アトリビューション分析に携わっているという方と話をしても、みなさん言っていることがバラバラで、なかには「それはアトリビューションとは呼ばないのでは?」と指摘したくなる方もいたりして。

有園:どのような点を「それはアトリビューションとは呼ばないのでは?」と感じたのですか?

治田:端的に言うと「ビュースルーコンバージョンがクリックスルーコンバージョンの5倍でした。だからアトリビューション効果がありました」みたいなことを言う人は、ちょっと違うのではと。

有園:なるほど。「ビュースルーコンバージョンの効果がクリックだけを見ているときよりもありました」と言われても、それは間接コンバージョンを数えていれば同じようなことが言えるということですね。

治田:そもそも「ビューをしてコンバージョンをした件数」と「クリックをしてコンバージョンした件数」は間違いなく前者のほうが多いです。

有園:たしかに。

治田:それを「アトリビューションをやったおかげだ」と言ってしまうのは、ちょっと違うのではないかと思います。

アトリビューションは対応するものではない

有園:そうですね。「コンバージョンパスデータを分析することがアトリビューション」だと思っている方がいらっしゃいます。コンバージョンパスデータをアウトプットできるようになったサービスを「アトリビューションに対応しました」と書いているプレスリリースもよく見かけます。

治田:ありますね。

有園:アトリビューションという言葉を使いたんだと思いますが、それはアトリビューションとは違うのでは?と思っています。

治田:そもそも、アトリビューションは対応するものではないですよ。

有園:おっしゃるとおりですね。

治田:「APIに対応しました」「無線LANに対応しました」と言うのとは違います。「アトリビューション」という言葉を使えば注目される、取り上げられやすいと思っているような気がします。

有園:私は、アトリビューションがきちんと浸透していないためにこのような状況になっているのだと思います。治田さんはアトリビューションをどのように認識していますか?

アトリビューションを単一の広告メディアの中だけで語ってはいけない

治田:難しいですね。忘れてはいけないのが「アトリビューションを単一の広告メディアの中だけで語ってはいけない」ということです。だから、先ほどの「ビュースルーコンバージョンがクリックスルーコンバージョンの5倍ありました」という話はアトリビューションではないのです。必要に応じて複数ユーザーのタッチポイントを可視化するべきです。それを、どのように活用するかがアトリビューションには含まれていなければなりません。具体的なやり方は業種によって様々だと思いますが、その観点が含まれていてこそアトリビューションだと考えています。

有園:オンラインの場合は、一人のユーザーが複数のタッチポイントに触れてコンバージョンした際、それぞれのタッチポイントがどのように貢献したのかをきちんと分析すること。それが、アトリビューション分析の基本かなと思っています。その後に、配分やクリエイティブの話になります。一般的に、初回、中間、ラストなどと言いますが、それぞれに対してどのようなクリエイティブをあてていくのか。コミュニケーション設計を含めて最適化していくのがアトリビューション・マネジメントだと思います。コンバージョンのパスデータを使った分析から得たものを有効活用するのがアトリビューション・マネジメントなのに、その手前の経路データを出すことをアトリビューションと表現している日本のツールベンダーが結構、多いですよね。

アトリビューションは広告主のためにある

治田:そうですね。私が一番危惧しているのは、アトリビューションという言葉が広告媒体側に都合の良いように解釈されて広がっていくことです。「コンバージョンする広告」が売れるのは当たり前ですが、現状はコンバージョンする広告が少ない。広告媒体側が「うちの媒体はビュー効果があります」という文脈でアトリビューションを語ることに危機感を覚えています。アトリビューションは広告媒体側の評価を助けるものではないと声を大にして言いたいです。

