第三者配信

アタラ、Fringe81が、ビュースルーコンバージョンを対象にしたアトリビューション分析で提携

<企業リリース情報>

平成23 年10月18日
アタラ合同会社
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アタラ、Fringe81が、ビュースルーコンバージョンを対象にしたアトリビューション分析で提携
第三者配信アドサーバーiogous*mark(イオゴスマーク)で廉価にデータ取得
手軽にビュースルーコンバージョンを対象にしたアトリビューション分析を実現

マーケティングテクノロジー開発企業のアタラ(本社:神奈川県横浜市、CEO:杉原剛)と、インターネット広告テクノロジー開発企業のFringe81(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:田中 弦、社名よみ仮名:フリンジ ハチイチ)は、ビュースルーコンバージョンを対象にしたアトリビューション分析で提携することに合意しました。

アトリビューション分析を提供できるアタラと、ビュースルーデータ(ディスプレイ広告を閲覧したデータ)を提供できるFringe81が協力することで、ビュースルーコンバージョン(閲覧後、クリックせずに検索エンジン経由等でコンバージョンしたもの)まで含めた高品質なアトリビューション分析が、他に類を見ない安価で可能となりました。これまでは、評価が難しかったビュースルーコンバージョンもアトリビューション分析の対象になり、バナー広告などの表示回数のコンバージョンへの影響を数量化したアトリビューション分析ができるようになります。アタラでは、ビュースルーデータを活用した、新しいアトリビューション分析のメソッドを開発してまいります。

近年、バナー広告のクリック率は低下しているといわれており、ビュースルーコンバージョンまで含めたアトリビューション分析は業界としても課題となっています。今回の提携により、広告主は、より包括的な視点で広告を評価でき、より効率的にコンバージョンを増加できるようになります。また、媒体社は、バナー広告を表示した効果を数値で示すことで、販売量の増加が期待できます。

アタラは、アトリビューション分析のリーディングカンパニーです。独自のアトリビューション分析メソッド「アトリビューション・スコア」「アトリビューション・ランク」を開発し、適切な予算配分でマーケティング・キャンペーンの全体最適化を支援する、アトリビューションコンサルティングサービスを提供しています。
Fringe81は、第三者配信アドサーバー「iogous*mark(イオゴスマーク)」を開発しています。業界の中でも類を見ない廉価なサービスで、ビューデータが取得できるのが魅力です。「iogous*mark(イオゴスマーク)」は、欧米の広告主では一般的な、広告一元管理と配信を行う「第三者配信アドサーバー」を、独自に自社開発したものです。サーバー構成や回線などのインフラ設計、配信エンジン、レポートシステムなど広告配信に必要なシステムを、オープンソースを活用しながら全て一括で自社開発することで、通常の配信エンジンの数分の1のコストでの広告配信が可能です。

「iogous*mark(イオゴスマーク)」サービス概要
提供価格 : 月額約20万円〜

ATARA, LLC(アタラ合同会社)
[代表者] CEO 杉原剛  [設立] 2009年09月10日  
[URL] http://www.atara.co.jp/
[所在地] 〒225-0004 神奈川県横浜市青葉区元石川町3712-12-D
[事業内容]・ Webを活用したテクノロジー・ソリューションの開発 ・ Webマーケティング戦略立案、導入、運用コンサルティングサービス
・ 企業のデータ分析コンサルティングサービス
■報道関係の方のお問い合せ先  広報担当  直井(なおい) E-mail: pr@atara.co.jp
■サービスに関するお問い合せ先  セールス担当  有園(ありぞの) E-mail: sales@atara.co.jp

コメント

アトリビューションとメディアビジネス

アトリビューションで業界が発展する
アトリビューションコンサルティングについての問い合わせは、主に広告主と広告代理店から入ってくる。アトリビューション分析とアトリビューションマネージメントによって、コンバージョンを増加できるという期待があるからだ。そういうなかで、ときどき、媒体社からの問い合わせも来る。そのたびに、媒体社に行ってアトリビューションの説明会を行っている。媒体社は、アトリビューション分析によって、媒体の価値を高めることができないかという期待を持っているのだ。もし、媒体社にとってもメリットがあり、広告主や広告代理店にとってもメリットが出せるとすれば、アトリビューションは業界全体にとって価値があるということになる。お金が業界により多く回るようになるということだ。業界といっても、いまはインターネット広告業界が主なフィールドだが、マスメディアのデジタル化によって、今後はメディアビジネス全体に少なからず影響を与えていく可能性も秘めている。

市場の流動性を高めるには広告枠の評価が必要になる
アドエクスチェンジ(Ad Exchange)とは、もちろん、ストックエクスチェンジ(Stock Exchange)のコンセプトを模倣している。NYSE(New York Stock Exchange)などを想像してもらえば分かるが、全世界から基本的に誰でもオンラインで株式の売買ができる。指値や成行で売りと買いの注文が入り、需要と供給の変化に応じて価格がリアルタイムに動いていく。アドエクスチェンジも同様に、広告枠の売り手である媒体社と買い手である広告主や広告代理店との間で「CPMがいくらで売り」とか「買い」という注文が入り、その需給のマッチングによって価格がよりリアルタイムに決まっていく。より多くの媒体社が、より多くの広告枠を売りに出し、より多くの広告主や広告代理店が買い手として参加することによって、市場の流動性が高まる。流動性が高まるということは、すなわち、より多くのお金が循環することを意味する。結果的に、インターネット広告業界の発展に寄与することになるだろう。

市場の流動性を高めるには、より多くの参加者によって、より多くの広告枠が売買されなければならない。ヤフーのブランドパネルのような特定の広告枠だけに売買が集中しても、市場全体の流動性が高まったことにはならず、何の役にも立たない。市場全体の流動性を高めるには、個々の広告枠が個々の広告主にとって、どのような価値があるのか評価されることが必要だ。ストックエクスチェンジにおいては、個々の株式がアナリストによって評価され、その評価を参考にして売り買いの判断がなされている。アドエクスチェンジにおいても、個々の広告枠の評価が必要になる。その評価に応じて、広告主は買いか売りか(買わないか)の判断をしていく。その評価の役割をアトリビューション分析は担っている。

流動性を高める2つの理由
アトリビューション分析は、アドエクスチェンジの流動性を高めるのに大きな役割を果たしている。その理由は次の二つに大別できる。
一つは、ラストクリックベースの評価から解放されていることだ。ラストクリックで広告のCPAやROASを評価していると、リスティング広告やアフィリエイトなどの効率がよく見えてしまい、それらに出稿金額が偏ってしまう。それでは市場の流動性は高くならない。アトリビューション分析は、ラストクリックだけに偏った評価はしない。そのため、リスティング広告やアフィリエイト以外の広告も、より平等に評価でき、市場の流動性を高めることにつながるのだ。
もう一つは、ビュースルー(view-through)も評価の対象にしている点だ。バナー広告などをクリックする人は、減ってきているといわれている。そのため、クリックベースで評価することには限界があり、インプレッションベースでの評価をきちんと導入する必要がある。広告は元来、表示することに価値がある。そのため、広告を表示させることの価値が、きちんと評価されないのは大問題なのだ。テレビCMや新聞広告は、現在は、クリックできない。それでも値段がついて売れているということは、表示する(見せる)という広告の価値が評価されているのだ。ポストインプレッション効果には、認知を高めたり、好意度を高めたり、リアルの口コミを広げたり、ソーシャルネットワークで拡散させたり、あるいは、店頭に足を運ばせたりと、いろいろな効果が含まれるだろうが、そのうちの一つであるビュースルー効果を、アトリビューション分析は評価の対象にしている。アタラのクライアントでも、クリックベースでの評価に加えて、ビュースルーまで評価し貢献度を付与している。これは、第三者配信エンジンのMediaMind(MediaMind Technologies)や、同じく第三者配信エンジンのiogous mark(Fringe81)を使っているクライアントの場合だ。第三者配信エンジンを利用しないと、ビュースルーからコンバージョンまでの流入経路データを取得できない。そのため、アトリビューション分析の観点からいうと、すべての広告主が第三者配信エンジンを利用すべきだと考えている。現在、日本でも第三者配信エンジンが、かなりの勢いで普及している。今後は、ビュースルー効果まで評価するのが一般化するだろう。そうなれば、バナー広告やリッチメディア広告が、より公平に評価され、アドエクスチェンジ市場の流動性を、さらにアトリビューション分析が高めていくことになる。

「貢献と恩恵」のネットワーク、そして新しいメディアビジネスの胎動
アトリビューションは、広告市場の流動性を高めることに役立ち、そしてメディアビジネスの拡大に貢献する。そのことが期待されていて、大きな注目を集めている訳だ。しかし、最近、この流動性という論点以外でも、アトリビューションとメディアビジネスという視点で、媒体社や広告代理店の方から意見を求められることが増えた。とくに、広告代理店の中には嗅覚の鋭い人々がいて、アトリビューションで得られるデータをメディアビジネス開発に応用できないかと画策しているようである。大変申し訳ないが、具体的な話しはあまり書けない。水面下で動いている新しいビジネスの萌芽を摘んでしまいたくはないし、下手なことを書いて関係者の迷惑になってはならないからだ。ただし、自分の経験から一つの視点を紹介したいと思う。

広告主にコンサルティングをしていると、各広告主によって社内用語が異なるという事実に直面する。そのため、それぞれの広告主の社内用語に合わせて資料を作るのが普通だ。そのような社内用語として、「貢献と恩恵」、「Give and Take」、「Credit – Debit」というものがある。この3つは、それぞれ別の会社で使われている社内用語だが、ほぼ同じ意味で使われている。これが、何を意味しているのかが分かるだろうか?

