対談

アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(4/4)

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第4部/全4部(2011年7月29日公開分)

クリックした人はいつ買うの

有園:私も大手アパレルや大型ネット書店を担当したことがありますが、大手アパレルなどは3000円以上が送料無料になったりすることも理由だと思いますが、その場で1000円のものを3つ買ったりしてすぐに成約をするケースがけっこう多いんですね。ただ、たとえば、PCの購入になると検討期間は延びますよね。お客さんの検討期間と単価によって、コンバージョン率や数がかわってきますよね。

田中:そうですね。

有園:インターネット広告で効果が出やすいところで、1〜2ヶ月の検討期間がある場合は、アトビューションで効果を感じやすいはずですね。

田中:コンシューマーパッケージでも直接コンバージョンの何倍かは間接のコンバージョンがでるので両方足しておいて判断した方がいいですよね。その中でも、より購買までの期間が長いものは絶対やった方がいいですね。

有園:リスティング広告でやっていてもすぐに買わないものがあります。たとえば、海外旅行とか。比較検討するもの。このようなクリックしてもすぐ買わないものは、間接コンバージョンがけっこう発生します。このような商品は、アトリビューションでもっと間接コンバージョンを測定できるといいですね。

田中:やってみないとわかりませんから。まずはやってみてもらいたいですね。きっとびっくりするはずです。

有園:そうですね。

田中:加えて、ビュースルーサーチクエリを見るだけで、このバナーは外していたんだ、当たっていたんだということがちゃんとわかります。そして、サーチで刈り取ってくれていたんだということもよくわかります。

有園:「ビュースルーサーチクエリ」という言葉は田中さんの言葉ですか?

田中:うちで使っている言葉ですが、厳密に言うと「ビュースルーサーチキーワード」です。

有園:バナーがサーチを誘発したというケースのことですね。この効果がバナーにあるので、きちんと見ましょうと言うことですね。

田中:はい。

有園:ちょっと話が脱線しますが、TVCMを見て検索するんじゃないかと思ってTVCMに検索ボックスが入りました。あれと発想は一緒ですよね。リスティング広告以外の媒体を見て検索をしているので、きちんと測定しましょうと言うことですね。

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純広告に価値はあるか

有園:そろそろ時間がなくなってきたので、最後に、1年くらい先の業界がどうなっているか、その辺の考えをきかせてください。どのような予測や期待がありますか?

田中:純広告の価値がやっぱりすごくあったんだ。という仮説を実証したいですね。純広告やアドネットワークからもっと効果が出ている、売れているということを示したいですね。

有園:私はサーチに対しての過剰投資をしているお客様に会うことがあるんです。たとえば、10万キーワードを入れていて、CPAが1000円の目標。この場合、全体のキーワードでの平均値がこのCPA1000円という数値に落ちつていればいいと言われますが、当然、その中には無駄なキーワードもあります。

田中:ありそうですね。

有園:その無駄を削り、バナー広告にふったほうがいいというロジックがアトリビューションから導き出せそうなので、それをスライドさせることをまずは実現することから手をつけたいですね。名前を出してもいいような成功事例がでると、ライバル会社もやりたがると思います。そうなると、他も追随するので、アドネットワーク、第三者配信、純広告など、お金の流れが変わるでしょうね。

リスティング広告の過剰投資を防ぐ

田中:今リスティングの市場は2000億円ありますが、このうちどの程度が過剰投資なんでしょう?

有園:どのくらいかわかりませんが、いまコンサルティングしているお客様を見ていると1/4くらいは流れても良さそうですね。

田中:25%はすごいなぁ。

有園:ただ、スライドする先がGoogleのリマーケティングだったりするんですよ。そうなるとサーチは減るけど、全体のGoogleの売り上げは上がりそうですね。

田中:でも、リマーケだと母数は稼げないから予算は消化できないですよね。そうなるとさらに伸ばそう、となるとユーザー属性で買えるDSPや純広告に流れそうですが。

有園:リマーケやリターゲティングの数が足らないとバナーへの投資につながるかもしれませんね。

田中:かりに20%流れても400億円ですからね。それは市場が大きく変化する規模感ですね。

有園:そのくらい流れる可能性があるように感じています。別にリスティングからスライドさせることがゴールではなく、バナーで効果が出そうな企業は流れる可能性があるかなと。

田中:はい。

有園:ただ、バナーがききますよって事がわかっていれば、スライドではなくてもいいと思うんです。全体の広告予算が1%増と微増で、特にリスティング広告が伸びているのがここ数年の日本の状況だと思いますが、バナー広告も成長しつつリスティング広告も微増していくというのもあり得ますよね。

田中:確か直近でアメリカでは、リスティング広告の市場伸び率をディスプレイ広告の伸び率が抜いたんですよね。そういうことが日本でも起きて、全体が伸びて、広告の改善をすることになるわけですから広告主にとってはいいですね。

有園:そうなると理想論ですが、広告主も、媒体も、代理店もみんなハッピーな形になりますね。

田中:そうですね。

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アトリビューションを日本に広めるために

有園:いままで見えていなかったバナー広告の効果を見える化することによって、リターンを示すことができ、そこにアトリビューションが少なからずお役に立てます、と。今年はその土台作りになりそうです。

田中:投資とリターンの関係で、一つ一つのチャネルだけで測定していると一生バナーはだめだと言われかねません。でも、この投資リターンの関係がこの1年で見えるようになると思うので、がらっとインターネット広告からの集客が変わりますね。でもどうしてアメリカではあれだけディスプレイ広告が伸びているのに日本では伸びないんですかね?