有園:なるほど。分析結果は広告主のマーケティング効果を最大化することに役立っていないと本質的には意味がないですね。

治田:そうです。アトリビューション分析をやった結果、本当に価値のない媒体やメディアが判別できるようになります。

有園:広告主側にとっては、媒体をふるいにかけるといった良い意味での新陳代謝が起きますね。価値のある媒体が分かると、媒体選びから施策までを適切におこなえるようになります。例えば、日経BPであればBtoBのお客さんと相性が良いですし、Yahoo! JAPANは一般コンシューマー系の検索ボリュームがあるのでBtoCに強いといった区別ができたり。

治田:日経BPであれば、ウェブサイトのコンテクストと広告主のコンテクストを合わせることが必要です。

有園:そうすると、アトリビューションは広告主のものであり、複数のタッチポイントを分析して貢献度を割り出していくことだといってもよいかもしれませんね。これは、分析手法は異なるが、オンラインだけの分析であっても、オフラインを含んでいるケースでも同じでしょうね。

治田:そうですね。

有園:2012年に入ってから日本でも、オフラインを含めたアトリビューションのニーズが増えています。アメリカでは、Market ShareやVisual IQなど複数のアトリビューションベンダー企業がオフラインでのアトリビューションについて語り始めています。オンラインの場合はコンバージョンに至る経路を分析するのが主流です。しかし、オフラインを含めたものは数理統計的な相関分析や確率論のベイズ統計を使ったモデル化なので、伝統的なメディアミックスモデリングなどと手法は本質的には変わりません。

治田:扱えるデータが増え、深さが変わりましたね。

有園:CRMと連動して、店頭の販売とテレビ、そしてオンラインのデータを結びつけ、仮想のシングルソースのような状態のデータベースを作り上げて分析できるようになりました。技術的にオフラインを含めたアトリビューションができるようになりました。

治田:そうですね。

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アメリカのアトリビューションは日本より進んでいるのか

有園:そこで気になるのが、アメリカのアトリビューションはどのような状況にあるのか、ということです。治田さんはad:tech San Francisco 2012へ行かれたそうですが、そのあたりはいかがでしたか?

治田:日本よりもアメリカのほうが技術的にも先をいっていますが、それは想定の範囲内です。アメリカは、アルゴリズミックやオートメーションの部分が進んでいます。でも、日本と全く違うわけではないので大差は感じません。

有園:4月のad:tech San Francisco 2012で発見はありましたか?

治田:「自分の考えていることは間違っていない」ことを再認識できたのが一番の収穫です。

有園:なるほど。

治田:アメリカのほうが進んでいる部分は沢山ありますが、進んでいる部分も自分のベクトル上にあり、しかも距離は離れていないと感じました。

有園:たとえば、動画配信の効果分析について何かありましたか?

治田:実は、私もアメリカへ行く前はリッチメディアの解析や効果分析の話を楽しみにしていたのですが、残念ながらその辺の話は全く出ませんでした。そこが意外というか、日本がアメリカに先行できる部分かなと思いました。

有園:なるほど。

治田:あとは、アトリビューションのコンサルティング会社の存在感が増していたことを付け足しておきます。AdometoryやEncore Mediaなどのアトリビューションコンサルティング企業が登壇する際「いまやホットトピックになりましたアトリビューションのエキスパートの方々に登壇していただきます。どうぞ」といった紹介のされ方をしていました。専門分野としての知見が求められていると感じました。

アトリビューションが単なるバズワードではなくなった

有園:アトリビューションが単なるバズワードではなくなったということですか?

治田:間違いないです。2011年8月にSESへ行ったとき、Google アナリティクスのコーナーで「Multi Channel Funnels」(マルチ・チャンネル・ファンネル)という機能が紹介されました。いわゆるクリックパスが取れる機能です。それを世間はアトリビューションだと言い始めたんです。その時に「アトリビューションってどうやるんだろう」「これ、流行るのかな?」という状況になったわけです。

有園:いわゆる、きっかけですね。

治田:そのエマージングからホットトピックになったと感じています。

有園:なるほど。

治田:エマージングからホットトピックになって、ポピュラーになって、最終的にメジャーの階段を上れるかは今後次第だと思います。

お客さんのライフタイムバリューを上げる「マーケティド(Marketed)」

有園:キャンペーンマネジメントのプラットフォームとして第三者配信を考えてもらう時に必要な要素の一つとして、CRMとの連携があると思います、その辺のデータ連携の盛り上がりはいかがでしたか?