旅行代理店のサイトで国内旅行と海外旅行を扱っていると、国内旅行で出稿した広告経由でサイトにアクセスし、最終的に海外旅行のコンバージョンをすることがある。あるいは、その逆のケースもある。同様に、アパレルのサイトでメンズの広告経由で流入し、レディースでコンバージョンするケース、その逆のケースがある。住宅情報サイトで、分譲マンションの広告経由で入ってきて、賃貸マンションをコンバージョンするケース、その逆のケースなど、広告主ごとに同じような事象が起こっている。「貢献と恩恵」、「Give and Take」、「Credit – Debit」とは、この事象に対する各社の呼び名だ。国内旅行での広告出稿が最終的に海外旅行のコンバージョンになった場合、国内旅行事業部は海外旅行事業部のコンバージョンに「貢献」したことになり、海外旅行事業部は国内旅行事業部から「恩恵」を被ることになる。この「貢献」のことを、別の会社では「Give」や「Credit」と呼び、「恩恵」のことを「Take」や「Debit」と呼んでいる。

この「貢献」と「恩恵」の数が同じ数になることはまずない。たとえば、海外旅行事業部のほうが、一方的に国内旅行事業部のコンバージョンに「貢献」していて、その逆は少ないことが一般的だ。つまり、国内旅行事業部側は一方的に「恩恵」を受けているという状態が恒常化していて、海外旅行事業部にきちんとお返しができていない状況になる。ここに、「負い目」や「負債」という感情が発露する契機がある。この「負い目」や「負債」は、債権者と債務者という経済的な構造を誘発し、お金の授受によって、その「負い目」や「負債」を清算するという方法に発展する可能性がある。「貢献と恩恵」を「Credit – Debit」と呼称するケースがあるので分かりやすいが、「Credit – Debit」はそもそも金融や会計用語である。つまり、お金の流れを前提としている。

アトリビューション分析をおこなっていると、このような「貢献と恩恵」の関係が見えるようになる。広告主のサイト内で起こっている「貢献と恩恵」だけではなく、インターネットの中で起こっている「貢献と恩恵」の関係性、ネットワークが明るみになってくるのだ。一般的に、媒体社は「貢献」する側で広告主は「恩恵」を受ける側だ。そのため、ここでは、広告主から媒体社に広告の売買によってお金が流れていく。しかし、現在の広告ビジネスのお金の流れでは捕捉できていない「貢献と恩恵」の関係もあることが、アトリビューション分析で明らかになってくる。流入経路のデータには、有料の流入元(広告)以外の無料の流入元も入っていて、その無料の流入元もコンバージョンに貢献していることが分かるのだ。ここには、お金の流れは発生していない。無料の流入元は、ある意味で、タダで広告主にいくらかのコンバージョンを提供している訳だ。その分のお金を請求してもいいのではないか、と考える人が出てきてもおかしくない。ちょっと分かりやすい例でいうと、フェイスブックやツイッター経由でも、かなりの数が流入してきて、最終的にコンバージョンにつながっている。このフェイスブックやツイッターの価値ってどうすればいいのか、と考えるのも同じような視点だ。フェイスブックやツイッター以外にも、もちろん、いろいろなサイトが無料で「貢献」している。それに気づいている人々がいる。アトリビューション分析で見えてくる「貢献と恩恵」のネットワークがあり、それを使って新しいメディアビジネスを作れないか、商品開発できないか、と動き出している。果たして成功するのかどうか。ハードルはいろいろとありそうだが、まずは、多くのデータを取得し、「貢献と恩恵」のネットワークをアトリビューション分析で見える化し、分析することが新しいメディアビジネスの第一歩となるのは確かだ。

アタラ合同会社
COO
有園雄一

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【アトリくんの視点】
アトリビューションは広告主への恩恵がフォーカスされがちですが、メディアビジネスへのインパクトも大きいと思います。第三者配信の再注目も大きいですね。メディアビジネス側としては、まずはアトリビューション分析のための測定ができる環境を準備するところから始まると思います。米国を見ていると、土俵に乗らないと選定されない、という状況になっているように見受けられます。

コメント

アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(4/4)

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第4部/全4部(2011年7月29日公開分)

クリックした人はいつ買うの

有園:私も大手アパレルや大型ネット書店を担当したことがありますが、大手アパレルなどは3000円以上が送料無料になったりすることも理由だと思いますが、その場で1000円のものを3つ買ったりしてすぐに成約をするケースがけっこう多いんですね。ただ、たとえば、PCの購入になると検討期間は延びますよね。お客さんの検討期間と単価によって、コンバージョン率や数がかわってきますよね。

田中:そうですね。

有園:インターネット広告で効果が出やすいところで、1〜2ヶ月の検討期間がある場合は、アトビューションで効果を感じやすいはずですね。

田中:コンシューマーパッケージでも直接コンバージョンの何倍かは間接のコンバージョンがでるので両方足しておいて判断した方がいいですよね。その中でも、より購買までの期間が長いものは絶対やった方がいいですね。

有園:リスティング広告でやっていてもすぐに買わないものがあります。たとえば、海外旅行とか。比較検討するもの。このようなクリックしてもすぐ買わないものは、間接コンバージョンがけっこう発生します。このような商品は、アトリビューションでもっと間接コンバージョンを測定できるといいですね。

田中:やってみないとわかりませんから。まずはやってみてもらいたいですね。きっとびっくりするはずです。

有園:そうですね。

田中:加えて、ビュースルーサーチクエリを見るだけで、このバナーは外していたんだ、当たっていたんだということがちゃんとわかります。そして、サーチで刈り取ってくれていたんだということもよくわかります。

有園:「ビュースルーサーチクエリ」という言葉は田中さんの言葉ですか?

田中:うちで使っている言葉ですが、厳密に言うと「ビュースルーサーチキーワード」です。

有園:バナーがサーチを誘発したというケースのことですね。この効果がバナーにあるので、きちんと見ましょうと言うことですね。

田中:はい。

有園:ちょっと話が脱線しますが、TVCMを見て検索するんじゃないかと思ってTVCMに検索ボックスが入りました。あれと発想は一緒ですよね。リスティング広告以外の媒体を見て検索をしているので、きちんと測定しましょうと言うことですね。

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純広告に価値はあるか

有園:そろそろ時間がなくなってきたので、最後に、1年くらい先の業界がどうなっているか、その辺の考えをきかせてください。どのような予測や期待がありますか?

田中:純広告の価値がやっぱりすごくあったんだ。という仮説を実証したいですね。純広告やアドネットワークからもっと効果が出ている、売れているということを示したいですね。

有園:私はサーチに対しての過剰投資をしているお客様に会うことがあるんです。たとえば、10万キーワードを入れていて、CPAが1000円の目標。この場合、全体のキーワードでの平均値がこのCPA1000円という数値に落ちつていればいいと言われますが、当然、その中には無駄なキーワードもあります。

田中:ありそうですね。

有園:その無駄を削り、バナー広告にふったほうがいいというロジックがアトリビューションから導き出せそうなので、それをスライドさせることをまずは実現することから手をつけたいですね。名前を出してもいいような成功事例がでると、ライバル会社もやりたがると思います。そうなると、他も追随するので、アドネットワーク、第三者配信、純広告など、お金の流れが変わるでしょうね。

リスティング広告の過剰投資を防ぐ

田中:今リスティングの市場は2000億円ありますが、このうちどの程度が過剰投資なんでしょう?

有園:どのくらいかわかりませんが、いまコンサルティングしているお客様を見ていると1/4くらいは流れても良さそうですね。

田中:25%はすごいなぁ。

有園:ただ、スライドする先がGoogleのリマーケティングだったりするんですよ。そうなるとサーチは減るけど、全体のGoogleの売り上げは上がりそうですね。

田中:でも、リマーケだと母数は稼げないから予算は消化できないですよね。そうなるとさらに伸ばそう、となるとユーザー属性で買えるDSPや純広告に流れそうですが。

有園:リマーケやリターゲティングの数が足らないとバナーへの投資につながるかもしれませんね。

田中:かりに20%流れても400億円ですからね。それは市場が大きく変化する規模感ですね。

有園:そのくらい流れる可能性があるように感じています。別にリスティングからスライドさせることがゴールではなく、バナーで効果が出そうな企業は流れる可能性があるかなと。

田中:はい。

有園:ただ、バナーがききますよって事がわかっていれば、スライドではなくてもいいと思うんです。全体の広告予算が1%増と微増で、特にリスティング広告が伸びているのがここ数年の日本の状況だと思いますが、バナー広告も成長しつつリスティング広告も微増していくというのもあり得ますよね。

田中:確か直近でアメリカでは、リスティング広告の市場伸び率をディスプレイ広告の伸び率が抜いたんですよね。そういうことが日本でも起きて、全体が伸びて、広告の改善をすることになるわけですから広告主にとってはいいですね。

有園:そうなると理想論ですが、広告主も、媒体も、代理店もみんなハッピーな形になりますね。

田中:そうですね。

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アトリビューションを日本に広めるために

有園:いままで見えていなかったバナー広告の効果を見える化することによって、リターンを示すことができ、そこにアトリビューションが少なからずお役に立てます、と。今年はその土台作りになりそうです。

田中:投資とリターンの関係で、一つ一つのチャネルだけで測定していると一生バナーはだめだと言われかねません。でも、この投資リターンの関係がこの1年で見えるようになると思うので、がらっとインターネット広告からの集客が変わりますね。でもどうしてアメリカではあれだけディスプレイ広告が伸びているのに日本では伸びないんですかね?