有園:どこかにティッピングポイントがあって田中さんが火付け役になるんじゃないですかね?(笑)

田中:僕はワーワーやりますよ(笑)こういうのってアジテートしないとだめですよね。誰かが声を上げないと、変わりませんからね。輸入してきたものだけで全て決まるのっておもしろくないですからね。

有園:アトリビューションの考え方はアメリカからはじまったと思いますが、確立しているわけではないですからね。だからこそ、日本独自で、日本にあったものを普及させていきたいですね。

田中:そうですね。

有園:いずれにしても、第三者配信でビュースルーを見ていくという考えを広げ、価値を伝えていくことで、普及の年にしたいですね。

田中:お客さんの反応を聞くと、びっくり玉手箱だと思う人が多いですね。パンドラの箱だと思って開けたら、宝物が入っていた。そういう印象を持つ人が多いです。

有園:そうですか。

田中:あとはDSPですね。あとは、エクスチェンジ。第三者配信。この3つが日本では同時にバンと立ち上がっているのでおもしろいです。アメリカだと、第三者配信が最初に出てきて、そのあとDSP、エクスチェンジという市場進化の順番ですからね。日本のインターネット広告産業が、がらっと変わるかもしれません。

有園:がらっと変わる気配を感じますね。インターネット広告は2000年くらいから成長を加速して日本でも安定した市場になりましたけど、最近はちょっとリスティング広告など頭打ちなところもあります。このDSP、第三者配信などのテクノロジーで効果が出るようになると次のブレイクスルーがきそうですね。

人間にしかできないこと

田中:そうなると次は人間の力が試されると思います。クリエイティブ・・・たとえばこういうキーワードを誘発しそうなものは何か。機械が絶対にできないことですよね。

有園:できませんね。

田中:そのとき人間の力が試されることになりそうですね。今はテクノロジー偏重で左脳の年ですが、来年は普及すると右脳の年になりそうですね。

有園:最後は徹底的に自動化するとか、枠を最適化するとか、ある程度できることが完了すると、あとはクリエイティブ勝負ですね。そして、データを見てプランニングをするとか。

田中:その左脳と右脳の両方の力を持っているプレイヤーが勝つ時代になりますね。今だとディスプレイ広告の左脳・右脳、サーチの左脳・右脳の人がいますが・・・。今はサーチはほとんど左脳で、左脳8割、右脳2割みたいなところがありますよね。

有園:広告文をきちんと書くと効果が上がったりするんですけど・・・。

田中:そうですね。その力を融合するといいですね。このときって左脳に右脳を融合するとうまくいきますよね。

有園:田中さんって、Yahoo!で働いていたときはバナー広告の制作もやっていたんですよね?そのときの田中さんは左脳だったんですか?

田中:僕はYahoo!のときはどんなバナーを作ろうか考えていたので完全右脳でしたよ。キャリア的にはコンサルタントやっていたこともあるので、左脳にもいきましたが、本当は右脳なんですよ。テクノロジーは大事だけど右脳のクリエイティブを忘れちゃいけないといいますが、左脳がちゃんと整備されていないと、右脳も働きませんよ。両方大事ですからね。

有園:広告とかマーケティングはアートかサイエンスかとよくいわれますが、それと同じですね。

田中:日本の広告市場は左脳と右脳の融合を今年一年でやらないといけないんですね。

有園:右脳は遅れてもいいんですよね?

田中:まず、左脳は今すぐやらないといけませんね。アメリカはプレイヤーがいっぱいいるのでカオスって言われているんです。日本は、同時発生で動いているので、違う種類のカオスだと思います。でも、カオスの中でのチャレンジから新しい産業が生まれてくると信じてます。楽しいじゃないですかカオス。

有園:これがこの1年間くらいの動きですかね。10年だったらどうでしょう?

田中:もうわかりませんね。こればっかりは。。。

インターネット広告の未来

有園:そうやってバナーの価値が再評価されていくと、近い将来、TVCMの出稿金額をインターネットが超える可能性はありますよね?

田中:イギリスはそうなっているって言いますよね。イギリスまでいくとちょっと極端ですが、インターネット広告市場がまだまだ伸びる余地があるなぁって思います。このまだまだ余地があるというところが面白いですね。

有園:そうですね。そのような状況に日本市場も近づいていくのかもしれません。アドネットワークの普及とエクスチェンジなどで在庫が効率的に売れるようになり、オーディエンスターゲティングのようなアドテクノロジー進化によって広告主の満足度も高まっていく。そのような相乗効果の中で、まだまだ成長していく予感がしますね。

田中:そうですね。

有園:ところで、ちょうど、7月24日でテレビのデジタル化、アナログ停波を迎えますが、テレビやラジオのデジタル化によって、このようなインターネットでおこっているアドテクノロジーの波は、いわゆるマス広告にも影響を与えていくのではないかと感じています。それは、5年、10年先もかもしれませんが、広告業界をアドテクノロジーが大きく変えていくことだけは間違いないでしょうね。

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聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
Google+

(END)

全4回のPDF版をダウンロードできます。
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田中さん、熱いトークをありがとうございました!まさに革命前夜のインターネット広告業界。共にがんばりましょう!

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

コメント

アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(3/4)

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第3部/全4部(2011年7月28日公開分)

ラストクリックだけを評価していませんか?

有園:さて、あらためてアトリビューションを一言で説明するとどのように言えますか?

田中:顧客獲得、コンバージョン増加のためのチャネルと予算の新しいマネジメント方法って感じですかね。チャネル導線と予算配分の最適化をやることですかね。

有園:コンバージョンに複数の広告が貢献していた場合は、それぞれの広告に貢献度を割り振ることがアトリビューションの考え方で、その後に、予算配分などいろいろ最適化していくことがアトリビューションマネジメントなのかなと。

田中:はい。

有園:野球でいうと9人いて、バントが上手い人がいればシングルヒットを打つ人もいる。チームとしての得点力を上げて適切な評価をして選手に給料を払うことがアトリビューションですね。結果的に総得点が上がるように野球チームのフロントは考えるわけです。

田中:総合的にということですね。

有園:どの広告がどれだけコンバージョンに貢献したのか。貢献した度合に応じて広告費予算を最適化しましょうよと。ラストクリックだけを評価することは、4番打者にだけ給料を払っているようなものです。

田中:たしかに。

有園:非常に偏った評価をしていますね。4番打者だけ集めても野球は勝てません。チームとしてのコンビネーションを考えなければなりませんね。

田中:そうですね。サーチも、ディスプレイも、もはやひとつのチームで、強いチームをチームビルディングするようなもんですね。

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アトリビューションモデルとは

有園:ところで、アトリビューションモデル的にいうと、初回、中間、ラストとあった場合、ラストだけに100%の重みづけをするのがいままでのやりかたです。

田中:そうですね。いわゆる「ラストクリック評価」モデルですよね。

有園:アトリビューションの均等配分モデルという基本的なモデルでは初回、中間、ラストに均等に貢献度を割り振ることを考えます。なかには、初回に重きをおくモデルもあります。

田中:いろいろありますね。

有園:たとえば、認知されていない商品サービスの場合は、まずは知ってもらうこと、クリックしてもらうことが重要だよねと。コンバージョンも大切ですが、まずは知ってもらうこと。プロダクトライフサイクルの導入期にあるような商品サービスは初回に100%配分して評価すべきだという考え方もあります。