治田:アトリビューションという言葉が一番多く出てきたセッションはEメールでした。刈り取ったカスタマーへ購買データなどの情報をセグメントして提供し、カスタマーのライフタイムバリューを上げる方法を考えた時、効果があるのがメールであると。カスタマーをよりマーケティド(Marketed)なカスタマーにするには、どのようなアトリビューションをおこなうべきかという文脈が非常に多かったです。

有園:マーケティド(Marketed)というのは、具体的にどのようなことを示すのですか?

治田:マーケティング(Marketing)という言葉はマーケット(Market)の進行形です。つまり、お客さんを自分の市場に招き入れるというイメージです。その後、招き入れてコンバージョンしたお客さんに対してライフタイムバリューを上げる施策が「マーケティド(Marketed)」です。マーケティド(Marketed)する人を、マーケティドカスタマー(Marketed Customer)と呼ぶように定着しないかなと密かに思っています。

有園:ナーチャリングみたいなことですね。

治田:そうです。以前、有園さんがおっしゃっていた顧客育成、顧客教育に近いです。コンバージョンした後にそういった動きが必要であるという考えです。いずれはコンバージョンした後のアプローチに力をいれる傾向になると思います。実際、アメリカではそういった傾向が見え始めています。

アトリビューションとEメール

有園:ライフタイムバリューを上げるために、より顧客をマーケティド(Marketed)するために、アトリビューションの貢献度を考えた施策が始まっているわけですね。先ほどのメールのセッションの例は、具体的にどのような話ですか?

治田:2011年か2010年に、ユナイテッドエアラインがコンチネンタルを買収し、マイレージプログラムを統合することになりました。そもそも、この二社はユーザー属性が違うので、これを機会にユーザーを徹底的にセグメントすることになったのです。各ジャンルに分類して、それぞれに適切なEメールの文章、コンテンツ、配信タイミングでメールを送ったところ、従来の費用対効果と比較して9倍以上の改善が見られた、というケースがありました。

有園:興味深いですね。

治田:DSPの解説でCRMリターゲティングという言葉も出ていました。

有園:最近では、メールでのアプローチを最適化する事業を行なっている企業がCRMデータや配信技術と連携することによって、様々なパターンでのアプローチをしていると聞きます。ユーザーがバナー広告経由でウェブサイトを訪れてコンバージョンした場合、コンバージョンしなかった場合でアプローチは違います。リターゲティングで追い、資料請求をした方にはそれ用のメールを送る。マーケティド(Marketed)したお客さん向け、マーケティド(Marketed)しそうなお客さん向け、マーケティド(Marketed)しそうにないお客さん向け、とアプローチを分ける時代になってきました。

治田:そうですね。例えば、Aに興味のあるユーザーが、Aに関するウェブサイトでAの広告を見た場合と、Aと関係がないBというウェブサイトでAの広告を見た場合では見え方が違います。もちろん、Aに関するウェブサイトでAの広告を見たほうが良いです。だから、AとBのウェブサイトでのビューを同じ1ビューとカウントするのはどうかと思います。違うものとして考えるべきです。アメリカではその辺は重要視されていますね。

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検索ログは宝の山

有園:話は変わりますが、私はお客さんから「コンバージョンした後は検索行動も変わるのですか?」と質問を受けます。たとえば、ある住宅メーカーさんでは、実際に住宅を購入した後と前とではその住宅メーカーのウェブサイト上での行動パターンが異なるはずで、それを分析できないかという話しがあるのですが、同じように、住宅購入以前と以後では検索行動も異なるのではないか?そのようなデータを有効活用してターゲティングできないか?みたいな質問をクライアントから受けることがあります。御社では検索ログデータを分析していらっしゃいますが、具体的にどのような分析をしていますか?担当の石橋さん、いかがでしょう。