有園:どこかにティッピングポイントがあって田中さんが火付け役になるんじゃないですかね?(笑)

田中:僕はワーワーやりますよ(笑)こういうのってアジテートしないとだめですよね。誰かが声を上げないと、変わりませんからね。輸入してきたものだけで全て決まるのっておもしろくないですからね。

有園:アトリビューションの考え方はアメリカからはじまったと思いますが、確立しているわけではないですからね。だからこそ、日本独自で、日本にあったものを普及させていきたいですね。

田中:そうですね。

有園:いずれにしても、第三者配信でビュースルーを見ていくという考えを広げ、価値を伝えていくことで、普及の年にしたいですね。

田中:お客さんの反応を聞くと、びっくり玉手箱だと思う人が多いですね。パンドラの箱だと思って開けたら、宝物が入っていた。そういう印象を持つ人が多いです。

有園:そうですか。

田中:あとはDSPですね。あとは、エクスチェンジ。第三者配信。この3つが日本では同時にバンと立ち上がっているのでおもしろいです。アメリカだと、第三者配信が最初に出てきて、そのあとDSP、エクスチェンジという市場進化の順番ですからね。日本のインターネット広告産業が、がらっと変わるかもしれません。

有園:がらっと変わる気配を感じますね。インターネット広告は2000年くらいから成長を加速して日本でも安定した市場になりましたけど、最近はちょっとリスティング広告など頭打ちなところもあります。このDSP、第三者配信などのテクノロジーで効果が出るようになると次のブレイクスルーがきそうですね。

人間にしかできないこと

田中:そうなると次は人間の力が試されると思います。クリエイティブ・・・たとえばこういうキーワードを誘発しそうなものは何か。機械が絶対にできないことですよね。

有園:できませんね。

田中:そのとき人間の力が試されることになりそうですね。今はテクノロジー偏重で左脳の年ですが、来年は普及すると右脳の年になりそうですね。

有園:最後は徹底的に自動化するとか、枠を最適化するとか、ある程度できることが完了すると、あとはクリエイティブ勝負ですね。そして、データを見てプランニングをするとか。

田中:その左脳と右脳の両方の力を持っているプレイヤーが勝つ時代になりますね。今だとディスプレイ広告の左脳・右脳、サーチの左脳・右脳の人がいますが・・・。今はサーチはほとんど左脳で、左脳8割、右脳2割みたいなところがありますよね。

有園:広告文をきちんと書くと効果が上がったりするんですけど・・・。

田中:そうですね。その力を融合するといいですね。このときって左脳に右脳を融合するとうまくいきますよね。

有園:田中さんって、Yahoo!で働いていたときはバナー広告の制作もやっていたんですよね?そのときの田中さんは左脳だったんですか?

田中:僕はYahoo!のときはどんなバナーを作ろうか考えていたので完全右脳でしたよ。キャリア的にはコンサルタントやっていたこともあるので、左脳にもいきましたが、本当は右脳なんですよ。テクノロジーは大事だけど右脳のクリエイティブを忘れちゃいけないといいますが、左脳がちゃんと整備されていないと、右脳も働きませんよ。両方大事ですからね。

有園:広告とかマーケティングはアートかサイエンスかとよくいわれますが、それと同じですね。

田中:日本の広告市場は左脳と右脳の融合を今年一年でやらないといけないんですね。

有園:右脳は遅れてもいいんですよね?

田中:まず、左脳は今すぐやらないといけませんね。アメリカはプレイヤーがいっぱいいるのでカオスって言われているんです。日本は、同時発生で動いているので、違う種類のカオスだと思います。でも、カオスの中でのチャレンジから新しい産業が生まれてくると信じてます。楽しいじゃないですかカオス。

有園:これがこの1年間くらいの動きですかね。10年だったらどうでしょう?

田中:もうわかりませんね。こればっかりは。。。

インターネット広告の未来

有園:そうやってバナーの価値が再評価されていくと、近い将来、TVCMの出稿金額をインターネットが超える可能性はありますよね?

田中:イギリスはそうなっているって言いますよね。イギリスまでいくとちょっと極端ですが、インターネット広告市場がまだまだ伸びる余地があるなぁって思います。このまだまだ余地があるというところが面白いですね。

有園:そうですね。そのような状況に日本市場も近づいていくのかもしれません。アドネットワークの普及とエクスチェンジなどで在庫が効率的に売れるようになり、オーディエンスターゲティングのようなアドテクノロジー進化によって広告主の満足度も高まっていく。そのような相乗効果の中で、まだまだ成長していく予感がしますね。

田中:そうですね。

有園:ところで、ちょうど、7月24日でテレビのデジタル化、アナログ停波を迎えますが、テレビやラジオのデジタル化によって、このようなインターネットでおこっているアドテクノロジーの波は、いわゆるマス広告にも影響を与えていくのではないかと感じています。それは、5年、10年先もかもしれませんが、広告業界をアドテクノロジーが大きく変えていくことだけは間違いないでしょうね。

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聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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(END)

全4回のPDF版をダウンロードできます。
アタラのFacebookページ(http://www.facebook.com/atarajp)でダウンロード用URLを公開しています。

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田中さん、熱いトークをありがとうございました!まさに革命前夜のインターネット広告業界。共にがんばりましょう!

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

コメント

アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(3/4)

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第3部/全4部(2011年7月28日公開分)

ラストクリックだけを評価していませんか?

有園:さて、あらためてアトリビューションを一言で説明するとどのように言えますか?

田中:顧客獲得、コンバージョン増加のためのチャネルと予算の新しいマネジメント方法って感じですかね。チャネル導線と予算配分の最適化をやることですかね。

有園:コンバージョンに複数の広告が貢献していた場合は、それぞれの広告に貢献度を割り振ることがアトリビューションの考え方で、その後に、予算配分などいろいろ最適化していくことがアトリビューションマネジメントなのかなと。

田中:はい。

有園:野球でいうと9人いて、バントが上手い人がいればシングルヒットを打つ人もいる。チームとしての得点力を上げて適切な評価をして選手に給料を払うことがアトリビューションですね。結果的に総得点が上がるように野球チームのフロントは考えるわけです。

田中:総合的にということですね。

有園:どの広告がどれだけコンバージョンに貢献したのか。貢献した度合に応じて広告費予算を最適化しましょうよと。ラストクリックだけを評価することは、4番打者にだけ給料を払っているようなものです。

田中:たしかに。

有園:非常に偏った評価をしていますね。4番打者だけ集めても野球は勝てません。チームとしてのコンビネーションを考えなければなりませんね。

田中:そうですね。サーチも、ディスプレイも、もはやひとつのチームで、強いチームをチームビルディングするようなもんですね。

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アトリビューションモデルとは

有園:ところで、アトリビューションモデル的にいうと、初回、中間、ラストとあった場合、ラストだけに100%の重みづけをするのがいままでのやりかたです。

田中:そうですね。いわゆる「ラストクリック評価」モデルですよね。

有園:アトリビューションの均等配分モデルという基本的なモデルでは初回、中間、ラストに均等に貢献度を割り振ることを考えます。なかには、初回に重きをおくモデルもあります。

田中:いろいろありますね。

有園:たとえば、認知されていない商品サービスの場合は、まずは知ってもらうこと、クリックしてもらうことが重要だよねと。コンバージョンも大切ですが、まずは知ってもらうこと。プロダクトライフサイクルの導入期にあるような商品サービスは初回に100%配分して評価すべきだという考え方もあります。

田中:そこからが難しいですね。均等配分をすべきか、しなくてもよいのか。ビューを評価すべきか、クリックを評価すべきか。ベンダー次第ですね。

有園:おっしゃるとおりです。

田中:僕らはビューは大事だと考えていますが、経路はあまり意味がないと思っています。A媒体、B媒体、C媒体と3回見たとします。それでC媒体からコンバージョンしたとします。もしくは、C媒体からサーチでコンバージョンしたとします。そうすると、C媒体はけっこう偉いけれどA媒体とB媒体って偉いんだっけ?ということになってきて、そこら辺が謎めいていしまいます。

有園:たとえば、バナーAがインプレッションして見ただけでした。クリックはしませんでした。そのあとに、バナーXをクリックしたけれどサイトから離脱したとします。次に、バナーBがインプレッションして見ただけでした。その後にサーチをしてコンバージョンしたとします。この期間が1カ月だとします。このような流入経路があった場合、最後に発生したバナーBのインプレッションはコンバージョンにつながっているのでビュースルーコンバージョンとして数えるんですか?

田中:数えます。

有園:その他は数えないんですか?

田中:第三者配信エンジンの多くはバナーAを数えません。機能として数えられる・数えられないのと分析するための数字は、評価は違うのですが、たいてい数えません。

有園:バナーXはクリックスルーコンバージョンをしていると考えるのですか?

田中:考えます。ただ1ヶ月超えている場合は微妙です。バナーXの貢献度はあると思いますが、バナーを複数見て複数クリックする人は全体の10%くらいです。ヘビークリッカーという議論もありましたよね。90%はほぼかぶりません。ビュースルーコンバージョンとしては、バナーを見て短期間でコンバージョンしたものの評価が高くなります。

有園:期間も評価基準にしているんですか?

田中:特定の期間できります。たとえば、30日間とかできっています。

有園:確認しますが、バナーAは30日以内に発生していたとしても、ビュースルーコンバージョンにはカウントしないんですね?

田中:カウントしません。

有園:アタラでは、バナーXのクリックはサイトへ誘導しているので評価はきちんとしています。田中さんの話だと、バナーXの貢献度はあるかもしれないけれど、あまり評価していないんですよね?

田中:短期間のクリックスルーコンバージョンであれば評価します。それは直接コンバージョンなので。ただ、30日以内に違う媒体で同じバナーに触れることはほとんどないんです。その中でさらにクリックを両方する、ということは90%の人に起きていません。こういう事態ってあまり起こっていないんですよ。

有園:ここに貢献度を振るべきかどうかということなんですよね。

田中:ここは完全に分けていますね。

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インプレッションは間接コンバージョンとして評価する?

有園:インプレッションは間接コンバージョンとして評価するんですね。ブランインドになっている、つまり、見られていない可能性が高い場合はどうするんですか?