田中:そこからが難しいですね。均等配分をすべきか、しなくてもよいのか。ビューを評価すべきか、クリックを評価すべきか。ベンダー次第ですね。

有園:おっしゃるとおりです。

田中:僕らはビューは大事だと考えていますが、経路はあまり意味がないと思っています。A媒体、B媒体、C媒体と3回見たとします。それでC媒体からコンバージョンしたとします。もしくは、C媒体からサーチでコンバージョンしたとします。そうすると、C媒体はけっこう偉いけれどA媒体とB媒体って偉いんだっけ?ということになってきて、そこら辺が謎めいていしまいます。

有園:たとえば、バナーAがインプレッションして見ただけでした。クリックはしませんでした。そのあとに、バナーXをクリックしたけれどサイトから離脱したとします。次に、バナーBがインプレッションして見ただけでした。その後にサーチをしてコンバージョンしたとします。この期間が1カ月だとします。このような流入経路があった場合、最後に発生したバナーBのインプレッションはコンバージョンにつながっているのでビュースルーコンバージョンとして数えるんですか?

田中:数えます。

有園:その他は数えないんですか?

田中:第三者配信エンジンの多くはバナーAを数えません。機能として数えられる・数えられないのと分析するための数字は、評価は違うのですが、たいてい数えません。

有園:バナーXはクリックスルーコンバージョンをしていると考えるのですか?

田中:考えます。ただ1ヶ月超えている場合は微妙です。バナーXの貢献度はあると思いますが、バナーを複数見て複数クリックする人は全体の10%くらいです。ヘビークリッカーという議論もありましたよね。90%はほぼかぶりません。ビュースルーコンバージョンとしては、バナーを見て短期間でコンバージョンしたものの評価が高くなります。

有園:期間も評価基準にしているんですか?

田中:特定の期間できります。たとえば、30日間とかできっています。

有園:確認しますが、バナーAは30日以内に発生していたとしても、ビュースルーコンバージョンにはカウントしないんですね?

田中:カウントしません。

有園:アタラでは、バナーXのクリックはサイトへ誘導しているので評価はきちんとしています。田中さんの話だと、バナーXの貢献度はあるかもしれないけれど、あまり評価していないんですよね?

田中:短期間のクリックスルーコンバージョンであれば評価します。それは直接コンバージョンなので。ただ、30日以内に違う媒体で同じバナーに触れることはほとんどないんです。その中でさらにクリックを両方する、ということは90%の人に起きていません。こういう事態ってあまり起こっていないんですよ。

有園:ここに貢献度を振るべきかどうかということなんですよね。

田中:ここは完全に分けていますね。

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インプレッションは間接コンバージョンとして評価する?

有園:インプレッションは間接コンバージョンとして評価するんですね。ブランインドになっている、つまり、見られていない可能性が高い場合はどうするんですか?

田中:その場合は間接コンバージョンの評価ポイントを減らします。アドネットワークは何%くらいがブラインドだよね。純広告は何%くらいがブラインドだよねというようにざっくり判断します。厳密に機械ではかっているわけではないんで。

有園:見られる可能性が高い媒体である場合、コンバージョンに近ければ近い媒体を評価することは大賛成です。バナーAをどうするかは迷うところですが。バナーBやバナーXをしっかり評価しなければならないと考えています。このサーチが指名検索だとします。この指名検索を発生させたバナーBやバナーXがあるわけですから、指名検索の評価を下げてバナーBやバナーXにつけてあげなければならないというようなことをやっています。

田中:バナーBとバナーXが逆だと分かりやすいんですよね。インプレッションもクリックも両方やるわけですから偉いです。サーチもしてコンバージョンもしたから、間違いなく評価は高いです。バナーXはクリックしていて、バナーBはインプレッションだけだというケースは困るパターンですね。

有園:だから聞いてみました。現実にこのようなケースのデータがあるんですよ。認識を共有しておきたかったのは、ビュースルーの定義はベンダーによってまちまちなので。直近のビュースルーコンバージョンをまずカウントして評価することが大事だよということを共有しておきたかったです。

経路を評価するか、媒体を評価するか

田中:話が難しくなってしまいがちですが、経路を評価するのと媒体を評価するのは違います。

有園:はい。

田中:実際の広告運用を考えると、A媒体、B媒体、C媒体のトータルのコンバージョン数をたたき出してくれるのはどの媒体なのかを考えなければなりません。その次に経路の最適化をしましょうという二つがあります。それぞれの媒体を比べて媒体を評価するときは、ラストインプレッションもしくはラストコンバージョンを見ます。

有園:もう少し経路の話を聞かせてください。もし、コンバージョンを発生させている経路が、バナーA→バナーX→バナーB→サーチ→コンバージョンの流れだとします。

田中:はい。

有園:バナーA、バナーXまで来ている人が100人いた場合、バナーBを見たあとにサーチしてコンバージョンすることが統計的に予測できる場合、バナーXの次にバナーBを見せるように順番をコントロールすることってできるんですか?

田中:いや〜。人間がどの媒体をどの順番で見るかをコントロールすることは絶対に出来ませんね。人間をコントロールすることはできません。機械ですべての媒体に第三者配信することができるようになると、少しは違うかもしれませんね。

有園:すべての媒体に第三者配信ができるようになればですね。なるほど。バナーAをインプレッションしました、バナーXをクリックしましたというレコードをもっているクッキーに対して次はバナーBを見せることは、Fringe81さんではできるんですか?

田中:できます。1ユーザーあたりのフリークエンシー数ごとにバナーを入れ替えることができるので。すべての媒体で、というと、それが、そんなに頻発するかな〜って気はします。確率論として、バナーAとバナーXを見ている人ってどのくらいいるかなと。両方見ている確率ですね。

有園:それで言うと、両方見ている確率は低いと思います。勝ちパターンを探したいので調べるのですが、いろいろなパターンがあってこれだというのは見つけにくいです。

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媒体のコスト効率を図る

田中:僕はシンプルに考えていて、コンバージョンにいたったラストインプレッションって何だっけ?ということを重視しています。この方法論だと意思決定が早いんですよ。あと、サーチでけっこうな無駄があることが分かるんで、サーチの予算をバナーに移行すればコンバージョンは増えますよという話をしています。クリック数を増やすよりはビューを増やすほうがやりやすいです。

有園:間接コンバージョンと直接コンバージョンの両方が増えるように配信を微調整しているんですか?