石橋:検索ログ分析サービスの説明をクライアントにする際、「検索」はAISASのS(Search)だけでなく全ての部分に関わってくるという話をします。

有園:A(Attention)、I(Interest)、S(Search)、A(Action)、S(Share)のすべてに、検索は関わってくるということですね。

石橋:そうです。クロスリスティングでは、ユニークユーザーの行動を時系列で追えるので、ユーザーがどのようなキーワードをどのようなタイミングで検索しているかが分かります。そのログデータをもとに、より良いアプローチ方法を模索したり、ユーザーの悩みやウェブサイトの抱える問題を解析して解決策を考えたり、広告の影響度を調べてアトリビューションの重み付けに役立てていただいております。

有園:最近の発見はありますか?

石橋:検索ログはユーザーの行動をいろいろな面から見られるので、消費行動のデータマイニングの一環として分析でき、一般的なマーケティングとは異なる手法がとれます。検索ログ分析から、ユーザーの行動を把握すると、ユーザーがコンバージョンする場所が見えてきます。そうすると、あとはコンバージョンする場所へ導くアプローチを考えるだけです。

有園:なるほど。いろいろなデータを分析してデータマイニングを行なっているわけですね。岡野さんはどのようなことをやっていらっしゃいますか?

岡野:検索ログを使って広告の効果を測定したり広告を改善したりするだけでなく、マーケティング全般にも広く使える分析サービスの企画をしています。

有園:具体的にどのような使い方をしているのですか?

岡野:新しいサービスを立ち上げる案件の場合は、市場調査の観点でマクロから検索傾向を分析します。また、会員制サービスを提供している場合では、ミクロで会員一人ひとりの検索ログから検索傾向を分析します。検索ログを使えばかなり広い解析ができますし、退会の可能性等も把握することができます。

有園:携帯電話で例えると、auの携帯電話を使っているお客さんがソフトバンクに関するキーワードを検索し出したら、auを解約してソフトバンクに乗り換えてしまう可能性があるということですね?

岡野:そのとおりです。現在も会員の方とすでに解約した方のデータに絞込んで、それぞれの傾向を分析して、比較すれば対策も練りやすくなります。

有園:実際にやってみていかがですか?

岡野:まだノウハウを溜めている段階ですが、あるサービスを解約した方は、解約する前に競合他社のサービス名で頻繁に検索をする傾向があります。品質や価格とのアンド検索をする方も多いです。検索ログを見れば解約理由まで把握できるようになっています。

有園:ユーザーの傾向を把握して問題が把握できれば、そこに最適なアプローチをすることで解約を回避できるかもしれないということですね。

岡野:そういうことです。

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有園:すでに、そのようなサービスは他にもあるんですか?

治田:YahooやGoogleはやろうと思えばできると思いますが、今のところはやっていないですね。

有園:となると、クロスリスティングを使わない手はないってことですね。

治田:そうです!

有園:検索ログデータの分析でもコンバージョン後の検索行動に着目しているということで、アトリビューションが単なるメディアプランニングの最適化から、マーケティド(Marketed)するためにメールや検索ログデータを活用してモデル化する段階に入ってきたことを感じます。

アトリビューションを流行で終わらせてはいけない

有園:ところで、まだまだ深くお伺いしたいテーマなのですが、時間がなくなってきました。最後に、それぞれ、メッセージをお願いできますでしょうか。

治田:結局はマーケティングです。アトリビューションという言葉が注目を集め、画期的なサービス、最先端なツールであると騒がれています。でも、実際は昔からある考え方のひとつでしかありません。可視化できるひとつの方法論としてアトリビューションが存在していると思っています。本質的には、それはやって当たり前なことであって、概念としてはさほど新しいものではありません。だから、「これはすごい」「きますよ!」とか言われることに違和感と危惧を覚えます。このままでは単なるブームで終わってしまうのではないかと心配しています。