田中:その場合は間接コンバージョンの評価ポイントを減らします。アドネットワークは何%くらいがブラインドだよね。純広告は何%くらいがブラインドだよねというようにざっくり判断します。厳密に機械ではかっているわけではないんで。

有園:見られる可能性が高い媒体である場合、コンバージョンに近ければ近い媒体を評価することは大賛成です。バナーAをどうするかは迷うところですが。バナーBやバナーXをしっかり評価しなければならないと考えています。このサーチが指名検索だとします。この指名検索を発生させたバナーBやバナーXがあるわけですから、指名検索の評価を下げてバナーBやバナーXにつけてあげなければならないというようなことをやっています。

田中:バナーBとバナーXが逆だと分かりやすいんですよね。インプレッションもクリックも両方やるわけですから偉いです。サーチもしてコンバージョンもしたから、間違いなく評価は高いです。バナーXはクリックしていて、バナーBはインプレッションだけだというケースは困るパターンですね。

有園:だから聞いてみました。現実にこのようなケースのデータがあるんですよ。認識を共有しておきたかったのは、ビュースルーの定義はベンダーによってまちまちなので。直近のビュースルーコンバージョンをまずカウントして評価することが大事だよということを共有しておきたかったです。

経路を評価するか、媒体を評価するか

田中:話が難しくなってしまいがちですが、経路を評価するのと媒体を評価するのは違います。

有園:はい。

田中:実際の広告運用を考えると、A媒体、B媒体、C媒体のトータルのコンバージョン数をたたき出してくれるのはどの媒体なのかを考えなければなりません。その次に経路の最適化をしましょうという二つがあります。それぞれの媒体を比べて媒体を評価するときは、ラストインプレッションもしくはラストコンバージョンを見ます。

有園:もう少し経路の話を聞かせてください。もし、コンバージョンを発生させている経路が、バナーA→バナーX→バナーB→サーチ→コンバージョンの流れだとします。

田中:はい。

有園:バナーA、バナーXまで来ている人が100人いた場合、バナーBを見たあとにサーチしてコンバージョンすることが統計的に予測できる場合、バナーXの次にバナーBを見せるように順番をコントロールすることってできるんですか?

田中:いや〜。人間がどの媒体をどの順番で見るかをコントロールすることは絶対に出来ませんね。人間をコントロールすることはできません。機械ですべての媒体に第三者配信することができるようになると、少しは違うかもしれませんね。

有園:すべての媒体に第三者配信ができるようになればですね。なるほど。バナーAをインプレッションしました、バナーXをクリックしましたというレコードをもっているクッキーに対して次はバナーBを見せることは、Fringe81さんではできるんですか?

田中:できます。1ユーザーあたりのフリークエンシー数ごとにバナーを入れ替えることができるので。すべての媒体で、というと、それが、そんなに頻発するかな〜って気はします。確率論として、バナーAとバナーXを見ている人ってどのくらいいるかなと。両方見ている確率ですね。

有園:それで言うと、両方見ている確率は低いと思います。勝ちパターンを探したいので調べるのですが、いろいろなパターンがあってこれだというのは見つけにくいです。

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媒体のコスト効率を図る

田中:僕はシンプルに考えていて、コンバージョンにいたったラストインプレッションって何だっけ?ということを重視しています。この方法論だと意思決定が早いんですよ。あと、サーチでけっこうな無駄があることが分かるんで、サーチの予算をバナーに移行すればコンバージョンは増えますよという話をしています。クリック数を増やすよりはビューを増やすほうがやりやすいです。

有園:間接コンバージョンと直接コンバージョンの両方が増えるように配信を微調整しているんですか?

田中:リアルタイムにはあんまりしていません。リアルタイム変えていくと混乱します。変数がたくさんありますからね。まずは、一本普通の配信をして、詳細なデータを分析します。やってみると気づくこともあるので、その分析結果をもとに、最適解を探し出して、たとえば、次は三本のバナーを、こういう順番で配信してみよう、とか調整をします。

有園:間接と直接の効果を見て、間接効果が高ければバナー広告にもっと予算を割り当てたほうがいいねということになるわけですね。次のキャンペーンがあれば本数を増やして配信するわけですね。

田中:もしくは、媒体の評価をして、この媒体はやらなくてもよかった、こっちの媒体はもっとやったほうがいいと判断します。トータルコンバージョンを増やすためにどうしたらいいかを考えます。

有園:媒体のコスト効率を図るわけですね。田中さんの言うトータルコンバージョンとは、直接コンバージョン+間接コンバージョンのことですよね?

田中:そうです。

有園:それを分母にして、分子に媒体に投資したコストを載せて、トータルCPAを出すわけですね。そのような成功事例はありますか?

田中:BtoB系のお客様には喜ばれています。たとえば、IT系の専門媒体は10〜20くらいしかないのでどこからコンバージョンが来ているのか、トータルコンバージョンを使えば効率を上げる方法がわかるので喜ばれています。BtoBだと検索エンジン広告の単価も高く、検討期間も長いため、すぐに買ってもらえないですよね。

有園:たとえばサーバーとかですか?

田中:そうですね。あとはクラウドとか基幹システムです。稟議をあげてから1週間以上かかるものもあります。そうなると直接コンバージョンが1、2とかって言うこともあるんです。1ヶ月以上たってから決まるものもあるので、実際は間接コンバージョンは直接コンバージョンの5倍〜10倍くらいあります。

有園:1週間のキャンペーンが終わってからコンバージョンをしたものは間接コンバージョンですか?

田中:はい。1週間以内であっても自然検索結果からきたものもすべて間接にしています。今まではコンバージョン数が少ない場合でも、ちょっとした誤差で2件だったのが5件という結果になることもあるんです。でも2件や5件という少ない場合、「たまたまじゃないの?」ということがありますよね。直接コンバージョンだけだと、母数が少なすぎていい悪いを判断するのが難しくなっちゃう、と。

有園:へぇ〜。

田中:この場合間接コンバージョンまで見ると、5倍〜10倍くらい出ることがある、といいましたが、つまり直接が5だとすると、最大間接が50、つまり55件のコンバージョンです。ここまで母数が増えれば、それぞれの媒体パフォーマンスをちゃんと評価できますよね。

有園:その場合クリエイティブは1つ、2つで運用するんですよね?その場合、cookieの長さはどのくらいにしていますか?

田中:それはクライアント次第ですが、30日とか、60日のこともあります。

有園:BtoBだと60日くらいが普通ですかね?

田中:たしかに、BtoBだと60日くらいまでですね。

有園:この話を聞くとバナーのビューからコンバージョンが見えるので、バナーの再評価につながりますね。

田中:この前はじめてバナーっていいもんですねと、再評価してくださったお客様がいました。今まではアドネットワークの方が単価が安いのでいいと思っていたけど、実は高額な専門媒体の方が間接のコンバージョンまで見ると成果が出ている事がわかったという報告を聞きました。

有園:いい話ですね。それは。今のはたまたまBtoBでしたが、比較検討する期間が長い商材で、バナーの効果を調べたい場合は、ビュースルーを見た方がいいですね。

田中:はい。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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4/4に続く(2011年7月29日公開予定)】

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

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アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(2/4)

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第2部/全4部(2011年7月27日公開分)

広告代理店さんがアトリビューションを取り入れる場合

田中:ちょっと視点が変わりますが、広告代理店さんでこうしたアトリビューションをやろうとすると部署がわかれているのでややこしいと思いますね。

有園:そうですね。

田中:アトリビューションはやる方が大変だと思いますが、お客さんにとってアトリビューションはとても得なことだということを伝えたいです。

有園:伝えたいですね。

田中:アトリビューションは新しい概念で、捉えどころのないフワフワしたものと思われがちです。しかし、やり尽くしたものもあれば、まだ手をつけていないもの(ディスプレイ)もある。これらを適切に組み合わせたら、もっと改善できるし結果も出せるでしょう。それを実現するのがアトリビューションだよということを強烈に謳っていきたいです。

有園:そうですね。代理店さんの話が出ましたけど、実は、代理店さんからもアタラにお問い合わせがあります。代理店さんに対してアトリビューションの勉強会をさせていただいてたり、代理店さんからのご依頼でクライアントの情報を分析してシミュレーションしてお返ししたり、ということをやり始めてます。

田中:そうですか。

有園:代理店さんのなかにも、「アタラと一緒に仕事をやりたい」というスタンスのところもあれば、「やりにくい」という声もあるかと思いますが、部署を横断的に考えてアトリビューションについて前向きに捉えようという動きは代理店さんの中でもかなりでてきていると感じています。

田中:それは本当に思いますね。先日、ある代理店さんに聞いて「ほ〜う」と思ったことがあります。

有園:ぜひ聞かせてください。

田中:その代理店さんはサーチをかなり大規模にやっていて、ビッグクライアントも沢山もってらっしゃるのですが、「アトリビューションとか出てくると、また面倒臭い事になると思います?」って質問したら「そうではない」と。

有園:へぇ〜。

田中:「サーチとディスプレイを組み合わせる」と言う考え方は広告代理店の得意分野なんだと。広告代理店は、いろんな集客手段を組み合わせてどういう風に集客していこうか考えるのが仕事なので、アトリビューションの概念は好きだよと言っていました。そういう考え方をしてくる代理店さんもいるんだなというのが驚きでした。

有園:なるほど。ある意味、アトリビューションは代理店さんの本領発揮みたいなところがありますよね。複数媒体を扱えるからこそできることがありますね。

田中:そうなんですよね。だから余計に、広告代理店さんがどんな組み合わをするのか見てみたいって思っています。代理店さんからもアトリビューションに対して前向きな言葉をかけていただくんで、一斉に声をかけられると大変ではありますが、きっと盛り上がると思います。

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アトリビューションを解明する

田中:あと、アトリビューションについては、日本で誰も解明していないというところが良いですよね。

有園:解明?