田中:リアルタイムにはあんまりしていません。リアルタイム変えていくと混乱します。変数がたくさんありますからね。まずは、一本普通の配信をして、詳細なデータを分析します。やってみると気づくこともあるので、その分析結果をもとに、最適解を探し出して、たとえば、次は三本のバナーを、こういう順番で配信してみよう、とか調整をします。

有園:間接と直接の効果を見て、間接効果が高ければバナー広告にもっと予算を割り当てたほうがいいねということになるわけですね。次のキャンペーンがあれば本数を増やして配信するわけですね。

田中:もしくは、媒体の評価をして、この媒体はやらなくてもよかった、こっちの媒体はもっとやったほうがいいと判断します。トータルコンバージョンを増やすためにどうしたらいいかを考えます。

有園:媒体のコスト効率を図るわけですね。田中さんの言うトータルコンバージョンとは、直接コンバージョン+間接コンバージョンのことですよね?

田中:そうです。

有園:それを分母にして、分子に媒体に投資したコストを載せて、トータルCPAを出すわけですね。そのような成功事例はありますか?

田中:BtoB系のお客様には喜ばれています。たとえば、IT系の専門媒体は10〜20くらいしかないのでどこからコンバージョンが来ているのか、トータルコンバージョンを使えば効率を上げる方法がわかるので喜ばれています。BtoBだと検索エンジン広告の単価も高く、検討期間も長いため、すぐに買ってもらえないですよね。

有園:たとえばサーバーとかですか?

田中:そうですね。あとはクラウドとか基幹システムです。稟議をあげてから1週間以上かかるものもあります。そうなると直接コンバージョンが1、2とかって言うこともあるんです。1ヶ月以上たってから決まるものもあるので、実際は間接コンバージョンは直接コンバージョンの5倍〜10倍くらいあります。

有園:1週間のキャンペーンが終わってからコンバージョンをしたものは間接コンバージョンですか?

田中:はい。1週間以内であっても自然検索結果からきたものもすべて間接にしています。今まではコンバージョン数が少ない場合でも、ちょっとした誤差で2件だったのが5件という結果になることもあるんです。でも2件や5件という少ない場合、「たまたまじゃないの?」ということがありますよね。直接コンバージョンだけだと、母数が少なすぎていい悪いを判断するのが難しくなっちゃう、と。

有園:へぇ〜。

田中:この場合間接コンバージョンまで見ると、5倍〜10倍くらい出ることがある、といいましたが、つまり直接が5だとすると、最大間接が50、つまり55件のコンバージョンです。ここまで母数が増えれば、それぞれの媒体パフォーマンスをちゃんと評価できますよね。

有園:その場合クリエイティブは1つ、2つで運用するんですよね?その場合、cookieの長さはどのくらいにしていますか?

田中:それはクライアント次第ですが、30日とか、60日のこともあります。

有園:BtoBだと60日くらいが普通ですかね?

田中:たしかに、BtoBだと60日くらいまでですね。

有園:この話を聞くとバナーのビューからコンバージョンが見えるので、バナーの再評価につながりますね。

田中:この前はじめてバナーっていいもんですねと、再評価してくださったお客様がいました。今まではアドネットワークの方が単価が安いのでいいと思っていたけど、実は高額な専門媒体の方が間接のコンバージョンまで見ると成果が出ている事がわかったという報告を聞きました。

有園:いい話ですね。それは。今のはたまたまBtoBでしたが、比較検討する期間が長い商材で、バナーの効果を調べたい場合は、ビュースルーを見た方がいいですね。

田中:はい。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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4/4に続く(2011年7月29日公開予定)】

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

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アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(2/4)

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第2部/全4部(2011年7月27日公開分)

広告代理店さんがアトリビューションを取り入れる場合

田中:ちょっと視点が変わりますが、広告代理店さんでこうしたアトリビューションをやろうとすると部署がわかれているのでややこしいと思いますね。

有園:そうですね。

田中:アトリビューションはやる方が大変だと思いますが、お客さんにとってアトリビューションはとても得なことだということを伝えたいです。

有園:伝えたいですね。

田中:アトリビューションは新しい概念で、捉えどころのないフワフワしたものと思われがちです。しかし、やり尽くしたものもあれば、まだ手をつけていないもの(ディスプレイ)もある。これらを適切に組み合わせたら、もっと改善できるし結果も出せるでしょう。それを実現するのがアトリビューションだよということを強烈に謳っていきたいです。

有園:そうですね。代理店さんの話が出ましたけど、実は、代理店さんからもアタラにお問い合わせがあります。代理店さんに対してアトリビューションの勉強会をさせていただいてたり、代理店さんからのご依頼でクライアントの情報を分析してシミュレーションしてお返ししたり、ということをやり始めてます。

田中:そうですか。

有園:代理店さんのなかにも、「アタラと一緒に仕事をやりたい」というスタンスのところもあれば、「やりにくい」という声もあるかと思いますが、部署を横断的に考えてアトリビューションについて前向きに捉えようという動きは代理店さんの中でもかなりでてきていると感じています。

田中:それは本当に思いますね。先日、ある代理店さんに聞いて「ほ〜う」と思ったことがあります。

有園:ぜひ聞かせてください。

田中:その代理店さんはサーチをかなり大規模にやっていて、ビッグクライアントも沢山もってらっしゃるのですが、「アトリビューションとか出てくると、また面倒臭い事になると思います?」って質問したら「そうではない」と。

有園:へぇ〜。

田中:「サーチとディスプレイを組み合わせる」と言う考え方は広告代理店の得意分野なんだと。広告代理店は、いろんな集客手段を組み合わせてどういう風に集客していこうか考えるのが仕事なので、アトリビューションの概念は好きだよと言っていました。そういう考え方をしてくる代理店さんもいるんだなというのが驚きでした。

有園:なるほど。ある意味、アトリビューションは代理店さんの本領発揮みたいなところがありますよね。複数媒体を扱えるからこそできることがありますね。

田中:そうなんですよね。だから余計に、広告代理店さんがどんな組み合わをするのか見てみたいって思っています。代理店さんからもアトリビューションに対して前向きな言葉をかけていただくんで、一斉に声をかけられると大変ではありますが、きっと盛り上がると思います。

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アトリビューションを解明する

田中:あと、アトリビューションについては、日本で誰も解明していないというところが良いですよね。

有園:解明?