岡野:私からは、最後に検索ログを使う3つのメリットを紹介します。1つめは、検索ログには具体的で詳細な消費者のインサイトが入力されていること。2つめは、自社と接点がない部分の情報が得られること。3つめは、ほとんどフィルターがかかっていない人たちが分析の対象であること。謝礼目的の人とは違い、非常にリアルで面白いデータです。メリットの多い検索ログをぜひ活用していただければと思います。

有園:ありがとうございます。では石橋さんお願いします。

石橋:以前、有園さんがどこかで「素晴らしいマーケティングプランを練っても、商品やウェブサイトに問題があれば意味がない」とおっしゃっていましたが、まさにその部分が重要だと思っています。商品やウェブサイトの抱える問題が検索ログを見ることによって浮き彫りになります。マーケティングプランを練る前に、検索ログをチェックしていただきたいです。

有園:Twitterやブログなどで語られている自社のサービスや商品の問題、お客様の声を拾いましょうという話があります。検索ログを見れば、検索行動に現れる消費者の声がリアルに把握できますね。

石橋:検索をするときに他人の目は気にしません。でも、ソーシャルメディアでの情報発信は人に見られる前提でおこなっています。ある意味、セーブされた表現のはずです。だから、検索ログのほうがより本音に近い、生身の声だと思います。

有園:面白い視点ですね。治田さん、岡野さん、石橋さん、ありがとうございました。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
Google+

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(END)

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【アトリちゃんの視点】アトリビューションという言葉や定義の一人歩き現象はよく耳にするようになりました。新しい取り組みによくある現象ですが、きちんと理解した上で使われるように働きかけていきたいですね。Marketedの考え方は興味深いですね。顧客育成するための中間施策/KPIについてもよく語られるようになったので自然な流れなのかもしれません。それにしても、検索ログに触れたことがある身としてはクロスリスティングさんの検索ログデータ、ものすごくインサイトが豊富だと理解できますし、何と言っても見てみたいですね〜w 治田さん、岡野さん、石橋さん、ありがとうございました!

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アトリビューション特別対談:株式会社オムニバスCEO山本章悟 × アタラCCO岡田吉弘

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緊急対談です!今回は、ad:techシンガポールにブースを出されていた株式会社オムニバスの山本章悟さんに、熱気あふれるad:techのブースで緊急インタビューをしてみました。オムニバスを立ちあげられた経緯や、東南アジアにおけるアドテクビジネスの展望について伺っていきます。(シンガポールの陽射しが強かったのでサングラスをかけてみました ^^)

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ad:techとオムニバスの関係。

岡田:今回は、ad:tech シンガポール特別編ということで、オムニバスの代表取締役CEOである山本章悟さんお迎えしてお話を伺います。Attribution.jpをご覧の方であればオムニバスさんや山本さんをご存じない方はいないような気がしますが、改めて自己紹介をお願いいたします。

山本:オムニバスの山本章悟と申します。私自身はこれまでのキャリアでずっとアドネットワークに関わり続けていて、2008年当時日本でだれも関わっていないアドエクスチェンジが海外で伸びているのを知って、これはチャンスだと思いオムニバスというアドテクノロジーカンパニーを立ち上げました。創業当時は一人だったのですが、その後すぐにDSPやRTB、オーディエンスターゲティングやアトリビューションなどの単語に代表されるアドテクノロジーが注目されはじめ、その波に乗るかたちで少しずつ会社を伸ばすことができました。創業当時から考えると本当に想像もできないくらい、自分も周りの環境も変わってきたなあと実感しています。

岡田:創業当時はお一人だったとおっしゃいましたが、現在社員さんは何名ぐらいいらっしゃるんですか?