田中:ビュースルーコンバージョンって本当にあるんだっけ?とか、ディスプレイって本当にサーチに貢献してる?とか、みんな気になっているけれど誰も解明していないじゃないですか。これを解明できたら楽しいですよね。

有園:なるほどなるほど。多分、そういうことをきちんと調査してリリースを出している広告代理店さんや会社は日本ではまだ無いですよね。アメリカのほうだとけっこうありますが。

田中:アメリカにはありますね。実績あるはずなのに、小出しにしているかんじではありますが。もっとデータを出してくれたら良いのにって思いますよ。

有園:まだアトリビューションという言葉だけではちょっと響かないときもありますが、アトリビューションに関連するニーズの高まりという点では、広告主の方は段々と高まってきたと思います。媒体社さんの反応はどうですか?

田中:媒体社さんはまちまちですね。ただ、RSSのアドネットワークは専門系の媒体社さんが多いので、専門系の媒体社さんは単価が高いからCPC換算すると広告主さんは、「ちょっと高いよね」と必ず二の足を踏んでしまうんです。

有園:そうですね。

田中:でも、メディアさんに、「実は、それは間接効果を出したら結構なボリュームのコンバージョンを出していたことが分かると売りやすくなりますよね?」と聞けば「そりゃそうですね」という風になります。これは喜ばしいことです。

有園:はい。

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第三者配信エンジンの魅力

田中:そもそも、三年位前には同じことをやるためには第三者配信エンジンが必要なんですけど、「第三者配信でやりましょう」と言うと「嫌だ」と言われましたね。

有園:ちょっとそこに、それを入れたくないみたいな。入れたくない理由って何なんですかね?

田中:いろいろあると思うんですけど、一番大きかったのは掲載可否確認。特にアメリカの第三者配信でいうと自由にばんばん入れ替えられるって方式が主流なのでチェックできないところがあったりするので。

有園:では掲載可否の管理ということですね。いわゆる枠管理みたいなのはどうなんですか?

田中:枠管理はあらかじめ何枠と決まっているので、それは例えば30枠あって10枠が第三者配信になるかどうかというのはあまり問題じゃないですね。

有園:ということは、変な広告は出したくないというところの確認は人間がしなければならないのでしょうけれど。

田中:はい。でもそれはベンダーとメディアさんでちゃんと紳士的にやれば解決します。全部事前に可否をとっておくとか。あとは第三者配信でやると全部見えてしまうということがあったりします。

有園:全部見えるんですか?全部見えるというのは、クリック数とかインプッション数とかという話ですか?

田中:それもそうですし、例えばフリークエンシーとかもわかるので。ただ多いフリークェンシーが駄目だというわけでもないので、そこはちゃんと言えばいいですし。なので、間接コンバージョン見て、もっと価値上げていきましょうよという話をして、第三者配信をしましょうと言うと、まあ90%は大丈夫です。

有園:そうですか。なるほど。では、見えてしまうということよりも効果を見せる方が大事だという風に媒体社さんの意識も変わってきているわけですね。

田中:かなり変わってきています。

有園:媒体社さんによって反応はまちまちだけれども増えてきていると。例えば、10社に話をするとどのくらいですか?

田中:9社はOKです。

有園:なるほど。それで間接効果を出していきましょうというのも皆その方向で動いていると。

田中:そうですね。

有園:大手も結構そうですか?

田中:大手もそうですね。

有園:新聞社さんであったりとか、日本で一番大きなYahoo!さんとかはまた違うかもしれませんが。

田中:Yahoo!さんとかはまだですけれども、他の媒体社さんはもうほとんどOKじゃないですかね。あまり駄目と言われたことがないんですよ。ポリシー的にまだ受け入れていないというところはありますけれども「ここだけだったらどうですか」という話をすると「それはOKです」と言われます。

有園:それは中面みたいな話ですか?

田中:そうですね。「中面だったらいいですよ」というのは出てきてますね。なので、今は拒否されることがない状態ですね。

有園:実は、私もとある媒体社さん、大手のニュースペーパーなんですけど、アトリビューションの勉強会をしてほしいと言われてお話をさせていただいたことがあります。そういう意味では、媒体社さん側でも温度が上がってきていますね。

田中:そうですね。

有園:媒体社さんとしてもアトリビューションをやることで広告の間接効果をきちんと出せるようになり、売り上げを上げていけるんじゃないかという思いが出てきているんでしょうね。

間接効果と直接効果はどっちが偉い?

田中:ところで、方法論とかそっちの方に入っちゃうかもしれないんですけど「直接コンバージョン」っていうとめちゃくちゃ偉い感じがするじゃないですか。「間接コンバージョン」「間接効果」っていうと、あんまり偉くない感じですよね。

有園:あははは。それは、「所詮、間接的でしょ」「あんた最後に力発揮してないじゃん」みたいなことですか?

田中:そうです。そうです。日本語の印象では、直接よりも間接の方が弱いと思われることってあるんじゃないかなと思って。

有園:たしかに。

田中:たとえば、バーナーを見て実際にクリックする人ではなく、バナーを見て、後から他の経路で、たとえば、サーチとかでアクセスする場合をビュースルーアクセスというのですが、計測してみるとクリック数の二倍から十倍のアクセス数が出ます。直接のクリック数が100だとすると、200から1000ぐらいアクセス数が出るんです。純広告で良い枠だと、そりゃあ広告を見たでしょうね。そうじゃないとなかなかサーチってしませんよね。

有園:はい。

田中:ということを考えると、純広告をCPC換算で300円で買ってました、という場合、トータルの流入数はまた違うわけです。二倍でも実は150円でした。アクセスを誘発しているので。十倍だったらCPCってあれ何だったっけとなる。

有園:なりますね。

田中:だから純広告ってアクセス稼ぐだけにしても単純に直接のクリック数だけ見たのではだめだなと。ビュースルーだけ見てみても、二倍から十倍に増えているじゃないですかと、アクセスめちゃくちゃ増えていますよと。それでも間接効果って言うんですかね?って気がしてしまうんです。

有園:なるほどね。

田中:何かいい言葉ないかと思ってます。間接って言葉のインパクトが弱くて。間接効果っていうと、たまたま流れ弾にあたったみたいじゃないですか。

有園:流れ弾って(笑)田中さんの会社の資料に「迂回コンバージョン」って書いてあるのは、そうゆう理由からですか?

田中:そうそう。間接って言葉が嫌いだから、自分で考えてつけたんです。

有園:そうでしたか、正直「迂回ってなんだよ。間接でいいじゃん」って思っていました(笑)いま納得です。

田中:流れ弾って言ったら語弊があるかもしれないですが、「たまたま効果があった」みたいに思われるのが悔しいんです。

有園:たしかにね。

田中:アシストってあったじゃないですか?あの概念。あれも、すごくショボイネーミングな気がするんですよね。ゴール前でちょろっとパスしましたみたいな。

有園:しょせんアシストだろう?と。アシスタントみたいな感じですね。主役ではないと。なるほどね。じゃあ、「リードジェネレーション」とかどうでしょう?ちょっと違うかな?

田中:どうなんですかね。多分、アトリビューションっていった時に「間接効果を明らかにして予算配分を変えましょう」と話をすると、間接とかアシスト効果って言うと軽くちょろっとしかやっていない感じがしちゃうので、実際はすごく重要なことなのにその大切さが伝わらないような気がして。それがネックです。

有園:おもしろいですね。言葉に関してはそこまで敏感には考えていなかったのですが、田中さんがおっしゃりたいことは理解できます。

田中:よかった(笑)

松井とイチローはどっちが偉い?

有園:じつは、先日、Attribution.jpに投稿したのですが(http://www.attribution.jp/000069.html)、その中で、松井とイチローの例を使っています。最後に刈り取るのが得意なのはリスティング広告になるわけですが、野球でいうと、リスティング広告は打点をあげているようなものです。そうすると、松井はリスティング広告。最初にウェブサイトにランディングさせる施策は一塁ベースに出ていくことに似ています。シングルヒットを打つイチローです。バナー広告はイチローだと。

田中:おもしろい例えですね。

有園:そういったときに「松井とイチローはどっちが偉いんですか?」と聞けば、現状で評価が高いのっておそらくイチローの方ですよね。あれだけシングルヒットを打つイチローには高い評価がある。

田中:そうですね。

有園:ウェブサイトにランディングさせるためには、たくさんのビュースルーが必要です。そのビュースルーを評価しないということは、イチローを評価しないのと同じですよってことを言いたかったのです。田中さんのいう、間接効果を評価しなくてもいいのか、みたいに。

田中:うんうん。

有園:サッカーに例えた「アシスト」と「ゴール」と言う説明は使い古された感があるので、あえて野球に例えてみました。イチローって偉大だろうと。

田中:偉大ですね(笑)一塁に出れないと点数は入らないですからね。間接っていうとバントだけしているみたいに聞こえます。

有園:そうそう。イチローは一塁にも出るし、盗塁だってするんだぞと。さらに先に進塁するのは、ある意味で、態度変容を引き起こしているみたいなもんですよ。イチローを評価するならバナー広告だって評価しないとダメですよってことが言いたくて。

田中:おっしゃるとおりですね。きっかけは何ですかって話ですよね。

有園:そうなんですよ。

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コンバージョンのきっかけは何か

田中:商品名とか知らない人が、いきなり指名買いワードで検索してくるわけないですよ。知るきっかけが必要で、それがバナー広告だってことはよくあります。もちろん、記事広告やタイアップ広告などいろいろありますが、きっかけを評価しましょうってことを強く言いたいですね。

有園:そうですね。

田中:アシストを評価する、間接効果を評価するって言うと響かないのかもしれませんが、コンバージョンとなるきっかけを評価しましょうって言うと少しは違うのかなぁと。きっかけがないとコンバージョンしませんからね。

有園:ごもっともです。広告の言葉で言うと、アテンションとかインタレストとかAISASでいうやつですね。購買サイクルの中での認知。認知していないと指名検索はないじゃないですか。だから、アトリビューションは認知を評価しましょうって言っているのに近いと思うこともありますね。いかがですか?