田中:ビュースルーコンバージョンって本当にあるんだっけ?とか、ディスプレイって本当にサーチに貢献してる?とか、みんな気になっているけれど誰も解明していないじゃないですか。これを解明できたら楽しいですよね。

有園:なるほどなるほど。多分、そういうことをきちんと調査してリリースを出している広告代理店さんや会社は日本ではまだ無いですよね。アメリカのほうだとけっこうありますが。

田中:アメリカにはありますね。実績あるはずなのに、小出しにしているかんじではありますが。もっとデータを出してくれたら良いのにって思いますよ。

有園:まだアトリビューションという言葉だけではちょっと響かないときもありますが、アトリビューションに関連するニーズの高まりという点では、広告主の方は段々と高まってきたと思います。媒体社さんの反応はどうですか?

田中:媒体社さんはまちまちですね。ただ、RSSのアドネットワークは専門系の媒体社さんが多いので、専門系の媒体社さんは単価が高いからCPC換算すると広告主さんは、「ちょっと高いよね」と必ず二の足を踏んでしまうんです。

有園:そうですね。

田中:でも、メディアさんに、「実は、それは間接効果を出したら結構なボリュームのコンバージョンを出していたことが分かると売りやすくなりますよね?」と聞けば「そりゃそうですね」という風になります。これは喜ばしいことです。

有園:はい。

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第三者配信エンジンの魅力

田中:そもそも、三年位前には同じことをやるためには第三者配信エンジンが必要なんですけど、「第三者配信でやりましょう」と言うと「嫌だ」と言われましたね。

有園:ちょっとそこに、それを入れたくないみたいな。入れたくない理由って何なんですかね?

田中:いろいろあると思うんですけど、一番大きかったのは掲載可否確認。特にアメリカの第三者配信でいうと自由にばんばん入れ替えられるって方式が主流なのでチェックできないところがあったりするので。

有園:では掲載可否の管理ということですね。いわゆる枠管理みたいなのはどうなんですか?

田中:枠管理はあらかじめ何枠と決まっているので、それは例えば30枠あって10枠が第三者配信になるかどうかというのはあまり問題じゃないですね。

有園:ということは、変な広告は出したくないというところの確認は人間がしなければならないのでしょうけれど。

田中:はい。でもそれはベンダーとメディアさんでちゃんと紳士的にやれば解決します。全部事前に可否をとっておくとか。あとは第三者配信でやると全部見えてしまうということがあったりします。

有園:全部見えるんですか?全部見えるというのは、クリック数とかインプッション数とかという話ですか?

田中:それもそうですし、例えばフリークエンシーとかもわかるので。ただ多いフリークェンシーが駄目だというわけでもないので、そこはちゃんと言えばいいですし。なので、間接コンバージョン見て、もっと価値上げていきましょうよという話をして、第三者配信をしましょうと言うと、まあ90%は大丈夫です。

有園:そうですか。なるほど。では、見えてしまうということよりも効果を見せる方が大事だという風に媒体社さんの意識も変わってきているわけですね。

田中:かなり変わってきています。

有園:媒体社さんによって反応はまちまちだけれども増えてきていると。例えば、10社に話をするとどのくらいですか?

田中:9社はOKです。

有園:なるほど。それで間接効果を出していきましょうというのも皆その方向で動いていると。

田中:そうですね。

有園:大手も結構そうですか?

田中:大手もそうですね。

有園:新聞社さんであったりとか、日本で一番大きなYahoo!さんとかはまた違うかもしれませんが。

田中:Yahoo!さんとかはまだですけれども、他の媒体社さんはもうほとんどOKじゃないですかね。あまり駄目と言われたことがないんですよ。ポリシー的にまだ受け入れていないというところはありますけれども「ここだけだったらどうですか」という話をすると「それはOKです」と言われます。

有園:それは中面みたいな話ですか?

田中:そうですね。「中面だったらいいですよ」というのは出てきてますね。なので、今は拒否されることがない状態ですね。

有園:実は、私もとある媒体社さん、大手のニュースペーパーなんですけど、アトリビューションの勉強会をしてほしいと言われてお話をさせていただいたことがあります。そういう意味では、媒体社さん側でも温度が上がってきていますね。

田中:そうですね。

有園:媒体社さんとしてもアトリビューションをやることで広告の間接効果をきちんと出せるようになり、売り上げを上げていけるんじゃないかという思いが出てきているんでしょうね。

間接効果と直接効果はどっちが偉い?

田中:ところで、方法論とかそっちの方に入っちゃうかもしれないんですけど「直接コンバージョン」っていうとめちゃくちゃ偉い感じがするじゃないですか。「間接コンバージョン」「間接効果」っていうと、あんまり偉くない感じですよね。

有園:あははは。それは、「所詮、間接的でしょ」「あんた最後に力発揮してないじゃん」みたいなことですか?

田中:そうです。そうです。日本語の印象では、直接よりも間接の方が弱いと思われることってあるんじゃないかなと思って。

有園:たしかに。

田中:たとえば、バーナーを見て実際にクリックする人ではなく、バナーを見て、後から他の経路で、たとえば、サーチとかでアクセスする場合をビュースルーアクセスというのですが、計測してみるとクリック数の二倍から十倍のアクセス数が出ます。直接のクリック数が100だとすると、200から1000ぐらいアクセス数が出るんです。純広告で良い枠だと、そりゃあ広告を見たでしょうね。そうじゃないとなかなかサーチってしませんよね。

有園:はい。

田中:ということを考えると、純広告をCPC換算で300円で買ってました、という場合、トータルの流入数はまた違うわけです。二倍でも実は150円でした。アクセスを誘発しているので。十倍だったらCPCってあれ何だったっけとなる。

有園:なりますね。

田中:だから純広告ってアクセス稼ぐだけにしても単純に直接のクリック数だけ見たのではだめだなと。ビュースルーだけ見てみても、二倍から十倍に増えているじゃないですかと、アクセスめちゃくちゃ増えていますよと。それでも間接効果って言うんですかね?って気がしてしまうんです。

有園:なるほどね。

田中:何かいい言葉ないかと思ってます。間接って言葉のインパクトが弱くて。間接効果っていうと、たまたま流れ弾にあたったみたいじゃないですか。

有園:流れ弾って(笑)田中さんの会社の資料に「迂回コンバージョン」って書いてあるのは、そうゆう理由からですか?