山本:現在は約20名です。

岡田:おお。すごく増えてますね。勢いを感じます。

山本:人数が増えてきたので、組織としての強みを出せるよう、コンセプトをしっかり固めようとしています。オムニバスには「Bids of Omnibus」というブランドステートメントがあるのですが、その中に「We are selling culture 単なる商品でなく文化を提供しよう。私たちは広告と同時に、デジタル広告の持つ先進性、優れたクリエイティブ表現、デジタルアドバタイジングという新しい文化を提供する会社である。」という言葉があります。アドテクノロジーを利用して、マルチデバイスによって行動が変化してきているユーザーにしっかりと適切なメッセージを届けられる、マーケティングソリューションを提供できる会社になり、社会に貢献していこうと、そんな思いを込めています。

岡田:素晴らしいですね。そこで、今回はそういったアドテクノロジーの代名詞的なイベントでもあるad:techのシンガポールにオムニバスさんはブースを出されているのですが、シンガポールでブースを出そうと思われた狙いというか、そのあたりをお聞きできればと思います。

山本:そうですね。オムニバスは元々アメリカが中心になっているプラットフォームを使ってアドネットワークを組んでビジネスを展開している会社です。もちろん今でも日本が我々のビジネスの中心であることは間違いないのですが、使っているプラットフォームがワールドワイドなものなので、東南アジアにもシームレスに使えるし、以前からチャンスがあるなと思っていました。これまではベンチャーということもあってリソースの問題でなかなか手が回らなかったのですが、おかげさまで体制も徐々に整ってきたので、本格的に東南アジアを考える前のマーケティングリサーチのような意図でブースを出してみた、という感じです。もちろん、運が良ければビジネスに繋がる話ができるかもしれない、という期待も込めてですが。

岡田:運が良ければとおっしゃいましたが、私から見ている限りだと、オムニバスさんのブースはとても盛況に見えました。実際にブースに訪れた方の反応はいかがでした?

山本:実は、かなりよかったです。繰り返しになりますがオムニバスのプラットフォームは東南アジアのトラフィックにも対応できます。そこに興味を持ってくれる企業さんが意外と多かったという印象です。日本に広告を出したいという海外の企業さんや、モバイルに関しての問い合わせも多かったです。

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(盛況なオムニバスのブース)

岡田:そうなると、日本にいながら海外の案件もやる、というだけでなく、実際にシンガポールにブランチを立てて腰を据えてビジネスをする、みたいなことを考えたくなってしまいますね。

山本:そうなんですが、あくまで今回たくさんいただいたお話がちゃんと仕事になって、ビジネスとして可能性を感じられるようになってからですね。タイミングが来たと判断できたら、どんどん進めていきたいとは思っていますが。

岡田:おおー。素晴らしい。

山本:来月もまた来る、みたいなのは普通にあると思います。

岡田:そうなんですね。それぐらいの引き合いがこの二日間にあったということですね。

山本:そうです。もちろんこういうイベントなので、みなさんテンションが上がっているというのは差し引いて考えないといけないですが、帰って問い合わせを整理して、進められそうなところはどんどん進めていきたいと思っています。

東南アジアは別に”東南アジア”というカタマリじゃない。

岡田:素晴らしいですね。私はさっきから「素晴らしい」しか言ってないような気がするので少し話題を変えます(笑)。ここ数年東南アジアは伸びる伸びると言われていて、まあ実際に市場が大きくなるのは疑いの余地がないと思うのですが、そういった期待感とは裏腹に、ビジネスの現場では苦労しているという声も多く聞きます。オムニバスさんから見て、そういった期待と現実のギャップのようなものについて今回の出展を通じて何か感じられたものはありましたか?