田中:どうなんでしょうね。いわゆる、AISASとかはマーケティング的には正しいと思いますよ。ただ、おもしろいことに、バナーを一回見ただけでコンバージョンする人もいるんです。

有園:へぇ〜。

田中:ダイエット食品のバナー広告を見ただけで「痩せたいから買おう!」即クリック、即購買と。いきなりAIDMAのAからAまでボーンと飛んでしまうんです。

有園:おもしろいですね。

田中:そう考えると、AさんとBさんとCさんにとってバナー広告の果たす役割は違うんですよね。Aさんにとっては認知。Bさんにとっては即コンバージョン。Cさんにとっては検討するきっかけになってサーチに結び付くことはあります。そう考えると「認知」だけではないのかなって思っています。

有園:認知だけではないと思います。きっかけとおっしゃったので、そこでいうと認知かなと。

田中:コンバージョンパスの中にある認知ならそうですが、単なる認知ならちょっと違うのかなと思いますね。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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3/4に続く(2011年7月28日公開予定)】

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

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アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(1/4)

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特別対談です!先進のインターネット広告テクノロジーソリューションを輩出し続ける革命家ゲバラ隊長ことFringe81の代表 田中弦さんをお迎えし、独自のアトリビューション・メソッドを編み出すアタラCOO有園雄一と、アトリビューションを中心にした様々なトピックについて語り合います。全4部の対談を今週は連日お届けします。

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アトリビューションがインターネット広告業界に革命をおこす

第1部/全4部(2011年7月26日公開分)

アトリビューションとは何か

有園:本日は、Fringe81代表の田中弦さんをお招きしていろいろをお話を伺っていきます。

田中:アトリビューションについて語る会、はじめましょうか。

有園:よろしくお願いします。

田中:はじめに、いったいアトリビューションって誰が言い出したんですか?

有園:誰が言い出したのかは私にもわかりませんし、誰が言い出したって明確な誰かがいるわけではないのかもしれませんね。

田中:そうなんですね。

有園:ただ、私が知っている限りでは、2009年ごろにサンノゼで開催されたSES(Search Engine Strategies)というイベントでレノボさんやクリアセーリングというベンダーなどがアトリビューションについてのセッションでディスカッションを行っていて、その頃から注目がたかまり始めたのはたしかだと思います。

田中:そうでしたか。2009年なんですね。

有園:実は、そのときのイベントに参加した訳ではありませんが、当時グーグルに勤務していて社内でも話題になっていたことを記憶しています。SESとは検索業界のイベントなのですが、サーチに携わっている人たちのなかで、コンバージョンにつながったものを分析するのは、いまでいうラストクリックを評価対象にしているのですが、そのラストクリックに至る前の媒体への接触が検索を誘導していて、そこがとても重要ではないのか?という問題提起になっと理解しています。

田中:へぇ~。

有園:たとえば、日本ではテレビCMに検索ボックスが入っていて、見て気になるものを検索した場合やバナーをクリックしてブランド名を覚えて、そのあとに検索するなどがありますよね。

田中:ありますね。

有園:指名検索をしてリスティング広告をクリックすることはありますが、その前にバナー広告がリスティング広告のクリックを後押ししているのではないかと考えられていました。

田中:はい。

有園:リスティング広告は何かに誘発された結果であって、リスティング広告のクリックを誘発したバナーやその他のほうが、リスティング広告より重要なのではないか、そこに予算を振り分けたほうがいいのではないか、ということについて調べて、問題提起をして、実際にやってみたら良い結果が出たんです、というような話しをレノボさんも発表したんだと思いますね。

田中:おもしろいですね。

有園:アトリビューションという言葉ですが、英語で貢献度合いを、1コンバージョンは何から発生したのか、貢献は何のお陰なのか、というのを意味する言葉が attributeと言います。そこからattributionといわれるようになっただけではないかと思います。誰がアトリビューションやアトリビューションマネジメントという言葉を言いだしたのかは分かりませんけど。

田中:最初はサーチのほうから実はね、と言う感じになってきたんですか?

有園:SESではそうですね。

田中:グーグルとかヤフーは、彼らはディスプレイネットワークをもっているんで、サーチとディスプレイの相関関係どうなっているんだっけ、というところが判明してくると、両方儲かってきますよね。

有園:そういう売り手側の戦略というものが働いていたかもしれませんね。

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アトリビューションとアトリビューションマネジメントの違い

田中:ところで、アトリビューションとアトリビューションマネジメントってちょっと違うんですよね?

有園:違うといいますと?

田中:僕の理解だと、アトリビューションはどこがどういう風に寄与していますねってことを分析することで、アトリビューションマネジメントはアトリビューションの結果を受けて、予算をディスプレイにもってきたり、媒体AとBがあったら、実はBのほうが貢献していたので予算を媒体Bに傾けましょうというような、予算管理がアトリビューションマネジメントなのかなって思っていました。その認識って合っていますか?

有園:合っていると思います。

田中:アトリビューションの定義が、サーチの数だけ増やしましょうという定義だったり、アクセス数を増やしたい場合、一番効率の良い広告の組み合わせは何なのか、という定義だったり、ディスプレイと、サーチのワードと組み合わせなどを分析してコンバージョン数を増やしていくのがアトリビューションマネジメントだと思っている人もいるのかなと思っていました。いろいろな立場によって違うので定義が難しいですよね。

有園:マネジメントというくらいですから、何かをマネジメントしているわけで、そのときに予算配分であったり、メディアプランであったりを見ていくと田中さんはイメージされているわけですね?

田中:そうですね。

有園:私自身も、そのような理解でアトリビューションという言葉をつかっていますね。アトリビューション分析といったら、1コンバージョン発生したときは、どこの何がどのくらい貢献したのかを考えてやっています。

田中:はい。

有園:アタラの話をしますと、アトリビューション分析をやった結果にもとづいて、シミュレーションをして、バナーAとバナーBがあったとして、バナーBのほうが効果が高いと判断されるならば、バナーBに予算を振り向けましょうというようなシミュレーションまでして、実施して結果を見て、結果が良ければまたやりましょうというようなPDCAサイクルを回していけるようにするのがアトリビューションマネジメントであると言っていいのではないかと思っています。

田中:そうすると、今度は、そもそもアトリビューションマネジメントってやったほうが良いんだっけ?という話になりますよね。

有園:そうですね。

田中:いまって、サーチやっている人はサーチの人、ディスプレイやっている人はディスプレイの人という感じに分かれていて、Googleディスプレイネットワークはその真ん中くらいの位置づけで、それぞれが分断していますよね。

有園:おっしゃる通りですね。

田中:それを一緒に、予算管理して予算の振り分けを考えたりするようになれたらお客さんにとってお得なのでは?ということですよね。僕は明らかにお得だと思っているんですが、有園さんはどうですか?

有園:私もそのほうがお得だと思っているのでアトリビューションに携わってその分析を仕事としているわけですが、お客様のなかにはそのこの課題をきちんと把握されていないケースもあるかもしれませんね。

田中:そうですね。

有園:ただ、アトリビューションって言葉は誰が言い出したのかわかりませんが、ここ3~4年で耳にする機会は増えましたね。海外事情にもお詳しい田中さんは、広告を配信する側としていまの流れをどう感じていますか?

田中:自分の立場を無視すると、アトリビューションっていったい誰が得なんだって思ったときがありました。重要なのは、お客さんにとって得かどうかってことじゃないですか。

有園:おっしゃるとおりです。

田中:そうすると、サーチとディスプレイが分断していると、それぞれが個別に最適化するしかなくて、特に大手広告主さんのリスティング広告の個別最適化ってほとんどやり尽くした感がありますよね。

有園:ありますね。

田中:そうなると、リスティング広告の最適化というと、さらなるものが必要になりますよね。

有園:はい。

田中:だから、バナー広告を実際に見た人、クリックした人がどれだけサーチの刈り取りに貢献できたかを見ていこうよって話が出てきたのかなって思いました。それで、結局はコンバージョン数がめちゃくちゃ増えましたって話になると良いなって思っています。どうも増えそうだって感じが僕とアタラさんの共通理解としてあるのかなって思っています。

有園:ありますね。

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リスティング広告の課題

田中:そこで広告主さんは「アトリビューションマネジメントやって本当にコンバージョン増えるの?」って話が出てくるのかなぁと思います。

有園:そうですね。アタラとしては、アトリビューションの普及を課題としています。そこで、Attribution.jpというアトリビューション情報サイトを開設して情報発信をしています。

田中:いつからでしたっけ?