田中:そうそう。間接って言葉が嫌いだから、自分で考えてつけたんです。

有園:そうでしたか、正直「迂回ってなんだよ。間接でいいじゃん」って思っていました(笑)いま納得です。

田中:流れ弾って言ったら語弊があるかもしれないですが、「たまたま効果があった」みたいに思われるのが悔しいんです。

有園:たしかにね。

田中:アシストってあったじゃないですか?あの概念。あれも、すごくショボイネーミングな気がするんですよね。ゴール前でちょろっとパスしましたみたいな。

有園:しょせんアシストだろう?と。アシスタントみたいな感じですね。主役ではないと。なるほどね。じゃあ、「リードジェネレーション」とかどうでしょう?ちょっと違うかな?

田中:どうなんですかね。多分、アトリビューションっていった時に「間接効果を明らかにして予算配分を変えましょう」と話をすると、間接とかアシスト効果って言うと軽くちょろっとしかやっていない感じがしちゃうので、実際はすごく重要なことなのにその大切さが伝わらないような気がして。それがネックです。

有園:おもしろいですね。言葉に関してはそこまで敏感には考えていなかったのですが、田中さんがおっしゃりたいことは理解できます。

田中:よかった(笑)

松井とイチローはどっちが偉い?

有園:じつは、先日、Attribution.jpに投稿したのですが(http://www.attribution.jp/000069.html)、その中で、松井とイチローの例を使っています。最後に刈り取るのが得意なのはリスティング広告になるわけですが、野球でいうと、リスティング広告は打点をあげているようなものです。そうすると、松井はリスティング広告。最初にウェブサイトにランディングさせる施策は一塁ベースに出ていくことに似ています。シングルヒットを打つイチローです。バナー広告はイチローだと。

田中:おもしろい例えですね。

有園:そういったときに「松井とイチローはどっちが偉いんですか?」と聞けば、現状で評価が高いのっておそらくイチローの方ですよね。あれだけシングルヒットを打つイチローには高い評価がある。

田中:そうですね。

有園:ウェブサイトにランディングさせるためには、たくさんのビュースルーが必要です。そのビュースルーを評価しないということは、イチローを評価しないのと同じですよってことを言いたかったのです。田中さんのいう、間接効果を評価しなくてもいいのか、みたいに。

田中:うんうん。

有園:サッカーに例えた「アシスト」と「ゴール」と言う説明は使い古された感があるので、あえて野球に例えてみました。イチローって偉大だろうと。

田中:偉大ですね(笑)一塁に出れないと点数は入らないですからね。間接っていうとバントだけしているみたいに聞こえます。

有園:そうそう。イチローは一塁にも出るし、盗塁だってするんだぞと。さらに先に進塁するのは、ある意味で、態度変容を引き起こしているみたいなもんですよ。イチローを評価するならバナー広告だって評価しないとダメですよってことが言いたくて。

田中:おっしゃるとおりですね。きっかけは何ですかって話ですよね。

有園:そうなんですよ。

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コンバージョンのきっかけは何か

田中:商品名とか知らない人が、いきなり指名買いワードで検索してくるわけないですよ。知るきっかけが必要で、それがバナー広告だってことはよくあります。もちろん、記事広告やタイアップ広告などいろいろありますが、きっかけを評価しましょうってことを強く言いたいですね。

有園:そうですね。

田中:アシストを評価する、間接効果を評価するって言うと響かないのかもしれませんが、コンバージョンとなるきっかけを評価しましょうって言うと少しは違うのかなぁと。きっかけがないとコンバージョンしませんからね。

有園:ごもっともです。広告の言葉で言うと、アテンションとかインタレストとかAISASでいうやつですね。購買サイクルの中での認知。認知していないと指名検索はないじゃないですか。だから、アトリビューションは認知を評価しましょうって言っているのに近いと思うこともありますね。いかがですか?

田中:どうなんでしょうね。いわゆる、AISASとかはマーケティング的には正しいと思いますよ。ただ、おもしろいことに、バナーを一回見ただけでコンバージョンする人もいるんです。

有園:へぇ〜。

田中:ダイエット食品のバナー広告を見ただけで「痩せたいから買おう!」即クリック、即購買と。いきなりAIDMAのAからAまでボーンと飛んでしまうんです。

有園:おもしろいですね。

田中:そう考えると、AさんとBさんとCさんにとってバナー広告の果たす役割は違うんですよね。Aさんにとっては認知。Bさんにとっては即コンバージョン。Cさんにとっては検討するきっかけになってサーチに結び付くことはあります。そう考えると「認知」だけではないのかなって思っています。

有園:認知だけではないと思います。きっかけとおっしゃったので、そこでいうと認知かなと。

田中:コンバージョンパスの中にある認知ならそうですが、単なる認知ならちょっと違うのかなと思いますね。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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3/4に続く(2011年7月28日公開予定)】

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

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アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(1/4)

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特別対談です!先進のインターネット広告テクノロジーソリューションを輩出し続ける革命家ゲバラ隊長ことFringe81の代表 田中弦さんをお迎えし、独自のアトリビューション・メソッドを編み出すアタラCOO有園雄一と、アトリビューションを中心にした様々なトピックについて語り合います。全4部の対談を今週は連日お届けします。

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アトリビューションがインターネット広告業界に革命をおこす

第1部/全4部(2011年7月26日公開分)

アトリビューションとは何か

有園:本日は、Fringe81代表の田中弦さんをお招きしていろいろをお話を伺っていきます。

田中:アトリビューションについて語る会、はじめましょうか。

有園:よろしくお願いします。

田中:はじめに、いったいアトリビューションって誰が言い出したんですか?

有園:誰が言い出したのかは私にもわかりませんし、誰が言い出したって明確な誰かがいるわけではないのかもしれませんね。

田中:そうなんですね。

有園:ただ、私が知っている限りでは、2009年ごろにサンノゼで開催されたSES(Search Engine Strategies)というイベントでレノボさんやクリアセーリングというベンダーなどがアトリビューションについてのセッションでディスカッションを行っていて、その頃から注目がたかまり始めたのはたしかだと思います。

田中:そうでしたか。2009年なんですね。

有園:実は、そのときのイベントに参加した訳ではありませんが、当時グーグルに勤務していて社内でも話題になっていたことを記憶しています。SESとは検索業界のイベントなのですが、サーチに携わっている人たちのなかで、コンバージョンにつながったものを分析するのは、いまでいうラストクリックを評価対象にしているのですが、そのラストクリックに至る前の媒体への接触が検索を誘導していて、そこがとても重要ではないのか?という問題提起になっと理解しています。

田中:へぇ~。

有園:たとえば、日本ではテレビCMに検索ボックスが入っていて、見て気になるものを検索した場合やバナーをクリックしてブランド名を覚えて、そのあとに検索するなどがありますよね。