山本:実際にまだこちらでビジネスを開始しているわけではないので、現時点ではわからないというのが正直なところです。ただ、現地の企業と話していると、例えば広告の売り方がいまだにCPD(Cost Per Day)が主流らしいという話がある一方で、外資系企業がどっとなだれ込んできて、RTBすごいよ、オーディエンスターゲティングだよと言って、ad:techのようなイベントで煽るという構図が見えてきています。そういったad:techの中の世界と、実際のビジネスの現場との溝みたいなものは感じることがあります。

岡田:肌感覚として、そこにはだいぶギャップがあるんじゃないかと思っているということでしょうか。

山本:もしかしたらあるんじゃないかなと。ただ、実際にこっちで広告主さんや代理店さんと仕事をしてみないと見えてこないんじゃないかとは思っています。

岡田:なるほど。もう少しだけこの話をお訊きしたいと思います。初日のセッションでは、ローカルマーケットについての特徴やデータ、ビジネスを進める上での課題などを話すパネルディスカッションが幾つかありました。年々エマージング・マーケットへの注目度が増す一方で、具体的にローカルへの導入で苦労している部分とか、課題は何なのかとか、そういった発見はありましたか。

山本:ベトナムとタイについてのセッションを聞いていてよく耳にした言葉が、「Government」だったんですね。考慮しなければならない要素として政府がある。ベトナムは確かに社会主義ですが。 

岡田:私もそのセッションは出ていましたが、確かに聞きました。ベトナムは国営テレビばっかりだとか。調べると衛星放送も可能みたいですが、一部の富裕層に限られるでしょうしね。

山本:ネットのインフラとか、規制がどの程度あるのとか、そういった不透明さを感じるのは確かです。

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岡田:今年のad:techはad:techじゃなくてsocial:techじゃないかというくらい、ソーシャルの話が多かったですが、東南アジアにおけるソーシャルビジネスの広がりや、オムニバスさんのソーシャルについての取り組みなど、そのあたりはいかがですか?

山本:オムニバスはやはりディスプレイアドバタイジングの会社なので、例えばつい先日FacebookがRTBを始めるというニュースが出ていましたが、そういったところをしっかりキャッチアップしていきたいなと思っています。あと、話は少し逸れますが、ソーシャルと一口に言っても国ごとにぜんぜん状況は違うなと考えています。Facebookの人口が多いのはインドネシアですが、インドネシアはスマートフォンというよりまだフィーチャーフォンが主流です。シンガポールはスマートフォンがだいぶ普及してますが、フィリピンやベトナムもまだこれからです。

岡田:ベトナムはZING MEが強いですよね。Facebookが解禁されたので急伸しているとは言っていましたが。

山本:東南アジアという国があるわけじゃないので、当たり前なんですけどちゃんと国別に考えていかないといけないなと。国ごとのデバイスの違いや、主流のサービスも違いますし。

今が進出するにはチャンスだと思う。

岡田:話をオムニバスさんに戻します。オムニバスさんはad:techでブースを出すのは今回のシンガポールが初めてではなく、サンフランシスコやニューヨークでも既に出されているとお聞きしていますが、過去の出展の中で、一番反応が良かったのはどこですか?

山本:今回のシンガポールかもしれないです。サンフランシスコも反応は良かったですが、今回は勢いがありますね。引き合いの種類も国もさまざまですし、カオスです。

岡田:すごいですね。でも確かに、参加者のハングリーさというか、そういう勢いは感じます。

山本:いろんな国からというのはアメリカでも一緒でした。サンフランシスコで引き合いのあったところはもう取引が始まっていますが、そういった海外との取引で経験値を積んでいくことによって、その国の市場がわかってくるようになります。

岡田:そういった海外市場に強いというのも、オムニバスさんの価値になりますね。

山本:国内を考えるとそうですね。海外に活動を拡げることによって、国内から海外に広告を出したい企業さんに適切にご案内ができますし、海外の企業が日本に広告を出したいときも仲介することができる。アウトバウンドとインバウンドの相乗効果があります。 ad:techにブースを出すようになってから、そのサイクルが分かってきました。

岡田:国内と海外をそれぞれ見ていて、気づくことはありますか?