有園:2010年11月30日ですね。アトリビューションを日本へ導入したほうがいいよねって話になるきっかけとして、アタラの代表である杉原が海外の情報を収集したりアメリカのSESなどのイベントに参加するなかで「アトリビューション」という言葉をよく聞くなと。日本にも導入したほうがいいよねってことになって、アタラを起業するころからアトリビューション情報サイトを作る予定でいたわけです。

田中:へぇ~。

有園:私自身も杉原とはグーグルで一緒に仕事をしていたので、アトリビューションという概念が出てきているということは認識していました。お客様のなかにはリスティング広告をたくさん出している企業がいます。リスティング広告を月額数千万円単位で使っている企業は、なかには億単位の企業もいますが、そうした企業はキーワードを100万単位で出稿しているわけですが、そうした企業は改善をやり尽くしています。

田中:やりきっている感はありますね。

有園:リスティング広告で可能性のあるキーワードはほぼいれていますし、自動化ツールもいれて最適化をやりつくしています。

田中:そうですよね。

有園:もちろん、細かい微調整や改善の余地は残りますが、人間ができる範囲はやり尽くしてしまっていますよねという状況が多いのです。それでも、コンバージョンは増やしたい、やれることは頭打ちであってもコンバージョンを増やし続けなければならないというミッションを背負っている担当者は多いのです。

田中:なるほど。

有園:企業としては常に伸びていかなければならない。そうなってくると、リスティング広告だけではもう伸びない、というときに何ができるかという話になります。
そういう状況の中で、たとえば、とある外資の大手コンシューマー向けパッケージグッズを提供している企業が、グーグルでいうコンテンツターゲットをうまく最適化して出稿した結果、リスティング広告よりもCPAが安くなったという結果がでました。

田中:へぇ~。コンテンツターゲットでリスティングのCPAを上回れるんですね。

有園:私がグーグルにいた頃に同じチームの人間がこの案件を担当していたのですが、試行錯誤した結果、コンテンツターゲットも効果的だという結論に至りました。そうすると、検索連動型広告だけではなく、他のものにも可能性があるのではないかという流れができていきましたね。

田中:おもしろいですね。

有園:あとは、検索ボックスにキーワードを入力して検索すると検索結果がだーって出ますよね。

田中:はい。

有園:検索で来たときにはリスティング広告でお客様を捕まえることはできなかったけれど、自然検索結果の一つのサイトへ飛んだ先に自社のアドセンス広告枠が出ていてクリックをしてもらえれば、そこで捕まえられることもあると。その流れでグーグルは儲かります。

田中:儲かりますね(笑)いいなぁグーグルは。

有園:でも、うまく組み合わせることで広告主にとっても効果があれば双方共に良いのではないかと。リスティング広告で行き詰まっているお客様にとってアトリビューションというのは次のソリューションとして選択肢になるんだろうなって思いはじめたきっかけとなる出来事です。

田中:そうでしたか。個別でも最適化できた、となると次は組み合わせ、ですね。

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アトリビューションの果たす役割

有園:つまり、検索連動型広告とそれ以外のコンテンツターゲット広告への予算配分を最適化する余地があるな、と。そのような流れで、お客様のニーズが検索連動型広告以外にも向いてきたことを感じました。

田中:いま有園さんからサーチ由来のアトリビューションについてお話いただきましたが、いままで僕はサーチの世界の人間ではなかったのです。ディスプレイ広告のソリューションをやっていますので、広告主さんからは、純広告やアドネットワークの出稿ってどうやって改善するんですかという質問が来ますし、アドネットワークをやっていることもあって、メディアさんとのお付き合いが多いのですが、「いまは純広告がなかなか売れないんです」って言う話はよく聞くのです。どのくらい売れないのかと言うとセルスルーレートで言うと50%~30%あまっている、ということもよくあります。

有園:なるほど。

田中:じゃあアドネットワークに在庫を出すといっても純広告の部分を全部出してしまうと売り上げが低減してしまうんですね。純広告が100%売れたら問題ないのですが、なかなか高くて売れないとか原因はいろいろあります。お客さんにも「どうせバナー広告はコンバージョン数でないでしょ」と言われてシュンとなっちゃうみたいな話をたくさん聞いてきたので。

有園:聞きますね。

田中:今日本のインターネット広告市場において、サーチが2000億円くらいでしたっけ?

有園:そうですね。最近はもう少しいっているかもしれませんが。

田中:ディスプレイはまだ2800億円くらいあると思いますが、そうするとディスプレイのほうから影響を受けて、実はコンバージョンって出ているんだってことが立証できると、つまり、間接効果としての効果や改善する余地があることを伝えられると、もう少しディスプレイへの出稿金額も増やせるかもしれませんね。

有園:たしかに。

田中:広告主の皆さん、サーチはやり尽くした感がありますが、バナーと組み合わせたときにもっと効果が出ることを伝えられるといいなと。それは、アトリビューションを通じて伝えられると違ってくるのではないかと思いました。バナーの効果はまだまだあるぞと。

有園:田中さんは媒体社さんと話していてバナー広告の販売に悩んでいる、という話を聞くなかで、もっと媒体やバナーの価値を立証していきたいということでアトリビューションに興味をいただいたわけですね。

田中:はい。いろいろ調べていくうちに、バナー広告とサーチは密接な関係にあることに気づき、これは両方見なければならないなと思ってきたわけです。

アトリビューションは難しい?!

有園:ところで、私の場合、去年の今頃と比べるとアトリビューションという言葉も浸透してきて、かなり日本での理解が広まってきていると思います。田中さんはお客さんや代理店、市場でどう思われていると思いますか。

田中:うーん。広告主さんに「アトリビューションの話をしましょう」といくと「まだわからん」と言われる状況だと思います。しかし、「コンバージョン数をもっと増やすための方法を考えませんか?」と提案すると少しは聞いてもらえます。リスティング広告をやり尽くしていても、ディスプレイとサーチは関連性があるので、これらをうまく組み合わせてやるとコンバージョン数がもっと増えるかもしれません。それを一緒に考えませんか?と言うと相手は「そうかもしれないね」と聞く耳をもってくれます。

有園:そうですね。

田中:アトリビューションマネジメントと言うとまだまだ難しいと思われがちです。

有園:はい。

田中:どちらかというと「各チャネルの予算管理をちゃんとやりましょう。そうするとコンバージョン数が増えますよ。そうなると嬉しいですよね」と言うのが一番刺さります。

有園:うちはattribution.jpというサイトを運営している関係もあって、アトリビューションに関する問い合わせがきます。アトリビューションという言葉を知っていて、言葉の意味もある程度は理解されている方が多いです。

田中:そうでしょうね。

有園:ただ、お客さんにとって「アトリビューションのモデルが何か」というような詳細な話しは気にならないようです。

田中:そうですか。

有園:田中さんがおっしゃったように「予算の最適化をするソリューションなんです」と言い方を変えて伝えると分かりやすいようですね。

田中:うちはCPA系やBtoB系のクライアントさんがいるので「本当にコンバージョンが増えるのか」というのは皆さん謎に思っていて「やってみてください、増えましたよね」というとやはり喜ばれますよね。

有園:「増えましたよ」となると喜ばれますよね。

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)
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2/4に続く(2011年7月27日公開予定)】

第1部(2011年7月26日公開予定)
第2部(2011年7月27日公開予定)
第3部(2011年7月28日公開予定)
第4部(2011年7月29日公開予定)

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特別寄稿:電通レイザーフィッシュのアトリビューションの取り組み(3)

電通レイザーフィッシュによるアトリビューションの取り組みに関する特別寄稿第3回目(全3回)。最終回です。

第1回はこちら
第2回はこちら

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7. ケース3 : ディスプレイ広告とサーチの関係性
続いては、本サイトで多く取り上げられているディスプレイ広告とサーチの関係性についてのケースです。オンラインビジネスのサービスで、資料請求、申込がサイトの目的です。本件では、MediaMindを活用したケースです。検証のポイントは以下の通りです。

  • MediaMindのチャネルコネクトフォーサーチ機能(CC4S)を活用し、アドネットワーク、サーチのコンバージョン数をMediaMindというプラットフォームで重複を省き、評価する。
  • MediaMindの広告接触履歴分析機能を用い、クリックしたユーザー、接触したユーザー(ここでは、広告をクリックせず、Cookieでマーキングされたユーザーを指します。その後、コンバージョンした場合は、View conversionと見なす)を分析する。
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この分析では、予想以上にアドネットワーク経由のコンバージョンが多く、それに伴いアドネットワークのCPAに変化見えた。検索においては、Google、ヤフーからの媒体によるコンバージョンデータが250件であったが、MediaMindといったプラットフォームで一元的に見ると、100件となった。案件の特性や業界カテゴリーにより、比較的極端な結果となったが、広告配信ツールでこのように複数のオンラインマーケティングの手法に対して、コンバージョンの重複を省くトラッキングを行うと、今まで得られていたCPAデータにも変化が見られることが分かる。

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8. アトリビューションの今後

●ソーシャルメディアにおけるクリックデータの取得
アドネットワーク広告への接触や検索行動の他に、当然オンラインユーザーのソーシャルメディア内の行動も増えてくる。Twitter, Facebookでは広告配信ツールにおける間接効果のトラッキングはできないので、最低でもクリックベースによるトラッキングをすることで、アドネットワーク、検索、ソーシャルといった範囲でアトリビューションの手法を模索できると考える。

●ソーシャルメディアにおけるクリックデータ以外のデータとの関連性
また、ソーシャルメディアでのユーザーの行動は、ソーシャルメディアサイト内の広告のクリック、他人の口コミのなかにあるリンク(例えば、xxよかったよ。サイトへのリンク)のクリック以外に、当然ながら、自発的なテキストベースの感想(口コミ)を発信することのほうが多い。

この場合、クリックデータだけを追跡しても、ソーシャルメディアでの口コミというの行動を見過ごすことになりかねない。このようなソーシャルメディア上の会話はやはりソーシャルメディアリスニングツールで「会話データ」として、別途多角的にモニタリングする必要がでてくる。

最後にまとめとなるが、ユーザーの行動はますます複雑化し、その行動を正確に100%トラッキングするのは理想的ではあるが、「あるべき論」で終わってしまう可能性もある。当然、より多くのデータを取得すれば、ツールのコストや、取得したデータの分析コスト(自社のリソース、またはアウトソースするにせよ)が増えるわけで、全ての行動データをトラッキングすることはできない。各企業のオンラインマーケティング活用において、本当に重要かつ自社のブランディングや売上アップに影響力の高い部分(例えば、KGIに一番影響力のある施策の部分)に軸を絞り、企業独自のアトリビューションモデルを構築するのが現実的なのではないかと考える。

株式会社電通レイザーフィッシュ
マーケティング室 
清水秀和

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【アトリくんの視点】
ソーシャルは今後の課題ですね。一時期はFacebookでもビュースルーコンバージョンが取れていたのですが撤廃されてしまったようです。かなり前からアトリビューションの取り組みをされていた電通レイザーフィッシュさん、清水さん、とても説得力がありましたし、本当に勉強になりました。ありがとうございました!