田中:ありますね。

有園:指名検索をしてリスティング広告をクリックすることはありますが、その前にバナー広告がリスティング広告のクリックを後押ししているのではないかと考えられていました。

田中:はい。

有園:リスティング広告は何かに誘発された結果であって、リスティング広告のクリックを誘発したバナーやその他のほうが、リスティング広告より重要なのではないか、そこに予算を振り分けたほうがいいのではないか、ということについて調べて、問題提起をして、実際にやってみたら良い結果が出たんです、というような話しをレノボさんも発表したんだと思いますね。

田中:おもしろいですね。

有園:アトリビューションという言葉ですが、英語で貢献度合いを、1コンバージョンは何から発生したのか、貢献は何のお陰なのか、というのを意味する言葉が attributeと言います。そこからattributionといわれるようになっただけではないかと思います。誰がアトリビューションやアトリビューションマネジメントという言葉を言いだしたのかは分かりませんけど。

田中:最初はサーチのほうから実はね、と言う感じになってきたんですか?

有園:SESではそうですね。

田中:グーグルとかヤフーは、彼らはディスプレイネットワークをもっているんで、サーチとディスプレイの相関関係どうなっているんだっけ、というところが判明してくると、両方儲かってきますよね。

有園:そういう売り手側の戦略というものが働いていたかもしれませんね。

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アトリビューションとアトリビューションマネジメントの違い

田中:ところで、アトリビューションとアトリビューションマネジメントってちょっと違うんですよね?

有園:違うといいますと?

田中:僕の理解だと、アトリビューションはどこがどういう風に寄与していますねってことを分析することで、アトリビューションマネジメントはアトリビューションの結果を受けて、予算をディスプレイにもってきたり、媒体AとBがあったら、実はBのほうが貢献していたので予算を媒体Bに傾けましょうというような、予算管理がアトリビューションマネジメントなのかなって思っていました。その認識って合っていますか?

有園:合っていると思います。

田中:アトリビューションの定義が、サーチの数だけ増やしましょうという定義だったり、アクセス数を増やしたい場合、一番効率の良い広告の組み合わせは何なのか、という定義だったり、ディスプレイと、サーチのワードと組み合わせなどを分析してコンバージョン数を増やしていくのがアトリビューションマネジメントだと思っている人もいるのかなと思っていました。いろいろな立場によって違うので定義が難しいですよね。

有園:マネジメントというくらいですから、何かをマネジメントしているわけで、そのときに予算配分であったり、メディアプランであったりを見ていくと田中さんはイメージされているわけですね?

田中:そうですね。

有園:私自身も、そのような理解でアトリビューションという言葉をつかっていますね。アトリビューション分析といったら、1コンバージョン発生したときは、どこの何がどのくらい貢献したのかを考えてやっています。

田中:はい。

有園:アタラの話をしますと、アトリビューション分析をやった結果にもとづいて、シミュレーションをして、バナーAとバナーBがあったとして、バナーBのほうが効果が高いと判断されるならば、バナーBに予算を振り向けましょうというようなシミュレーションまでして、実施して結果を見て、結果が良ければまたやりましょうというようなPDCAサイクルを回していけるようにするのがアトリビューションマネジメントであると言っていいのではないかと思っています。

田中:そうすると、今度は、そもそもアトリビューションマネジメントってやったほうが良いんだっけ?という話になりますよね。

有園:そうですね。

田中:いまって、サーチやっている人はサーチの人、ディスプレイやっている人はディスプレイの人という感じに分かれていて、Googleディスプレイネットワークはその真ん中くらいの位置づけで、それぞれが分断していますよね。

有園:おっしゃる通りですね。

田中:それを一緒に、予算管理して予算の振り分けを考えたりするようになれたらお客さんにとってお得なのでは?ということですよね。僕は明らかにお得だと思っているんですが、有園さんはどうですか?

有園:私もそのほうがお得だと思っているのでアトリビューションに携わってその分析を仕事としているわけですが、お客様のなかにはそのこの課題をきちんと把握されていないケースもあるかもしれませんね。

田中:そうですね。

有園:ただ、アトリビューションって言葉は誰が言い出したのかわかりませんが、ここ3~4年で耳にする機会は増えましたね。海外事情にもお詳しい田中さんは、広告を配信する側としていまの流れをどう感じていますか?

田中:自分の立場を無視すると、アトリビューションっていったい誰が得なんだって思ったときがありました。重要なのは、お客さんにとって得かどうかってことじゃないですか。

有園:おっしゃるとおりです。

田中:そうすると、サーチとディスプレイが分断していると、それぞれが個別に最適化するしかなくて、特に大手広告主さんのリスティング広告の個別最適化ってほとんどやり尽くした感がありますよね。

有園:ありますね。

田中:そうなると、リスティング広告の最適化というと、さらなるものが必要になりますよね。

有園:はい。

田中:だから、バナー広告を実際に見た人、クリックした人がどれだけサーチの刈り取りに貢献できたかを見ていこうよって話が出てきたのかなって思いました。それで、結局はコンバージョン数がめちゃくちゃ増えましたって話になると良いなって思っています。どうも増えそうだって感じが僕とアタラさんの共通理解としてあるのかなって思っています。

有園:ありますね。

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リスティング広告の課題

田中:そこで広告主さんは「アトリビューションマネジメントやって本当にコンバージョン増えるの?」って話が出てくるのかなぁと思います。

有園:そうですね。アタラとしては、アトリビューションの普及を課題としています。そこで、Attribution.jpというアトリビューション情報サイトを開設して情報発信をしています。

田中:いつからでしたっけ?