山本:そうですね。二年前にシンガポールに来たことがあるんですが、その時は誰もテクノロジーの話をしていなかったのが、今年はこの盛り上がりですから、スピード感というか、勢いはとても感じます。特に、モバイルは早いです。それはもう東南アジアとか関係なく。

岡田:そうなんですか。具体的にどういったところでそれを感じますか?

山本:例えば、モバイルアプリがありますよね。あれはひとたび流行ると世界中からトラフィックがきます。なぜか分からないけど台湾から大量にアクセスがあるとか、そういうことが割と頻繁に起きます。これをビジネスにしようとすると現地の企業と直接やり取りをするしかない。そういった流れも手伝って、モバイルは本当に海外との連携が早かったです。今回もシンガポールのモバイル企業と話す機会があったのですが、拠点は確かにシンガポールだけど、世界中にサーバーがあって、世界中のトラフィックを捌いているようです。シンガポールはあくまでハブですね。

岡田:シンガポールは人口500万人くらいですから、そこだけで広告のマーケットを考えるのは現実的ではないですね。拠点はシンガポールでも、そこから東南アジア全体でビジネスをという企業は多いですね。

山本:税金も安いですし。企業にも優しい土地柄ですしね。

岡田:もう進出するしかないって感じですか!

山本:いや、ノリで来てはダメですね(笑)。歯切れよく「来た方がいいぜ!」と言いたいですけど、やはり不透明な部分も多いので。行くぜ!というのが目的化しても意味がないと思いますし。

岡田:最初におっしゃっていたように、進出した方がメリットがあることを確かめられる状況にしないといけないということですね。急いで来ても火傷するけど、ゆっくりしてると乗り遅れるというか、それぞれのステージよる見極めが大事ですね。

山本:日本でやっていても大変なことはたくさんありますから、こっちに来たからといって別に楽になるってわけでもないですので。日本では想像できないような大変なことがたくさんあると思います。一方で、今後間違いなく伸びていく市場なので、ある程度長期的な視点でやるにはとてもいいタイミングなんじゃないかなと思っています。

岡田:なるほど。ありがとうございました。さて、このサイトはアトリビューションの情報サイトなのですが、今回のad:techではRTBやDSPの話はあっても、アトリビューションに関する単独のセッションは残念ながらありませんでした。ただ、仮にアジアでのアドテクノロジー市場の成長をラストタッチだとすると、今回のシンガポールでの二日間はファーストタッチというか、アジアのアドテクノロジーの胎動を予感させるきっかけとしてしっかり貢献度をスコアリングすべきイベントだったと思います。
と、無理やりアトリビューションに繋げたところで、山本さん、最後にメッセージをお願いします。

山本:それでは少し大きめの視点からお話したいと思います。今回様々なアドテクノロジー系のセッションの中で聞く事ができたのが、アドテクノロジーの理解が進んだ、先端市場としての日本の存在と、約10年以上前からある日本のモバイルの広告市場の存在です。その2つについてはセッション以外でもいたるところで聞く事ができました。やはり日本という国はアジアの中ではダントツにマーケットが成熟しています。そこからくるノウハウや技術はアジア市場を考える上で非常に大きなアドバンテージになると感じました。あとは僕らのメンタリティー次第です、海外に対しても物怖じする事なく全力で取り組む事ができれば道は必ず開けていくはずです。日本も全然捨てたもんじゃない、自分たちにプライドを持ってやっていきましょう! 

岡田:山本さん、ありがとうございました!

聞き役:岡田吉弘(Yoshihiro Okada)Google+

(END)

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【アトリくんの視点】日本だけでなく海外を視野に入れ実践を繰り返されている山本さんのエネルギーが感じられるインタビューでした!実際に海外に向けてアクションを起こされているオムニバスさんだからこそ得られる知見が多くあるのですね。エマージング・マーケットへの期待と現実とのギャップを少しづつ埋めていきながらビジネスを拡大していく心意気に大いに勇気づけられます。アトリビューションについてはad:tech Tokyo に期待ですね。山本さん、貴重なお話をありがとうございました!

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