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特別寄稿:電通レイザーフィッシュのアトリビューションの取り組み(2)

電通レイザーフィッシュによるアトリビューションの取り組みに関する特別寄稿第2回目(全3回)。

第1回はこちら

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5. ケース1 : View Conversionを含めたROI評価
それでは、実際のケースを見ていきましょう。通販サイトでDouble Clickを活用したケースを取り上げます。View Conversion、ROIをエージェンシー側が正確に把握し、ROIを倍増させたケースです(ROIの算出方法は、通常SEM施策などで使われている、広告費、利益額を用いた計算式で算出)。

  1. 新規参入の通販サイトで、認知拡大と新規顧客が課題
  2. 間接効果を評価する文化がグローバル企業なので、すでに浸透

この通販サイトのサービスは市場参入時のタイミングではターゲットが限られており、認知拡大を達成しつつ、売上にも貢献する手法として、第三者配信による広告配信、間接効果を含めた広告評価手法を選ばれました。目標とするROIを達成するために、弊社で以下のような戦略を策定した。

  • View / Click Conversionを把握、ROIの算出時は両方を評価する
  • 「より多いクリック、誘導数」は大きな意味をなさない →CTRの向上はそれほど重要ではない(購入する人を集客したいから)
  • CPAフォーカスではなくROIフォーカス →利益率の視点でOptimizationを継続(CPC700円でもROIが達成していれば、それが正解とする)
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結果としては、上記のような数値が得られた。「高いCPCでもROI視点では見合う」、「セグメントもある程度できて、安いCPCだけど、ROIは良くなかった」といったケースを踏まえ、実際のオプティマイズの現場では、むやみにCTRが高いメディアを選択しない判断を行った。CPC、CTR視点で改善方法を考えてしまうと、気がつけないインサイトと言える。間接効果を測れば、ROIが見合う媒体は多数存在することになり、以下の2点の発見があったと言えます。

  • CTRが低くても、View Conversionも含めて評価すると、メディア選定が異なってくる
  • 媒体により、獲得できるView Conversion数に変化が見られる。仮説を立て、テストを実施することで、具体的な数値が得られる。

(追記として、このオプティマイゼーションでは獲得数よりも効率を重視している)。

6. ケース2 : 間接効果を含めたクリエイティブ評価
続いては、間接効果をクリエイティブ評価でも役立てたケースです。CTR視点だけでなく、View Conversionを含めたROIベースで検証します。検証ポイントは以下の通りです。

  1. 直接効果、間接効果の両方の視点で評価する
  2. 広告に接触し、Conversionしたユーザーがいくらの利益が生んだのか?どちらのクリエイティブがROIを達成したのか?
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Creative A / Bを比較し、結果を分析しました。CTRの点では、Bが高い。View Conversion数の点ではAが50、Bが10。ROIの点では、AがView Conversionを多く獲得し、優位であったという結果になりました。この分析では以下のようなインサイトが発見できました。

  • Aは、テキスト中心のメリットを訴求したバナー。クリックしなくても視覚的に記憶にとどまるメッセージの伝達に成功していた。それがView Conversion増加に貢献(その後のユーザーアクションに繋がる)。
  • Bは、よりブランド寄りの抽象的なバナー。「なんとなくかわいい・いいな」と思ったユーザーがクリックする傾向にあり、CTRは上昇する。しかし、視覚効果として、広告接触後、明確に覚えられるまでに至らなかったと推測(メッセージが覚えられ、行動を引き起こすには十分なメッセージではなかったと判断)

以上のような分析も間接効果をとっていなかったら、Click Conversion数では同じ、CTRで勝るCreative Bが選択されていたのではないでしょうか。アトリビューションモデルとはこのように、実施したキャンペーンのデータの見方(角度やレンズのフィルターとも言えます)に大きな影響を及ぼし、効果に対する今までの評価の方法を大きく変える可能性が大きいのです。次回では、ディスプレイ広告とサーチの関係性を話したいと思います。

株式会社電通レイザーフィッシュ
マーケティング室 
清水秀和

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【アトリくんの視点】
取り組みによりますが、CPC、CTR偏重の評価に一石を投じる内容ですね。数字で実証した点が大きいのと、低いCTRのサイトでオプティマイズを行った点は興味深いですね。一部のグローバル企業の取り組みは確かに進んでいますし、評価のための環境も、組織の理解もありますね(欧米ですでにやっているので日本でも、という話は確かに多いです)。第3回目(再来週予定)もお楽しみに!

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特別寄稿:電通レイザーフィッシュのアトリビューションの取り組み(1)

電通レイザーフィッシュは、米国Razorfishにおける手法やノウハウを活かしつつ、日本において、かなり早くからアトリビューションに取り組んできた。

その背景、考え方、取り組み内容を聞く機会があり、今回寄稿をお願いした。3回に渡って取り上げる。

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1. 寄稿の背景
今回、Attribtuion.jpというサイトを拝見し、とても興味深いテーマと感じました。なぜならば、弊社では2007年のRazorfishとの資本・業務提携後、この分野に積極的に取り組み、専門チームを設け、実際のクライアントとともに、多数の事例を作り上げてきたからです。今回は3回にわたり、実際のケースも掲載し、業界でのAttribution Modelに対する理解をより深めたいと考えます。

私は2008年にRazorfish シアトルオフィスにて3か月間勤務し、エージェンシーのビジネスモデル、第三者配信、分析業務を学びました。第三者配信ツールを単なるツールと捉えるのではなく、オンラインエージェンシーの存在意義にも直結するモデルを構築する基幹ツールであったと当時を振り返ります。

広告配信をエージェンシーが実施することで、メディア代理ではなく、大量のCookieデータ、間接効果(View Conversion、Post Impressionなどを指します)、ユーザー行動データ、売上データを扱い、分析主体の業態で大きな付加価値を生むコンサルティングを提供していました。例えて言えば、メディア投資信託会社のようなサービスをRazorfishは当時から提供してました。メディア販売主体ではなく、あくまでもビジネスゴールに沿ったROI視点で、クライアントと長期的な関係を築いていたのが印象的です。

2008年から、弊社は複数社のグローバル企業に第三者配信サービスを提供。Atlas, Double Click, Media Mindなどのツールを用い、社を挙げて各担当者が広告配信管理業務をスタートさせました。そこで得られたノウハウをメンバーで共有し、ラーニングを蓄積。今回は、それらの実務で得たノウハウ、実務レベルで弊社コンサルタントが行った分析業務を取り上げます。

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2. 第三者配信の台頭
欧米では2003年頃から、オンラインエージェンシー、広告主を中心にAtlas、Double Clickといった第三者配信ツールを用いて大量のCookieデータの取得し、分析やデータ統合を積極的に推進してきた背景があります。2009年以降は、データ分析がさらに進化し、今でいうところのAttribution Model、Atlasの ”Engagement Mapping”などがオンラインビジネス企業に積極的に導入され、最適な予算配分の模索が始まったと言えます。現在、Efficient Frontier、Core matrixなど専門企業が詳細な分析サービス、ツール提供を始めており、2010年は日本にとっても、Attribution Model元年と言えるのではないでしょうか。

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3. 間接効果(以降、View Conversion)の意味
実例を示す前に、一度、広告配信領域におけるView Conversionについて理解したいと思います。例としてマス広告とオンライン広告の比較から考えてみましょう。通常、マス広告は露出量、想定接触者数に対して対価を払うモデルです。しかし、マス広告接触後の消費行動1つ1つの接触に対する売上促進を正確に測定するのは難しいと思われます。反面、ネット広告では接触(閲覧・クリック)後の購買行動が正確に把握できます。以下のようなユーザー行動を例としてみよう。OOHを見て、コンビニに行き、炭酸飲料を購入するという一般的な行動です。

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欧米では、上記のマス広告でのユーザー行動をシンプルにオンライン上のユーザー行動にも当てはめることで、業界内(エージェンシー、配信ツールベンダー、媒体社)に自然とView Conversionを測定する文化を形成させたと言えます。しかしながら、日本市場では、なぜがオンライン広告になると、クリック行動のみでメディアが評価され、クリックという限られたユーザー行動を中心にモデリングされているのが現状ではないでしょうか。

4. メディア評価を行う現場
それでは、現場においてこのようなView Conversionの貢献度をどのようにして決めているのでしょうか。実際にはすべてのオンライン広告のすべての接触効果の貢献を認めるか(クレジットを与えるか)は、キャンペーンを開始する前にクライアントと以下の点で協議をし、決定されます。

  1. 市場におけるブランドの浸透度、成熟度
  2. ビジネスモデル
  3. 認知拡大を目的とした広告露出量(マス広告に触発され、ネットでアクションする可能性もあり得るため)

一般的にはネットビジネス企業の場合、ビジネス成長期は100%の間接効果にクレジットを与え、その後、数年かけて成熟期に入るとともに、クレジット率を70%, 50%と減少させていく傾向にあるようです。以上が簡単な背景と概要です。次回からは具体的なケースを取り上げたいと思います。

株式会社電通レイザーフィッシュ
マーケティング室 
清水秀和

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【アトリくんの視点】
先日、この寄稿の件で清水さんと打ち合わせた際、色々お話しができてとても勉強になりました。2008年に米国で学んだということは、米国はそれよりも以前にかなり取り組んで広告効果を評価する手法を確立してきたということです。第三者配信をベースにしたView-through conversionも含めた評価になっている点は、第三者配信が普及している米国で、かつ、大手企業のキャンペーンを手がけるRazorfishだからとも言えますね。日本においては第三者配信はこれからですが、すでに手がけた事例をベースに、市場を牽引してほしいですね。第2回目(来週予定)、第3回目(再来週予定)もお楽しみに!

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