有園:2010年11月30日ですね。アトリビューションを日本へ導入したほうがいいよねって話になるきっかけとして、アタラの代表である杉原が海外の情報を収集したりアメリカのSESなどのイベントに参加するなかで「アトリビューション」という言葉をよく聞くなと。日本にも導入したほうがいいよねってことになって、アタラを起業するころからアトリビューション情報サイトを作る予定でいたわけです。

田中:へぇ~。

有園:私自身も杉原とはグーグルで一緒に仕事をしていたので、アトリビューションという概念が出てきているということは認識していました。お客様のなかにはリスティング広告をたくさん出している企業がいます。リスティング広告を月額数千万円単位で使っている企業は、なかには億単位の企業もいますが、そうした企業はキーワードを100万単位で出稿しているわけですが、そうした企業は改善をやり尽くしています。

田中:やりきっている感はありますね。

有園:リスティング広告で可能性のあるキーワードはほぼいれていますし、自動化ツールもいれて最適化をやりつくしています。

田中:そうですよね。

有園:もちろん、細かい微調整や改善の余地は残りますが、人間ができる範囲はやり尽くしてしまっていますよねという状況が多いのです。それでも、コンバージョンは増やしたい、やれることは頭打ちであってもコンバージョンを増やし続けなければならないというミッションを背負っている担当者は多いのです。

田中:なるほど。

有園:企業としては常に伸びていかなければならない。そうなってくると、リスティング広告だけではもう伸びない、というときに何ができるかという話になります。
そういう状況の中で、たとえば、とある外資の大手コンシューマー向けパッケージグッズを提供している企業が、グーグルでいうコンテンツターゲットをうまく最適化して出稿した結果、リスティング広告よりもCPAが安くなったという結果がでました。

田中:へぇ~。コンテンツターゲットでリスティングのCPAを上回れるんですね。

有園:私がグーグルにいた頃に同じチームの人間がこの案件を担当していたのですが、試行錯誤した結果、コンテンツターゲットも効果的だという結論に至りました。そうすると、検索連動型広告だけではなく、他のものにも可能性があるのではないかという流れができていきましたね。

田中:おもしろいですね。

有園:あとは、検索ボックスにキーワードを入力して検索すると検索結果がだーって出ますよね。

田中:はい。

有園:検索で来たときにはリスティング広告でお客様を捕まえることはできなかったけれど、自然検索結果の一つのサイトへ飛んだ先に自社のアドセンス広告枠が出ていてクリックをしてもらえれば、そこで捕まえられることもあると。その流れでグーグルは儲かります。

田中:儲かりますね(笑)いいなぁグーグルは。

有園:でも、うまく組み合わせることで広告主にとっても効果があれば双方共に良いのではないかと。リスティング広告で行き詰まっているお客様にとってアトリビューションというのは次のソリューションとして選択肢になるんだろうなって思いはじめたきっかけとなる出来事です。

田中:そうでしたか。個別でも最適化できた、となると次は組み合わせ、ですね。

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アトリビューションの果たす役割

有園:つまり、検索連動型広告とそれ以外のコンテンツターゲット広告への予算配分を最適化する余地があるな、と。そのような流れで、お客様のニーズが検索連動型広告以外にも向いてきたことを感じました。

田中:いま有園さんからサーチ由来のアトリビューションについてお話いただきましたが、いままで僕はサーチの世界の人間ではなかったのです。ディスプレイ広告のソリューションをやっていますので、広告主さんからは、純広告やアドネットワークの出稿ってどうやって改善するんですかという質問が来ますし、アドネットワークをやっていることもあって、メディアさんとのお付き合いが多いのですが、「いまは純広告がなかなか売れないんです」って言う話はよく聞くのです。どのくらい売れないのかと言うとセルスルーレートで言うと50%~30%あまっている、ということもよくあります。

有園:なるほど。

田中:じゃあアドネットワークに在庫を出すといっても純広告の部分を全部出してしまうと売り上げが低減してしまうんですね。純広告が100%売れたら問題ないのですが、なかなか高くて売れないとか原因はいろいろあります。お客さんにも「どうせバナー広告はコンバージョン数でないでしょ」と言われてシュンとなっちゃうみたいな話をたくさん聞いてきたので。

有園:聞きますね。

田中:今日本のインターネット広告市場において、サーチが2000億円くらいでしたっけ?

有園:そうですね。最近はもう少しいっているかもしれませんが。

田中:ディスプレイはまだ2800億円くらいあると思いますが、そうするとディスプレイのほうから影響を受けて、実はコンバージョンって出ているんだってことが立証できると、つまり、間接効果としての効果や改善する余地があることを伝えられると、もう少しディスプレイへの出稿金額も増やせるかもしれませんね。

有園:たしかに。

田中:広告主の皆さん、サーチはやり尽くした感がありますが、バナーと組み合わせたときにもっと効果が出ることを伝えられるといいなと。それは、アトリビューションを通じて伝えられると違ってくるのではないかと思いました。バナーの効果はまだまだあるぞと。

有園:田中さんは媒体社さんと話していてバナー広告の販売に悩んでいる、という話を聞くなかで、もっと媒体やバナーの価値を立証していきたいということでアトリビューションに興味をいただいたわけですね。

田中:はい。いろいろ調べていくうちに、バナー広告とサーチは密接な関係にあることに気づき、これは両方見なければならないなと思ってきたわけです。

アトリビューションは難しい?!

有園:ところで、私の場合、去年の今頃と比べるとアトリビューションという言葉も浸透してきて、かなり日本での理解が広まってきていると思います。田中さんはお客さんや代理店、市場でどう思われていると思いますか。

田中:うーん。広告主さんに「アトリビューションの話をしましょう」といくと「まだわからん」と言われる状況だと思います。しかし、「コンバージョン数をもっと増やすための方法を考えませんか?」と提案すると少しは聞いてもらえます。リスティング広告をやり尽くしていても、ディスプレイとサーチは関連性があるので、これらをうまく組み合わせてやるとコンバージョン数がもっと増えるかもしれません。それを一緒に考えませんか?と言うと相手は「そうかもしれないね」と聞く耳をもってくれます。

有園:そうですね。

田中:アトリビューションマネジメントと言うとまだまだ難しいと思われがちです。

有園:はい。

田中:どちらかというと「各チャネルの予算管理をちゃんとやりましょう。そうするとコンバージョン数が増えますよ。そうなると嬉しいですよね」と言うのが一番刺さります。

有園:うちはattribution.jpというサイトを運営している関係もあって、アトリビューションに関する問い合わせがきます。アトリビューションという言葉を知っていて、言葉の意味もある程度は理解されている方が多いです。

田中:そうでしょうね。

有園:ただ、お客さんにとって「アトリビューションのモデルが何か」というような詳細な話しは気にならないようです。

田中:そうですか。

有園:田中さんがおっしゃったように「予算の最適化をするソリューションなんです」と言い方を変えて伝えると分かりやすいようですね。

田中:うちはCPA系やBtoB系のクライアントさんがいるので「本当にコンバージョンが増えるのか」というのは皆さん謎に思っていて「やってみてください、増えましたよね」というとやはり喜ばれますよね。

有園:「増えましたよ」となると喜ばれますよね。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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2/4に続く(2011年7月27日公開予定)】

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

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